活動データ
タイム
08:32
距離
9.3km
のぼり
1178m
くだり
1179m
活動詳細
すべて見る《仙丈荘駐車場の朝》 甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳の登山道にバスが発車する仙丈荘駐車場の早朝。夜明けもまだ遠い漆黒の闇の中、列が出来はじめたのは午前4時過ぎ。列といってもザックやストックを置いて順番を取るのがここの慣わし。零下になるこの時期、外で長い時間並ぶのはちと酷すぎる。 5時を過ぎると荷物だけの列に人が並び始める。 今日の始発は 6:05。その30分前にはチケットの販売が始められる。手荷物代込みの往復チケット2740円を自販で購入。購入の列から乗車の列に移動。さらに30分そこで並ぶ。、、これが寒い。外で待つので底冷えがする。ダウンを上下着ている人もいる。これが正解。 6:00ようやくバスに乗車。登山口のある北沢峠に向けて出発。席は一人分となり荷物を乗せたければ別料金となるため、ザックは膝の上。狭い車内、キツ過ぎる。バスは定員いっぱい、ギュウギュウ詰めの満員だ。 細く険しい林道を手馴れた運転手がマイクでガイドしながら上がっていく。ネパールのバス移動を思い出す。カトマンズからポカラへの道は、対向車ありでもう少し狭く、ガードレールもない年間に何台も転落事故が起きる超デンジャラスロードだった。 南アルプスの険しい山々が朝陽に照らされて美しい。山好きには夢に出てくるような絶景だ。 バスに揺られること45分。北沢峠に到着だ。 そこには 100円の有料トイレがあるだけで、他の施設は全て閉まっている。 《山小屋は休業中》 山小屋などの施設は二つのトイレを除いてすべて冬季休業期間に入っていて食事も休憩も出来ない。ピンバッジさえ売っているところがない。もっとも困るのはトイレ。バス停たテント場のそばのトイレ以外はすべてクローズ。7〜8時間の行程をトイレなしとはかなりツラい、、、特に女性陣はどうしているのだろうか。後で聞いた話では、朝から水は控えて行程中もまったく飲まなかったという、、これはこれでやばい。 《いざ、甲斐駒ヶ岳へ》 少しのんびり登っただろうか、、序盤から休みなしの急騰が始まる。深田久弥が日本百名山の中で「日本アルプスで一番つらい登りは、この甲斐駒ヶ岳の表参道かもしれない。」といっているが表参道ではないものの、山麓の三千米に近い頂上まで、殆ど登りずくめなのは変わらない。手強い。手強すぎる。 《流行病ワクチンの副反応?》 二号目あたりまで来て体が動かない。重い。いつもなら、山頂近くで出る疲労感が序盤から襲ってくる。これは頂上まで無理かなと判断に迫られるほど動かない。 実はこの週の火曜日に流行病の4回目のワクチン接種をしたばかり。翌日には38.8℃まで高熱が出たばかり。3日間、熱が下がらなかったが、やっと落ち着いたので山登りに来たところ。 日常の生活では、いつもの体力に戻ったと思っていたがまったくダメダメだった。兎に角、息があがる。心臓のバクバクが早く、そして長く続く。心臓と肺が弱っている。副反応がまだ続いている?それとも後遺症? 体と相談しながら、撤退を視野に入れつつ、ゆっくり登ることを決意。気になるのは帰りのバスの時間。このペースでは間に合わない。序盤から焦りと絶望感を抱えて超スローで登っていく。 《南アルプスの女王》 少し登ると背後に大きく見えてきたのは南アルプスの女王、仙丈ヶ岳。その美しい容姿に見惚れてしまう。美女を眺めていると元気がでる! 明日は仙丈ヶ岳に登る予定ではあるが、この体調で大丈夫か、、その前に今日の甲斐駒ヶ岳が登れるのか、まずは今日である。 《二子山〜駒津峰》 四号目の二子山辺りから岩が大きくなり、足を上げるのがツラい。すでにヘトヘトだ。 