最短コースで登る甲斐駒ヶ岳

2022.07.02(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
7 時間 43
休憩時間
52
距離
8.9 km
のぼり / くだり
1263 / 1262 m

活動詳細

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2022年7月2日土曜日、南アルプスの甲斐駒ヶ岳に登りました。中央高速で甲府を過ぎた辺りを走っていると、八ヶ岳の反対側に高くそびえる南アルプス北部の山々。その中でもひときわ目立つのがこの山です。雪が積もっているように白く三角形な山頂。丸い頭の摩利支天を従えたその個性的な姿。ずっと憧れの山でしたが日本三大急登の「黒戸尾根」のイメージが強く、近寄りがたい山でもありました。 今回は北沢峠を起点とした最短コースを使い、日帰りで甲斐駒ヶ岳を楽しむ山旅を計画しました。午後から天気が崩れる予報のため、朝の内に展望が楽しめる場所まで登りたいと思います。そこで、登りは絶景の尾根歩きが楽しめる双児山コース、下山は雨に強い樹林帯中心の仙水峠コースを選びました。 【お知らせ】 登山道の様子やルート詳細の解説動画を公開しました。是非ご覧ください。 ★【ルート解説】最短コースで登る甲斐駒ヶ岳(北沢峠から双児山ルート~仙水峠ルート周回) https://youtu.be/whZ5mcwZAU0 ★ひとり登山チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCMIE12AHq1elXrToA88tqAg 【アクセス】 中央高速を諏訪ICで降り、国道152号線で伊那方面へ40㎞程走ります。美和湖を過ぎた辺りで南アルプススーパー林道方面に左折し道なりに数分走ると左手に仙流荘があります。登山者用駐車場はその隣に2つあります。手前が約100台、奥は300台停められますが、ハイシーズンは満車になることもあるそうです。バス停近くにはトイレも無料WiFiもあります。車中泊にも向いています。駐車場は今は無料ですが7月14日から有料(5日以内1000円)になります。仙流荘は宿泊だけでなく500円で日帰り入浴もできます。(11:00~20:00) 仙流荘前のバス停「戸台口」から南アルプス林道バスに1時間程乗って、登山口である北沢峠へ向かいます。 ★重要★バス情報まとめ 仙流荘から北沢峠の間の林道はマイカーやタクシーは通行不可。距離も長くクマも出るそうなので徒歩で移動するのは現実的ではありません。そのため、行きと帰りのバスによって計画が大きく制約されます。特に日帰りの場合は行きのバスが遅い時間帯になってしまうと、最終バスに乗るために登頂を諦めたり、焦ってケガをしたりする事態になりかねません。運行期間や運行時刻は時期によって異なりますのでHPをよくチェックする必要があります。(南アルプス林道バス http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/minamialps_jikokuhyo.html ) バスは補助席も含めて約30人乗りの車両が数台あります。この日は乗客が多かったので、始発に6台出動していました。車中泊した方であってもバス停に並ぶのが遅くなると始発に乗れず、そのバスが戻ってくるのを待たなければいけません。すると北沢峠到着が1時間半ほど遅れますので計画が厳しくなります。 一枚目の写真のように、道路側に乗車するための列(ザックを置けばOK)左側に切符を買うための人の列ができます。