活動データ
タイム
26:49
距離
55.3km
のぼり
4318m
くだり
4245m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る信仰と修行の比叡山と、琵琶湖を眺めて縦走できる比良山系。これをつないだ比良比叡トレイルは50kmを越える山岳ロングトレイル。 鯖街道80km、大峯奥駈け98km、熊野古道小辺路73kmにいった私にとって一度は行ってみたいトレイル。 大峯奥駈けは別にして、他の2つはロードが結構あったが、こちらはほとんど山岳縦走のみ。距離は短いが侮れない。早速、下調べ。フォローさせていただいているマーブルサクラさんやトレランの方々のレポがあるが、みんな速い。いつものようにコースタイムキープで計画した。コースのうち、特に情報の少ない比叡トレイル部分は、ソラノカナタさんの山ガールの作り方ブログを参考にさせていただきました。ありがとうございました! マーブルサクラさんによると、およそ28時間のコースタイムのようなので、山中で二泊すれば良さそう。行き帰りにJR湖西線がつかえるし、下山後はくつき温泉てんくうでさっぱりして帰りたいので、比叡山から行くことにした。諸事情から昼過ぎに麓の坂本を出発し、できるだけ北上して山中でテン泊。一旦下山して、登り返して、できれば八雲が原まで行ってテン泊したい。ここまで来れば3日目は余裕で下山してお風呂に入れる。このGWにやすさんが同じ2泊3日で同じコースで行かれたので、トレースをダウンロードさせていただきました。やすさん、ありがとうございました🙇♂️。 テン泊装備は奥駈けに使用した自立型シェルター。これならギリギリ遅くまで歩いて、暗がりでも素早くテントを建てられる。シュラフはモンベルの5番にして、そのかわりシュラフカバーとダウンと化繊の上下を持参して寒さ対策とした。マットはザックの背面パッドのみ。食事はアルファ米、カップラーメン、パンの大袋2つ。ゼリーなど欲しかったが、重いのでやめた。粉末コーヒーなど嗜好品も最小限にして修行にふさわしい内容にしてみた。ただし、緊急時の対応は怠りなく、暗がりでの行動もあるので、ヘッデン2台、ラジオ、浄水器も装備に入れた。水2Lを入れて10kg丁度(サコッシュは除いて)。うーん、もう少し軽量化したかったのだが・・・。 【1日目】タイム06:23、距離16.1km、上り1507m、下り1053m、カロリー3184kcal 比叡山坂本駅12:45―明王堂14:23―ケーブル延暦寺14:38―延暦寺根本中堂14:50―阿弥陀堂14:55―14:59山王院―15:13釈迦堂―15:36峰道レストラン16:10-16:21玉体杉―16:32横高山―16:46水井山―17:21仰木峠―(雷雨で停滞)-18:06小野山―18:36梶山―19:11宿泊地 さて、午前中のお客様との打ち合わせを終えてお休みさせていただいて、比叡山坂本駅へ。今日は急ぎなので、ちょっと急ぎ足。天台宗の千日回峰行で通られる無動寺坂を登る。多少荒れており、昨夜の雨で湿っていて滑りやすいが全く問題ない。信仰の道だと思いありがたく登らせていただく。下山してくる女性が一名。この方が出会った唯一の登山者だった。明王堂まで行くと境内がきれいに掃かれており、熊手の後がきれいに付けられているので、思わず端を静かに歩いた。礼拝して戻ると、向こうから若いお坊さんがやって来た。 🙏「どうぞ真ん中をお通りください」 👀「いえ、きれいに掃かれているので・・・」 🙏「いえ、また、夕方には掃きますので」 👀「ありがとうございます。それでは通らせていただきます」 そうなんだ。夕方には、また掃除をされる。それも修行なんだなあ。このやり取りで、私も心が少し浄化された気がした。ありがとうございます。また、お参りに来ますね。 この辺りはコンクリートの坂だが結構きつい。山道よりきつい。お坊さんたち🙏は大変だなあ。