活動データ
タイム
12:16
距離
19.8km
のぼり
1959m
くだり
2186m
活動詳細
すべて見るあこがれの大峯奥駈道…! 昨年11月、普段、公共交通機関しか足がない私は、どうしたものか…、とずっと悩んでいた区間、念願の『八経ヶ岳~釈迦ヶ岳』間を、おりさん、つなぽんさんの車二台のスライド作戦にお誘いいただいて、ありがたく繋げることができた。 過去レポ→ 『ついに!夢の大峯奥駈道を行く~釈迦ヶ岳から八経ヶ岳』 https://yamap.com/activities/14449554 そしてまたもありがたく、南奥駈道も!といってくださり、今回、遠い遠い、『太古の辻』より南の山々に、初めて足を踏み入れさせてもらった。日帰りしかできない私に合わせてくれて、またも車二台のスライド作戦で。 出発は大阪自宅を午前2時前発。理解ある家族にほんと感謝。 私と、おりさんは、十津川村の行仙岳のふもと、白谷トンネル東口側登山口へ向かう。約3時間半かけて到着。 もう一台のつなぽんさんは、前鬼からスタート。ここは、この日、私たちのゴールとなる場所となる。 本日歩くルートは、南奥駈道を『太古の辻』まで北上。 行仙岳からスタートで、倶利伽羅岳、転法輪岳、阿須迦利岳、証誠無漏岳、涅槃岳、般若岳、地蔵岳(小守岳)、天狗山、石楠花岳、蘇莫岳、そして太古の辻を経て、前鬼へ至る行程である。 仏教の思想に基づいた山の名前が続くのが興味深く、修験の道を強く感じさせる。 約19キロ、余裕をもって、CT1.0で11時間半(休憩20分含)と想定した。 天気は快晴。気温は、実際は行仙岳山頂で摂氏8度、日中は23度まであがり、飲料は1.5Lを消費した。 南から北上するこのルートだと、基本登り基調で、アップダウンが小ピークも含めると20以上あった気がする。 歩きやすい道と、数々の明瞭な標識。そしてありがたい山小屋。 それは、「新宮山彦ぐるーぷ」さんが、荒れていた南奥駈道を、約40年ほども前から大変な努力を重ねて整えてくださり、熊野への道を、こうして誰もが歩けるようにしてくださってるお陰であろう。 途中通った、平治宿、持経宿も立派に維持されていて、持経宿では、活動中の方とお話させていただき、ありがたく綺麗なトイレも利用させていただいた。お気持ちのバナナもいただいて、恐縮してしまった。 こうして、ここでの山時間を気持ちよく、安全に過ごさせてもらってること、すべてに感謝だった。 ときおり、新緑がまぶしい木々の合間から、広大にひらく東の眺望は、三重の山々が数えきらないほど連なっていた。伊勢路の山が見えるのかな…と、目を凝らしても見ても、細かいギザギザの凸凹の山容は、さっぱり地図をみても何の山か見当がつかない。まさに「やまほど」という例え言葉が生まれるわけである。 振り返って、南の方を見ると、行仙岳そして、その奥に、笠を伏せたような笠捨山がはっきり見える。次はあそこだ…!と思うと、嬉しかった。 尾根上にそびえる巨木、そしてピンク色のツツジ、稜線から見える紀伊山地の奥深い山々…。 すごいところに来たもんだ…と、まったく見たこともない山の景色に包まれて、とても新鮮な思いになる。 ふと疲れがたまってきたかな、と思った時、わたしは立ち止まって目を閉じるようにしている。 神経と五感を研ぎ澄まして深呼吸すると、足の血流、自分の体温、じんじんと響いてくる感覚、身体の奥からのサインに気づく。足裏を通して大地とつながり、そこへ身体の疲れが根付いて、大地へ吸収されていくように感じて、ぱっと目をあけた瞬間、信じられないように元気が回復するのだ。これはいつも自分だけの奇跡のように感じている。 まるで大地と一体になって、疲労すら自然に還元されたのか?と思うほど。 こうして大峰の自然に包まれている実感を、こころゆくまで味わいながら、自分はこれを幸せと思う人間なんだな…と再認識し、温かな気持ちになる。 そして…! 南奥駈道特有のアップダウンを繰り返し、涅槃岳をすぎたあたりで、そのときは来た‼ あの姿は、もしや…❓と、目をこらすと、斜面の向うに、つなぽんさんが…(≧∇≦)! 今日一のどきどきであった、「つなぽんさんと、どこで出逢うか?」の瞬間がついに来た! わぁ、ここで無事に逢えましたね~!感動の再会である。これは本当に嬉しいものだ。こんな山奥で、無事に、大峯奥駈道の道中で会えるのだから…。 このお二人がこうしてスライドで各自別々に歩いてくださるからこそ、私のここでの景色があり、感動を味わえる嬉しさがある。 しみじみ、お二人のお力、お人柄、笑顔に、感謝でいっぱいになる。 そこで一緒に休憩、お昼ご飯タイムにした。 時間は12時まえ、歩き始めて約6時間後、まさにスライドの醍醐味と楽しさを感じながら、互いのここまでの話をしていたら、時間は瞬く間にすぎてしまった。 