始発が6:05なのに、4時半にはこのような列ができていました。トイレなどで離れるとしても早めにザックを乗車列に置くことをおすすめします。(前日20時にすでに5個置いてありました)乗車順番が確保でき、切符列に並ぶのが遅くなり過ぎなければ、始発乗車は大丈夫です。 ちなみに、始発は6:05でしたが、乗客の多さからか、5時過ぎには切符販売開始、5時半頃には始発が発車しました。下山時、時刻表以外の時間でも乗客が集まり次第発車してくれるなど、柔軟に対応してくれるのでとても助かります。料金は手荷物(小さいザックも手荷物)込みで往復2740円です。 【ルート概要】 ①北沢峠~双児山 北沢峠でバスを降りると、多くの方が仙丈ケ岳や長衛小屋の方に向かい、双児山方面に登る人は非常に少なかったです。 双児山までは600m程ひたすら登ります。針葉樹と苔の森の中をつづら折りに登り続けて行きます。階段などはなく、南アルプスらしい自然な姿の山道です。途中、北側の展望が開ける場所があり、ギザギザの鋸岳や北アルプスの槍穂高が見えます。2502m地点まで来ると木々の背が低くなり、道が明るくなります。道は次第にハイマツの稜線になり、振り返ると北岳や間ノ岳、仙丈ケ岳などの名峰がズラリと見えます。双子山に登り切ると、これから向かう駒津峰の先、ついに甲斐駒ヶ岳が全貌を現します。登山口から双児山までは1時間半ほどかかりました。 ②双児山~駒津峰~トラバースルート分岐 この間はハイマツやダケカンバなどの灌木に囲まれた岩尾根歩きになります。駒津峰までは比較的なだらかな稜線が続きます。駒津峰で仙水峠からの道が合流し、登山者が増えます。駒津峰から先は岩場が増え、両手両足を使って進んで行く岩場だらけになります。鎖やロープは設置されていませんが、結構急な岩場もあります。8合目にある巨石「六方石」を過ぎるとすぐ、分岐が出てきます。左は岩尾根を直登するルート、右は巻き道を行くトラバースルートです。直登ルートの方が距離は短いですが危険な岩場もあり傾斜も急なので、どちらのルートを選んでも山頂まで1時間です。 ③トラバースルート分岐~甲斐駒ヶ岳山頂 「最短コースで登る」というテーマのため、直登ルートを選びました。標高差約250mの急登です。前半はかなり険しい岩登りです。スタンス間の段差が大きいため、足を高く上げないと登れないような難しい箇所もありました。ある程度の身長がないときついので、子連れの場合はトラバースルートにした方がいいかもしれません。後半は真っ白な砂利の道になります。分岐から50分近く登り続け、標高2967mの甲斐駒ヶ岳山頂に到着します。 山頂には小屋やトイレはありませんが、広くて休憩する場所に事欠きません。西には鋸岳に向かって下る尾根が伸びています。東に100m程進むと少し低いピークがあり、石碑や剣が祀られています。黒戸尾根への分岐もこの付近にあります。 ④甲斐駒ヶ岳山頂~摩利支天~駒津峰 山頂からトラバースルートを下ります。白い花崗岩の砂利は滑りやすいので注意しながら進みます。20分程下ると摩利支天への分岐が出てきます。ここから摩利支天へは往復40分程ですので、時間に余裕があれば立ち寄りたいです。摩利支天の東側の崖は真下の沢まで1000m以上切れ落ちています。それだけに絶景が楽しめるはずですが、この日は残念ながらガスで真っ白でした。 摩利支天分岐まで戻り、トラバースルートを進みます。登山道脇の花崗岩に一本だけダケカンバが生えています。一体どこから水分や栄養をとって育っているのか不思議です。最後に急な岩場を登ると分岐に戻ります。分岐から駒津峰までは来た道を戻ります。 ⑤駒津峰~北沢峠 駒津峰から仙水峠への分岐を左折します。