活動データ
タイム
05:12
距離
9.4km
上り
658m
下り
604m
活動詳細
すべて見る全国的にはあまり有名でないかもしれませんが、京都山科とその周辺には、低山ながら魅力のある山がたくさんあります。 京都市中心部から東山を挟んでさらに東側、滋賀県と接する位置に周囲を低い山々に囲まれた山科盆地がある。 今回登った音羽山は盆地の東側。滋賀県との府県境に聳える。その南には京都の名刹醍醐寺を麓に擁する醍醐山がある。盆地の北側は東山山域の主峰、如意ヶ岳や五山の送り火で有名な大文字山など、人気の山々が集中する人気エリア。この山科を起点にたくさんの魅力ある低山を楽しむことができるんです。 さて今回は音羽山。湖南アルプスから眺めて、いつか登ろうと考えていた山です。ユーザーさんのレポも多いし、人気の山なんですね。人気の山にはそれなりの理由があるのでしょうから、私もそれを味わいたいなと思ったわけです。 それとこの山域の山々は町からとても近い。さらにルートも豊富です。電車の駅を起点に登れるアクセスの良さも人気の要因なんでしょうね。 今日は京阪電車京津線の追分駅から牛尾観音(法厳寺)〜牛尾山、そして音羽山へ。下山は同じく京阪京津線の大谷駅に下りる予定です。今日は珍しく電車移動(^^) 7:20、追分駅を出発。まずは住宅地を抜けて山へと向かう。牛尾観音までは舗装路歩きになります。 住宅地を抜ける辺りに白石神社があります。予定にはなかったんですが、寄ってみることにしましょう!寄り道は私の山歩きの基本です!(^^) 住宅地から100mほど進んだところにその神社はありました。こぢんまりとした神社ですが、住宅地からほんの少し山に入っただけで、神秘的な静寂が辺りを包み込みます。 境内の入り口には樹齢300年のスギの巨木。大きな木には力がある!パワーをいただきます。 小さな本殿、祭神はイザナギノミコトとイザナミノミコト。何よりも目を引くのは、本殿の横にある巨岩。高さ約5m、幅約8〜9mという巨岩です。これはまさしく磐座ですね。社殿を建てる以前から、この地には磐座信仰があったものと想像します。 この岩には切り出された跡があります。これは徳川家康が伏見城再建のために切り出したと推測されるとか。権力とは恐ろしいものですね。神の宿る磐座を石材にしようとするんですから。 白石神社を過ぎると、どこからともなく「コン!…コン!…」という音が聞こえてくる。 何だろう?と思って音源を探してみると、そこには水車がありました。露山水車というみたいですね。水車の力を利用して杵をついています。その音だったんです。 蕎麦の実でもついたんでしょうか?それにしてもよくできた仕組みです(^^) 道は山科川、そして音羽川の沢沿いを緩やかに登って行きます。 沢の音に癒されます。沢の流れはサラサラ、小さな湧水はチョロチョロ、滝はザァザァ…水の音に溢れています。 大師堂がありました。弘法大師と大日如来が祀られています。牛尾観音は空海とも関連があるようなので、その関係でしょうか? 時折穏やかな水音に混じって、「カコーン、カコーン」という心地よい音が響いてくる。 この沢の両側の斜面からはたくさん水が湧き出しているんです。小さな滝もたくさんある。その水を引いて、ししおどしが置かれています。それも何ヶ所も。その音だったんですね。 竹と石が奏でる優しい音の響き…日本の音はなんて美しいんだろうかと感動してしまいます。 この山は音を楽しむ山。牛尾観音までは熊鈴の音を鳴らさずに歩いていただきたい。日本の美しい音をたっぷりと堪能できますよ!(^-^) 路傍に巨岩。経岩です。地面と繋がってるようですね。磐座ではなさそうです。石像は空海かな…?ちょっとわかりません(~_~;) 湧水のある岩場に不動明王が祀られていました。しずく谷不動尊といいます。湧き出る水、その生命力に仏の功徳を感じたのかもしれません。 さらに比較的立派な滝に出会いました。音羽滝です。落差は…6〜7mでしょうか?滝壺や岩壁に風情があって、とても美しい滝です。 しばらく歩くと開けた場所に到着しました。桜の馬場です。いよいよ牛尾観音の寺域に近づきました。キャンプもできるようです。 黒門をくぐり長い長い階段を登る。確かに大変だけど、山寺というのはこうでなくちゃ!とも思ったり(^_^;) 出発してからおよそ1時間50分、牛尾山法厳寺(牛尾観音)に到着*\(^o^)/* 寺伝によれば創建は奈良時代後期。古くは法相宗、近世には真言宗となり、戦後修験宗となった。若干ブレ気味(^_^;) 本尊は秘仏の十一面観音。これは三尊像で脇侍は不動明王と毘沙門天だという。珍しいな!? 境内で少しだけ休憩して先へと進みます。ここからようやく本格的な登山道に入る。まずは牛尾山を目指します。熊鈴も鳴らします(^^) 登山道は一言で言えば穏やか!よく整備されていて歩きやすいし急坂もない。