活動データ
タイム
32:50
距離
43.0km
のぼり
2916m
くだり
2916m
チェックポイント
活動詳細
すべて見るまずは、ありがとう山鮪さん。 事の発端は山鮪さんのこのレポ。 https://yamap.com/activities/15685557 定義如来の奥、十里平を起点に、林道を通って尾根に乗り、間倉山を通って県境の尾根に出る。 寒風山で泊まり、白髪山〜船形山。 そして後白髪山から降りてくるBCスキーのこのレポ。 間倉山の尾根があったか。 林道の存在は知っていた。この林道を使って戸立沢に釣りに入れないかなーと思っていたので。 しかしそこから県境の尾根に出られるのに気がつかなかったのは迂闊だったなぁ。 もともと、船形山周回は予定していた。 それは定義に車を止めて、後白髪山に登って船形山。そして北泉ヶ岳経由で帰ってくる一泊二日の計画。 しかし、間倉山の尾根を藪漕ぎすれば、もっと大きな周回ができてしまう。 ワクワク半分。 なんでこんなルートを教えてくれちゃうんだよ〜山鮪さん!という気持ちが半分。 また藪漕ぎか〜と思いつつ、ワクワクには勝てないのでした。 <1日目> ■定義〜熊沢林道 藪漕ぎの時間が読めないので、明るくなる4時に出発。 長い舗装路と林道歩き。 熊沢林道は充分に車が走れる状態ではあるけど、少し登ったところでロープが張られているので一般車通行止めでしょう。 支線に入っても道路状況は良く、関係者の車は恒常的に走っていると思われる。 ■尾根取り付き〜間倉山〜コブの背 林道は、尾根に取り付こうと思っていたあたりで廃道状態になったが、人が歩いた跡はあった。 気になる・・・ ちょっと尾根の端に登ってみたんだけど、気になる・・・ 林道はほとんど標高を変えずにトラバースして続く。 最後まで歩いて状況を確認し、そこから取り付いても良いかもとも思っていた。 遠回りになるけど、藪漕ぎの距離は減る。 というわけで林道を歩くことにした。 ところが、少し進んだところで崖崩れ。倒木多数。 行けないことはないけど、遠回りしても楽じゃないなら藪漕ぎの方が良い。 ちょっと急斜面だけど、笹や枝を手掛かりに取り付く。 キツイ・・15キロの荷物を背負ってやることじゃなかった。 結局、1時間かけて尾根に乗った。当初の予定の取り付き地点に戻った方が早かったな。 尾根は予想通り笹藪。この辺りの、この標高ならそうだと思っていた。 しかも、所々に獣道がある。これには助かった。 時には人が歩いているんじゃないかというところもあったが、やはり獣道。 張り出した枝などは関係なしに続いている。 人が歩くなら人為的に枝を切った跡があるだろうし、ピンクテープがあってもおかしくない。 そして少し広い場所になると消えたり、斜面を降っていくように見える道もある。 しかし、獣道があるとないとでは、藪漕ぎの労力がかなり違う。 足元がひらけていると、足を大きく上げる必要がない。 笹藪を平泳すれば良いだけ。 逆に獣道がないと、足でも笹をかき分け、踏みつけるためにあげる必要がある。 そうすると新雪の上をラッセルするような腿上げ運動なので疲れるのだ。 快調に歩いていたが、984P手前の小ピークが細尾根の灌木藪。 まっすぐ突破できないので巻いた。 この辺りは984P手前まで松や灌木が続く。 984Pでまっすぐ行くと戸立沢に降りていくので左折。 この先も笹藪。 斜面に残雪はあったが、使えるように続いていないので、やはりひたすら藪漕ぎ。 991Pあたりから間倉山までは尾根が広くなって、笹藪に獣道が見つけられず、ひたすらラッセル 状態。 この区間が意外と疲れた。 間倉山には目印と三角点があった。 間倉山からちょっと下って、次の小ピークに登れば、県境尾根の登山道はすぐそこ。 斜めに斜面を下り、登山道に合流。藪漕ぎ終了。 そしてすぐにコブの背に到着。 予想では14時到着だったけど13時前。上出来でしょう。 ■コブの背〜寒風山手前ビバーク地 コブの背で一休みして稜線歩きに踏み出す。 残雪が出てきて、時々登山道を塞いでいる。 コルから次のアオノ背への登りの足取りが重い。 久しぶりの藪漕ぎと15キロの荷物で疲れが出たか。 時々立ち止まり、大東岳や面白山を眺める。 アオノ背を過ぎ、次の寒風山へ向かうと、最後の登りが残雪に覆われていた。 