青パン三従士 西穂高岳へ行く

2022.06.19(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
7 時間 14
休憩時間
2 時間 1
距離
10.4 km
のぼり / くだり
1780 / 929 m
23
13
25
5
3
18
7
42

活動詳細

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ミレーの青パン。 黒を中心に落ち着いたカラーリングが主流の昨今では、めっきり目にしない鮮やかなブルー。 この青パンをはじめて目にしたのは、確か鈴鹿山脈のとある山の頂で、あの人と出逢った時。 一瞬にして魅せられてしまった私は、いつか自分もあの青パンに足を通してみたいと願うようになったのです。 時は過ぎ、当然のごとく師匠(あの人)のまわりには人が集うようになり…。 そして格好だけでも近づきたいと願う輩たちは、青パンに手を出すのです。 私がある日、西穂高岳の頂に立ちたいと青パンブラザーに告白。 すると師匠自らが稽古をつけてくれることなり、西穂高の麓に青パンを身にまとった3人が集結することになった。  世に言う「青パン三従士」である。 アクセスの良さから北アルプス登竜門と称されることもあるが、決して甘いもんじゃない。 北へ走る車中での緊迫感が、それを物語ってた。 麓の駐車場に到着し、青パンに足を通す。 戦闘服を身にまとうが如く、身も心も登山モードに切り替わる瞬間なのだ。 始発のロープーウェイに身を委ね、高鳴る胸の鼓動を落ち着かせ呼吸を整えながら一気に山を駆け上がる。 下車し、足を一歩踏み出すと、明らかに空気感が異なり、別の世界に来たことを実感させられた。 さあ、出発。 はやる気持ちと足取りを師匠が後方から制す。先は長いのだと。 雪解け後の山道の泥濘みに気を付けながら登ること約1時間、前方に赤い屋根がみえる。 何故か目頭が熱くなる。理由はない。 写真で見ていたおなじみの山荘が、今、目の前にあるからだ。 感慨深くしている間はわずか、ここからが本番だと師匠が鼓舞する。 ブラザーと目を合わせ頷く。 ここまでの道とは全く異なる岩々しさに、怖じ気づいてはいられない。 丸山までは比較的穏やか。しかし徐々に穂高が牙をむき出す。 一足一足を丁寧にと心がけて進んだ先に、独標の頂が現れた。 喜ぶ青パンブラザーに、青パン師匠が一言… 「…ここからだ。」 その一言の重さは、一歩先に踏み出すと理解するのは容易だった。 正に山との戦いのゴングが鳴らされたのである。 岩肌を下る恐怖心を押さえ、慎重に手を足を下ろしていく。 一心不乱、そんな言葉がしっくりとくる場面は日常生活では少ない。 しかし一心不乱でなくてはいけない現実が、今ここにある。 そんな無心な状態をつづけ、ピラミッドピーク、そしてチャンピオンピークにたどり着く。 遠かった西穂高岳の頂が、だんだんと近づいてくる。 行けるかも、っと思った矢先に、それを見透かすように師匠の「気を抜くな」の一言。 恐怖心を払拭したいが為に、前のめりになりすぎると、必ずブレーキの一言が入る。 楽しみすぎるな、怖さを感じて進めと。 山頂間近の難関を越えた先に、その頂はあった。 素直に喜びあうブラザー。 そして安堵と嬉しさが入り交じった笑みを見せる師匠。 この揃いのユニホーム青パンを、今まで以上に誇らしく思わずにいられなかった。 西穂高岳山頂と書かれたその一本の木を抱きしめていると、同じく地元の山の戦士たちが「ドラえもん」だと鈴をつけてくれたのが、なんとも嬉しく。 下山の道程を、行きの道程以上に慎重にという教えを頭の中で繰り返し、まずは山荘~駅へ到着。 帰りの途。 大雨降りしきる無人の温泉を、大の大人3人がはしゃぎながら賑わしく浸かる。 そんな中、子の成長を嬉しく思う父のような微笑みを浮かべた師匠の横顔を見逃さなかった。 師匠、ブラザー。ありがとうございました。 青パン三従士の名に恥じぬよう、これからも精進してまいります。

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