アイガー(の尾根)に立つ

2022.07.24(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
6 時間 13
休憩時間
1 時間 14
距離
11.7 km
上り / 下り
1268 / 826 m
6 13

活動詳細

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 🧀gotoスイス 第2週 グリンデルヴァルト5日目 アイガー・トレイル  アイガー(Eiger、標高3967m)である。  スイスのグリンデルヴァルトに来たら「アイガー北壁」なのである。  常人には登れない。  真下を通る「アイガー・トレイル」から口を開けて見上げ、「これマジすか」と溜め息をつく。それが基本らしい。   📌アイガー北壁———  ドイツ語で北壁を意味する"Nordwand"をもじって"Mordwand"(死の壁)と呼ばれる。国際基準では「超難関2」とされる。  初登頂は1938年、日本人初登頂は1969年。  登攀は通常、雪氷が固まって安定する冬に行われる。冬以外は落石で危ない。  ふもとのグリンデルヴァルトから、登攀の様子を双眼鏡で観察できるという。   📌アイガー・トレイル———  ヴェンゲルンアルプ鉄道Alpiglen駅(標高1615m)から、ユングフラウ鉄道(またはロープウェーのアイガー・エクスプレス)のアイガー氷河駅(標高2319m)までの6km。  「マウンテン・ハイキング・トレイル」に分類され、難易度は「中」。日頃から歩き慣れていれば、何の問題もないレベル。  —————————————————————  このアイガー・トレイルを歩くだけなら、  1⃣楽ちん:鉄道かロープウェーで氷河駅にワープし、歩いて下りる  2⃣標準:氷河駅まで自力で登り、鉄道かロープウェーで戻る  3⃣頑張る:往復とも自力  の3択になる。  ところが、スイスの登山地図アプリで、  4⃣挑戦:アイガー・トレイルから尾根のピークRotstock(標高2663m)に寄り道登攀  というオプションが見つかった。  分類は、トレイルではなく"Via ferrata"。金属製のハシゴやワイヤーが設けられた登攀ルートのことだ。この分類における難易度は、6段階で下から2番目のK2(easy)。  YouTubeを見ると「どこがどうeasyですのん?」という印象だったが、見てみたい。行けるところまで行ってみることにした。    きょうは、ヘルメット&グラブ持参。でも、シューズは初級トレッキング用。  22日に死亡したかに見えた一眼レフカメラを23日にいじったところ蘇生したため、半信半疑ながら連れていくことにした。    🧀  🧀  🧀  🧀  🧀  アイガー・トレイルは、これまた「至高の道」なのだった。  〇北壁直下の緩やかな上り  〇一面に咲き誇る高山植物  〇その北壁の凄まじさ。ほぼ垂直?  だが、Rotstockに直登する"Via ferrata"への分岐点を折れると、ハイカーが激減した。  そして、スタート地点に着き、怯んだ。  えぐい。大キレット、ジャンダルム、妙義山並みじゃね?(踏破したことないけど)  ただ、Via ferrataとは、要はハシゴ場である。少し登ってみようと決意したところに、兄貴3人組がやって来た。そして、ハーネスを着け始めたではないか。  やっぱり不安になってきた石垣市民。「それ(ハーネス)は必要(necessary)ですのん?」と指さすと、"Yes"と即答を返された。ふもとでレンタルできるという。  シュトゥットガルト市民だった。ドイツが誇るクルマの町だ。関連する日系企業が多く進出していて、日本人が多い。  「実は僕、日本の豊田市出身なんです」と話すと、「マジすか」と激しく反応された。    🧀  🧀  🧀  🧀  🧀  "Via ferrata"は撤退(途切れた軌跡ご参照)。  ハーネスをレンタルしようにも、使い方が分からない。初心者ソロでは不可能だ。  しかし、諦めるわけにはいかない。  そこで「プランB」に移行した。  アイガー・トレイルの終点アイガー氷河駅からも、Rotstockに通じるトレイルがあると知っていた。旧道らしい。様子を見よう。  観光客であふれ返るアイガー氷河駅をサクッと通過して、そのトレイルに入ると、瞬く間に人けがなくなった。  不安な気持ちで進んでいくと、ハイカーがちらほら現れ始めた。  ほとんどヘルメット姿だが、ガチ装備でもない。メタボ気味のお父さんもいる。何とかなりそうだった。  実際、瑞牆山みたいなロープ場が連続していたが、それほどチビらずに登頂できた。  諦めかけた頂に別ルートで到達するというのは、初めての経験。嬉しかった。  天気予報通りのピーカン。眺めも最高だ。    🧀  🧀  🧀  🧀  🧀  きょうの真のクライマックスは、しかし、ここからだった。  Rotstockで記念撮影しているヘルメット親子と話したら、ポーランドから来たという。  小学校低学年くらいの男の子とレスラー体形でタトゥーだらけのお父さんだ。  例のハシゴ場で撮った写真を下山後に調べて分かったが、この親子、あそこを登ってきたのだった。もちろん、ハーネス装備。  「日本から来ました」とあいさつすると、「トーキョー? オキナワ?」と聞いてくる。  なぜ「オキナワ」が出てくる?と思いつつ「その沖縄です」と答えると、驚かれた。  空手が趣味で、聖地・沖縄も勉強したという。趣味はレスリングじゃなかったのね。   次にグリンデルヴァルト村方向を見やると、断崖の上で3人が休んでいた。よく見ると、シュトゥットガルト軍団ではないか。  向こうも気づき、盛大に迎えてくれた。  3人は帰路、安全な旧道で下りるという。そのうちの一人から「いいカメラですね。メアド教えるから送ってけろ」と頼まれた。  了解。ついでに「きのう蘇生したばかりなんです」と答えたかったが、「蘇生」の言い回しが咄嗟に出てこなかったので、やめた。    🧀  🧀  🧀  🧀  🧀  登山後、ユングフラウ鉄道に乗って、アルプス観光で圧倒的な人気を誇る世界遺産エリア「ユングフラウヨッホ」を見物しようと計画していたが、パスした。  思いがけない登山と出会いの喜びに満ち足りて、異なるテイストを加えたくなくなった。老後に行こうと思う。  明日からは、ミューレン(Mürren)という山村に3泊する。山登り編の最終目的地。  その後は、世界遺産の首都ベルン、スイスの玄関口チューリッヒを経て、成田空港。  石垣島には直帰せず、内地でも夏山を楽しもうかなと目論んでいる。