標高差500m程の急な下りが続きます。木々に囲まれ展望はほぼありませんが、正面の木々の隙間から栗沢山が見えます。南アルプスの天然水のCMで宇多田ヒカルが登ったことで有名になった山です。 変化に乏しい急坂を1時間近く下ると、急に岩がゴロゴロした谷間に出ます。ここが仙水峠です。この分岐を直進すると栗沢山やアサヨ峰方面です。北沢峠へはこの分岐を右折し、岩がゴロゴロ積み上がった谷底を進んで行きます。他の山ではあまり見られない独特な景観が楽しめます。ルートが不鮮明な場所もありますが、岩が茶色になっている踏み跡やケルンを目印に歩いていきます。ちなみにこの岩場にはオコジョが住んでいるそうですが、残念ながら出会えませんでした。 岩場が終わると苔と針葉樹の森になり、ほどなくして仙水小屋に到着します。施設は宿泊者以外は利用できませんが、水場は誰でも利用できます。驚くほど冷たくておいしい水です。仙水小屋からは沢沿いを下っていきます。途中、斜面が崩れた場所やロープが設置された急な岩場、堰堤の脇を攀じ登る箇所などがあります。このルートは台風の後などに通行止めになることもありますので確認が必要です。 沢沿いを30分程下ると長衛小屋が出てきます。広いテント場もあります。ここに宿泊して甲斐駒ヶ岳と仙丈ケ岳の両方を2日間かけて登る山旅も人気があります。 長衛小屋で登山道は終わり、砂利の林道を15分程歩くと北沢峠に到着します。次のバスは15:00発でしたが、乗客が多かったため14:10頃にバスを出してくれました。15時過ぎに駐車場に戻ることができました。 【感想】 下山中に雷雨に襲われ、天気的にはベストコンディションではありませんでした。しかし、さすが南アルプスの貴公子と呼ばれるだけあり素晴らしい山でした。周りの素晴らしい山々が眺められるのはもちろん、ルート上から眺める甲斐駒ヶ岳の姿があまりにもかっこよく、日帰りでその頂に立てるという喜びは大変なものでした。北沢峠からは甲斐駒ヶ岳と仙丈ケ岳のどちらも日帰りで登れます。どちらの山にも登れるように計画し、その場で決めるのも楽しいかもしれません。 そして、今回の山行の最重要ポイントはバスです。始発のバスに乗車することと、終バスに遅れないことに気を付ける必要があります。

甲斐駒ヶ岳・日向山 始発は6:04なのに朝4時半ですでに長蛇の列。左は切符を買う列、右のザックが乗車列。とにかく早めにザックを置きましょう。
始発は6:04なのに朝4時半ですでに長蛇の列。左は切符を買う列、右のザックが乗車列。とにかく早めにザックを置きましょう。
甲斐駒ヶ岳・日向山 北沢峠到着。写真右端の登山口から登る
北沢峠到着。写真右端の登山口から登る
甲斐駒ヶ岳・日向山 苔と針葉樹の急登が続く
苔と針葉樹の急登が続く
甲斐駒ヶ岳・日向山 槍穂高が見えた。
槍穂高が見えた。
甲斐駒ヶ岳・日向山 豊かな苔の森
豊かな苔の森
甲斐駒ヶ岳・日向山 振り返ると、日本2位の北岳とその奥に第3位の間ノ岳が
振り返ると、日本2位の北岳とその奥に第3位の間ノ岳が
甲斐駒ヶ岳・日向山 仙丈ケ岳を振り返る。
仙丈ケ岳を振り返る。
甲斐駒ヶ岳・日向山 4合目の双児山到着。ここからは展望の尾根歩き。
4合目の双児山到着。ここからは展望の尾根歩き。
甲斐駒ヶ岳・日向山 甲斐駒ヶ岳に続く尾根をゆく
甲斐駒ヶ岳に続く尾根をゆく
甲斐駒ヶ岳・日向山 シャクナゲと仙丈ケ岳
シャクナゲと仙丈ケ岳
甲斐駒ヶ岳・日向山 浮石だらけの急登
浮石だらけの急登
甲斐駒ヶ岳・日向山 駒津峰より、雲を纏った甲斐駒を眺める。
駒津峰より、雲を纏った甲斐駒を眺める。
