両神山 鎖場天国の八丁尾根から登る

2022.06.18(土) 日帰り

活動データ

タイム

06:10

距離

5.6km

のぼり

882m

くだり

864m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
6 時間 10
休憩時間
48
距離
5.6 km
のぼり / くだり
882 / 864 m
42
32
21
20
23
16
31

活動詳細

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2022年6月18日土曜日、秩父の百名山「両神山」に登りました。両神山は百名山の中でもややマイナーで取っ付きにくい雰囲気のある山です。秩父の奥地という立地もさることながら、鎖場が連続するルートを擁する険しい山であることも、そのような雰囲気を醸し出している要因でしょう。 4月に二子山に登った時、両神山の山頂へギザギザと続く異様な姿の稜線が見え、そこを歩いてみたい気持ちが高まりました。両神山は標高が1723mと百名山としては低く、夏は暑すぎて登山に向きません。アカヤシオなどの花の季節も終わった梅雨の時期。最適の時期とは言えませんが、我慢できずに山へ向かいました。 今回は両神山の数ある登山ルートの中でも最も個性的で険しい「八丁尾根ルート」から山頂を目指します。 【お知らせ】 コース詳細ガイド動画を公開しました!よろしければぜひご覧ください。 ★両神山 八丁峠コース詳細ガイド「鎖場天国は鎖場地獄?」 https://youtu.be/pVws5dTv9eY ★ひとり登山チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCMIE12AHq1elXrToA88tqAg 【アクセス】 秩父市街から国道140号を西へ走り、滝沢ダムのダム湖に架かる中津川大橋の直前で県道210号へ右折。中津峡に沿ってどんどん山奥へ進んで行きます。ダム湖からは携帯の電波どころかGoogleマップがGPSを掴まなくなりました。石灰採取工場などを越えて山道を奥へと進みます。手掘りのようなトンネルを通ったり、廃墟のような建物の横を通ったり、夜は完全にホラー映画の舞台でした。(早朝から行動したかったので車中泊です)しばらく行くと林道になり、道の真ん中に小さな落石があったり路肩に土砂が積もっていたりの荒れた道になります。ですが、道はずっと舗装されているので慎重に運転すればパンクの心配はないと思います。 ダム湖の分岐から210号線を走ること約30分、道の左側に8台ほど駐車できる無料の上落合橋駐車場があります。このすぐ先に上落合橋登山口があります。ちなみに車道をそのまま進むと八丁隧道を抜けて国道299号へ抜けられますが、2022年6月現在通行止めになっていてこれ以上は進むことができません。 上落合橋駐車場が満車の場合、来た道を少し戻れば路肩に駐車スペースが何か所もあります。それほどメジャーなルートではありませんので、全てが塞がることはないと思います。私は前夜から車中泊をしましたが、4時半頃までは完全に貸し切り。下山した11時台は駐車場のみ満車で路肩の駐車はゼロでした。 ★ラストの写真の通り、今年の7月1日から平日の8:30~15:30は途中のトンネル工事のため駐車場までの道が全面通行止めになります。平日はほぼ登山不能になるようですのでご注意ください。 【ルート概要】 ①上落合橋登山口~八丁峠 登山口にあるハシゴを登って登山スタート。しばらくは沢の左側をゆるやかに登っていきます。一枚岩が削られた滑らかな沢や小さな滝を右に見ながら気持ちよく歩きます。少し行くと道は沢から離れ、左の急な斜面をつづら折りに登っていく道になります。手を使って登るような岩場はありませんが急な斜面です。登山口から標高差約350m、50分程登り続けると、八丁峠に到着します。分岐を左に少し進むとテーブルとベンチが置かれた展望台があります。木の葉が落ちる冬以外は全く展望がありません。 ②八丁峠~西岳 八丁峠からしばらくなだらかな道ですが、鉄塔の跡を通り過ぎた辺りから徐々に傾斜がきつくなっていきます。