活動データ
タイム
10:05
距離
18.2km
のぼり
1874m
くだり
1731m
活動詳細
すべて見る「なぜ南奥駈道を歩こうと思った?」 私の自問自答の答えはこれ…。 熊野のあの大鳥居、大斎原(おおゆのはら)の鳥居をくぐってみたい。その地にたどりついた自分が、いったい何を感じるのか、それを純粋に知りたい、ということ。 南奥駈道の起点、太古の辻に立った時から、そしてさらに、肉眼であの鳥居をたまたま見てしまった時から、あそこに行きたいという衝動が、ふつふつと大きく膨らんでいったのがわかる。 その夢は本能のように熱くなり、具体的に調べるようになって、それを考えるときワクワクし、熊野関連の本を読むときは何かこの衝動の理由の答えが見当たらないか?と気になり、実際その道へ今、歩いているのだ思うと、足が喜んで進もうとするから、不思議だ。 車二台を使ってのスライド作戦での南奥駈道は二回目。 今回は、おりさんと私が行仙岳から南下して、この日最高峰の笠捨山(1352m)、鎖場の地蔵岳、香精山、如意宝珠岳、を経て、玉置山までの約18キロを計画。 もう一台でスライド予定のつなぽんさんは、玉置山駐車場から、北上ルートを。 この日もどこで出会えるだろう?と、ワクワクである(*^^*)♪ 今回のルートは、細かなアップダウンに加え、中間地点で大きく下ってまた登るという標高差グラフになっており、軽快なつなぽんさんは、どこまで先行してくるかな~と、想像がつかなかった。 なので、実際あえたときは、その出会い方がまさかの意表を突かれて、大爆笑!あごがはずれるほど笑ってる写真を激写されてしまった(≧∇≦)! 前日の土曜は危うげな天候だったが、この日は快晴が確約されたような太陽のもと、気持ちよく白谷トンネル登山口からスタート!一度のぼった行仙岳、少し馴染みに感じて、すぐ山頂に着くような錯覚に。そんなわけないか~(笑)(^^;) あいかわらずの、激汗、半袖とアームカバーで十分。ハァハァのあたしに対し、まったくもって、通常トークの涼し気なおりさん。あれ?この構図は、先日のパワフルゆきの時と一緒だ?!そんな登りスタートで、鉄塔のみえる山頂をめざす。 見渡せば、眼下に美しい雲海が…!青い空に眩しい太陽が東から昇り、広がる雲海。なんて神々しい!この時間、この場所にいられるからこそ見られるこの景色!もう、ここで連れてきてもらえた感謝でいっぱい。 行仙岳分岐から、奥駈道で、笠捨山を目指す。 美しい新緑にうっとりしながら、南奥駈道を歩いているという実感をかみしめて、歩みを楽しむ。 もう二度とここを歩くことがないだろうという気持ちで。そう思うと、すべてが一期一会、巡ってくる時間、景色、この身体感覚、すべてを受け止めることが幸せに思える。 笠捨山への急登が始まる。 秀麗な山容が見えた時は、あの山かぁ…!と、以前、釈迦が岳山頂から遠くの南に、台形の山容を見えたことを思い出す。あそこを今まさに目指している!あのふもとまで来たんだなぁ…と。 とんでもなく距離は長そうに思えたが、そんな興奮のもと、いつのまにか急登を続けていたら山頂についた。そこでも絶景…! このあたりの鉄塔のために切り拓かれた尾根からは、はるか北に、その釈迦が岳の美しい姿が見えた。 孔雀から仏生嶽の奥駈稜線も肉眼でしっかりと連なって見える。この日も空気が澄み切って、奥深い山々がたくさん顔を見せてくれてる。ありがとう大峯! そんな感動に足を停めながら、この日の私にとっての核心部、地蔵岳へと進む。 夢にまで不安で出てきた垂直下降ぎみの6m。果たして高所恐怖の私は大丈夫だろうか? 前に30Lザックを購入したのだが、結局、20Lのトレランザックが使いやすく、首を後ろに傾けても頭がザックに当たることなく、身体の密着性と身軽さもあり、必須非常品と1.5Lの飲料など入れても十分だった。靴もトレラン靴。もうこのスタイルがロングの定着。徐々に鎖場が出てきて、気を引き締める。 槍が岳。尖がった槍のような岩場の麓に靡きがあった。てっぺんに登ったが、何もなかった。 地蔵岳。仏生嶽山頂でみた、お地蔵さまと同じようなお姿がそこにあった。 そして、いくつかの鎖場は足場もしっかりしており、整備されてるので、難なく通過。 そして、鎖場の最終部に出てきた、この下への鎖、ここだ。ほぼ真下、垂直にちかい角度で、下の地面まで岩の傾斜がすっと落ちている。 けれど、よく見ると、突起、へこみ、足場が確保できそうだ。鎖も二本ある。 慎重に降りたら、短足の私でも、恐怖心も高まることなく、冷静に普通におりれた。ほっ・・・良かった(*^^*) 核心部、無事突破! 185センチのおりさんは、数回足を曲げただけで身軽におりてくる。同じ人間の違い、ここまで余裕さがちがうかぁ~(^^;) そんな話をして、今降りてきた岩場を見上げて、無事に降りれて良かったわぁ…なんて言ってたら、ぎょっっと、ひるんでしまった。人がいる…! すぐ前方の真上に仁王立ちの人の気配。