森も美しいし、今日はいい天気なので余計に気持ちいい。 牛尾観音からおよそ30分で牛尾山に到着。でも山頂標示がないので登頂の実感はなし(ー ー;)なのでまたまた寄り道でパノラマ台まで行ってみます。 ほんの数分でパノラマ台に到着!その名のごとくパノラマ!…ではありませんが(^_^;)木々の間から琵琶湖が見えますね。琵琶湖大橋辺り。いい景色です。 湖東の山並みが素晴らしい!雪を被った大きな山は…位置的には霊仙山かな?伊吹山は雲がかかっているようです。それでは戻って音羽山を目指しましょう! パノラマ台から本当に静かで美しい森をのんびりと歩くことおよそ20分、出発してからはおよそ3時間、音羽山山頂に到着です*\(^o^)/* 山頂は西から北が開けた小広場。三角点もあり。豊富なルートからみな音羽山を目指して来るので、山頂はかなり賑わっています。 展望は抜群!北側、目の前には比叡山が堂々とした山容を見せている。その右奥、琵琶湖沿いに雲を被った山並みは比良の山々ですね。権現山から蓬莱山への稜線でしょう。もちろん琵琶湖もよく見える。 西側には山科の街並み。そして東山を挟んでその奥には京都市中心部の街が見えます。京都タワーが確認できますね。こうしてみると京都も都会やなぁ。 街の奥には愛宕山。京都を代表する名山です。さらに西側には北摂の山並み。気持ちが晴れやかになるような爽やかな風景です!みんなこれを求めてここにやって来るのかなぁ。 山頂が賑やか過ぎるので、少し下ったところの休憩スペースで食事をすることにします。展望のない森の休憩スペースですが、ベンチやテーブルもあって、なにより静かなのがいい。まあ、ここも結局人は増えてくるんですけどね(^_^;) 人気の山ってことを実感します。 1時間の休憩の後、11:20下山開始です。 休憩ポイントのすぐ先の分岐を左にとって、大谷駅を目指して下って行きます。 それにしてもよく整備されていますね。この山域に荒れた道なんてあるんでしょーか?こちらのルートは少し急な斜面もありますが、そのほとんどの場所で階段が整備されていますので難しいことはありません。ただこのルートを上りに利用するとかなり階段が多くなるので、苦手な方にはちょっぴり辛いかもしれません。 国道1号線が見えてくると山歩きもほぼ終了。歩道橋で1号線を渡って再び山に入ると、逢坂の関跡があります。 東海道と東山道、2つの道が通る逢坂の関は、平安時代中期以降には三関(鈴鹿関、不破関)の一つとなる交通の要衝でした。古代史ヲタクの私としては三関と言えば鈴鹿、不破ともう一つは愛発なんですけど… 百人一首の蝉丸の歌に歌われる逢坂の関を越えると、まさにその蝉丸を祀る蝉丸神社に到着です。下山開始からおよそ1時間5分。 蝉丸は平安時代前期の歌人であり、盲目の琵琶法師であったと伝わります。子供の頃は百人一首に描かれた蝉丸の絵が不気味で…名前も微妙だし、妙に怖かった記憶があります(^_^;) 「これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関」 「ここがあの、京から旅立つ人も帰る人も、知っている人も知らない人も、皆ここで別れそしてまたここで出会うという、有名な逢坂の関なのだなぁ」 知っている人も知らない人も、旅立つ人も帰ってくる人も、別れてはまた逢い、逢ってはまた別れるという逢坂の関。この逢坂の関を人生に重ね合わせた、深い趣のある歌ですね。 蝉丸神社を過ぎると、ほどなく大谷駅に到着です。時刻は12:35、下山に要した時間はおよそ1時間15分でした(^^) それでは音羽山の総括を。 この山は紛れもなく人気の山でした。山頂もかなりの人で賑わっていましたし。なぜこの山が人気なのか?その理由は歩けば感じることができます。 まず標高がほどよい。ルートが豊富。整備が行き届いていて歩きやすい。…初心者でも安心、安全に登れる山なんですね。 さらに街から近い。駅を起点にできる。…アクセスがいいので誰でも気軽に訪れることができます。 そして何より絶景の山頂!この標高でこれだけの景色が眺められるのであれば登る価値はありますよ。それほど爽快な展望です。 見どころが多いのもポイント高いですね。今回のルートでも白石神社、露山水車、大師堂、経岩、音羽滝、そして法厳寺、パノラマ台…飽きる暇もないほど、興味深い見どころがたくさんあります。 何より私が感動したのは、この山にはたくさんの美しい「音」があるということ。 沢の水音、滝の流れ落ちる音、風がそよぐ音、鳥の鳴き声、水車が杵をつく音、ししおどしの竹が石を打つ音、お寺の鐘の音…この山には日本の美しい音がたくさんあった。体だけではなく、目だけではなく、耳からも山の営みを感じ取れる…音羽山の魅力は、そんな「音」にあるのかもしれませんね☆
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