所どころ夏道が出ているが、倒木や雪に倒された笹などが塞いでいる状態。 それなら残雪を登った方が良い。 そうなるとアイゼン装着か・・・。 寒風山の上かその先あたりでビバークの予定だったけど、雪が増えてきたのでどういう状況かわからない。 それなら、少し早いけど、もうここでビバークして疲労回復を優先させることにした。 ツエルトを張り、横になると途端に睡魔が襲う。 風は強いが、日が出ているのでツエルトの中は暖かい。 いつの間にか寝てしまい、今度は暑くて起きた。 明るいうちに雪の綺麗なところを掘り起こして水を作った。 飯盒でご飯を炊き、夕食を摂り、翌朝の分を残して行動食のおにぎりに。 外は夜中まで風速10mくらいの風が吹いていた。 <2日目> ■寒風山手前ビバーク地〜白髪山〜粟畑 4時半頃、明るくなって自然に目覚めた。 朝食を摂ってから撤収作業。 6時にアイゼンを装着して出発。 残雪の斜面を登って、まずは寒風山。 さらに奥寒風山、戸立山と続く。 夏道になったらアイゼンを外すが、登りや下りの斜面で残雪に塞がれていることが多く、再びアイゼン装着。これを繰り返すので時間がかかる。 夏道には雪で折れた枝が道を塞いでいる。 どかせる枝はどかしながら歩いた。 尾根からの眺めは良い。 刻々と角度を変えていく船形山、山形方面には真っ白な月山と朝日連峰。 前白髪山手前からアイゼンを履いたままの残雪歩き。 前白髪山から下ったコルから見上げる白髪山は低く見えたけど、それは偽ピーク。 さらに頑張って、やっと白髪山。 三度目の登頂だけど、やっと晴れの日に登れた。 正面には黒伏山とその周辺の山々とその向こうに月山。 月山から西には朝日連峰と、その奥にうっすらと飯豊連峰。 北東に船形山から続く三峰山や後白髪山。 北には栗駒山から神室連峰。 振り返ると蔵王。 素晴らしい。 観音寺コース入口から登っても1時間半くらいだったと思う。 それでこの眺めはお得すぎる。 登る人が少ないのが不思議なくらい。 白髪山からもアイゼンを履いたまま軽快に下る。 ここはスキーで滑りたかったなぁ。 途中で夏道になりアイゼンを外す。 分岐の粟畑まで下りてくるとそこは雪に埋もれていた。 ■粟畑〜仙交小屋跡分岐の水場 観音寺コースの登山道は斜面をトラバースして続いているはず。 再びアイゼン装着。今日何回目だろう? YAMAP地図のGPSと照らし合わせながら登山道を進もうとしたけど、雪で急斜面になっていたり、木の枝や顔を出している灌木で歩きづらいので、地形を把握して歩きやすいところを歩く。 仙台カゴの下を通り過ぎ楠峰へ。 道はここで丹生川源流をくるっと巻くように左折しているが、雪庇でどうなっているのかわからない。 少し雪庇を登って見下ろしてみると、夏道の標識が見えた。 下りて夏道に合流。 雪がなかったのでアイゼンを外す。 しかし少し歩くとまた残雪に覆われている。 しかも沢に向かって急斜面なので再びアイゼン装着。 斜面はかなり急で、足を滑らせると100m下の沢まで滑り落ちてしまう。 緊張しながら、片足を二回踏みつけてしっかりとグリップを確認しながら進む。 冷や汗が出る。 ゆっくり確実に進むも、最後の最後で今まで以上に恐怖を感じる場所に出た。 この先、数十メートルで尾根筋を巻くはずだが、落ちたら洒落にならないので、多少の藪漕ぎ覚悟で上に登る。 安全なところで少し藪を漕いで尾根筋を回り込むと、登山道が通っているであろう場所が見えた。 そこに向かって雪面を下りる。 仙交小屋跡分岐までもうすぐというところ、そこは素晴らしいブナの森。 伐採されていない太いブナがドン、ドン、という感じで並ぶ。 今までの緊張感が一気に緩和される。 登山道から少し外れながら、水場の方へ向かう。 この雪で水場は埋まっているかと心配したけど、ブナの木に赤いペンキで矢印がつけられた本来の場所より上に、沢の一部が見えていた。 助かった。 ここで水が補給できないと、ガスを使って3リットル分の水を作らなければならなかった。 今まで雪をペットボトルに詰め、溶けてきたところで喉を潤してきたので、体は脱水状態だったのか、水はいくらでも体に入っていく。 そして冷たくて美味い。 しかしこれが悪かった。 ■仙交小屋跡分岐の水場〜船形山頂上 ここからは頂上までひたすら登り。 