🕌gotoトルコ 第2週 カシュ2日目 リキアン・ウェイ 山の次は海。 2日、トルコ中央部の都市カイセリから、イスタンブール経由で地中海沿岸部に飛び、リゾート地カシュ(Kaş)に入った。フェティエ(Fethiye)も含めて5泊する。 きっかけは「トルコ、トレッキング」でググって知った「リキアン・ウェイ」。日本人ハイカーによるブログの写真に惹きつけられた。地中海の青、青、青! ルートマップ、アクセス方法など相変わらず情報不足だったが、遭難のリスクは小さいし、現地で聞けば何とかなると踏んだ。 📌リキアン・ウェイ(Lycian Way)——— トルコ南部、地中海に沿った古代都市街道。540km、23コース。 眺めがよく、古代リキア遺跡も点在しているので、トレッキング愛好者には人気が高い。1~2週間かけて歩くツアーもある。 リキアの首都の遺跡クサントスは世界遺産。紀元前1200年ごろ(!)から町が造られ始め、血生臭い戦乱の歴史を持つ。 —————————————————— 大移動となった2日の核心部は、沿岸部のダラマン空港(Dalaman)からカシュまでの150km、2時間超の陸路だった。 「地球の歩き方」には、長距離路線バスを乗り継ぐ方法しか紹介されていない。トータルで何時間かかるのか、そもそも無事に乗り継げるのか、全く読めなかった。 必死にググり、直行する乗合タクシーを見つけたが、トルコ語サイトが分かりづらかったり、「予約通りピックアップしてもらえなかった」という口コミ投稿があったり...... 結局、カシュの旅行会社の車をオンライン予約。先方から「前日にドライバーの番号をお伝えします」という英文メールが送られてきたものの、半信半疑だった。 案の定、乗車前日に連絡が来ない。 「どないなっとんねん?」とメールを送ると、「Dakyung Koさんでよろしかったですか?」という間の抜けた返信があった。韓国人(?)の予約と混同している。 まあ、返信があっただけマシか。 🕌 🕌 🕌 🕌 🕌 ダラマン空港に降り立つと、「ここは石垣島ですのん?」と言いたくなるほどの熱気が、まずは全身にまとわりついた。 湿度こそ控えめな感じだが、この日のトルコ地中海沿岸部の最高気温は30℃を超えた。真夏はどうなるのだろう。 念押しが効いたのか、乗合タクシーには難なく乗れた。肩の荷がストンと下りた。 カシュの手前20kmくらいまで来ると、地中海が視界に飛び込んできて、曲がりくねったオーシャンビュー・ロードになる。 地中海沿岸部は山がちで、しかも石灰岩なので、景色が白っぽい。家々も白い。それらが太陽に映えて、強烈な光を放つ。そして、入り江の白いビーチ...... カシュのメインストリートは「バカンスシーズンか?」と目を疑いたくなるほどの賑やかさだった。ガチのリゾートであり、バカ騒ぎ組も散見され、趣味には合わない。 だから、リゾート客が見向きもしないトレイルを歩けるなんて、幸せすぎる。 🕌 🕌 🕌 🕌 🕌 翌3日、そのリキアン・ウェイをどう歩くか。 ググってルートマップを見つけたが、どのルートがお勧めか、どうアクセスするか、やはりよく分からない。特に非英語圏でローカルバスを使いこなすのは難しいし。 そこで、タクシーを使うことにした。カシュから12km離れた山間の集落Pınarbaşıまでワープし、古代リキア遺跡Phellosを絡めつつ、リキアン・ウェイを歩いて戻る。 港のタクシー乗り場の受付で行き先を告げると、近くのベンチにいた運転手のおっさんに付いていくよう指示された。 その車(写真参照)を見て、おいおいおい。 どう見ても白タク。車検を通っているとも思えない。これで正規料金を取るのか? ただ、ボロいので速度が出ない。暴走したくてもできず、ある意味、安全安心だった。 「まあ、いっか」と乗っていると、おっさんは断りもせずタバコを吸い出した。おいおいおい。まあ、いっか。トルコだし。 🕌 🕌 🕌 🕌 🕌 Pınarbaşıで「タクシー」を降りると、リキアン・ウェイの案内標識をすぐに見つけられて、乾き切ったトレイルを歩き出した。 期待通り、誰もいない。フェロス遺跡も、予め「遺跡」と言われていないと気づかずに通過してしまいそうなほど地味だった。 