八方ヶ岳

2022.09.03(土) 日帰り

活動データ

タイム

05:11

距離

6.8km

のぼり

763m

くだり

765m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
5 時間 11
休憩時間
47
距離
6.8 km
のぼり / くだり
763 / 765 m
11
2 24
1 44

活動詳細

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 先週末、深夜の中央高速を走り抜けたレンタカーは「道の駅こすげ」で停まった。翌朝笠取山に登るつもりなので登山口に近くトイレもあるこの場所で仮眠しようと考えたのだ。最近掛布団代わりに愛用しているエマージェンシーシートをバッグから取り出し、シートを倒そうと後部座席の方を向いたときハッとした。玄関に置いたシューズバッグの映像が頭に浮かんだのだ。……靴を忘れた気がする。その時の気分を例えるなら、山頂にたどり着きカップラーメンにお湯を注いで3分経ってこれからって時に箸を忘れたことに気づいたときの衝撃のような、そんな気持ちだろうか。いや、実際はそれほどひどくは無かった。霧のように忍び寄る眠気がすべてを忘れさせてくれたからだ。  今週は行かねばなるまい、そう固く誓っていた。しかし、九州地方はここのところずっと雨続き。今週も近づいてきた台風の影響なのかぐずつく予報だった。俺はいつものように降雨の穴を探して気象シミュレーションのサイトを見続けた。その結果分かったのは熊本県だけ曇りながらも雨は降らなさそうだということだった。だが、宮崎県境の山頂はどこも雨が降るだろう。県境から離れた山で比較的登りごたえがありそうな山を選び出すほかない。そして選び出されたのは八方ヶ岳だった。  ヤホーヶ岳、ナイツの塙を思い出してしまうというのはわりと重要なのだが、本題は登山道に入ってすぐに道を間違えたことから始まる。YAMAPの地図ルートにない「北尾根ルート」に入ってしまっていた。すぐに間違いに気づいたが、戻らずそのまま進んだ。ここは結構急登で戻るのが嫌だったことと、登山道がマイナーな割に分かりやすく整備されていて最近も人が通った跡が分かったからだった。少々遠回りになったが難なく通過でき、本来行くはずだった「沢ルート」に合流した。そして岩が多くなる終盤、もうひと登りと進んだ頃に雨が降ってきた。土砂降りとまではいかないけれど強い雨である。ザックの上からハードシェルを羽織り、カメラをかばいながら進む。雨は気まぐれに強くなったり弱くなったりを繰り返す。しかし、乳白色の視界は意外にも俺の心を落ち着かせた。  ほとんど景色を見ることなく山頂に到達、その時雨が一時休止していた。そして全く期待していなかったが、予想外にもそこには四方八方眺望が広がっていた。だからヤホーか、やっぱ来て良かった、そう思った。この景色を広角で撮るためレンズを交換する。しかし、交換し終わると景色は雲に包まれていた。仕方ないので祠にご挨拶しパンをかじっているとまた雨が降り始めたのだった。  下山に使う予定だった「神の山ルート」は次回のお楽しみとし、下りは本来登るはずだった「沢ルート」を使う。天候不順だけれど、本ルートだけに何度も人とすれ違った。雨が降ってきましたね、というと皆口々に雨続きの天候を呪う言葉が出てくる。そして皆苦笑いから本当の笑顔に変わる。初めて会った人とは天気の話から始まるというが、山ではとても自然なことのように思えた。

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