天空の段々畑からルソン島最高峰へ

2022.12.15(木) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
4 時間 55
休憩時間
36
距離
14.3 km
のぼり / くだり
687 / 674 m
2 20
2 14

活動詳細

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 🍌gotoフィリピン 第3週 ルソン島バギオ4日目 プログ山(ルソン島最高峰)  gotoフィリピンの締めくくり・プログ山に関しては、2011年に登頂した島根県浜田市民♂のブログを読んでいた。  驚いたのは、帰りのバスに間に合わせるため、下山途中の集落でバイクをチャーターしたという話。山道を「ニケツ」で下りた?  ニケツなら、ミャンマーの平地の舗装道路で経験がある。赤の他人の腰にしがみ付く違和感・恐怖感は、記憶に新しい。しかし、山道でニケツとは尋常ではない。  「穴ぼこだらけの砂利道。所々雨でぬかるむ。(中略)左右は時々崖になる。(中略)バイクが転倒したら、そのまま斜面か崖に落ち、場合によっては命は無い。怖いなんてものじゃない」  浜田市民さんは、そう書いていた。  結局、バスには乗り遅れたが、その場で車をチャーターし、ふもとの前泊地に帰り着いたという。その時の気持ちについては、  「まさに地獄から生き返った気分で、ビールがおいしい」  先進国以外の登山では、登ることよりもアクセスの難易度のほうがずっと高い。浜田市民さんに共感しつつ、思った。  「世の中、上には上がいるなあ」  ヘタレ石垣市民は、浜田市民さんの境地には達していない。  石垣島でマニラの旅行会社のサイトをサクっと見つけ、バギオからの送迎、入山やガイドなどの料金がセットになったお一人様ツアー(8000㌷=2万円)を予約していた。  📌バギオとプログ山(再掲)——  バギオ(Baguio)は、ルソン島北部の中心都市。人口38万人。標高1500mで、米国植民地時代に避暑地として開発された。  プログ山(Pulag)は、バギオの北東にそびえるルソン島最高峰(標高2926m)。山岳民族イフガオ族が住み、東麓には世界文化遺産「コルディリェーラの棚田群」が広がる。  ——————————————————  15日午前5時20分、送迎車が予定より10分早くホテル前に着いた。すばらしい。  ところが、ここから登山を始めるまでの4時間20分は、過酷または意味不明な出来事の連続。やはり、核心部は「登る前」だった。    まず、ふもとの集落Ambangegにある環境天然資源省の事務所で入山手続きをする。  登山を管轄するフィリピンの役所は面倒臭い。ファミリーコースでもガイドを押し売りしたり、フィリピン最高峰アポ山では登山届に「婚姻歴」「学歴」まで書かせたりする。  事務所までの山道は、九州山地の最深部(宮崎県椎葉村)や四国山地の秘境・祖谷(いや)に至る「酷道」さながらだった。  舗装されてはいるが、節約のためかトンネルがなく、よって直線区間が1㍉もない。追い越し禁止区間など誰もが無視。  すなわち、身体は1秒の休みもなく右へ左へ揺さぶられ続ける。  1時間半後の6時50分、半ゲロでAmbangegに着いたが、スマホで何やら調べていた運転手が、思いもよらぬことを言い出した。  「事務所が開くのは、8時みたい」  6時半出発でよかったじゃん......  🍌  🍌  🍌  🍌  🍌  事務所前でボーっとしていると、3分遅れで開いた。簡単な登山届に記入し、健康診断書とワクチン接種証明書を提出した。  診断書は「登山に必要な体力」をチェックするための規制。石垣島で英語版を入手するのに苦労した。しかし、受け取った職員は何のチェックもしなかった。  