カシュの町に集結していたリゾート客とは完全に一線を画す我がセレクションに、目眩がするほど興奮した。そう、放浪感・優越感・孤独感の極上ブレンド。 その後のリキアン・ウェイは、延々と荒野だった。アフリカのサバンナのようで、嫌気がさしたところで突然、眺望が開けた。カシュを見下ろす断崖に着いたのだ。 心憎い、劇的なエンディングである。 地中海の青、木々の緑、ビーチの白、屋根のオレンジが、輝きすぎていて眩しい。 これこれ、これを見たかったの。 このスポットは"Sleeping Giant"と命名されているが、カシュからの直登ルートは歩き慣れていないと厳しく、反対側からもレンタカーではアクセスできない。 すなわち、歩きたがらないリゾート客からは隔絶されているのだった。 鋭い読者は、ピンと来ただろう。 石垣島至高の展望スポット「ぶざま岳テラス」と同タイプの穴場なのである。
10月1日は終日、エルジェス山のふもとの百万都市カイセリで、何もせずに静養した。 ランチを物色するため、鉄道駅に続く大通りを歩いていると、観光地ではないため外国人はかなり珍しいようで、強めの注目を浴びた。 そうこうしているうちに、小さな食料品店のお父さんが声をかけてきたので、ふらっと入ってみた。 この都市の食料品店は、今なお零細な個人事業主によって営まれているようで、チェーン店のようなものは見当たらない。 入ったお店も、売り物と言えば飲料のペットボトルくらいだったが、小さなテーブルを2台置いて、軽食も提供していた。 観光地を離れると、片言の英語も通じなくなり、翻訳や電卓のアプリが重宝する。 ここでは写真のメニューがあったので、メネメン(Menemen)を注文した(50㍒=390円)。大盛りのパンも付く。 後で調べると、メネメンはトルコの定番家庭料理。「トルコ風スクランブルエッグ」という説明もあるが、「トルコ風玉子とじ」「トルコ風玉子丼の具」というほうが近い。玉ねぎや醬油の代わりに、トマトやスパイスが入っている。 パンによく合う。ワインが欲しくなる。ご飯にかけても、いけるかもしれない。 なお、中心部に位置するホテル界隈でもビールを見つけられず、つらかった。カイセリでの2泊中は、完全な「アルコール難民」と化した。
10月1日は終日、エルジェス山のふもとの百万都市カイセリで、何もせずに静養した。 ランチを物色するため、鉄道駅に続く大通りを歩いていると、観光地ではないため外国人はかなり珍しいようで、強めの注目を浴びた。 そうこうしているうちに、小さな食料品店のお父さんが声をかけてきたので、ふらっと入ってみた。 この都市の食料品店は、今なお零細な個人事業主によって営まれているようで、チェーン店のようなものは見当たらない。 入ったお店も、売り物と言えば飲料のペットボトルくらいだったが、小さなテーブルを2台置いて、軽食も提供していた。 観光地を離れると、片言の英語も通じなくなり、翻訳や電卓のアプリが重宝する。 ここでは写真のメニューがあったので、メネメン(Menemen)を注文した(50㍒=390円)。大盛りのパンも付く。 後で調べると、メネメンはトルコの定番家庭料理。「トルコ風スクランブルエッグ」という説明もあるが、「トルコ風玉子とじ」「トルコ風玉子丼の具」というほうが近い。玉ねぎや醬油の代わりに、トマトやスパイスが入っている。 パンによく合う。ワインが欲しくなる。ご飯にかけても、いけるかもしれない。 なお、中心部に位置するホテル界隈でもビールを見つけられず、つらかった。カイセリでの2泊中は、完全な「アルコール難民」と化した。
調理担当は、右の旦那さん。奥さんは補佐。 メネメンを出し終わると、2人して軒先に座り、大通りで発生したばかりの些細な物損事故を見物しながら、何やら論評していた。
調理担当は、右の旦那さん。奥さんは補佐。 メネメンを出し終わると、2人して軒先に座り、大通りで発生したばかりの些細な物損事故を見物しながら、何やら論評していた。
ホテルの向かいにも小さな雑貨店があり、驚くほど優しい眼差しを持った店主がいた。朝食や飲み物を買うため、計3回入った。 そのうちの1回では、店主はレジの床に座り、メッカの方向(キブラ)にお祈りしていた。お客が入ってきても反応せず、ただお祈りしていた(それほど待たされない)。
