やはり祖母は懐深い 祖母山

2022.05.14(土) 2 DAYS

活動データ

タイム

14:16

距離

15.1km

のぼり

1813m

くだり

1808m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
8 時間 19
休憩時間
2 時間 4
距離
9.7 km
のぼり / くだり
1596 / 578 m
1 36
38
51
DAY 2
合計時間
5 時間 57
休憩時間
2 時間 46
距離
5.0 km
のぼり / くだり
216 / 1190 m
48
25
1 11
24

活動詳細

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※初日、天狗岩の所でスマホのバッテリー切れ。なので天狗から祖母山頂、小屋の軌跡がない。翌朝もご来光に持って行かなかった。実際の距離はおそらくプラス4・5キロ、登り300mくらいプラスか。  先週の日曜日の男池~平治岳の東尾根ルート下山中に小指の第一関節を脱臼。レントゲンで見ると、きれいに外れていた。怖いものみたい人は前回の山行記録にアップしています。麻酔かけて「コキ」っと骨接ぎしてもらい、副木をはめている。痛みは全くないので、予定していた祖母山に登ることにした。 メンバーは同世代の緩い山の会の運営委員会、というか同い年四名。主宰者のNさん(リングネームの頭文字はK)、Nさんと小中同級生で学生時代はヨット部とスポーツマンYさん、偶然、同じ年に同じ中学を卒業したオッサンを見つけて会に導いたTさんとオッサンの花の60年組だ。花かどうか分からないが・・・ (1日目)  北九州、福岡市からそれぞれ出立して神原(かんばる)駐車場に7時に集合する予定。オッサンたち福岡組は3時半に出発、日田ICで下りて、瀬の本、久住高原、竹田経由で6時半に到着した。すでに車は4台ほど停まっている。その後、続々と車がやってきた。7時過ぎに満車になる可能性があるのでやはり正解だった。第二駐車場に停めたら歩く距離がかなり長くなる。 ところが、「通行止め」によく遭遇するNさんたち北九州組が遅れ気味だという連絡が入った。あと2台…7時半前にやっと来てギリギリ停められた。  副木が外れないように小指を白いテープでぐるぐる巻いて出発。昨年も同じ時期にこのコースでいつもの相棒と九合目にある「Q合目小屋」に泊まった。この時はコロナ禍のせいなのか、宿泊したのはオッサンたち二人だけ。しかし、自粛が解禁になったので、今回は分からない。なるべく早く登って小屋の部屋を押さえておきたい。  天気予報では午後から晴れるようだが、登り始めは残念ながらガスに覆われている。今日は小屋泊だから、時間に余裕はある。尾平か北谷か神原かどのコースを歩くか検討したが、このコースは祖母の本道とも言える道で深田久弥も登ったそうで、オッサン以外は歩いていないから選んだ。しかも二人は祖母初登頂だ。  いつものようにオッサンが先頭を歩く。五合目小屋までは川沿いを歩くのだが、トレッキングコースにもなっていて、前回は左岸を歩いたから今回は右岸から登ることにした。  「ばあちゃん、今日もよろしく」。気持ちいい樹林帯に入ると、まだほんの入り口なのだが早くもこの山の懐の深さを感じ始める。ふと後ろを振り向くと…あれ?ついてきていない。しばらく待つが来そうもない。後から聞いたら登り口を間違ったそうだ。おかしいなあ。ま、いいか。 ここ最近の山行では新緑と鳥のさえずりに癒されたが、祖母の緑はそれらの山よりも深くて濃い。いきなりヒメシャラの巨木に遭遇すると何だか嬉しくなってきた。かつて修験者が修行したという「御社(おやしろ)の滝」は前日の雨で前回よりも水量が多い。  五合目小屋で10分ほど待つが…一向にやってこない。宿泊先の小屋まで一人旅になりそうだ。階段をしばらく登っていよいよ本格的な道に入った。国観峠までほとんど登りだ。ザックの重さは12キロ超。ビール0・85リットル、アイリッシュウィスキー「ブッシュミルズ」0・5リットル、水2リットル、ガスバーナー、二日分の食料、ガスバーナー、着替え、出発前に鍋用の肉600グラムをTさんから預かった。昨年より1キロくらい重いのだろうが、この1年で成長したのか重さはさほど苦にならない。  ひたすら登っているとソロの若い人に追いついた。駐車場で横に停めていた人だ。たしか、先輩と2人で登る予定が先輩が急きょ不参加になってソロで登ると言っていた。