活動データ
タイム
09:25
距離
9.6km
のぼり
1232m
くだり
1230m
活動詳細
すべて見る水、岩、自然、それが憧れの大崩山。雨上がりの大崩山に魅了された。厳格、危険、それも大崩山。もう少し体力をつけてから行けばよかった。しかし、代償と得るものは対価だ。アルプスの高山とはまた違う、濃厚な自然環境。人を惹きつけてやまないことを否が応でも理解した。 登山口に「宮崎県警延岡警察署」と黒字で書かれたパトカーが1台止まっている。何があったのだろうと覗き込むと、パトカーの前に駐めてあるミニバンから一人の男が降りてきた。警察官らしい。昨日大崩山に登った70代の男性がまだ下りていない、もしも会ったら救助に協力願う旨伝えられた。昨日大雨警報がでていた、そんな日に大崩山に登る人がいるのか。夜半は線状降水帯が通り過ぎている。信じられない。パトカーから離れて高松ナンバーの車が止まっていた。70代男性のものだった。俺は緊張感をもって山に入った。 最初は美しい自然、野鳥たちに魅了され楽しい山行だったが、大雨の翌日だ、岩場が滑りやすく慎重にいかないと危険だった。そして次第に厳しさが勝ってきて、ヘトヘトになって山頂にたどり着く。何回もルートファインディングを失敗し、自分が遭難しそうになりながら、日没前に下山すべく急ぐ。 下山ルートの坊主尾根は気が利いていた。梯子→垂直ロープ→梯子→梯子→垂直ロープ→……!足はガクガク、冷や汗たっぷり掻かせてもらった。これを書いている今も全身が痛い。いったい何箇所あったのか!無類の梯子好き、垂直ロープ好きにはたまらないルートだろうが、俺の場合は堪ったもんじゃなかった。何せ、きつ過ぎてカメラを構える気にならない。それどころか、ザックのストラップにぶら下げたカメラが梯子の通過に邪魔になり危険なので、どうせ使わないカメラはザックにしまい込むことになった。 登山口に着いたとき、パトカーとミニバンはもうなかった。少し安心したが、帰って調べてみたら自力で下りてきたところを無事救助されたらしい。記事には道迷いが原因と書いてあった。山を歩きながら、自分はいったい何時まで山に登れるだろうか、何歳で卒業すべきだろうかと思ったけれど、答えはまだ見つからない。だが、遭難で死ぬのは絶対に嫌だということだけは唯一確実に言える。
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