ホテルの向かいにも小さな雑貨店があり、驚くほど優しい眼差しを持った店主がいた。朝食や飲み物を買うため、計3回入った。 そのうちの1回では、店主はレジの床に座り、メッカの方向(キブラ)にお祈りしていた。お客が入ってきても反応せず、ただお祈りしていた(それほど待たされない)。
ここから10月2日。 地中海沿岸部のダラマン空港では、10月だというのに、リゾート客を満載したフライトがガンガン離着陸していた。 ターミナルを出ると、乗合タクシーの運転手のお父さんが事前の説明通り待っていた。これで、ひと安心。
ここから10月2日。 地中海沿岸部のダラマン空港では、10月だというのに、リゾート客を満載したフライトがガンガン離着陸していた。 ターミナルを出ると、乗合タクシーの運転手のお父さんが事前の説明通り待っていた。これで、ひと安心。
乗合タクシー300㍒(2300円)。 暑い。石垣島みたいに暑い。
乗合タクシー300㍒(2300円)。 暑い。石垣島みたいに暑い。
ダラマン空港からカシュに向かうハイウェイで、ヒッチハイクを試みる兄貴2人組を見つけた。表情からして、この暑さの中、かなり苦戦しているようだった。 写真を拡大すると、ザックと一緒にトレッキングポールや寝袋らしきものが見える。十中八九、リキアン・ウェイのハイカー(貧乏系)だろう。
ダラマン空港からカシュに向かうハイウェイで、ヒッチハイクを試みる兄貴2人組を見つけた。表情からして、この暑さの中、かなり苦戦しているようだった。 写真を拡大すると、ザックと一緒にトレッキングポールや寝袋らしきものが見える。十中八九、リキアン・ウェイのハイカー(貧乏系)だろう。
地中海に出たっ
地中海に出たっ
カシュのメインストリート、ホテルの近くで降ろしてもらった。ホテル、レストラン、雑貨店などがすらりと並び、人通りも絶えない。 海岸近くまで山々が迫っていて、平野部は狭い。
カシュのメインストリート、ホテルの近くで降ろしてもらった。ホテル、レストラン、雑貨店などがすらりと並び、人通りも絶えない。 海岸近くまで山々が迫っていて、平野部は狭い。
メインストリートから一本奥の路地にホテルはあった。
メインストリートから一本奥の路地にホテルはあった。
庭先に座っていたお父さんがオーナーだった。建物に案内されることなく、ここでチェックインの手続きが始まってしまった。
庭先に座っていたお父さんがオーナーだった。建物に案内されることなく、ここでチェックインの手続きが始まってしまった。
朝食、バス・トイレ付きのシンプル過ぎるシングルルームが1泊4500円。都市のビジホやカッパドキアの安宿と比べると、1000~2000円高い感じ。
朝食、バス・トイレ付きのシンプル過ぎるシングルルームが1泊4500円。都市のビジホやカッパドキアの安宿と比べると、1000~2000円高い感じ。
メインストリートのレストランで、鯛の塩焼き(800円)とビール(500ml、500円)を注文した(パンとサラダは無料で付いてくる)。 都市の大衆食堂と比べ、料理は2倍くらい値上がりする。非ムスリムしか飲まないビールは、さらに割高。 地中海に来たのだから、とにかくシーフードと思ったのだが、メニューはこの一品しかなく、あとは肉料理。同じ地中海沿岸諸国でも、トルコは肉メインなのかな? ちなみに、酒にありついたのは4日ぶり。あまりの感動で泣けてきた。
メインストリートのレストランで、鯛の塩焼き(800円)とビール(500ml、500円)を注文した(パンとサラダは無料で付いてくる)。 都市の大衆食堂と比べ、料理は2倍くらい値上がりする。非ムスリムしか飲まないビールは、さらに割高。 地中海に来たのだから、とにかくシーフードと思ったのだが、メニューはこの一品しかなく、あとは肉料理。同じ地中海沿岸諸国でも、トルコは肉メインなのかな? ちなみに、酒にありついたのは4日ぶり。あまりの感動で泣けてきた。
ここから10月3日。朝食は屋上テラスで。
ここから10月3日。朝食は屋上テラスで。
充実のメニュー
充実のメニュー
カシュの港から、自称「タクシー」で山間の集落Pınarbaşıに向かったのだが......
