活動データ
タイム
04:55
距離
14.3km
のぼり
687m
くだり
674m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る🍌gotoフィリピン 第3週 ルソン島バギオ4日目 プログ山(ルソン島最高峰) gotoフィリピンの締めくくり・プログ山に関しては、2011年に登頂した島根県浜田市民♂のブログを読んでいた。 驚いたのは、帰りのバスに間に合わせるため、下山途中の集落でバイクをチャーターしたという話。山道を「ニケツ」で下りた? ニケツなら、ミャンマーの平地の舗装道路で経験がある。赤の他人の腰にしがみ付く違和感・恐怖感は、記憶に新しい。しかし、山道でニケツとは尋常ではない。 「穴ぼこだらけの砂利道。所々雨でぬかるむ。(中略)左右は時々崖になる。(中略)バイクが転倒したら、そのまま斜面か崖に落ち、場合によっては命は無い。怖いなんてものじゃない」 浜田市民さんは、そう書いていた。 結局、バスには乗り遅れたが、その場で車をチャーターし、ふもとの前泊地に帰り着いたという。その時の気持ちについては、 「まさに地獄から生き返った気分で、ビールがおいしい」 先進国以外の登山では、登ることよりもアクセスの難易度のほうがずっと高い。浜田市民さんに共感しつつ、思った。 「世の中、上には上がいるなあ」 ヘタレ石垣市民は、浜田市民さんの境地には達していない。 石垣島でマニラの旅行会社のサイトをサクっと見つけ、バギオからの送迎、入山やガイドなどの料金がセットになったお一人様ツアー(8000㌷=2万円)を予約していた。 📌バギオとプログ山(再掲)—— バギオ(Baguio)は、ルソン島北部の中心都市。人口38万人。標高1500mで、米国植民地時代に避暑地として開発された。 プログ山(Pulag)は、バギオの北東にそびえるルソン島最高峰(標高2926m)。山岳民族イフガオ族が住み、東麓には世界文化遺産「コルディリェーラの棚田群」が広がる。 —————————————————— 15日午前5時20分、送迎車が予定より10分早くホテル前に着いた。すばらしい。 ところが、ここから登山を始めるまでの4時間20分は、過酷または意味不明な出来事の連続。やはり、核心部は「登る前」だった。 まず、ふもとの集落Ambangegにある環境天然資源省の事務所で入山手続きをする。 登山を管轄するフィリピンの役所は面倒臭い。ファミリーコースでもガイドを押し売りしたり、フィリピン最高峰アポ山では登山届に「婚姻歴」「学歴」まで書かせたりする。 事務所までの山道は、九州山地の最深部(宮崎県椎葉村)や四国山地の秘境・祖谷(いや)に至る「酷道」さながらだった。 舗装されてはいるが、節約のためかトンネルがなく、よって直線区間が1㍉もない。追い越し禁止区間など誰もが無視。 すなわち、身体は1秒の休みもなく右へ左へ揺さぶられ続ける。 1時間半後の6時50分、半ゲロでAmbangegに着いたが、スマホで何やら調べていた運転手が、思いもよらぬことを言い出した。 「事務所が開くのは、8時みたい」 6時半出発でよかったじゃん...... 🍌 🍌 🍌 🍌 🍌 事務所前でボーっとしていると、3分遅れで開いた。簡単な登山届に記入し、健康診断書とワクチン接種証明書を提出した。 診断書は「登山に必要な体力」をチェックするための規制。石垣島で英語版を入手するのに苦労した。しかし、受け取った職員は何のチェックもしなかった。 役所の形式主義なんて、こんなもんだ。車に戻って、登山口に向かおう。 と思いきや、他のハイカー8人ともども「教室」に入るよう指示された。なんと、プログ山のPRビデオを視聴させられるのだった。 無意味な15分を経て「今度こそ登山口へ」と思いきや、なんと、職員が教壇に立って講義を始めた。「登山の注意」みたいな内容で、ビデオと同じくらい退屈。 8時42分に解放された時、日本と変わらぬ役人(または役人ぽい人々)の思考回路に萎えた。費用対効果の怪しい規制を漫然と維持し、仕事しているつもりになる人々である。 後で分かったが、最短コースなら子供でも楽勝だ。それなのにガイドを義務づけ、ガイドが付くのに授業もする。登山者にとって貴重な活動時間が40分も削られる。 登山口がある集落Babadakのレンジャー・ステーションに着いたのは、9時10分。なぜか、ここでも登山届に記入する。残るはガイドと合流するだけだから我慢、我慢。 と思いきや、30分待たされた。事務所での待機と授業も合わせると、2時間20分のロス。 この国の登山口は、かくも遠い。 🍌 🍌 🍌 🍌 🍌 その地元の遅刻ガイドはRyan(40歳)。イラついていたのでテンション低めで挨拶し、9時40分、ようやく登山を始めた。 まず目に留まったのは、彼の黒長靴だ。理由を聞くと「農作業から履き替えるのが面倒臭い」と笑った。ニンジンやキャベツを生産する傍ら、週3~4日登るという。 その畑とは、有名な段々畑。標高2500mくらいまで山肌一面に広がり、アングルによっては雲上に浮かんでいるように見える。 それを眺めながらRyanと話していたら、登山口までのイライラは霧消した。本来ガイドなどいないほうが気楽だが、陽気なフィリピン人は不思議と邪魔にならない。 標高2500mまで開墾されているということは、そこまで車でワープできるということでもあり、山頂までのトレイルはルソン島最高峰とは思えないほど楽チンだった。 山頂部はガスって視界が悪かったが、草が生い茂り、起伏に富んだ感じは、晴れれば秋吉台みたいかな?と思われた。 帰路は、はっきりした小雨。シューズが完全に浸水すると、逆に開き直れて、休まず歩いた。「速いね、強いね」と随所にお世辞を挟むRyanは、さすがベテランの域。 集落Babadakあたりまで下りると晴れていて、段々畑のキャベツの緑色が輝いていた。 「あと3週で収穫です」とRyan。この黒長靴でシャキシャキ野菜と格闘するのだろう。 🍌 🍌 🍌 🍌 🍌 送迎車で昼寝していた運転手を起こす。 またもや半ゲロでバギオに帰る。 シューズとカッパを乾かし、シャワーを浴びて、ふうと一息。 gotoフィリピンは、どうやら無事に幕を閉じそうだ。 マニラのカオスを経由する必要はあるけれど。(了) 📌お知らせ———— 次回は「gotoガダルカナル島」か「gotoニュージーランド」を予定しています。 前者については、地球放浪の同志に突然誘われたものの「お前、本気か?」という印象もあり、確定していません。 後者は、トレッキングの聖地「ミルフォード・サウンド」狙い。現地の豪雨や鎖国で2回キャンセルを余儀なくされた因縁の地。 ——————————————————
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