チェックポイント

DAY 1
合計時間
3 時間 45
休憩時間
47
距離
11.0 km
のぼり / くだり
215 / 98 m
DAY 2
合計時間
9 時間 41
休憩時間
3 時間 49
距離
7.7 km
のぼり / くだり
1692 / 228 m
DAY 3
合計時間
8 時間 40
休憩時間
1 時間 26
距離
17.5 km
のぼり / くだり
221 / 1800 m

活動詳細

すべて見る

<岩稜の山に挑戦したい> ツアー登山では不安でというお客様からの依頼での北穂高岳ガイド。天気が、、天気が、、と毎日のように呟いている今年の夏山だが、少ないチャンスを大切にしながら安全な行動を心がけてる。今回も、三日間で晴れ予報はわずか一日。入山日は横尾山荘まで。山荘にチェックインした途端にザーザーぶりの雨になった。翌日は朝から快晴で気分良くスタート。涸沢に着いたあたりで雲が多くなり稜線はガスの中。岩稜の山に登るのは今年が最後。まだ元気なうちに奥穂高と北穂高には登りたいというお客様。ロープを繋いでいざ南稜へ。 <事故が多い穂高> 南稜では涸沢からピストンしたと思われる登山者がたくさん降りてくる。だいぶ登ったところでブルーのヘリが飛来。長野県警の「やまびこ2号」だ。私たちから標高差で50mほど上のところに近づきホバリングを始めた。大きな音がするし爆風もあるのでしばらく行動をやめて待機することにした。降りてきた登山者に訊ねると、男性が捻挫で行動不能で救助要請らしい。そういえば、南稜取り付きの手前で数名の屈強な山岳救助隊員に道を譲った。訓練かと思ったが、救助だったのだ。 ヘリは3回ほど接近してはホバリングしていたが、しばらくすると飛び去っていった。ホイスト(吊り上げ)で要救者を収容したのかと思い、こちらも行動を開始した。 ところがしばらくジグザグで足場が悪い急登を登っていくと、先ほどの山岳救助隊員が降ってきた。ちょうど短いが一方が切れ落ちたトラバース箇所だった。「うわ〜どうするか!!」と隊員が大きな声を上げ、「すみません道を譲ってもらいますので、、、」言いながらどういう体勢ですれ違うか辺りを見回し始めた。 山側の少し幅に余裕があるところに身を寄せようとしたら、「それでは無理なのでこちらまできてください」と指示が飛ぶ。少し移動して二人分のスペースを確保、岩を見つけてテレインでお客様をロープ確保、お客様のザックのハーネスを握って万が一に備える。 上からまず隊員が一人降りてくる。その後ろに要救者を背負った隊員。さらにその隊員と要救者を上からロープ確保しながら降りてくる隊員、最後におそらく背負い搬送の交代要員の隊員。 結局ヘリでの収容が難しく、背負い搬送となったようだ。怪我をした男性は神妙な顔をして屈強な隊員の背中にいた。命に別状はなさそうだった。 <雨の北穂高に集う人々> 北穂高小屋に到着した途端にまたしても雨。昨日に続き運がいいのか、悪いのか、、とにかく濡れずに済んだことを喜んだ。北穂の小屋は小さな小屋なので、お客様同士の距離も近い。自然と話しかけ話しかけられる。ソロの若い女性は西穂から稜線を歩いてきたという。この日は朝から北穂を降り大キレットを超えて天狗池までいってまた大キレットを戻ってきたんだそうだ。凄い行動力。 大キレットを越えてきたソロの若い男性は、山で出会ったいろいろん人の写真を撮ってYAMAPに載せているのだそう。 知り合いのガイドにも会った。お客様2名と大キレットを越えて来たそうだ。お客様ともども達成感にあふれた顔をされていた。 ソロの女性は小屋に着くなり、ちょうどテラスでぶらぶらしていた私を捕まえて「写真を撮ってもらえますか」とスマホを差し出した。二、三枚撮ってスマホを返すと、「すいませんもう一回お願いします、こうだと細く写りますか?」ときめのポーズを撮って小屋の看板と一緒に写真に収まった。なかなか活発でマイペースな女性だった。明日の天気は?明日はどこへ?と小屋に泊まっている登山者全員に声をかけていた。 外は小雨で何雨も見えない。70代とおぼしき男性が二人、のんびりとお酒を飲んでいた。四方山話とはまさしくこのことだなあ。 あるテーブルでは明日の行く先をどうするか、検討会が始まる。天気予報では早朝に雨、午前中は一旦上がりそうで、昼前に雨、、あるようでないような予報だ。大キレットに入るか、涸沢に引き返すか、はたまた涸沢岳へ稜線を歩くか、、、。 雨で眺望は無いが、みな楽しそうだ。 <雨の下山> 結局前日の夕方少しだけ雲が切れた時間があったが、ガスったり雨が降ったりで翌朝になった。朝食時はザーザー降り。大キレット組も行くか行かぬか決めかねていた。 雨の北穂南稜はいつにも増して要注意だ。小降りになるのを待って行動開始雨具を着てハーネスを装着。山頂からロープを出して下った。出発したら幸い雨は止んだ。順調に下っていく。 標高2900mあたりだっただろうか、少し先でキャッと言う声がして人が宙を舞うのが見えた。ヤバい、滑落だ。声のした方に下っていくと小屋で一緒だった若いカップルが悄然と座っている。どうやら女性の方が滑落したようだ。怪我はないかと声をかけると大丈夫だと返ってきた。男子がしきりに女子の頭を撫でていた。 様子を聞くと、ジグザグの下りのコーナーで濡れた木の根に乗って足を滑らしてそのままハイマツの中にダイブしたらしい。ダイブしたポイントが右に1mずれていたらがれ場に落ちていただろう。ほんの僅かな差で命拾い。彼らは軽装でヘルメットは装着していなかった。 ゆっくり3時間かけて無事涸沢ヒュッテに到着。装備を解除し一息ついて横尾山荘へ下った。 <再会を約束して> お客様は徳沢園で一泊されると言うので、ひとりで上高地へ向かった。次回奥穂山行での再会を約束して別れた。いつもの密かなトライアルは、横尾山荘上高地バスターミナルを何分で歩けるか。今回は135分だった。

もしも不適切なコンテンツをお見かけした場合はお知らせください。