そして峠から10分程で1つ目の鎖場が出てきます。ここから両神山山頂まで約20か所の鎖場があり、30本を超える鎖が設置されているそうです。中には数10m続く長い所やオーバーハングした崖を登る箇所もあります。鎖がない場所も基本的には岩の道で、手も足も使って進むことになります。 峠から30分程進むと1つ目のピークに到着。そこからは両神山の山頂とそこに続く八丁尾根が見渡せます。両神山があまりにも近くに見え、平坦な道ならすぐについてしまいそうに思えます。ところが、せっかく登り切ったピークをまた下り、再び急な斜面を登ります。 アップダウンを繰り返し長い鎖場を登りきると「行蔵峠」のピークに着きます。峠というよりは山頂のような地形です。地形図ではすぐ先が西岳ですが、かなりの崖を下ってまた登ると、ようやく西岳に到着。八丁峠から800m程の道のりにも関わらず1時間近く掛かりました。 ③西岳~東岳 西岳の端まで行くと両神山山頂が見えますが、あまり近付いた実感が得られません。足元はかなりの傾斜で下りていく岩場、そしてその先にほぼ垂直にそびえ立っているように見える東岳が見えます。 西岳から急傾斜を下り切ると、岩が庇のように張り出したところに出ます。雨が降ってきたときの避難所にもなります。そして西岳から20分程進んだところの長い長い鎖場を登り切ると、小さな社があるピークに出ます。その社の後ろには「尾の内ルート」への分岐があります。入口を完全に塞ぐように厳重に張り巡らされたトラロープと警告の看板が、間違えて進むと危険であることを示しています。地図にもこのルートは載っていません。 その先は蟻の戸渡りのような細い岩の上を歩く場所があったり、オーバーハングした岩を登る鎖場があったりと、このルート上で最も危険で困難な岩場が続きます。岩を直登するか左右に巻くか、迷いやすい箇所もあります。 西岳から800m程の道のりを50分程掛かって辿り着いたピークが東岳です。山頂は少し広くなっており、ベンチとテーブルが1セットありました。北側の眺望は両神山山頂よりも良く、二子山やその奥の群馬の山々、武甲山に続く秩父の山々などが良く見えます。このルート上で最高の休憩場所です。 ③東岳~両神山山頂 東岳から先は今まで比べればなだらかな道が多くなります。地形図を見るとなだらかな稜線上を進めばいいように見え、すっかり油断して手袋を外してリラックスして進みました。ところが、両神山直前のピークを過ぎた辺りに標識が出てきました。どう考えても尾根上を直進したくなる道ですが、そちらは行き止まり。左に降りて行ってしまうように見える方に向かって「両神山頂」の指示標が。何かの間違いのようですが、標識を信じて斜面を降ります。尾根の左の斜面を横切るように道が続き、最後にまたしても鎖場。この鎖場が長い上、岩が「逆層スラブ」のようになっていて掴みにくく滑りやすい。慎重に登っていくと岩場の先に明るい空が見え、唐突に両神山山頂に飛び出します。登山口から山頂までは3㎞にも満たない距離ですが、所要時間は約3時間半。横より縦の移動が多く感じられるとてもハードなルートでした。 両神山山頂には木も多く生えていますが、場所を選べば色々な方角の展望が楽しめます。晴れた日には奥秩父の山々やその奥に八ヶ岳、富士山、アルプスなどの山々が見渡せます。 両神山山頂から登山口へは作業道で下山すると1時間半ほどで下れるそうですが、現在は通行止め。来た道を戻ります。八丁峠までは登り同様アップダウンを繰り返すので足も手もヘトヘトになります。八丁峠からはずっと下りで登山口に戻ることができます。 【感想】 八丁尾根ルートで登る両神山。全身を使って進むトゲトゲの岩尾根歩きは、体力的にも技術的にも難易度の高いコースでした。しかし、尾根上の色々な所から楽しめる眺望や、変化に富んだ登山道、全身を使うアスレチック感が楽しめる、両神山の個性が凝縮されたようなコースでもありました。鎖場に慣れた人が慎重に行動すればそれほど危険な箇所はありません。とても楽しいおすすめのコースです。 このルートですれ違った方は全員ヘルメットを着用していました。また、ほどんどの場所で手を使うので滑り止め付きの軍手がおすすめです。(ワークマンのTAKUMIという軍手は100円程度なのに最高でした)

