笠ヶ岳避難小屋に一泊し、そこからの光景にじっくり向き合ってみる。 いつも白毛門までで日帰りで引き返していたので、どんな展開になるのか‥。 避難小屋に泊まるのも、シュラフや水、食料、撮影道具も含めて担ぐのも初めて。 肩と腰に食い込む重さに足腰が悲鳴を上げて、往路復路とも苦しい行程となった。 水場のない環境では、二日間で水5リットルもギリギリの量であった。 でも、自分の身体能力の限界を身に沁みて体感出来た事はとても良い経験になったと思う。 谷川岳の様々な姿を目の当たりに出来た事も。
濃い霧の中。出発1時間で、肩に食い込む荷物のしんどさに足が止まってしまう。 止めてしまう理由はいくらでもあったが、何とか気を取り直した。 行けるところまで行ってみよう。
だましだまし松ノ木沢ノ頭付近まで来た時、薄日が差してきた。 雲を抜けた…?
と、見る間にガスが剥がれていって谷川岳がぬっと姿を現した。 呆然として体が動かない。
画面右から激しく移動するガスの塊に見え隠れする谷川岳。
次第にその姿が鮮明になってきた。
西黒尾根を乗り越える様に雲の一団が流れていく。向かって左側群馬県方面は見渡す限りの雲海が広がっている。
白毛門山頂。大変な時間を要してしまったが、何とか辿り着いた。 私以上に大きな荷物を背負った方がスイスイと行ってしまう。
十歩進んで一休みを繰り返して到達した笠ヶ岳。朝日岳に通じる大変魅力的な登山道が伸びているが、今の私の力では簡単に行ってみたいとは言えないな。 右端に今夜泊まる避難小屋が見えている。
山頂から馬蹄形のルートを一望。私には夢のような一回りに思える。
避難小屋で荷を解き、泊まる用意を整えた後再び山頂へ。 日没までの光景とじっくり向き合おう。狙い通りの視界が確保され、本当に幸運だ。
次第に陽が傾いてくる。 谷川岳と雲塊に遮られた影と、その間隙から差し込む夕日が雲海に模様を描く。
谷川岳上空にに盛り上がる雲塊は頑として動かない。新潟県側と群馬県側の気団がぶつかり、せめぎ合っている様に見える。
それでも刻々と形を変えてくるその姿から目が離せない。
積雲にも似た雲が発達しているのは急激な上昇気流が発生しているせい?
のたうつ龍の如く。
朝日岳稜線に目を転じると密度の高い雲海がみっちりと広がっていた。 当然のことながら、下からは何にも見ないんだろうな。
陽が傾いてくるにつれ、赤みを帯び。 谷川岳稜線奥に連綿と連なる光景も色彩豊かに見えてくる。
朝日や夕日が紅くなるのは、透過する大気の距離が長くなるから。 と、いう理科の授業がなるほどなと思える。
本当はこれをカバー写真にしたかったのだけれど。 アングルが合わず、断念しました。
広角で捉えるとこんな感じに見えている。 煙を吐きながら水平線に夕日の沈む大海原を進む蒸気船のよう。
夜の帳が降りてきて。
今日の見納めの一枚です。
星景写真は難しい! 何とか写った一枚。白み始めた東南の上空にオリオン座が光っている。
谷川岳上空に浮かぶ月を何とか収めた。もっと腕があれば色々な光景を残せたのに、残念残念。
右奥に白毛門の頭が覗いている。 雲海の彼方と空の境界が、次第に柔らかな光に満ちていく。
陽の光に温められた空気の動きだろうか。朝日岳の斜面に沿ってガスがゆっくり立ち上がっていく。
光源のないマジックアワーの終幕。
新たな一日がスタートだ。朝日岳のシルエットが画面を引き締める。
この光線が谷川岳に届くと…
雲海と共に、薄っすらと紅に染まる。 トマノ耳が明瞭に。 もっと大きな望遠レンズをもってくれば良かった。
昨日上空に乗っかっていた巨大な雲の塊は霧消し、スッキリとした表情の朝の光景となった。
赤城山もぽっかりと浮かんで見える。
スマホで撮れた写真。思いの他よく撮れているので残しておきます。
朝日岳の影が。頂きのトンガリがしっかり写ってます。
それにしても絶妙な高さの雲海だな。
さあ、下山。 笠ヶ岳よ、素晴らしい光景をありがとう。
ヘロヘロになりようやくたどり着いたゴール。 皆さん本当に凄いです。