戦慄と絶景の下ノ廊下

ロッジくろよんに泊まり、翌日に下ノ廊下に行きました。1日目は黒部ダムから下ノ廊下・水平歩道に入り、阿曽原温泉小屋で宿泊。2日目は阿曽原温泉小屋から水平歩道を歩き、欅平に至るルートです。 1日目、朝5時にロッジくろよんを出発した時はまだ暗闇。ヘッドライトを点けて暫く歩くと、うっすらと明るくなり、ほのかに黒部ダムが見えてきます。まだ電気バスの通らない黒部ダム駅の中を抜けて、いざ下ノ廊下へ！ 下ノ廊下は至るところに滝があり、エメラルドグリーンの色をした川と、紅葉に彩られた山々。そんな素晴らしい景色を楽しみながら、黒部川沿いの岩の多い道を歩きます。 細かなアップダウンがとても多く、気付くと物凄い高い場所を歩いていたりします。多くの箇所に番線が張ってあり、そこを掴んで、バランスを崩さないように歩けばそんなに心配は要らないかも知れませんが、目線はずっと足元。足の置き場を正しく判断しながら、歩かないといけません。 初日の阿曽原温泉小屋までは、とにかく体力勝負。19kmの道のりを歩かなければなりません。実際にはとても緊張しながら歩くので、19kmという数字以上の疲労がありました。 物凄くテクニカルな箇所はありませんが、緊張する箇所が延々と続きます。 阿曽原温泉小屋は、とても最高でした❗ 食事のカレーは富山産の豚肉が入っていてとても美味しく、2杯と1/4杯を食べてしまいました。徒歩10分程にある温泉も最高です❗ 2日目、欅平までの道は、最初は急登から始まります。水平になってからはずっと番線を掴みながらで、やはり終始緊張しながらの山行です。雨が降ってしまったので、岩で滑りやすく、登山道はぬかるみ、とても大変でした。 怖かった場所と言えば、下ノ廊下の黒部別山谷近くの高巻きのハシゴ、水平歩道の大太鼓。一番怖かったです。 今回の山行で、下ノ廊下が上級者向きのルートということが十分納得できました。特に長距離山行の体力は必須で、歩行もある程度の登山経験が必要です。また、行かれる方はしっかりとした装備、情報収集をされた方が良いです。 また行きたい❗山行の途中でもそう感じる程、素敵で刺激的な山旅でした❗ ■装備について思ったこと（行かれる方のご参考になれば） ①まず黒部ダムスタートの場合、左側に山、右側が断崖になりますので、外付けの装備は必ず右側に取り付ける必要があります。欅平スタートの場合は逆となります。 ②グローブは指を全て包みグリップの効いたものが必要で、なおかつ防水のものが望ましいです。 番線を終始掴みながら歩きます。私は最初ハーフフィンガーのグローブをしていましたが、番線は稀に金属のバリがあり、怪我をしてしまいました。また雨や露で濡れたハシゴが何度も出てきます。ハシゴは手を使うことが多かったのでグリップが必要。ハシゴの後はグローブが濡れることがあり、指先を冷やさないためにも防水性が望ましいです。 私はレイングローブ（finetrackのエバーブレストレイルグローブ）を持っていたので、大変助かりました。今回活躍した装備の一つです。 ③ハーネスは特に必要無いと感じました。私はハーネスから繋がったカラビナを番線に取り付けるのはどうかと、山行前に検討していました。カラビナを番線に取り付ける場合、目線は番線に行きがちで、肝心な足元が疎かになる危険があります。また、特に下ノ廊下部分は、暗くなる前に阿曽原温泉に到着する必要があり、ある程度のスピードも要求されます。カラビナを付けて歩く場合は、何百回も付け直す必要があるので、確実にスピードも落ちます。 ④歩行時のバランスを取るために、ストックを1本使うのはありです。私は崖側にストックを持ち、常に3本足の状態で歩き安心でした。99％の登山者はストックを持っていませんでしたが…。でも、ダブルストックは厳禁です。 ⑤ヘルメットは必須です。滑落した時のためにというのでは無く、頭を岩にぶつけそうな時が多かったです。滑落したらヘルメットをしていてもアウトです。