駒津峰を越えると切り立った岩が続く。まるでキレット。私には大キレット。 部分的に残った雪が凍った箇所が現れ滑る。 《甲斐駒ヶ岳の砂場》 いよいよ甲斐駒ヶ岳の山頂付近が目の前に現れる。 深田久弥は「甲斐駒の広大な胸にとりつく」と表現したがまさにそれだ。「一面に真白な砂礫で目映ゆいくらい」砂礫というのか、なるほど。ザレ場ではなく、ほぼ砂山。花崗岩の細かい砂に足がとられ前に進まない。まるで他の惑星を歩いているようだ。 もう心臓も肺も、そして足も限界を超えた。 前に進めない。10歩歩いては止まり、また10歩歩いては止まって心拍と呼吸を整える。 頂上が見えてから、ほとんど進まない。あと30分のところから1時間以上が過ぎている。 エネルギー切れも考えられるのでいろいろ口に運びながら一歩一歩先に進む。 《オコジョの祝福》 晴天の甲斐駒ヶ岳。頂上付近で急にガスが上がってきた。前が見えなくなってきた。ゆっくり過ぎてどれだけ前に進んだかわからなくなったころ、目の前に大きな岩場。あとこの岩をいくつか登れぼ山頂だ。 岩に手をかけた時、目の前の岩の間を肌色の細長い体がシュッと通り過ぎる。オコジョだ。初対面。 先日、オコジョの山のてぬぐいを買ったよ。 やっとやっと甲斐駒ヶ岳の頂上 2,967m登頂。 このヘトヘト疲労困憊の奴の登頂をオコジョが祝福してくれた。 真白な世界は、日本のヘソの山の頂。 《バス時間との戦い》 喜びも束の間。というより、焦りの方が強かったかもしれない。登りにあまりにも時間をかけ過ぎた。 頂上ではザックも下ろさず、写真をサクッと撮って下山。 急いで下ってバスの最終にギリの状態。 もし乗り遅れたら、帰る手段がない。頼りの山小屋もすでに冬季閉鎖期間でどこにも泊まることもできない、、、 砂礫の道を下るが足が埋もれ、なかなか速度が上がらない。駒津峰までなんとか降りたがそこから岩場の下り。この岩がデカくて急な道が長く長く続く。岩に高さがあり、膝への負担が大きい。両足とも膝に痛みが出てきた。 下り切ったところに仙水峠があった。 なんだここは?!また別の惑星に来てしまったようだ。 ゴロゴロと大きな溶岩の岩が延々と続いている。 蓼科山の頂上の風景のようだ。 下山道でこの岩ではスピードは出ない。 また長く続く、溶岩の岩の道。 ああ、時間がない。 予測時間は16:00の最終バスの時間に近づいてきている。焦る気持ちをおさえて、踏み外さないよう溶岩の上を着実に歩を進める。 仙水小屋に近づいたところでやっと溶岩の岩道が終わり、あとはスピードを上げバスに間に合うようラストスパート。テント場の横を抜け、北沢峠のバス停に到着。 やったー!俺はやったぞ! この日は登頂より、バス時間に間に合った下山の喜びが爆発した変な登山となった。 《ありがとう 甲斐駒ヶ岳》 3回目の登場、深田久弥は甲斐駒ヶ岳のことを「もし日本の十名山を選べと言われたとしても、私はこの山を落とさないだろう。」と絶賛だ。 私は副反応の影響もあったこともあり、この難関の山は日本十難山に選出したい。あくまで少ない経験の中ではあるけれど。 疲労困憊。汗まみれのヨレヨレ、ヘロヘロ。 膝はガクガク、全身筋肉痛。 今日は近くの温泉で何時間でも体を癒そう。 明日は南アルプスの女王に会えるかな。
活動の装備
- マムート(MAMMUT)アドオンボトルホルダー
- モンベル(mont-bell)U.L.サーマラップ パーカ Men's
- スカルパ(SCARPA)ZG トレック GTX
- ブラックダイヤモンド(Black Diamond)CAPITAN ヘルメット
- ミレー(MILLET)SAAS FEE 30+5 MIS0640-8440
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