活動データ
タイム
06:13
距離
11.7km
上り
1268m
下り
826m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る🧀gotoスイス 第2週 グリンデルヴァルト5日目 アイガー・トレイル アイガー(Eiger、標高3967m)である。 スイスのグリンデルヴァルトに来たら「アイガー北壁」なのである。 常人には登れない。 真下を通る「アイガー・トレイル」から口を開けて見上げ、「これマジすか」と溜め息をつく。それが基本らしい。 📌アイガー北壁——— ドイツ語で北壁を意味する"Nordwand"をもじって"Mordwand"(死の壁)と呼ばれる。国際基準では「超難関2」とされる。 初登頂は1938年、日本人初登頂は1969年。 登攀は通常、雪氷が固まって安定する冬に行われる。冬以外は落石で危ない。 ふもとのグリンデルヴァルトから、登攀の様子を双眼鏡で観察できるという。 📌アイガー・トレイル——— ヴェンゲルンアルプ鉄道Alpiglen駅(標高1615m)から、ユングフラウ鉄道(またはロープウェーのアイガー・エクスプレス)のアイガー氷河駅(標高2319m)までの6km。 「マウンテン・ハイキング・トレイル」に分類され、難易度は「中」。日頃から歩き慣れていれば、何の問題もないレベル。 ————————————————————— このアイガー・トレイルを歩くだけなら、 1⃣楽ちん:鉄道かロープウェーで氷河駅にワープし、歩いて下りる 2⃣標準:氷河駅まで自力で登り、鉄道かロープウェーで戻る 3⃣頑張る:往復とも自力 の3択になる。 ところが、スイスの登山地図アプリで、 4⃣挑戦:アイガー・トレイルから尾根のピークRotstock(標高2663m)に寄り道登攀 というオプションが見つかった。 分類は、トレイルではなく"Via ferrata"。金属製のハシゴやワイヤーが設けられた登攀ルートのことだ。この分類における難易度は、6段階で下から2番目のK2(easy)。 YouTubeを見ると「どこがどうeasyですのん?」という印象だったが、見てみたい。行けるところまで行ってみることにした。 きょうは、ヘルメット&グラブ持参。でも、シューズは初級トレッキング用。 22日に死亡したかに見えた一眼レフカメラを23日にいじったところ蘇生したため、半信半疑ながら連れていくことにした。 🧀 🧀 🧀 🧀 🧀 アイガー・トレイルは、これまた「至高の道」なのだった。 〇北壁直下の緩やかな上り 〇一面に咲き誇る高山植物 〇その北壁の凄まじさ。ほぼ垂直? だが、Rotstockに直登する"Via ferrata"への分岐点を折れると、ハイカーが激減した。 そして、スタート地点に着き、怯んだ。 えぐい。大キレット、ジャンダルム、妙義山並みじゃね?(踏破したことないけど) ただ、Via ferrataとは、要はハシゴ場である。少し登ってみようと決意したところに、兄貴3人組がやって来た。そして、ハーネスを着け始めたではないか。 やっぱり不安になってきた石垣市民。「それ(ハーネス)は必要(necessary)ですのん?」と指さすと、"Yes"と即答を返された。ふもとでレンタルできるという。 シュトゥットガルト市民だった。ドイツが誇るクルマの町だ。関連する日系企業が多く進出していて、日本人が多い。 「実は僕、日本の豊田市出身なんです」と話すと、「マジすか」と激しく反応された。 🧀 🧀 🧀 🧀 🧀 "Via ferrata"は撤退(途切れた軌跡ご参照)。 ハーネスをレンタルしようにも、使い方が分からない。初心者ソロでは不可能だ。 しかし、諦めるわけにはいかない。 そこで「プランB」に移行した。 アイガー・トレイルの終点アイガー氷河駅からも、Rotstockに通じるトレイルがあると知っていた。旧道らしい。様子を見よう。 観光客であふれ返るアイガー氷河駅をサクッと通過して、そのトレイルに入ると、瞬く間に人けがなくなった。 不安な気持ちで進んでいくと、ハイカーがちらほら現れ始めた。 ほとんどヘルメット姿だが、ガチ装備でもない。メタボ気味のお父さんもいる。何とかなりそうだった。 実際、瑞牆山みたいなロープ場が連続していたが、それほどチビらずに登頂できた。 諦めかけた頂に別ルートで到達するというのは、初めての経験。嬉しかった。 天気予報通りのピーカン。眺めも最高だ。 🧀 🧀 🧀 🧀 🧀 きょうの真のクライマックスは、しかし、ここからだった。 Rotstockで記念撮影しているヘルメット親子と話したら、ポーランドから来たという。 小学校低学年くらいの男の子とレスラー体形でタトゥーだらけのお父さんだ。 例のハシゴ場で撮った写真を下山後に調べて分かったが、この親子、あそこを登ってきたのだった。もちろん、ハーネス装備。 「日本から来ました」とあいさつすると、「トーキョー? オキナワ?」と聞いてくる。 なぜ「オキナワ」が出てくる?と思いつつ「その沖縄です」と答えると、驚かれた。 空手が趣味で、聖地・沖縄も勉強したという。趣味はレスリングじゃなかったのね。 次にグリンデルヴァルト村方向を見やると、断崖の上で3人が休んでいた。よく見ると、シュトゥットガルト軍団ではないか。 向こうも気づき、盛大に迎えてくれた。 3人は帰路、安全な旧道で下りるという。そのうちの一人から「いいカメラですね。メアド教えるから送ってけろ」と頼まれた。 了解。ついでに「きのう蘇生したばかりなんです」と答えたかったが、「蘇生」の言い回しが咄嗟に出てこなかったので、やめた。 🧀 🧀 🧀 🧀 🧀 登山後、ユングフラウ鉄道に乗って、アルプス観光で圧倒的な人気を誇る世界遺産エリア「ユングフラウヨッホ」を見物しようと計画していたが、パスした。 思いがけない登山と出会いの喜びに満ち足りて、異なるテイストを加えたくなくなった。老後に行こうと思う。 明日からは、ミューレン(Mürren)という山村に3泊する。山登り編の最終目的地。 その後は、世界遺産の首都ベルン、スイスの玄関口チューリッヒを経て、成田空港。 石垣島には直帰せず、内地でも夏山を楽しもうかなと目論んでいる。
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