標高差500m。 アイゼンを脱着したり、雪をペットボトルに詰めたりで時間がかかったけど、まだまだ夕暮れには時間がある。 焦らず、ゆっくりと登っていく。 しかし、どんなにゆっくり登っても、数十メートル進むと心臓がドキドキと早撃ちする。 その度に立ち止まって呼吸を整える。 そして進む。しかしまた心拍数が急に上がる。 そうか、水場の冷たい水を急に大量に飲んだので、体が冷えてしまったのか。 仕方なく、これまで以上にゆっくりと、そして休み休み登る。 夏道がハッキリしてきたのでアイゼンを外す。 道は急登。ゆっくり体を持ち上げるようにして進む。 時々、雪に覆われている場所もあったけど、キックステップで登る。 1254のピークを過ぎると、いよいよ最後の急登。 植生はハイマツなどの灌木で、雪に押されて傾いたのか、道の上に覆いかぶさっているものもあって歩きづらい。 たまらず邪魔なストックをたたむ。 ロープが出てきたのでそれを掴んで体を持ち上げる。 助かった。 しかしそれも1400mまで。 残り標高差100m。 キツイ。 枝を掴んだり、足元の岩に手をついたりしながら這い上がる。 1480m地点でやっと急登から解放されると、昨日からずっと眺めていた山頂小屋が、ドンと目の前に現れた。 そしてすぐに升沢・観音寺コース分岐点。 登頂すると春霞でおぼろな月山の向こうに夕焼けが始まろうとしていた。 すぐに小屋に入り荷物を下ろす。 誰もいない。泊まりはボクだけらしい。 窓から眺める泉ヶ岳。その向こうの仙台市街に火が灯り始める。 残った行動食のおにぎりをおじやのようにして晩飯を済ませる。 気がつくとあたりはすっかり暗くなっていた。 疲れ果てて20時には就寝。 <3日目> ■船形山頂上〜三峰山〜長倉尾根〜北泉ヶ岳 夜中の1時前に目が覚めてしまい、もう一度寝ようと思ったけど眠れない。 お腹が空いたので米を炊き、2時に朝食にした。 3時頃になるとうっすらと東の空が明るくなってきた。 外に出ると寒くない。 のんびり仙台市街や大和町方面の夜景を眺める。 ひときわ明るく東の空に輝いていた星は赤かったので火星か? そしてその上が金星か? ガスが足らなくなると思ったけど、無事にご飯を2回炊けたので、お湯を沸かしてコーヒーを淹れて時間を過ごす。 パッキングして掃除を済ませ、神棚に柏手を打つと、出発予定時刻の5時。 目標は定義豆腐店営業時間終了の16時。 3日目も快晴。風はそよぐ程度。 気持ちよく蛇ヶ岳への稜線歩き。 すぐに残雪歩きになるけど、急坂や急斜面のトラバースもないのでツボ足のまま。 多数の足跡もあるので安心してたどる。 1時間弱で蛇ヶ岳。 朝食が早過ぎたのでお腹が空いた。行動食のおにぎりを食べる。 後白髪山を目の前に眺めながら、次は三峰山。 三峰山からは素晴らしい展望が楽しめた。 朝日連峰、月山、神室連峰、虎毛山、栗駒山、そして船形山。 北泉ヶ岳の向こうには七つ森。 泉ヶ岳からなだらかに伸びる稜線の端に黒鼻山。 そしてその向こうに大蔵ダム。 ゴール地点の定義はあの辺りかな?遠いなぁと思いながらのんびりする。 そして長倉尾根へ。 少し下っていくと、登山道は尾根沿いから少し外れて平坦に見える森の中を進む。 ここが素晴らしいブナの森。太いブナが立ち並ぶ。 夕日沢コースの太くてまっすぐなブナも素晴らしいけど、ここの広大なブナの森も良い。 黄葉のシーズンに来たら圧巻だと思う。 ゆっくり、登山道をGPSで確認しながらブナの森の雪原散歩を楽しむ。 標高が下がってくると雪が減り、そのかわりブナの新緑が増える。 緑が眩しい。 ほぼ予定通りに水場に到着。 冷たい水をたっぷり補充し、ドライフードのカレーで早い昼食。 コーヒーを飲んで30分ほどのんびりして出発。 あとは北泉ヶ岳までひたすら登り。 最初は適度な登りなのでペースを保ってリズム良く登っていく。 そして大倉尾根と合流。ここから北泉ヶ岳までがやや急登。 時々現れる残雪をしっかりキックしながらゆっくり登る。 そして北泉ヶ岳登頂。栗駒山から神室連峰まで見渡せた。 暑くてソフトシェルを脱いでベースレイヤーだけになって休憩。 やがて三人グループが泉ヶ岳方面から登ってきた。 この山行で初めて人に会った。 ■北泉ヶ岳〜黒鼻山〜定義 北泉ヶ岳からの下りは軽快に進む。