初めての祖母でゆっくり味わいながら登っているようなので先に行かせてもらった。すると…電話が鳴り始めた。バイブレーションにしていたのに汗で音が出るようになっていたのだろう。「誰だ、こんな時に」と出ると、いきなりディスプレイに相手とオッサンの動画が出て来て驚いた。どうもズーム用でかかったようだ。相手は大学同期の弁護士。「ごめん、誤作動だ」と謝った。その後、メッセージで遭難したかと心配したと送ってきてくれたので、再度謝った。  国観峠の尾根に取り付く最後の急坂は確かきつかったよなと覚悟して登るが、記憶以上にきつい…雨で濡れているから尚更だ。ロープを持つが、小指が使えないのでぎこちない。仕事には支障はないが、こういういざという時に小指といえども使えないのは不便というか少し危なさを感じる。指を反らせるとダメだと医師に言われたので、それを意識し過ぎとかえってよくない。慣れるまで用心しよう。  ようやく尾根に出た。峠に着くが、ガスで視界が悪い。ダメもとでここで10分少し待つが、やはりやってこない。小屋に先に寄ると申しわせているので大丈夫だろうと、再び登り始めた。頂上と小屋の分岐を左に進んでしばらくすると小屋が見えた。  誰もまだ来ていない。荷を下ろして靴を脱いだ。20分ほどして後続がやって来た。ガスが晴れるまで小屋で待機しようとなって、山飯を食べる。Nさんの情報によると、7名のツアー客が宿泊する予定との事。部屋をどうするか。オッサンは前回使った玄関上の二階がいいと提案していた。四名だと丁度いいし、オッサンとNさんという大いびきの持ち主がいるので迷惑かけそうだからだ。提案通り二階に決まった。これが後に結果オーライだった。  トイレにやってきた登山者に訊くと、南側はガスが晴れそうだというので、頂上に向かうことにした。時間に余裕があるので、頂上から南にある天狗岩に行くことにした。その向こうにある障子岳は親父山経由で登ったことがある。  「俺は小屋でゆっくりしたい」というNさんのお尻を叩いた。確かに明日の朝はご来光を拝みに行くから気持ちは分からなくはない。結局、2日間で5回頂上を踏むことになった。  頂上に着くと、ガスは残っていたが、晴れかかっている。しばらく待つと、完全に晴れて360度見事な眺望が現れた。これが日帰りだったら、晴れるのを待たずに下りていたかもしれない。小屋泊は時間に余裕があるからいい。  さて、天狗岩に向かおう。逆コースを歩いた経験のあるYさんに先行してもらう。すると…とんでもない岩場の激下りがいきなり待ち受けていた。その後も梯子の連続…大崩(おおくえ)の坊主尾根ほど数は多くないが、スリリング。小指が気になるので慎重に下りた。下りきってからは気持ちいい縦走路が続く。  天狗岩に到着。下を覗くと、切り立っていてお尻がモゾモゾ。Yさんは先の岩に攀じ登っているが、小指が気になるので到達点の岩の上で一服しながら祖母山系の尾根を眺めた。古祖母から傾の縦走路は九州の岳人のあこがれの的のようだが、オッサンにはとても無理だ。  祖母山頂への登り返し。天狗岩まで登らす途中の展望所でのんびりしていたNさんと合流、2人で再び山頂を目指した。いつものようにオッサンが先行するが、結構疲れている。登りになると急に遅くなるNさんにピタッと付かれた。いよいよ梯子が始まる前に、彼から先に行くと言われて譲った。上半身が発達しているというYさんが鎖場や梯子が大好きだということを初めて知る。  どんどん先に行かれる。相変わらず指が気になるし、岩が濡れているのでかなり用心しながら上がっていった。最後の岩場。Yさんは左を攻めたが、オッサンは右が登りやすいかと選ぶと、横に五メートルほどトラバースしないといけなくなった。小指が使えない不安を抱えながら足場を確認しながらなんとか上に上れるところまできて、上に攀じ登るのだが、これも指が気になる。幸い、取り付けそうな窪みがあったので、無事にやり過ごせた。  小屋に戻ると、一組がすでに1階で食事中だった。この組は例のツアー客ではないから、1階は相部屋になるだろう。二階を確保していてよかった。すると、続々と人がやってきて、最終的には30人くらいに膨れ上がったようだ。2回部屋で大正解だった。 夜は当然、宴会。料理長を自認するNさんが塩ちゃんこ鍋を作ってくれた。 今から仕事なので、続きは後ほど。 仕事が一段落したので続き。 (2日目) 疲れと酔いでいつのまにか寝ていて気が付けば朝。Nさんの虎の咆哮のようないびきが丁度いい目覚ましになった。