ユングフラウ  きょうも留守番のダウンとパーカー。
 というか、15日にスイス入りして以来、標高3300m地点も含めて、すべてインナー1枚で済んでいる。シャツも要らない。風による汗冷えすらない。
 海外旅行には重たすぎるチェーンスパイクも、完全に出番なし。
 代わりに大活躍しているのは、ハットと日焼け止めである。
 きょうも留守番のダウンとパーカー。  というか、15日にスイス入りして以来、標高3300m地点も含めて、すべてインナー1枚で済んでいる。シャツも要らない。風による汗冷えすらない。  海外旅行には重たすぎるチェーンスパイクも、完全に出番なし。  代わりに大活躍しているのは、ハットと日焼け止めである。
ユングフラウ ヴェンゲルンアルプ鉄道Alpiglen駅から見た「アイガー北壁」。
ヴェンゲルンアルプ鉄道Alpiglen駅から見た「アイガー北壁」。
ユングフラウ  駅の脇の小道からつながっているアイガー・トレイル登山口。
 通行可(OPEN)と書いてある。
 駅の脇の小道からつながっているアイガー・トレイル登山口。  通行可(OPEN)と書いてある。
ユングフラウ グーグルレンズによると、スカビオサとみられる。原産地はユーラシア。
 
グーグルレンズによると、スカビオサとみられる。原産地はユーラシア。  
ユングフラウ 途中、滝があった。
途中、滝があった。
ユングフラウ  アイガー・トレイルから、グリンデルヴァルト村。
 反対側の山々は、22日に登ったフィルスト山など。
 左奥のお椀型のピークは、その日のゴールとしたファウルホルン(標高2681m)。
 アイガー・トレイルから、グリンデルヴァルト村。  反対側の山々は、22日に登ったフィルスト山など。  左奥のお椀型のピークは、その日のゴールとしたファウルホルン(標高2681m)。
ユングフラウ  義足のハイカーに出会った。
 はじめは驚いたが、軽くあいさつを交わして、しばらく並走した。
 強靭なボディーの持ち主。石垣島代表として負けてはいられないと思った。
 義足のハイカーに出会った。  はじめは驚いたが、軽くあいさつを交わして、しばらく並走した。  強靭なボディーの持ち主。石垣島代表として負けてはいられないと思った。
ユングフラウ アイガー・トレイルは、序盤だけ少し急だが、中盤以降は緩やかな上り。ファミリー向けと言ってもいい。
アイガー・トレイルは、序盤だけ少し急だが、中盤以降は緩やかな上り。ファミリー向けと言ってもいい。
ユングフラウ  アイガー・トレイルから「アイガー北壁」。
 距離が近すぎるし、この時間帯は逆光なので、写真で迫力を伝えるのが難しいが、とにかくすごい。
 アイガー・トレイルから「アイガー北壁」。  距離が近すぎるし、この時間帯は逆光なので、写真で迫力を伝えるのが難しいが、とにかくすごい。
ユングフラウ トレイルの周りは一面の花畑。前日雨が降ったので、しっとり感あり。
トレイルの周りは一面の花畑。前日雨が降ったので、しっとり感あり。
ユングフラウ  アイガー・トレイルを外れ、問題のハシゴ場のスタート地点に着いた。アイガー尾根のピークRotstock(標高2663m)に直登できる。
 後から来た兄貴3人組が、ハーネスを着け始めた。
 彼らとのやり取りの結果、撤退を決めた。
 ヨーロッパ人は、ほぼ例外なく英語ペラペラ。
 アイガー・トレイルを外れ、問題のハシゴ場のスタート地点に着いた。アイガー尾根のピークRotstock(標高2663m)に直登できる。  後から来た兄貴3人組が、ハーネスを着け始めた。  彼らとのやり取りの結果、撤退を決めた。  ヨーロッパ人は、ほぼ例外なく英語ペラペラ。
ユングフラウ  シュトゥットガルト市民というイケメン3人組。
 後に運命的な再会を果たすとは、この時は思いもよらなかった。
 
