田岡谷

2022.06.25(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
10 時間 5
休憩時間
4 時間 13
距離
5.8 km
のぼり / くだり
905 / 901 m
10 5

活動詳細

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注:今回はブログからの転載なので長文です🙇‍♂️ OKDさん、IWS君と私の3人で中上級の田岡谷という沢を遡行してきました。 今回は登攀要素多目です。 そもそも本山行の目的は、OKDさんとIWS君の二人による、ザクロ谷に向けたトレーニングでした。 そして、この度自分もザクロ谷の3人目のメンバーとして参加させていただく事に。 昨年7月27日、当会の委員長に初めて沢登りに連れて行ってもらい、鬱蒼とした木々に囲まれ、動物の白骨体が放置された入渓点に立った瞬間、直感で「これは自分の好きなやつだ」と分かりました。 それから会のメンバーと色々な沢を遡行する内に「もっと険しく、困難な沢に行きたい。全力を出し切れる厳しい沢を完全遡行して、大きな達成感が欲しい」と考えるようになったのです。 以前からザクロ谷の計画が上がっているのは知っていましたが、自分には経験や技術が足りないので、時期尚早と考え、手を挙げることを躊躇っていました。 しかし「今回参加しなければ、もう一生行けずに後悔するかもしれない。その日までに出来うる限りのトレーニングをして参加しよう」と決心し、田岡谷への道中、二人に参加表明したところ、快諾していただきました。 そして今回の田岡谷は、私がザクロに参加するだけの力量があるか否かの試金石になると考え、気を引き締めて臨みました。 前置きが長くてすみません。 以下、山行記録です。 〜概要〜 ◎山行日   令和4年6月25日 ◎天 気    曇ときどき雨 ◎メンバー   OKD(L)、IWS(SL)、おせん(記録) ◎装備     ロープ50mx1登攀用、30mx1予備、カム1セット、ハーケン ◎行程   7:10 駐車地 7:15 入渓 8:10 二俣 13:40 脱渓 16:30 下山 17:30 駐車地 〜入渓〜 入渓して直ぐに息が上がる。 昨日から気が張ってほとんど睡眠を取れていないので、おそらく寝不足が原因か。 それに道中、コーヒーを1.5リットル以上飲んだので動悸がする。 そんな中、最初の9m滝が現れる。 ここは左手の壁をロープを出して登る。 OKDさんは以前、田岡谷を遡行した経験がある為、今回はビレイに徹するそう。 IWS君とは事前にジャンケンで勝った方が(特にハイライトは)リードしようと決めていて、今日はグーしか勝たんと決めていた自分が勝つ…勝っちゃったよ。 もたもたしている時間はない。 息が上がり動悸もする! 頭が朦朧として、なんだか体に力も……入らないっ!! と仮設5号機に乗った某パイロットの様なことを考えていたら、ロープが絡まってごちゃごちゃに…すみません。 気を引き締めてクライムオン!! (腕の一本くれてやるっ!!) 雨の影響か、そもそも滑りの強い沢なのか、先日の蛇谷とは打って変わってフリクションが効かない。 それでもなんとか慎重に登りビレイ解除。 ネガティブなコンディションでもキッチリリードする強いメンタルが必要だなと感じた。 〜25m滝の高巻きトラバース〜 連瀑帯の中の25m滝を左岸巻き、落口へ向かう為のトラバースが悪そうだったので、ロープを出しておせんがリード。 想定より悪く、いつ落ちるとも知れない灌木やフレークに少しずつ荷重をかけながら進んでいく。 より安全なラインを、と考えるも裏目に出て、プロテクションの位置も悪くロープが上下左右ジグザグに、まるでスパイダーマンが通った後の蜘蛛の糸の様… それでもなんとか重たいロープを引っ張りながら無事落口まで到着、離れた場所にある立木で支点を取りビレイ解除。 次はIWS君がアッセンダー登攀。 正直、IWS君は落ちない、難なくこなしてくれる、という思い込みがあり油断していた。 しかし落ちた。 彼自身初めてだと言っていたが、自分もセカンドビレイ中の墜落は初めて。 その瞬間、リード中にフォローの事を考えたライン取りを怠っていた事に気付き、ショックと申し訳なさで一杯に。 幸い怪我もなく、終了点まで登ってきて、その後はOKDさんが回収しながら登ってビレイ解除。 