役所の形式主義なんて、こんなもんだ。車に戻って、登山口に向かおう。    と思いきや、他のハイカー8人ともども「教室」に入るよう指示された。なんと、プログ山のPRビデオを視聴させられるのだった。  無意味な15分を経て「今度こそ登山口へ」と思いきや、なんと、職員が教壇に立って講義を始めた。「登山の注意」みたいな内容で、ビデオと同じくらい退屈。  8時42分に解放された時、日本と変わらぬ役人(または役人ぽい人々)の思考回路に萎えた。費用対効果の怪しい規制を漫然と維持し、仕事しているつもりになる人々である。  後で分かったが、最短コースなら子供でも楽勝だ。それなのにガイドを義務づけ、ガイドが付くのに授業もする。登山者にとって貴重な活動時間が40分も削られる。     登山口がある集落Babadakのレンジャー・ステーションに着いたのは、9時10分。なぜか、ここでも登山届に記入する。残るはガイドと合流するだけだから我慢、我慢。  と思いきや、30分待たされた。事務所での待機と授業も合わせると、2時間20分のロス。  この国の登山口は、かくも遠い。  🍌  🍌  🍌  🍌  🍌  その地元の遅刻ガイドはRyan(40歳)。イラついていたのでテンション低めで挨拶し、9時40分、ようやく登山を始めた。  まず目に留まったのは、彼の黒長靴だ。理由を聞くと「農作業から履き替えるのが面倒臭い」と笑った。ニンジンやキャベツを生産する傍ら、週3~4日登るという。  その畑とは、有名な段々畑。標高2500mくらいまで山肌一面に広がり、アングルによっては雲上に浮かんでいるように見える。  それを眺めながらRyanと話していたら、登山口までのイライラは霧消した。本来ガイドなどいないほうが気楽だが、陽気なフィリピン人は不思議と邪魔にならない。    標高2500mまで開墾されているということは、そこまで車でワープできるということでもあり、山頂までのトレイルはルソン島最高峰とは思えないほど楽チンだった。  山頂部はガスって視界が悪かったが、草が生い茂り、起伏に富んだ感じは、晴れれば秋吉台みたいかな?と思われた。  帰路は、はっきりした小雨。シューズが完全に浸水すると、逆に開き直れて、休まず歩いた。「速いね、強いね」と随所にお世辞を挟むRyanは、さすがベテランの域。  集落Babadakあたりまで下りると晴れていて、段々畑のキャベツの緑色が輝いていた。  「あと3週で収穫です」とRyan。この黒長靴でシャキシャキ野菜と格闘するのだろう。  🍌  🍌  🍌  🍌  🍌  送迎車で昼寝していた運転手を起こす。  またもや半ゲロでバギオに帰る。  シューズとカッパを乾かし、シャワーを浴びて、ふうと一息。   gotoフィリピンは、どうやら無事に幕を閉じそうだ。  マニラのカオスを経由する必要はあるけれど。(了)  📌お知らせ————  次回は「gotoガダルカナル島」か「gotoニュージーランド」を予定しています。  前者については、地球放浪の同志に突然誘われたものの「お前、本気か?」という印象もあり、確定していません。  後者は、トレッキングの聖地「ミルフォード・サウンド」狙い。現地の豪雨や鎖国で2回キャンセルを余儀なくされた因縁の地。  ——————————————————

プログ山  【14日】「何もしない日」とした。こういう日を絡めないと、放浪疲れする。
 幸い、フィリピン有数の避暑地バギオの冬は、普通に歩くくらいでは大して汗をかかず、喧騒も許容範囲。飲食も買い物も洗濯も徒歩圏内で済み、居心地は悪くない。
 写真は朝、洗濯屋を探しに出た時に遭遇したゴミ収集車。ダンプのような大型車に息をのんだ。