 シュトゥットガルト市民というイケメン3人組。  後に運命的な再会を果たすとは、この時は思いもよらなかった。  
ユングフラウ  ハシゴ場を登る先行者グループ。
 下山後に写真を拡大して分かったが、小さな男の子と父親である。
 彼らとも運命的な再会を果たすとは、この時は思いもよらなかった。
 ハシゴ場を登る先行者グループ。  下山後に写真を拡大して分かったが、小さな男の子と父親である。  彼らとも運命的な再会を果たすとは、この時は思いもよらなかった。
ユングフラウ  アイガー・トレイルに戻り、トレイルの終点アイガー氷河駅に着いた。
 展望台からメンヒ(左)とユングフラウ。
 快晴の日曜日とあって、アルプスで一番有名な登山鉄道「ユングフラウ鉄道」は激混み。乗車待ちの行列が出来ていた。
 アイガー・トレイルに戻り、トレイルの終点アイガー氷河駅に着いた。  展望台からメンヒ(左)とユングフラウ。  快晴の日曜日とあって、アルプスで一番有名な登山鉄道「ユングフラウ鉄道」は激混み。乗車待ちの行列が出来ていた。
ユングフラウ  アイガー尾根のピークRotstock(写真左と思われる)を諦めきれず、アイガー氷河駅から旧道経由で登頂を試みる。
 先ほどの直登ハシゴ場よりは緩やか。行けそうな気がしてきた。
 アイガー尾根のピークRotstock(写真左と思われる)を諦めきれず、アイガー氷河駅から旧道経由で登頂を試みる。  先ほどの直登ハシゴ場よりは緩やか。行けそうな気がしてきた。
ユングフラウ きつめのロープ場もあるが、全体としては一般トレイルと言っていいだろう。
きつめのロープ場もあるが、全体としては一般トレイルと言っていいだろう。
ユングフラウ  Rotstock山頂直前のロープ場が、きょう一番のチビりポイント。
 左側は断崖絶壁なので、落ちたら100%死ぬが、慎重に行けば問題はない。
 Rotstock山頂直前のロープ場が、きょう一番のチビりポイント。  左側は断崖絶壁なので、落ちたら100%死ぬが、慎重に行けば問題はない。
ユングフラウ  つ、つ、つ、つ、着いた......
 Rotstock登頂を果たし、歓喜の雄叫びをあげる石垣市民。
 つ、つ、つ、つ、着いた......  Rotstock登頂を果たし、歓喜の雄叫びをあげる石垣市民。
ユングフラウ  すると、小学校低学年くらいのboyとレスラーみたいなお父さんが記念撮影を始めた。
 なんと、さっきのハシゴ場に挑戦していた親子なのだった。
 母国ポーランドの国旗を掲げて、おめでとう!
 なお、ポーランド人も普通に英語を話す。
 すると、小学校低学年くらいのboyとレスラーみたいなお父さんが記念撮影を始めた。  なんと、さっきのハシゴ場に挑戦していた親子なのだった。  母国ポーランドの国旗を掲げて、おめでとう!  なお、ポーランド人も普通に英語を話す。
ユングフラウ Rotstock山頂から、ユングフラウ鉄道の起点クライネ・シャイデック駅(写真中央)と山上湖ファルボーデンゼー。
Rotstock山頂から、ユングフラウ鉄道の起点クライネ・シャイデック駅(写真中央)と山上湖ファルボーデンゼー。
ユングフラウ Rotstock山頂から、グリンデルヴァルト村方向を撮ろうとしたら......
Rotstock山頂から、グリンデルヴァルト村方向を撮ろうとしたら......
ユングフラウ  ハシゴ場を無事クリアしてきたシュトゥットガルト3人組と再会。
 下りは安全な旧道を使うという。
 ハシゴ場を無事クリアしてきたシュトゥットガルト3人組と再会。  下りは安全な旧道を使うという。