ここから坂本ケーブル駅、根本中堂(修復中でカバーがかけられている)を通り、以前に登ったことがある大比叡はパスして、京都一周トレイルと合流する橋を渡って西塔へ向かう。ここまでの登りは快調で、峰道レストラン(ラストオーダー16:30)に立ち寄って食事できた。平日の夕方、お客はほとんどおらずに静かに食事できた。 ここは自販機とトイレの最終地点。PETボトルの水を補給して、さあ、できるところまで北上しよう。夕暮れ19時までには梶山(実は大尾山)あたりまで行けそうだ。奥琵琶湖ドライブウエイと並行した山道を行く。比良比叡トレイルは横高山、水井山には登らずに横川に下るのだが、京都一周トレイルは稜線伝いに横高山、水井山に登るので京都一周トレイルで進む。根が張り出しており登りにくいが苦になるほどではない。ただ、昨夜の雨でぬかるんだ道には時々水たまりがあり、この上に木の葉が乗っているので思わず足を踏み入れてしまった。 仰木峠付近まで来ると、しばらく前から曇り空だったのが雷鳴まで聞こえてきた。北上するにつれてどんどん雷鳴は大きくなり、西風が強くなり、ひどく雨が降ってきた。カッパを着て進むが今度は周囲が真っ暗になってきたのでヘッデンを点ける。雷はすぐ近くに何発も落ちてくる。どうも雷雲に掴まったようだ。樹林帯ではあるが大きな木の下は危ないので、比較的小さな木の近くて雷の通過を待とうとすると手に痛みが。見ると雹が降ってきた。あたり一面にザーっと大きな音で1cmくらいの雹が落ちてくる。先ほどまでとは別世界。さあ、どうする? 夕立には間違いないので、時間が経てば回復するだろう。あわててここでテント立てても全部濡れるだけ。とりあえず、体力を温存して、体温の低下を防ぐことにしよう。風下の東側斜面の少し降りて、切り株に腰掛けてじっとして時を待つ。10分か15分くらいであろうか、雹から雨に代わっていたのが少し和らいだようだ。そのうちに雷鳴も少し遠ざかった気がした。そうすると、これまで全く聞こえなかった鳥たちのさえずりが一斉に聞こえてきた。「凄い雷だったよねえ」そんな会話をしているのだろうか。自然のことをよく知っている鳥たちのさえずりをきいて安心して先に進むことにした。やがて、雲が通り過ぎて随分明るくなってきた。 雷による停滞を挽回するために夕闇まで先を急ぐ。しかし、小野山からの急な下りは今の雷雨でズルズルにぬかるんでおり、一度尻元をついてしまった。雨具と手袋はドロだらけ。どこかでテン泊適地を探さないといけない。当然、登山者は居らず、いろんな動物が出るかもしれないので、動物が現れにくい人工物のあるところを探す。東側に時々林道があり、地図でも確認していた。これの近くに張ろう。このあたりの林道からチャリで登られたレポも見ていたので状況は把握できていたので、登山道が林道に最接近したところのスペースにテン泊することにした。シェルターを建てていると「ピユー」とシカの声。警戒されているようだ。体温保持のため、濡れた服を着替えて、温かい紅茶とコンビニおにぎりを食べて一日目を終了した。 【2日目】タイム11:45、距離22.2km、上り2105m、下り1735m、カロリー6038kcal 宿泊地04:47―伊香立峠05:20―小出石越05:33―06:07魚の子山―06:14宮メズラ山―07:04還来神社07:06―09:23霊仙山―09:47ズコノバンー10:35権現山10:36―11:14ホッケ山11:20―11:44小女郎峠―蓬莱山12:13―12:30レストランバードキャッスル12:37―12:46打見山12:53―13:02木戸峠―13:38比良岳(P1051)―13:49比良岳道標―13:58葛川越14:03―14:21烏谷山―14:47荒川峠―15:03南比良峠―15:41東レ新道分岐―15:52金糞峠―15:55金糞峠西側下の分岐―16:27八雲ヶ原泊 あまり眠れなかったが、夜中に灯りを点けると、またシカがピューッと鳴く。