 【14日】「何もしない日」とした。こういう日を絡めないと、放浪疲れする。  幸い、フィリピン有数の避暑地バギオの冬は、普通に歩くくらいでは大して汗をかかず、喧騒も許容範囲。飲食も買い物も洗濯も徒歩圏内で済み、居心地は悪くない。  写真は朝、洗濯屋を探しに出た時に遭遇したゴミ収集車。ダンプのような大型車に息をのんだ。
プログ山  わりと高評価の中華料理店が近所にあったので、ランチ。地球放浪で食事に行き詰まった時は、どこにでもある中華料理店が無難である。
 まずは、チキン麺145㌷(360円)。世界で一番美味しい麵料理「日本のラーメン」と比べると、勝負にならないと思ったが、スープはあっさり。この日の気分にマッチした。
 わりと高評価の中華料理店が近所にあったので、ランチ。地球放浪で食事に行き詰まった時は、どこにでもある中華料理店が無難である。  まずは、チキン麺145㌷(360円)。世界で一番美味しい麵料理「日本のラーメン」と比べると、勝負にならないと思ったが、スープはあっさり。この日の気分にマッチした。
プログ山  次に、特製dumplings105㌷(260円)。
 dumplingsは「餃子」を意味すると思って注文したが、出てきたのはシューマイ風。皮がハム(?)になっていて、具(魚介系?)もジューシーで美味。
 次に、特製dumplings105㌷(260円)。  dumplingsは「餃子」を意味すると思って注文したが、出てきたのはシューマイ風。皮がハム(?)になっていて、具(魚介系?)もジューシーで美味。
プログ山  【ここから15日】バギオのホテルから送迎車に乗り、酷道を1時間半。半ゲロ状態で、まずは集落Ambangegの環境天然資源省の事務所に着いた。

 ここまで自力で来た場合、
 〇入山料=フィリピン人175㌷(430円)、外国人15米㌦(2000円)。※週末・祝日は2倍
 〇ガイド料=最短コース5人までなら1200㌷(3000円)
 つまり、この山奥まで自力で来ても外国人は最低5000円とられるわけで、送迎付きのツアーのほうがいいかも。
 【ここから15日】バギオのホテルから送迎車に乗り、酷道を1時間半。半ゲロ状態で、まずは集落Ambangegの環境天然資源省の事務所に着いた。  ここまで自力で来た場合、  〇入山料=フィリピン人175㌷(430円)、外国人15米㌦(2000円)。※週末・祝日は2倍  〇ガイド料=最短コース5人までなら1200㌷(3000円)  つまり、この山奥まで自力で来ても外国人は最低5000円とられるわけで、送迎付きのツアーのほうがいいかも。
プログ山 事務所が開くまで1時間以上もあるというので、集落を散歩。
事務所が開くまで1時間以上もあるというので、集落を散歩。
プログ山 Ambangeg小学校。壁画がファンキー。
Ambangeg小学校。壁画がファンキー。
プログ山  事務所で入山手続きを終え、「よっしゃ、車に戻って登山口へGO!」とテンションを上げた。
 ところが、他の8人のハイカーと共に「教室」へGO!(写真w)
 プログ山のPRビデオの視聴と職員による「登山の注意」の受講を強いられた。
 事務所で入山手続きを終え、「よっしゃ、車に戻って登山口へGO!」とテンションを上げた。  ところが、他の8人のハイカーと共に「教室」へGO!(写真w)  プログ山のPRビデオの視聴と職員による「登山の注意」の受講を強いられた。
プログ山 環境天然資源省の事務所から再び酷道を上り、午前9時10分、集落Babadakのレンジャー・ステーション(登山口)にようやく着いた。バギオから実に4時間弱。
環境天然資源省の事務所から再び酷道を上り、午前9時10分、集落Babadakのレンジャー・ステーション(登山口)にようやく着いた。バギオから実に4時間弱。
プログ山  地元の遅刻ガイドRyan(40歳)。プログ山ガイド歴20年のベテラン。農家の必須アイテム黒長靴でGO!