両神山・諏訪山・二子山 早朝の上落合橋駐車場。駐車は2台。
早朝の上落合橋駐車場。駐車は2台。
両神山・諏訪山・二子山 上落合登山口。このハシゴから登山スタート。
上落合登山口。このハシゴから登山スタート。
両神山・諏訪山・二子山 現在、車道はここから通行止め。
現在、車道はここから通行止め。
両神山・諏訪山・二子山 始めは沢沿いを歩く。鳥の声が心地よい。
始めは沢沿いを歩く。鳥の声が心地よい。
両神山・諏訪山・二子山 大岩の横を抜けると急登が続く。
大岩の横を抜けると急登が続く。
両神山・諏訪山・二子山 八丁峠の展望台。展望なし。
八丁峠の展望台。展望なし。
両神山・諏訪山・二子山 八丁峠。ほかのルートへの分岐あり。
八丁峠。ほかのルートへの分岐あり。
両神山・諏訪山・二子山 少しだけツツジが咲いていた。
少しだけツツジが咲いていた。
両神山・諏訪山・二子山 鉄塔の跡か。
鉄塔の跡か。
両神山・諏訪山・二子山 根っこを掴みながら上る。
根っこを掴みながら上る。
両神山・諏訪山・二子山 ついに鎖場出現。
ついに鎖場出現。
両神山・諏訪山・二子山 急で長い鎖場が連続する。
急で長い鎖場が連続する。
両神山・諏訪山・二子山 1つ目のピークから両神山山頂とそこに至る稜線が一望できた。
1つ目のピークから両神山山頂とそこに至る稜線が一望できた。
両神山・諏訪山・二子山 ダリの作品みたいな木。
ダリの作品みたいな木。
両神山・諏訪山・二子山 岩尾根を乗り越えていく。
岩尾根を乗り越えていく。
両神山・諏訪山・二子山 岩場に咲く花。
岩場に咲く花。
両神山・諏訪山・二子山 物凄い急登が待ち受ける。
物凄い急登が待ち受ける。
両神山・諏訪山・二子山 鎖場多数。
鎖場多数。
両神山・諏訪山・二子山 登り切ったピークが行蔵峠。
登り切ったピークが行蔵峠。
両神山・諏訪山・二子山 まだまだ鎖場が待ち受ける。
まだまだ鎖場が待ち受ける。
両神山・諏訪山・二子山 西岳到着。
西岳到着。
両神山・諏訪山・二子山 西岳の東端より両神山を望む。手前の東岳がそびえ立っている。
西岳の東端より両神山を望む。手前の東岳がそびえ立っている。
両神山・諏訪山・二子山 下り切ったところに岩の庇。雨宿りできそう。
下り切ったところに岩の庇。雨宿りできそう。
両神山・諏訪山・二子山 長い鎖場。
長い鎖場。
両神山・諏訪山・二子山 小さな社。この後ろに「尾の内ルート」への入り口あり。
小さな社。この後ろに「尾の内ルート」への入り口あり。
両神山・諏訪山・二子山 蟻の戸渡りのような岩尾根。
蟻の戸渡りのような岩尾根。
両神山・諏訪山・二子山 登りにくい鎖場。
登りにくい鎖場。
両神山・諏訪山・二子山 オーバーハングした岩を登る
オーバーハングした岩を登る
両神山・諏訪山・二子山 長く急な鎖場を登り切ると、
長く急な鎖場を登り切ると、
両神山・諏訪山・二子山 東岳山頂からの眺め。遠くの三角が秩父の奇峰「武甲山」
東岳山頂からの眺め。遠くの三角が秩父の奇峰「武甲山」
両神山・諏訪山・二子山 二子山が良く見える。
二子山が良く見える。
両神山・諏訪山・二子山 東岳山頂は休憩に最高
東岳山頂は休憩に最高
両神山・諏訪山・二子山 きれいな苔
きれいな苔
両神山・諏訪山・二子山 なだらかな道が続く。
なだらかな道が続く。
両神山・諏訪山・二子山 尾根上を直進するルートは行き止まり。左に下って尾根を巻く。
尾根上を直進するルートは行き止まり。左に下って尾根を巻く。
両神山・諏訪山・二子山 最後にまた鎖場。もうないと油断していた。
最後にまた鎖場。もうないと油断していた。
両神山・諏訪山・二子山 逆走スラブのような掴みにくい岩
逆走スラブのような掴みにくい岩
両神山・諏訪山・二子山 あの岩の先に見える空は…
あの岩の先に見える空は…
両神山・諏訪山・二子山 両神山山頂到着。
両神山山頂到着。
両神山・諏訪山・二子山 この岩が本当の山頂
この岩が本当の山頂
両神山・諏訪山・二子山 山頂より南側を望む。
山頂より南側を望む。
両神山・諏訪山・二子山 不思議な苔
不思議な苔
両神山・諏訪山・二子山 帰り道の東岳山頂より。水墨画のような山の連なりが美しい。
帰り道の東岳山頂より。水墨画のような山の連なりが美しい。
両神山・諏訪山・二子山 イワカガミは花が終わっていた。
イワカガミは花が終わっていた。
両神山・諏訪山・二子山 岩尾根を越えていく。
岩尾根を越えていく。
両神山・諏訪山・二子山 東岳を振り返る。
東岳を振り返る。
両神山・諏訪山・二子山 八丁峠から下る。バイケイソウが地面を彩る。
八丁峠から下る。バイケイソウが地面を彩る。
両神山・諏訪山・二子山 暗い森に一点だけ光が差していた。ヘルメットを脱いで一休み。
暗い森に一点だけ光が差していた。ヘルメットを脱いで一休み。
両神山・諏訪山・二子山 下山後。駐車場は満車だが路肩スペースは駐車ゼロ。
下山後。駐車場は満車だが路肩スペースは駐車ゼロ。
両神山・諏訪山・二子山 7月から平日は登山が困難になります。要注意!
7月から平日は登山が困難になります。要注意!

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