以前、泳ぎからの離陸パートでリードする際、離陸箇所で可能ならプロテクションを取るようにと言われた事を思い出す。 言われた当初はよく意味が分からなかったが、フォローの泳力、自分との体格差を考慮して支点をとっていく、細やかな心配りが必要なのだという事に気付いた。 しかしその教訓を活かすことができなかった。 よくよく思い返してみれば、行ける確信はあったものの一箇所デッドポイントムーブだったな。 アルパインでそんな事続けていたら危ないので自制しよう。 突っ込まない、クライムダウンの判断もリスクコントロールの上で必要な事。 反省点の多いピッチだった。 〜分岐瀑20m〜 今回のハイライト、分岐瀑20m。 先人は、小滝に対して直瀑等と名付けるのは大仰であり、遠慮して直滝と呼んだ。 自分の中で、〇〇瀑の境界は ①高さ20m以上 ②派手である と決めている。 今回の滝は遠慮なく分岐瀑と言えると思う。 今日はグーしか勝たんと思っている自分は、ジャンケンの結果、連勝。 しかし勝って嬉しいはずなのに…あまり嬉しくない。なんでチョキしか出さんの… 寝不足とかコンディションが悪いとか色々ネガティブな要素が頭を過ぎる。 「もし自分が負けてたらホッとしてたと思うわ」とIWS君に正直な気持ちを打ち明けてしまう。 「無理そうなら自分がリードしますよ。あ、でも、もしここをリードで行けたらザクロ谷行きはOKですよー!」と発破をかけてくれる。 再び滝を見上げる。 ラインは明確。 滝身右から取り付き左上、落口から数メートル下の水線を水圧に耐えて突破、立木で終了点をとる。 上部は水流で磨かれてフリクションもホールドも豊富そう、下部の滑りが核心だな、でもしっかりプロテクションもとれそうだ。 よし、いける。 OKDさんにビレイをお願いし、荷上げ用のロープも取り付けて空身で取り付く。 スタンスもホールドも豊富。 立木とカムで支点を取り高度を上げていく。 そしてそのまま左上し水流の中へ突っ込む。 激しい水流の中でキャメロットの2番をキメている時のこと。 突然心が穏やかになり『このままもう少し、この中に留まりたい』という気持ちが生まれた。 しばらく滝に打たれていたが、二人を心配させてはいけないと思い、手を振って大丈夫だよアピール。 それから水流を突破し、いい感じの立木で終了点を作る。ビレイ解除。 滝行で心に安らぎを得たからか、爆発するような喜びは無かったけれど、二人からのナイスの声がとても誇らしかった。 荷上げの作業も初めて経験した。 荷上げ用のロープはビレイループじゃなくて、ギアラックのカラビナなどに付けて、上がった方が、上手い具合にロープを捌けて良かったのかもしれない。 何事も経験だな。 〜2段30m〜 見た目優しそうで、実は最後の落口が意外に悪い2段30m滝をIWS君リードで自分がビレイ。 立木で支点を取り、滝身上部右を果敢に攻める。 すると岩瀬君から落石のコール。 人の頭サイズの石が唸るような音を立てて私とOKDさんの側方へ、ザックを吹き飛ばし、ロープの上でワンバウンドして通過。 瞬間、ロープ切れてないかなと確認したところ、幸い末端5m部分一箇所だけ綺麗にブチ切られていた。 真っ先にロープの確認をしたのも、以前フリーで同じ様な経験をしたから。 山における経験というのは本当に大事だなと感じた。 その後、落ち口を抜けると昼を過ぎ、脱渓予定時刻に。 遡行を打ち切り左岸の尾根に上がり尾根伝いに下る。 〜脱渓〜 ロープが切れて、 うっかりOKDさんのモチヅキハーケンを残置してしまい、 ザックに大穴が空き、 首の後ろをアブとブヨとヒルに咬まれ、 水分塩分不足で全身の筋肉が攣り、 軽い熱中症、 色々ボロボロで満身創痍の中、ドンピシャで入渓ポイントに帰還。 周囲を鬱蒼とした木々に囲まれ、冷たい沢の水で熱中症寸前の身体を冷やす、至福のとき…初めて入った小黒谷の入渓点に似ているなと思う。 あの時と比べてどれだけ成長出来たか分からないけれど、なんとかザクロ谷に挑戦する為の切符を手に入れる事が出来たかもしれない。 下山完了。 〜まとめ〜 これからより一層トレーニングに励み、あと2回くらい変身して遥かにパワーが増した状態で本番に臨みたいと思う。 以上、山行記録でした。 おしまい。

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