 陽気で健脚なのは、アポ山のロン毛Roy、ウラップ山のジャニーズ系Remarと同じだった。
 地元の遅刻ガイドRyan(40歳)。プログ山ガイド歴20年のベテラン。農家の必須アイテム黒長靴でGO!  陽気で健脚なのは、アポ山のロン毛Roy、ウラップ山のジャニーズ系Remarと同じだった。
プログ山  Ryanが農家として暮らしているBabadakの段々畑。標高2500mくらい。世界文化遺産では「棚田群」と表記されているが、ここで作られているのは野菜。
 Babadakが世界遺産エリアに入っているかどうかは不明。
 Ryanが農家として暮らしているBabadakの段々畑。標高2500mくらい。世界文化遺産では「棚田群」と表記されているが、ここで作られているのは野菜。  Babadakが世界遺産エリアに入っているかどうかは不明。
プログ山  開墾エリアを歩き始めると、下山組とすれ違った。ポーターも含め、この後5~6組と出会った。Ryanによると、この時間に下りてくるのは、テント泊からのナイトハイク組。
 フィリピン人は、赤の他人がカメラを構える前でも、よけるどころか、ノリよく反応する傾向あり。この女子は両手でピース。
 開墾エリアを歩き始めると、下山組とすれ違った。ポーターも含め、この後5~6組と出会った。Ryanによると、この時間に下りてくるのは、テント泊からのナイトハイク組。  フィリピン人は、赤の他人がカメラを構える前でも、よけるどころか、ノリよく反応する傾向あり。この女子は両手でピース。
プログ山 中盤はジャングル帯。アポ山ほど鬱蒼とはしていないが、かなり苔苔。
中盤はジャングル帯。アポ山ほど鬱蒼とはしていないが、かなり苔苔。
プログ山 いや、鬱蒼としているところもあり。
いや、鬱蒼としているところもあり。
プログ山  ジャングル帯を抜けると、起伏に富んだ草原エリア。
 霧雨が降り出して、周りはあまり見えなかった。偽ピークが如き峰が次から次へと現れるので、晴れていれば、さらに面白そう。
 で、写真は正真正銘の山頂。
 ジャングル帯を抜けると、起伏に富んだ草原エリア。  霧雨が降り出して、周りはあまり見えなかった。偽ピークが如き峰が次から次へと現れるので、晴れていれば、さらに面白そう。  で、写真は正真正銘の山頂。
プログ山  きっと秋吉台みたいなウネウネとした峰々を眺められたのだろうと想像してみる@ガス山頂。
 プログ山の標高については諸説あるが、ここの表記に従っておく。
 きっと秋吉台みたいなウネウネとした峰々を眺められたのだろうと想像してみる@ガス山頂。  プログ山の標高については諸説あるが、ここの表記に従っておく。
プログ山 帰路は、はっきりした小雨になり、シューズは完全に浸水、草に触れるパンツもズブ濡れ。カッパで防風できたので、寒さを感じることはなかった。
帰路は、はっきりした小雨になり、シューズは完全に浸水、草に触れるパンツもズブ濡れ。カッパで防風できたので、寒さを感じることはなかった。
プログ山  登山口の集落Babadakあたりまで戻ってくると、晴れていて、暖かかった。
 緑色が鮮やかな段々畑の作物はキャベツ。
 登山口の集落Babadakあたりまで戻ってくると、晴れていて、暖かかった。  緑色が鮮やかな段々畑の作物はキャベツ。
プログ山 晴れのプログ山の写真を見つけると、やっぱり秋吉台みたいだった。©Tripadvisor
晴れのプログ山の写真を見つけると、やっぱり秋吉台みたいだった。©Tripadvisor
プログ山 マニラのホテルに戻って再会。前回活動日記の写真では、屋根で寝ぼけていた子。
マニラのホテルに戻って再会。前回活動日記の写真では、屋根で寝ぼけていた子。
プログ山  17日朝、部屋に遊びに来た子。
 人間とのふれあいに至上の幸福を感じるようで、興奮気味だった。
 その後、このベッドの下で昼寝を始めた。
 17日朝、部屋に遊びに来た子。  人間とのふれあいに至上の幸福を感じるようで、興奮気味だった。  その後、このベッドの下で昼寝を始めた。

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