カシュの港から、自称「タクシー」で山間の集落Pınarbaşıに向かったのだが......
これ、本当に「タクシー」か?
これ、本当に「タクシー」か?
「タクシー」を降りたところ。 Pınarbaşıは小さな集落で、リキアン・ウェイの案内標識がすぐに見つかった。ここからトレイルに入る。 右の犬連れ美女が突然、流ちょうな英語で「犬はお好き?」と聞いてきた。ついに海外で逆ナンか?と色めき立った。 「個人主義・自由主義者なので、ネコ派です」と答えるわけにもいかず、「はい」と嘘をついた。 すると、美女は「この娘があなたに近づきたがっているの」と、さらに接近。犬(雌らしい)がクンクンしてきた。 美女は満足すると、笑顔を残して去っていった。
「タクシー」を降りたところ。 Pınarbaşıは小さな集落で、リキアン・ウェイの案内標識がすぐに見つかった。ここからトレイルに入る。 右の犬連れ美女が突然、流ちょうな英語で「犬はお好き?」と聞いてきた。ついに海外で逆ナンか?と色めき立った。 「個人主義・自由主義者なので、ネコ派です」と答えるわけにもいかず、「はい」と嘘をついた。 すると、美女は「この娘があなたに近づきたがっているの」と、さらに接近。犬(雌らしい)がクンクンしてきた。 美女は満足すると、笑顔を残して去っていった。
フェロス遺跡をめざし、乾き切ったトレイルを登っていく。 ここらの低木は枝や葉が硬く、鋭いトゲを持っていることが多い。 短パンで行くと、傷だらけになる恐れ。
フェロス遺跡をめざし、乾き切ったトレイルを登っていく。 ここらの低木は枝や葉が硬く、鋭いトゲを持っていることが多い。 短パンで行くと、傷だらけになる恐れ。
トレイルからの眺め
トレイルからの眺め
尾根にあるフェロス遺跡。紀元前7世紀に遡ると看板に書いてあった。 岩がゴロゴロ転がっているだけで、見栄えは決してよくない。遺跡らしい写真が撮れるのは、ここくらい。 もちろん誰もおらず、マイナー感が半端ない。世間一般からのズレ方に大満足した。 なお、GPSアプリがなければ、遭難する恐れ。
尾根にあるフェロス遺跡。紀元前7世紀に遡ると看板に書いてあった。 岩がゴロゴロ転がっているだけで、見栄えは決してよくない。遺跡らしい写真が撮れるのは、ここくらい。 もちろん誰もおらず、マイナー感が半端ない。世間一般からのズレ方に大満足した。 なお、GPSアプリがなければ、遭難する恐れ。
Pınarbaşıに戻ってきた。どんなに小さな集落にもモスクはある。
Pınarbaşıに戻ってきた。どんなに小さな集落にもモスクはある。
隣の集落Çukurbağの道端にいたニャン子に挨拶したら、長パンを上がってきた。
隣の集落Çukurbağの道端にいたニャン子に挨拶したら、長パンを上がってきた。
なにか?
なにか?
