綿向山の夜明け『ダイヤモンド鎌ヶ岳』

2022.10.15(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
6 時間 59
休憩時間
2 時間 2
距離
12.3 km
のぼり / くだり
1056 / 1057 m
15
9
33
42
43
36
7
22

活動詳細

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 今年の3月、雪山のトラウマ払拭に成功したのが綿向山。その時期のYAMAP日記で何回か登場した『ダイヤモンド鎌』は早朝の綿向山から見ることができる年に数日だけの特別な機会で、鈴鹿山系の鎌ヶ岳から昇る美しい日の出のことを言う。    初夏のうちに日の出と山の位置関係を割り出すと、10月15日〜16日とその前後だと推察された。 秋にコレを体感したい。そこで山行き計画を立てたものの、仕事や天候の都合で果たして行けるかどうかは定かでないままその期間がやってきた。    運があった。何がそうさせたのか、うまい具合に時間ができたのだ。さらに天候も晴れ予報である。 手早く準備して入浴と約2時間の睡眠の後、深夜0時に出発し、1時間と少しで登山口駐車場に一番乗りで到着。空は雲に覆われていて果たしてどうなるのだろう。はやる気持ちで寝付けなかったが、午前3時まで車中で仮眠をとった。 やがて眠りにつき目覚ましスヌーズをやり過ごし、2台目の車がやってきた午前3時過ぎに起床。  3度目の綿向山である。そして先週はヤマイチ(山科区一周トレイル)を行ったばかり。道を知っているからとハイペースで歩き出すと後にトラブルが発生して困ることは身に染みている。まるで手綱で馬をいなしてるかのように自分をなだめながら大きな筋肉に意識を集め、足をあげ前へ。  1合目、2合目の看板は親しみを込めて眺め、左右の冷たくない杉木立に触れながら進んでゆくと、3合目の道端でザックに石を入れているフォロワーさんと出会った。綿向山をこよなく愛する漢、「綿はる」さんだった。初めましてである。そこからは山のお話をしながら綿はるさんのペースであっという間に…まだ暗い山頂へ。かなり速いペースでも歩くことができ、前半を丁寧に歩いておいてよかったと思った。 摂氏13度。じっとしていると汗冷えて少し寒くなる山頂から鈴鹿の山並みはガスでほとんど見えていなかった。鎌ヶ岳、雨乞岳は影すらも。その後、続々と綿はるさんの若い知り合いが登頂して来られて山頂はあっという間に賑やかになった。  先に登頂されていた女性からはピラフおにぎりと茹で卵をいただき、その施しに感謝したい。  6時1分の日の出まですぐに時は経ち、今日はダメなのか?あの雲がなくなればと意気消沈気味だったのだが、  運があった。日の出直前に雲が動き始めたのだ。 まるで綿向山山頂にいる者たちの気持ちが空に届いたかのように。そして僕はダイヤモンド鎌ヶ岳と対峙した。  山岳での日の出なんて富士山以来だ。足の病気で高山に登らなくなりまず出会うことのなかった景色がそこに広がり始め、喜びを共有し合う人々の横で僕は気後れして輪に入ることはなかったが、明らかに興奮していた。スマホ画面から目を離してザックに戻りコンデジを取り出せばよかった。でもその時間すら勿体なかった。ちなみにその後に現れたブロッケン現象は綿向山では相当珍しいのだそうだ。たくさんの写真を気持ちを込めて撮った。この欲張って無我夢中で撮った写真や動画たちは、僕だけの宝物となるのだろう。    今日は山頂にある『青年の塔』基部の空間に地元日野町の子どもたちの想いが入ったタイムカプセルを封入する一大イベントの日でもあった。この塔は50年前にとある方の想いで建立が実現し、その時に封入されたタイムカプセルを先日取り出したのだそうだ。地元民の綿はるさんとの会話やこれまで読ませてもらった日記から少しは情報を得ていたがなんとも壮大な計画だ。そして次の世代の想いが新たに納められ50年の眠りにつくのだ。綿向山の標高1,110mにちなんで11時10分にイベントを行われるとのこと。  綿はるさんとその仲間たちは日の出を見た後、いったん下山して子どもたちの引率と荷物運びを行うとのことでお別れを言い、僕は念願のイハイガ岳に足を踏み出した。  いつかYAMAPコース地図では破線のルートになっている綿向山〜イハイガ岳、大峠、清水頭〜南雨乞岳をつないで歩きたい。その先の雨乞岳、イブネ、クラシまで。今日はその夢と希望に少し近づいた。低草木の心地よい稜線歩きと足元の悪い登り返しの後、イハイガ岳にはあっさり到着できた。これは綿はるさんのアドバイスのおかげだ。ただ残念なことに午後には帰宅する約束をしていたので、雨乞岳方面の山筋を何度も振り返りながら綿向山に引き返し、計画していた水無山はチャレンジせず表参道登山道を下った。  するとカプセルを担いだ若者や子どもたち、大人たちが次々と登ってくるではないか。もちろん再び綿はるさんやその仲間たちともすれ違った。なんと夢と希望のつまった山登りだろう。いつか彼らが50年後にまたこの地に集うのだろう。そしてまた青年の塔の想いが引き継がれてゆくことを願わずにはいられない。  僕の想いはまだみんなが来る前に、こっそりと気持ちだけ残しておきました。  ありがとう、綿向山。 (またしても、綿向山への感情移入が激しくて長文になりましたのでキャプションコメントはつけていませんがご覧ください😆)

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