パトロールしているのか、こちらの行動を警戒しているようだ。今日は一旦降りて、登り返したうえで稜線縦走しないといけないので頑張らないと。3時50分には起きたのだが、食事して、もたもたしているうちに、出発は5時近くになった。昨夜の雷雨でますます緩んだ土の道を、水たまりを回避しながら進む。幸い、気になる虫などは現れず、ヘビも見かけない。念のため、ずっと熊鈴をつけているが、ラジオもONにして用心した。ラジオを使用するのは、栂海新道以来だ。あの時も今回も放送されるのは健康食品のコマーシャルばかり。何とかならんものだろうか。 宮メズラ山からは強烈な下り。昨夜、無理してここを通っていたら厳しかっただろうなあ。あそこで泊まって正解だった。ここを登てくるトレランのお兄さんに出会った。今日の一人目。このルート、あちこちにテン泊できそうなところがあり、その点では心配する必要ななさそうだ。 沢を渡ってしばらくすると、スピードを出した車が頻繁に通る途中越えへの国道に出た。この道を西50mくらい先に自販機がある。これも事前の情報通り。ここでポカリを購入して登り返しに備えた。還来(もどろき)神社はきれいなお社だった。土曜の早朝、だれも通らない道路を10分ほど歩いて、霊仙山への登り口だ。ゲートは鍵付きで閉まってはいるが、細身(ウソ!)の私は体を横にして通ることができた。作業用と思われる林道を登り、一旦、右に降りて下り、再び上り返す。すでに日差しはばっちりでオーバーヒート。意味不明のズコノバンはテン泊適地。ここから急登でハーハー言いながら登ると、下山してくる方が居られた。ヤマツツジの赤い色が見えてくると山頂は近い。 登山者が多数おられる権現岳。子供連れの団体さんは葛川(かつらがわ)から登ってこられたのかな。賑やかなので早々に退散して、ホッケ山、小女郎峠と進むとリフトの見える蓬莱山。この辺り、とっても久しぶりです。蓬莱山から打見山まで、琵琶湖ン絶好のビューポイント。いろんなアトラクションができていて、冬のスキー場をうまく活用、展開しましたね。家族連れ、若者たち、・・・沢山の人で賑わってました。 中間時点にある笹平の自販機でアクエリアスを購入。ここからゴール地点の朽木(くつき)グリーンパークまで自販機はない(打見山の自販機は営業中は購入できる)。打見山からロープをくぐってスキー場の急斜面を降りる。右に見える旧キャンプ場を右に行くと木戸峠。ここから金糞峠までは未知区間。比良岳へは直登で、烏谷山(からとやま)への登りは結構きつかったが、どこもあまり危険ではなかった。時折、空からゴロゴロと聞こえる。昨日の雹を思い出し、自然と急ぎ足になる。金糞峠から谷に降りるとテン泊1名、さらに八雲が原に向かって進むと川沿いにもテン泊1名。お二人とも静かなテン泊を満喫されるのだろうな。少々わかりにくい川を行くと八雲が原。すでに10張りくらいのテントが見えるが、まだ、大丈夫。間隔を十二分に取って張ることができた。今日は早く着いて良かった。 イブルキのコバ方面へ登山道を10分ほど行くと水場があるので、そこで給水して夕食とコーヒーで最後の一夜を楽しんだ。池のほとりだが、虫は少なく、蟻がテントに上がってきてた。カエルの鳴き声を聞きながら早くに眠りにつくことができた。 【3日目】タイム08:39、距離15.7km、上り875m、下り1624m、カロリー3954kcal 八雲ヶ原04:38―04:51イブルキノコバー05:25コヤマノ分岐―05:38武奈ヶ岳05:48―05:53細川尾根分岐―06:13細川越―06:36釣瓶岳―07:10イクワタ峠―07:55地蔵山―08:00地蔵峠―08:36ヨコタニ峠―09:04ボボフダ峠―09:27滝谷ノ頭―10:21蛇谷ヶ峰10:31―10:35 866m分岐―10:41カツラの谷分岐―10:54 670m点ベンチー11:07釜の谷分岐―11:21釜の谷―11:37釜の谷登山口11:39―11:45くつき温泉てんくう入浴12:51―13:15朽木支所前バス停 最終日。