甲斐駒ヶ岳・日向山 南アルプスは花の季節
南アルプスは花の季節
甲斐駒ヶ岳・日向山 荒々しい岩尾根を進む。
荒々しい岩尾根を進む。
甲斐駒ヶ岳・日向山 思ったより巨大な六方石
思ったより巨大な六方石
甲斐駒ヶ岳・日向山 直登ルートとトラバースルートの分岐
直登ルートとトラバースルートの分岐
甲斐駒ヶ岳・日向山 直登ルートは険しい岩場の連続
直登ルートは険しい岩場の連続
甲斐駒ヶ岳・日向山 小さなお花畑
小さなお花畑
甲斐駒ヶ岳・日向山 甲斐駒の背骨の上を登ってきた。
甲斐駒の背骨の上を登ってきた。
甲斐駒ヶ岳・日向山 登山口から約3時間半。甲斐駒ヶ岳登頂
登山口から約3時間半。甲斐駒ヶ岳登頂
甲斐駒ヶ岳・日向山 山頂の祠
山頂の祠
甲斐駒ヶ岳・日向山 黒戸尾根側のピークより山頂を振り返る。
黒戸尾根側のピークより山頂を振り返る。
甲斐駒ヶ岳・日向山 トラバースルートで下山開始。
トラバースルートで下山開始。
甲斐駒ヶ岳・日向山 ルートが不鮮明な所に目印あり
ルートが不鮮明な所に目印あり
甲斐駒ヶ岳・日向山 色々な種類の花が咲き乱れている
色々な種類の花が咲き乱れている
甲斐駒ヶ岳・日向山 ガスが切れた瞬間が撮影のチャンス
ガスが切れた瞬間が撮影のチャンス
甲斐駒ヶ岳・日向山 摩利支天への分岐。往復40分程の寄り道。
摩利支天への分岐。往復40分程の寄り道。
甲斐駒ヶ岳・日向山 岩陰にひっそり隠れるイワカガミ、かわいい。
岩陰にひっそり隠れるイワカガミ、かわいい。
甲斐駒ヶ岳・日向山 甲斐駒ヶ岳と摩利支天の間の谷
甲斐駒ヶ岳と摩利支天の間の谷
甲斐駒ヶ岳・日向山 摩利支天は剣だらけ。
摩利支天は剣だらけ。
甲斐駒ヶ岳・日向山 降りてきた摩利支天を振り返る。
降りてきた摩利支天を振り返る。
甲斐駒ヶ岳・日向山 岩場に生きる一本のダケカンバ
岩場に生きる一本のダケカンバ
甲斐駒ヶ岳・日向山 岩場を登って分岐に戻る
岩場を登って分岐に戻る
甲斐駒ヶ岳・日向山 駒津峰より振り返ると雲が晴れ、甲斐駒ヶ岳が最後の姿を見せてくれた。
駒津峰より振り返ると雲が晴れ、甲斐駒ヶ岳が最後の姿を見せてくれた。
甲斐駒ヶ岳・日向山 仙水峠へ下る。
仙水峠へ下る。
甲斐駒ヶ岳・日向山 急な下りが延々続く。
急な下りが延々続く。
甲斐駒ヶ岳・日向山 下水管のように曲がった木
下水管のように曲がった木
甲斐駒ヶ岳・日向山 仙水峠を右折。
仙水峠を右折。
甲斐駒ヶ岳・日向山 石が積み重なった独特な谷間。ここはオコジョの町でもある。
石が積み重なった独特な谷間。ここはオコジョの町でもある。
甲斐駒ヶ岳・日向山 ジオラマのような苔
ジオラマのような苔
甲斐駒ヶ岳・日向山 イオウゴケ 別名モンローリップ
イオウゴケ 別名モンローリップ
甲斐駒ヶ岳・日向山 苔の森をゆく
苔の森をゆく
甲斐駒ヶ岳・日向山 仙水小屋で冷たい水をいただく。
仙水小屋で冷たい水をいただく。
甲斐駒ヶ岳・日向山 沢を渡る。
沢を渡る。
甲斐駒ヶ岳・日向山 崩落した斜面をトラバースする。
崩落した斜面をトラバースする。
甲斐駒ヶ岳・日向山 雪が残っていた。
雪が残っていた。
甲斐駒ヶ岳・日向山 長衛小屋到着
長衛小屋到着
甲斐駒ヶ岳・日向山 長衛小屋のテン場。写真右端に天然の水道あり。
長衛小屋のテン場。写真右端に天然の水道あり。
甲斐駒ヶ岳・日向山 砂利の林道を歩いて北沢峠に戻る。
砂利の林道を歩いて北沢峠に戻る。
甲斐駒ヶ岳・日向山 クリンソウの群生と北沢峠こもれび山荘
クリンソウの群生と北沢峠こもれび山荘

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