ここらでは花々もトゲトゲ。
ここらでは花々もトゲトゲ。
集落を抜けると、ひらすら荒野。暑くて萎えた。夏に歩くのは不可能だろう。
集落を抜けると、ひらすら荒野。暑くて萎えた。夏に歩くのは不可能だろう。
サバンナみたい。
サバンナみたい。
そのサバンナ地帯を抜けると、突如として断崖"Sleeping Giant"に出る。 反対側のカシュの町から登ってきたアイルランド人夫婦がいた。この日トレイルで初めて出会った「人間」。
そのサバンナ地帯を抜けると、突如として断崖"Sleeping Giant"に出る。 反対側のカシュの町から登ってきたアイルランド人夫婦がいた。この日トレイルで初めて出会った「人間」。
カシュの町。屋根がオレンジ色で統一されている。
カシュの町。屋根がオレンジ色で統一されている。
カシュの港アップ。
カシュの港アップ。
高度感がある断崖で、足がすくむ。 カシュの町まで、つづら折りのトレイルがある。町側から登ってくると、かなりの急登で、歩き慣れていないと無理と思われる。
高度感がある断崖で、足がすくむ。 カシュの町まで、つづら折りのトレイルがある。町側から登ってくると、かなりの急登で、歩き慣れていないと無理と思われる。
カシュの町に下りてきた。港に続く坂を行く。 右のバイクの男性はノーヘル。トルコでは、ノーヘルのほうが多い印象だ。法律がどうなっているのかは不明。
カシュの町に下りてきた。港に続く坂を行く。 右のバイクの男性はノーヘル。トルコでは、ノーヘルのほうが多い印象だ。法律がどうなっているのかは不明。
港から、下りてきた断崖を振り返る。
港から、下りてきた断崖を振り返る。
ホットサンドとビールを買い、港のベンチで至福のランチ。 リゾートなので、物価は跳ね上がるが、その代わり酒の入手は劇的に簡単になる。 スーパーなら、ビール500ml缶20㍒(150円)くらいで買える。前夜のレストランの3分の1。
ホットサンドとビールを買い、港のベンチで至福のランチ。 リゾートなので、物価は跳ね上がるが、その代わり酒の入手は劇的に簡単になる。 スーパーなら、ビール500ml缶20㍒(150円)くらいで買える。前夜のレストランの3分の1。
10月1日は終日、エルジェス山のふもとの百万都市カイセリで、何もせずに静養した。 ランチを物色するため、鉄道駅に続く大通りを歩いていると、観光地ではないため外国人はかなり珍しいようで、強めの注目を浴びた。 そうこうしているうちに、小さな食料品店のお父さんが声をかけてきたので、ふらっと入ってみた。 この都市の食料品店は、今なお零細な個人事業主によって営まれているようで、チェーン店のようなものは見当たらない。 入ったお店も、売り物と言えば飲料のペットボトルくらいだったが、小さなテーブルを2台置いて、軽食も提供していた。 観光地を離れると、片言の英語も通じなくなり、翻訳や電卓のアプリが重宝する。 ここでは写真のメニューがあったので、メネメン(Menemen)を注文した(50㍒=390円)。大盛りのパンも付く。 後で調べると、メネメンはトルコの定番家庭料理。「トルコ風スクランブルエッグ」という説明もあるが、「トルコ風玉子とじ」「トルコ風玉子丼の具」というほうが近い。玉ねぎや醬油の代わりに、トマトやスパイスが入っている。 パンによく合う。ワインが欲しくなる。ご飯にかけても、いけるかもしれない。 なお、中心部に位置するホテル界隈でもビールを見つけられず、つらかった。カイセリでの2泊中は、完全な「アルコール難民」と化した。
調理担当は、右の旦那さん。奥さんは補佐。 メネメンを出し終わると、2人して軒先に座り、大通りで発生したばかりの些細な物損事故を見物しながら、何やら論評していた。
ホテルの向かいにも小さな雑貨店があり、驚くほど優しい眼差しを持った店主がいた。朝食や飲み物を買うため、計3回入った。 そのうちの1回では、店主はレジの床に座り、メッカの方向(キブラ)にお祈りしていた。お客が入ってきても反応せず、ただお祈りしていた(それほど待たされない)。
ここから10月2日。 地中海沿岸部のダラマン空港では、10月だというのに、リゾート客を満載したフライトがガンガン離着陸していた。 ターミナルを出ると、乗合タクシーの運転手のお父さんが事前の説明通り待っていた。これで、ひと安心。