今朝はお湯で3分で出来上がるモンベルのリゾッタを食べたが、いまひとつだった。早くて簡単だけど、尾西の方が美味しい。今日は時間的に余裕があるが、暑くなりそうなので早めに出発。イブルキノコバから稜線に上がる途中で日の出を見た。ブナ林がきれいに輝く。その素晴らしい光景はここに登らないと味わえないよねえ。とってもおすすめ。 武奈ヶ岳に登る途中で下山してくるソロ2名に出会ったが、山頂は誰も居なくしばらく独り占め。大好きな西南尾根、昨日登ってきた蓬莱山方面を眺める。京都方面も山だらけ。これから進む釣瓶岳、蛇谷が峰はそれほど遠くない。13時過ぎ頃には着ける予定をしている。でも、何があるかわからないので気を抜かずに行こう。動物との遭遇を避けるために、ここから再びラジオを点ける。 武奈ヶ岳からの下りは急なこともあるが、整備状況が、八雲が原―武奈ヶ岳とはだいぶ違う気がする。なかなか整備が追い付かないのだろうか。それでも、危険ではなく、石を落とさないように下る。随分前の晩秋にこの辺りを縦走しているが昔過ぎて全く記憶がない。それほど印象に残らなかったのか、今回も、釣瓶岳まではなんともなかった。でも、そこからイクワタ峠、笹峠まではきれいな笹の原が続いており、スケールは小さいながら、鈴鹿の清水ノ頭から雨乞岳の稜線みたいだ。とてもよかった。ここだけなら、何度でも歩きたい。でも、日差しが強くなってきて、日光をまともに受けた東の笹原からの風は熱風。でも、樹林帯に入ると日陰に入って、風は少々弱くても涼しい。今日は時間があるので、まめにザックを降ろして休憩していく。 地蔵山辺りは隣に林業用の林道が走っているので、そちらを使っても良さそうだし、テン泊できるスペースも豊富にある。地蔵峠のすぐ北にお地蔵さまがいらっしゃった。湯飲み茶わんの水には蟻が嵌っていたので、自分の新しいいお水に替えておきました。麓の畑から横谷峠を通って登られてきた登山者が武奈ヶ岳以降で初めて会った方だった。さらに進むと蛇谷が峰への登りで二人連れが下りてこられた。八雲が原でテン泊されるそうだ。これから暑いし日差しが当たるので気を付けて。蛇谷が峰は大きく裾野を広げているのでもう少しかかるかと思ったけど、案外すんなり登れた。登山者が数名いらっしゃった。みんな座って360℃の景色を楽しんでいる。私も行動食のパンを食べたが、日陰のない山頂は暑すぎるので早々に下山に取り掛かる。 下山には幾つかの分岐があるが、グリーンランド想い出の森に向かえば良い。ただ、552mの釜の谷分岐では、新しい札がかかっている左方向2.3kmに行かずに、古い表示の右方向1.8kmに進むこと。そうすれば以前のルートから外れるが新たに付けられた尾根筋のつづら折れを下っていく。以前の谷筋のトラバースより安全なルートと思われる。 こうして降りていくと沢山の登山者が登ってこられた。今日は真夏日みたいな直射日光の暑い日になった。早くに降りてきて正解だった。この暑いのに、よく登っていかれるなあ。酷暑にヘロヘロしながら、くつき温泉てんくうに到着。ここでさっぱり洗い流し、全部着替えて、麓の道の駅まで歩いて降りた。でも、安曇川行きのバスは13時台はなく、14時35分発だった。着いた時刻は13時20分😂 コンビニでゼリーなど買って、誰もいない待合所で食べて、のんびり日陰の酷暑を楽しんだ。 このトレイル、熊野古道みたいに最後に比叡山にお参りできるよう、南下したほうが良いのかもしれない。権現山から打見山までの絶景、釣瓶岳から笹峠までの笹原の稜線など見どころはたくさんある。さらに今回は、落雷に遭遇して雹に打たれたり、酷暑でヘロヘロになったり、色々経験できました。
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