思ったより脚にダメージはない。 何人もの人とスライド。さすがに人気のエリアだ。 うぐいす坂を下って黒鼻山へ向かう。 少し小ピークを登って下ると、あとはほとんどアップダウンのない散歩道。 しかしこれが長い。 誰にも合わないし、熊が多いエリアと言われているので、時々声を出しながら歩く。 カラマツ林が見えると残り半分くらいか。 カラマツの新緑も眩しかった。 そして黒鼻山山頂に到着。予定より少し早いのでゆっくりする。 ここから最後の藪漕ぎ。 戻ってコガ沢への登山道で下り、ふるさと緑の道に出た方が安全だけど、かなり遠回りになる。 この先の尾根は一度登ったことがあるので把握できている。 難関は最初の急斜面。 まっすぐ行くと崖に阻まれるので、少し右に外れていくと左にトラバースしながら下りていくルートがあるはず。 行ってみると無事に発見。 しかも、人が通ったのではないかという跡がある。 基本的に獣道が多いエリアだけど、もしかしたらボクのような人が歩いているのかもしれない。 無事に難所を突破して一安心。 あとは急斜面を笹を掴みながら下り、獣道が出てきたらそれを辿れば尾根に出る。 ヤマップ地図のGPSを確認すると逸れているので、少し蛇行したけど、結局は獣道を辿るのが正解。 無事に尾根を抜け、白岩手前の斜面を下りて、ふるさと緑の道に合流。 所要時間1時間くらいと見ていたけど45分だった。 あとはふるさと緑の道で新緑の中を定義まで。 整備されているけど誰ともすれ違わない。 途中に仙台市街を眺められる展望地もあったのに。 しかし道は長い。覚悟していたけど長い。 やっとふるさと緑の道入り口の看板までたどり着くも「定義3.2km」の文字。 まだそんなにありますか。 入り口には駐車スペースもあるのに誰もいない。 その理由は県道にたどり着いて分かった。 入り口がロープで塞がれている。 もったいないなぁ。 せっかくかなりの予算をかけて整備したのだろうに。 県道の釣り堀から定義まで、いつも車で通り過ぎているだけなのに、歩いてみると長い。 しかし右手に後白髪山が見えてきた。 考えてみると、後白髪山のまわり360度ぐるっとまわる周回だった。 15時過ぎに無事に到着。 定義豆腐店の閉店時間16時に間に合った。 長いレポを読んでくれてありがとうございました。 この周回の難点は水場。 船形山山頂小屋付近には水場がない。 なのでまだ雪が残るGWにと思い決行したけど、まだ雪が思ったより多かった。 観音寺コースの丹生川源流部のトラバースが精神的に一番疲れたし、実際に危険だった。 もう少し雪が多ければ尾根を歩けて安全だったけど、その頃だと間倉山への尾根も雪に埋れていただろう。 あの尾根を藪の時期に歩くからこそ、ボクにとって価値があったので仕方ない。 失敗したのは水の量。とにかく荷物を減らしたかったので3リットルにして、途中でガスを使って雪を水にしようと思っていた。 しかし、それだとガスが一個では足りなかった。 足らせるために、2日目と3日目の水場までは、頻繁にペットボトルに雪を詰め、自然解凍で飲み水にした。 4リットルあれば良かったかもしれないが、その分重くなることを考えると、やっぱりこれで良かったのかもとも思う。 とにかく、北泉ヶ岳辺り以外は人にも会わず、静かに山の中に身を置くことができた。 そして船形山の奥深さを実感できた。 大倉川、横川という釣りで馴染んだ沢の上流を眺め、子供の頃から慣れ親しんだ丹生川の、雪に埋まった源流も見ることができた。 1日目は15km、2日目は9キロ弱、3日目は18キロ。 一番大変なのは約3kmの藪漕ぎがある1日目かと思ったけど、一番楽だと思っていた2日目だった。 残雪歩きや、折れた枝をどかしながらの夏道歩き。 繰り返すアップダウン。 スリリングな楠峰からのトラバース。 そして最後の急登。 やはり登山の難易度は距離じゃないね。 ちなみにこの周回コース、籔を回避してつなぐこともできる。 十里平からの熊沢林道は国道48号関山街道に抜ける。 ここから国道を登れば関山トンネルから登山道に入れる。 黒鼻山からの下りも登山道で下りれば良い。 おそらく、距離は50km前後。 トレランの方、どうでしょう?
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