乗合タクシー300㍒(2300円)。 暑い。石垣島みたいに暑い。
ダラマン空港からカシュに向かうハイウェイで、ヒッチハイクを試みる兄貴2人組を見つけた。表情からして、この暑さの中、かなり苦戦しているようだった。 写真を拡大すると、ザックと一緒にトレッキングポールや寝袋らしきものが見える。十中八九、リキアン・ウェイのハイカー(貧乏系)だろう。
地中海に出たっ
カシュのメインストリート、ホテルの近くで降ろしてもらった。ホテル、レストラン、雑貨店などがすらりと並び、人通りも絶えない。 海岸近くまで山々が迫っていて、平野部は狭い。
メインストリートから一本奥の路地にホテルはあった。
庭先に座っていたお父さんがオーナーだった。建物に案内されることなく、ここでチェックインの手続きが始まってしまった。
朝食、バス・トイレ付きのシンプル過ぎるシングルルームが1泊4500円。都市のビジホやカッパドキアの安宿と比べると、1000~2000円高い感じ。
メインストリートのレストランで、鯛の塩焼き(800円)とビール(500ml、500円)を注文した(パンとサラダは無料で付いてくる)。 都市の大衆食堂と比べ、料理は2倍くらい値上がりする。非ムスリムしか飲まないビールは、さらに割高。 地中海に来たのだから、とにかくシーフードと思ったのだが、メニューはこの一品しかなく、あとは肉料理。同じ地中海沿岸諸国でも、トルコは肉メインなのかな? ちなみに、酒にありついたのは4日ぶり。あまりの感動で泣けてきた。
ここから10月3日。朝食は屋上テラスで。
充実のメニュー
カシュの港から、自称「タクシー」で山間の集落Pınarbaşıに向かったのだが......
これ、本当に「タクシー」か?
「タクシー」を降りたところ。 Pınarbaşıは小さな集落で、リキアン・ウェイの案内標識がすぐに見つかった。ここからトレイルに入る。 右の犬連れ美女が突然、流ちょうな英語で「犬はお好き?」と聞いてきた。ついに海外で逆ナンか?と色めき立った。 「個人主義・自由主義者なので、ネコ派です」と答えるわけにもいかず、「はい」と嘘をついた。 すると、美女は「この娘があなたに近づきたがっているの」と、さらに接近。犬(雌らしい)がクンクンしてきた。 美女は満足すると、笑顔を残して去っていった。
フェロス遺跡をめざし、乾き切ったトレイルを登っていく。 ここらの低木は枝や葉が硬く、鋭いトゲを持っていることが多い。 短パンで行くと、傷だらけになる恐れ。
トレイルからの眺め
尾根にあるフェロス遺跡。紀元前7世紀に遡ると看板に書いてあった。 岩がゴロゴロ転がっているだけで、見栄えは決してよくない。遺跡らしい写真が撮れるのは、ここくらい。 もちろん誰もおらず、マイナー感が半端ない。世間一般からのズレ方に大満足した。 なお、GPSアプリがなければ、遭難する恐れ。
Pınarbaşıに戻ってきた。どんなに小さな集落にもモスクはある。
隣の集落Çukurbağの道端にいたニャン子に挨拶したら、長パンを上がってきた。
なにか?
ここらでは花々もトゲトゲ。
集落を抜けると、ひらすら荒野。暑くて萎えた。夏に歩くのは不可能だろう。
サバンナみたい。
そのサバンナ地帯を抜けると、突如として断崖"Sleeping Giant"に出る。 反対側のカシュの町から登ってきたアイルランド人夫婦がいた。この日トレイルで初めて出会った「人間」。
カシュの町。屋根がオレンジ色で統一されている。
カシュの港アップ。
高度感がある断崖で、足がすくむ。 カシュの町まで、つづら折りのトレイルがある。町側から登ってくると、かなりの急登で、歩き慣れていないと無理と思われる。
カシュの町に下りてきた。港に続く坂を行く。 右のバイクの男性はノーヘル。トルコでは、ノーヘルのほうが多い印象だ。法律がどうなっているのかは不明。
港から、下りてきた断崖を振り返る。
ホットサンドとビールを買い、港のベンチで至福のランチ。 リゾートなので、物価は跳ね上がるが、その代わり酒の入手は劇的に簡単になる。 スーパーなら、ビール500ml缶20㍒(150円)くらいで買える。前夜のレストランの3分の1。