活動データ
タイム
08:03
距離
6.0km
のぼり
835m
くだり
847m
活動詳細
すべて見る朝の木漏れ日に目を細めながら穏やかな雰囲気の富士見平小屋に到着した。テントは10張程度、静かな森の我が家はほとんどが留守であった。小屋手前にあったベンチから仰ぎ見た瑞牆山は青空の下にあったが台風が接近中である。急がねば、そう思いながらも、せっかくの最後の夏休み、息子の学校を休ませてまで訪れた奥秩父で、あくせく歩いても仕方が無かろう。 苔の森、小さな渡渉、急な岩ゴロの登り、鎖に梯子。息子の短いコンパスではとてもとても大変な山だった。際限なく立ち塞がる大きな岩、息子が両手にぐいと力を込めて自身の体を持ち上げると、おでこと大岩が衝突した。息子の泣き叫ぶ声が数秒で消えたのは登山客が通りかかったがためだった。他人の目を意識して痛みと声を必死で堪えるその仕草が胸に刺さった。白けた静かな山頂で沢山の蜻蛉に迎えられた。大休止中、家にいるかのような息子のマシンガントークが際立っていた。 上り時から想像されたが、やはり下りは何度も息子を抱下ろすことになった。なんとか無事に富士見平小屋に下ると山バッジを求めた。息子が初めて登った百名山であった。息子の頬は涙の流れた跡で少し汚れていた。 先立ったテントの住人が目にした景色をいつか我々親子も見たいものである。翌日の腕の筋肉痛と共に瑞牆山の思い出が蘇る。
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