ユングフラウ Rotstock山頂から、アイガー北壁。左側に切れ落ちている。
Rotstock山頂から、アイガー北壁。左側に切れ落ちている。
ユングフラウ Rotstock山頂に飛んできた子。ハイカーの食べ物狙い。
Rotstock山頂に飛んできた子。ハイカーの食べ物狙い。
ユングフラウ 旧道をポーランド親子と一緒に下りていく。
旧道をポーランド親子と一緒に下りていく。
ユングフラウ  アイガー(左)とメンヒ。
 ユングフラウを含めた三山を一緒に撮るのは、この距離では不可能。
 アイガー(左)とメンヒ。  ユングフラウを含めた三山を一緒に撮るのは、この距離では不可能。
ユングフラウ 下山中に後ろを振り返ると、カウベル合奏団のメンバーに付けられていた。
下山中に後ろを振り返ると、カウベル合奏団のメンバーに付けられていた。
ユングフラウ  登山を終えたら、ユングフラウ鉄道(写真)に乗って、アルプスで一番有名な観光地・ユングフラウヨッホ(世界遺産エリア)に寄ろうと思っていた。
 しかし、やめた。
 登山と出会いの喜びで満ち足りたので、人混みガチ観光地のテイストを加えるのが億劫になった。
 歩かなくても観光できるようなので、老後に再訪しようと思う。
 登山を終えたら、ユングフラウ鉄道(写真)に乗って、アルプスで一番有名な観光地・ユングフラウヨッホ(世界遺産エリア)に寄ろうと思っていた。  しかし、やめた。  登山と出会いの喜びで満ち足りたので、人混みガチ観光地のテイストを加えるのが億劫になった。  歩かなくても観光できるようなので、老後に再訪しようと思う。
ユングフラウ 【本文とは関係ありません】グリンデルヴァルト村のガソリンスタンドは山小屋風=23日撮影
【本文とは関係ありません】グリンデルヴァルト村のガソリンスタンドは山小屋風=23日撮影
ユングフラウ  【本文とは関係ありません】コープ・グリンデルヴァルト店が、地下にも広大な売り場を持っていたことが判明した(写真)。
 グリンデルヴァルトに着いた翌日の活動日記で「コンビニに毛が生えた程度」と書いたが、誤りだった。
 地下売り場を調査したところ、美味しそうなパスタなどのレンチン食品が多数見つかった。
 しかも、電子レンジやカップラーメン用のお湯も用意されていた。
 ここに深くお詫びし、「品ぞろえ最高。庶民の味方コープ・グリンデルヴァルト店」と訂正させていただきます。=23日撮影
 【本文とは関係ありません】コープ・グリンデルヴァルト店が、地下にも広大な売り場を持っていたことが判明した(写真)。  グリンデルヴァルトに着いた翌日の活動日記で「コンビニに毛が生えた程度」と書いたが、誤りだった。  地下売り場を調査したところ、美味しそうなパスタなどのレンチン食品が多数見つかった。  しかも、電子レンジやカップラーメン用のお湯も用意されていた。  ここに深くお詫びし、「品ぞろえ最高。庶民の味方コープ・グリンデルヴァルト店」と訂正させていただきます。=23日撮影
ユングフラウ  ユングフラウ界隈の位置関係が一目で分かるHISの地図。
 今は地図左側のグリンデルヴァルト(グリンデルワルト)に泊まっていて、明日からは右側のミューレンに移る。
 ユングフラウ界隈の位置関係が一目で分かるHISの地図。  今は地図左側のグリンデルヴァルト(グリンデルワルト)に泊まっていて、明日からは右側のミューレンに移る。

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