後から聞くと、オッサンとNさんのいびき大合唱があったようだ。残りに二人は耳栓をして眠れたようなので安心した。  4時前に外に出て見ると満天の星空。これならきれいなご来光を拝めそうだ。  メンバーの準備を待っている間、グループ登山の人と談笑。尾平から登って来たそうで、伝統のある山の会で何だかオッサンたちの行き当たりばったり計画が恥ずかしくなる。  4時半過ぎに小屋を出る時は残念ながら雲が出ていた。東の方はわずかに隙間がある。期待してヘッデン点けて頂上へ。  日の出予想時刻まで30分あるので一番乗りだ。もう東の空はオレンジ色に染まっている。昨年のご来光も少し雲がかかっていたが、日が昇れば鮮やかな曙光に感動できるはずだ。陸続と人が登ってきた。オッサンたちと同じく小屋泊の人たちだ。昨年は頂上にテント泊していた人と4人だけだった。互いに記念撮影し合ったり、会話したりして賑わいながらのご来光も楽しい。今年の冬にスズコヤ谷の氷瀑に行った女性から写真を見せられながらおススメされた。ツアーはこの後古祖母から傾縦走に向かうそうだ。ザックの重さを訊くと15キロ。昨日天狗岩に行くときに下りたあの激下りを重たいザック背負って下りるのか。それから10時間以上かけての縦走…すごいなあ。  小屋に帰って朝食食べながら、むずむずしているYさんが北谷コースにある風穴を見に行こうと提案してきた。オッサンは一度見ているので食指が動かないが、残りの2人は行きそうだ。オッサンは途中の展望が利く岩場までついていくことにした。シャクナゲが所々に咲いていてロープが数カ所張ってあったが、おおむね気持ちがいい道だ。山肌に咲き残りのアケボノツツジがアクセントになって何とも言えない風情を醸し出している。咲き誇る姿よりも凛と咲く花の方に魅かれる。  岩に到着。南西側の山々が美しい。再度誘われたが、一人で眺めていたいので彼らを送り出した。しかし、10分ももたない世俗まみれのオッサンだった。4度頂上に立った。するとまた続々と人が登ってきた。もう8時だから早い人は着くはずだ。  それからオッサンは多分待つこと1時間超だから何もやることないので交流会を始めた。先に頂上にいた二人組の男性ははるばる茨城から来ていた。九州の山が好きなようで何だか嬉しい。大ベテランの人と談笑すると祖母に詳しいのでついつい聞き入った。こういうベテランの人はカッコいい。続いて若い女性2人組がやってきた関西弁でキャッキャ言っている。滋賀県琵琶湖の近くからやってきたそうだ。ここからにわかガイドに変身。周囲に見える山の名前を教える。天気があまりよくないのでいい印象を持って帰ってもらいたい。  ソロの男性は群馬県からはるばる車で来たそうだ。百名山挑戦中の人で残すは20数峰。昨日霧島の韓国岳に登って今日の祖母で九州の百名山は達成したという。明日は大山に登る予定で66歳のバイタリティに脱帽…と思っていたら何とこの季節にあられが降ってきた。道理でさっきから寒いはずだ。その男性と入れ替わりに登ってきた女性2人組は大阪から。今日はいろんなところから登ってくるなあ。また、ガイド役とカメラマンに変身してもてなした。  ようやく3人が帰ってきた。体が冷えてきたので体を温めようと先に出発。下ると雨に変わっていた。どこで飯を食おうかと検討しながら下る。雨が止めば国観峠もいいのだが…止まないのでそのまま通過。ここからが長い。さすがに足が疲れてきた。ずっと一人旅なので休めばいいものを休憩なしでそのまま下りる。渡渉前でYさんが追い付いてきた。 飯は5合目小屋で食うことに決定。着くと先ほどの滋賀県組が休憩していた。オッサンたち2人は飯の準備。しばらくするとNさんが大阪組の女性たちに背中を押されるように下りてきた。残りはレトルトカレーとご飯、カップヌードル…残そうかと思ったが気が付けば全部平らげていた。雨は最後まで止まなかったが、小雨だったのでかえって涼しくて気持ちがよかった。無事に下山。反省としては、小指に副木しているのでもう少し対策を施していた方がよかった。  しかし、祖母は山好きの人が登る山だなと再認識した。会う人会う人があのきつい登りを苦にせず、頂上では笑顔がほころんでいる。悪い天気でも楽しみ方を知っている人たちだった。福岡からは登山口まで長い道のりなのでそんなにしょっちゅうは来れないが、年に1回は登りたい山だ。今度は尾平にするか… 令和4年の山行はこれで19回目。ピーク数は32(重複なし)。

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