それまで誰とも出会わなかっただけに、え?人間がここに?と、鎖場が終わった安堵から一転、超びっくりして、一瞬ひるんで見上げる。 そこにはカメラを構えて、こちらをじ~と見てるつなぽんさんが・・・‼ 「あーー!」と大爆笑!こんなところで、しかも静か~に、見つからないよ~にこちらの写真とってて!(≧∇≦)! つなぽんさん曰く、「声がしたから、あ、二人がいるな~と思って」と。そ~っと、近づき、岩場を降りるところから、写真を撮ってたらしく。無事におりきってから、姿を現したつもりらしく、でも私らが全然気づかないから可笑しくてたまらなかったらしくて。もお~~!と先にやられた感で笑ってしまった。 互いの姿が遠くからみえるスライド再会を想像してただけに、先に気づかれた今回は、想定外!ま、こんな瞬間が、疲れが吹っ飛び、めちゃくちゃ楽しいひととき(*^^*)♪ 今までのことを互いに話ながら、一緒に早いお昼ご飯をたべ、またの合流を約束して別れた。 そこからは、しだいに、植林の樹林帯にはいり、景色のトーンがかわっていく。 その尾根上、峠に、たくさんの靡きがおかれていた。 玉置山がどんどん近づき、舗装路沿いの、山道を穏やかにのぼっていく。 玉置山展望台から見えた景色は、さきほど歩いてきた、笠捨山がもうはるか向こうにみえる。 まだ数キロしか離れてないはずなのに。 そして、北に見えていた釈迦が岳も、中八人山ごしに見えるほど、遠くなってしまった。それだけ、人間の二本の脚で一歩一歩を積み重ねて歩いてこれたということか…。 かつえ坂にはいり、待ち焦がれていた玉置山が近くなるのがわかる。 今年1月。呼ばれたかのように偶然訪れることができた玉置山と玉置神社。 けど、今回は、自分が行きたくて、本当にあの神社の神様にもう一度参拝したくて、意志のもとにここを目指して、自力で南奥駈道を歩いて到達するという、まったく違うアプローチ。 神々のような、数百年以上生きている細胞の集合体の、御神木の存在。 そして地中どこまでも深く眠っているような神様の玉石。 ふたたび、あれを見ることができるという嬉しさで、山頂目前の坂道は、この日はじめて走りだしてしまった。玉置山、山頂に、ふたたび立てる…!ただただ、興奮の衝動。 そこには、待ち焦がれていた玉置山の山頂がかわらずあった。 宝冠の森の尾根が連なり、山々に響かせる鐘、沖見のお地蔵さまが待っていてくださった。 熊野灘は霞で見えなかったが、必ず東の先にあるのがわかる。 あぁ、無事に玉置山に迎えてもらえた。感激だった。 そこからは、玉置神社に下りて行く。森林の匂い、土のにおい、清浄な空気にみちた、玉置神社の空気感。 たくさんの御神木に挨拶をさせてもらい、神代杉の圧倒的な存在感にはやはり言葉を失う。 樹齢3000年とも言われる神様の木。再び出逢うことができて、無事にここまでたどり着かせてくれて、ありがとうございます、その気持ちばかりだった。 そして以前お世話になった会いたい人にも会えた。玉置神社が私に繋いでくれた有難きご縁。私を待っていてくださった。 またこの瞬間が、次の何かに繋がっていくのかもしれない面白さ。 1月は不知火を買ったが、この日は、売店で甘夏を買った。季節は確実に巡っている。甘さと酸っぱさと、みかんひとつでも個性は豊か、何一つ同じものはない。身体に取り入れる十津川の恵み、そして土地の湯を楽しみに行く。 十津川温泉に寄って、つなぽんさんと合流。 帰路は3時間かけて大阪へ。ファミレスで夕食をたべ反省会と次回の計画。 かなりの遠方なのだが、この日は予定よりだいぶ早く帰宅できた。 すべてが、ありがたく、導かれるようにうまく運び、自分の心身エネルギーも、新しい風がふきこむように、転換できたのは嬉しい変化だった。 迎えてくれた玉置神社の神様たち。前に感じた畏怖と荘厳さよりも、今回は、私にはあの御神木たちがとても温かく感じられた。目指していた自分を待っていてくれたかのように。 そして過去に生きてた年月でなく、これらの御神木も若木もすべて今あるのは未来への上昇エネルギー。 上へ。そして先へ、と。それに満ちている「今」を感じ、この本来の御神木のちからを思った。 次は、玉置神社から、無事に送り出してくれるだろうか。その日が無事に訪れることを願うばかり。 古来、この道は、きっといろんな思いを胸に、自分自身と向き合いながら、沢山の人が歩かれたであろう南奥駈の道。熊野本宮大社をめざして。 自分のなにか求めるものの答えを探して…。 いただいたご縁、見守ってくれる家族、すべてに感謝の気持ちが、いま、ここにある。 何か、新しい何かが自分のなかに生まれたような、そんな気もして…。 その答えは、次回の熊野でわかるかな…。 いつも以上の、さらなる長文レポ、心境の吐露がほとんどでしたが最後まで読んでいただき、恐縮です。 ありがとうございました<(_ _)>
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