活動データ
タイム
12:39
距離
12.4km
上り
811m
下り
810m
活動詳細
すべて見る梅雨真っ只中、しかし登山には行きたい。ならば、いっそのこと雨登山を楽しんでしまえばいいのではないか。始まりはそんなものだった。 雨の中でも楽しめる山歩きと言えば……苔。すなわち北八ヶ岳。 折しも、テント泊の練習をしたいという友人と予定があったので、白駒池周辺の苔を楽しみつつ黒百合ヒュッテにテント泊をしに行くことにした。 予報はもちろん雨。白駒池駐車場からまずはニュウを目指して進んでいく。 白駒池周辺の森はまさに苔の宝庫! 曇天なのも相まって、森は幻想的な雰囲気を纏って霧の底に沈んでいる。シャッターを切る手が止まらない。足は全く前に進まない。 結局、コースタイムを大幅に遅れてニュウに到着。周囲は完全にガスって眺望は皆無だったものの、僕らの気分はひたすらに高まる。 続くニュウから中山峠までの稜線歩きも、苔むした景色が続き最高だった。 13:30、黒百合ヒュッテに到着しテント泊の手続きを済ませる。ギリギリで昼食をいただき(ランチ喫茶は14:00まで)、テントを設営したら、周辺の散策に出掛ける。 天狗の奥庭を一周することにして軽装で出発すると、待っていたかのように雨が降り始めた。これだ、これを待っていたんだ。雨の中の山歩き。 雨が降って霧に包まれた夕方の天狗の奥庭は、幻想的で厳かだった。 聞こえてくるのは、シェルに打ち付ける雨の音と濡れた岩場を進む二人分の足音だけ。景色が見えない中、濡れた身体の不快感と僅かに感じる肌寒さ。厳しい自然の中に実際に身を置いているという事実が、一つ一つの感覚を鋭敏にさせて、神経を昂らせて止まない。 晴れの天狗の奥庭ももちろん良いのだろうけれど、水の底に沈んだような雰囲気のこの奥庭も捨てがたいと感じた。 雨登山の最大の醍醐味を味わえたような気がする。 そんな最高な時間だったが……ちゃんとマイナス面も味わえた。 ぐっしょりと濡れたウェアは脱ぐのが億劫だったし、身体も冷えた。テント内と他の荷物を濡らさないように気を遣うのも面倒だったし、何より中まで服が濡れてしまったのが大変だった(ハードシェルの防水性に期待しすぎてしまった…)。 その後は夕飯をテント内で摂り、服を脱いでシュラフにくるまった。雨は止む気配は無く、他に誰も居ない貸切状態のテン場でテント越しに友人とのんびりと会話をして過ごす。 ゆったりとした時間だった。 翌日も、雨は未だ止む気配無し。土砂降りの中テントを撤収し、下山開始。 高見石小屋に着く頃には雨もほぼ上がり、晴れ間すら見えるように。白駒池までの森の中でそれぞれ思い思いに写真を撮り、牛歩のごとき遅さでようやく駐車場まで戻った。 今回は雨天登山時の経験をするというコンセプト通り、酸いも甘いも味わえた良き山行だった。 実際に雨の山歩きや雨天時のテント撤収を経験できたことで、沢山の課題も今回得ることが出来たし、また一つ(僅かながら)成長できたかもしれない。 そして今回も沢山の人と会い、話をすることができた。 白駒池ですれ違った二人組のテント泊ハイカーさん、かつて裸足の登山客を目撃したという山岳会のおじいさん、黒百合ヒュッテのヤマノススメ好きのお兄さん、中山展望台で話した青いレインウェアのソロハイカーさん、高見石小屋で出会った三人家族の方、タバコをふかしながら登るイカした旦那と泥水珈琲のエピソードを話してくれた奥さん、それぞれ違いつつも楽しい会話をすることができ、充実した二日間だった。下界でよりも人と話している気がする… そして何より、最高の時間と雰囲気を共有できた最高のダチに感謝!おつかれ! でも、高見石小屋で青い空を見て思ったのは、やっぱり晴れって良いな、だった。
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