名残惜しくも、この再会に元気をもらって、再び歩きはじめる。 眩しい日差しの中、目指すべき北方向に、ついに釈迦が岳が姿を現す。 威風堂々、なんて美しい山容であろうか…!青空に映える春の釈迦の姿…! きっと微笑んでるお釈迦さまの山頂では、たくさんの笑顔があることだろうな…と想像する。 そしていつのまにか、足元は、奥駈道ならではの低い笹原の道が目立つようになり、着々と太古の辻が近づいてきてるような嬉しさになる。 この日は数え切れないほどの登山者、30人くらいの方とすれ違った。ほとんどが、縦走装備をされているようなザックを背負われていた。GWであり、この快晴も後押ししたのかもしれない。 素晴らしい日にこの奥駈道を歩けているありがたさ、交わす挨拶から話がふくらみ、全国各地からここを訪れていることなど話してくださり、その嬉しさが見て取れる。中には自然と会話もはずみ、ここまでの話やこれからのことを話してくださる方もいて、楽しい一期一会の時間を過ごすことができた。 そして、この日はまったく想像もつかなかった、とびきりのサプライズもあった。 天狗岳をすぎたあたりで、おりさんが大きな声をだしたので、知り合いがいたのかな?と、見上げてみた。 なんと、なんと、そこに居られたのは…?! 相互フォローさせてもらってる、スーパー山男、「かーん」さんだったのだ! これまたでっかい声をあげてしまった!ビックリ&感動で…! 大峰レポで私が聞く素朴な質問にも、いつも丁寧に答えてくださる憧れのひとと、まさか直接対面できるなんて~!と (≧∇≦)! 何より、この奥駈スライドが叶った秋のコラボ実現も、かーんさんの歩かれたレポ抜きにはありえなかったのだ。 見えないところで、おりさんつなさんと、私のこの奥駈を歩く夢を、ほんと偶然繋いでくれた恩人が、かーんさんだったので、実際にお会いできてお礼が言えるこの出会いは、ほんと嬉しかった。 横に居られた、同じく健脚のヨリさんもはじめましてで、ほんと楽しい出逢いだった(*^^*) お二人は吉野から熊野まで奥駈道縦走をされるとのこと。吉野から今日が二日目。話はいくらでも尽きなかったが、互いにまだまだ先があるので、出会いの感謝のしるしに、握手させてもらって別れた。 歩きながら釈迦が岳の姿がせまってくる。釈迦が岳が抱きかかえるような大日岳。あったかく懐に入れるような、母親のようにも見えた。忘れられない光景だった。 登り坂で汗をかいて、下りの爽やかな風できもちよく汗がひく…という経験をこの日なんど繰り返したであろう? ラストピークの蘇莫岳を終え、笹原の踏み抜きに注意しながら、下って下って、あぁ、あの大きな見覚えのある看板が…!と、嬉しくなって駈けだす! 『これより南奥駈道』という看板、太古の辻に着いたのだ!私が、その南から、歩いてこれたなんて…。 昨年、前鬼から初めてここに登り、これをみたとき、「南奥駈」という未知の世界の底知れぬ怖さに、なんとなく不安になり、ここからは、なんて重い場所にはいるのだろう・・・と、怖気づいた記憶である。 まるで選ばれたものしかこの境界線を跨げないような錯覚を覚えていた。それほど、「南奥駈」という言葉が重く、険しいものだと思っていて、あの文字を目に焼き付けていたのを思い出す。 なので、ほんとにここにたどり着けたのは、本当に嬉しかった。 前鬼集落へ、800段あまりの階段と、苔の美しい緑をまとった大岩がごろごろする沢筋をおりて、巨木をみながらたどりつく。 やはり険しい道である。浮かれず、最後の最後で怪我をしないように、慎重におりる。 宿坊へついてからの車道は、ラストの嬉しさと、寂しさが混じり合いながらも、おりさんと軽快に走り、待っていてくれた車にであえて、この日の山行は無事に終了となった。 下北山村のきなりの湯で、ふたたびつなぽんさんと合流。 みなで今日の山行をねぎらいあった。 ここが歴史の深い修験道の道であることは、たくさんの靡きがあることで、感じられた。 新緑の南奥駈道の木々や、遠くに姿を連なるように見せてくれた山々が、まるで「ようこそ南奥駈へ」と言ってくれるかのように、歓迎してくれた一日。修験の道は、まだまだ途方もなく遠い。以前とおりすぎただけの、熊野本宮大社のあの大鳥居、大斎原。いつかはくぐりたいと願う。 そして印象的だったことの一つに海がある。 この日は、東の三重の山々の向うに、まさかの熊野灘の水平線が、青いうっすらと筋をもって見えていた。 青い海、熊野灘…。こんな紀伊山地の奥深いところから、海が見えるとは。 またいくから、待ってて、と、心に誓う。 わたしの壮大な夢、熊野古道。 元気な脚があるかぎり、紀伊半島を歩き尽くしたい。一歩一歩、情熱があれば、近づくことができる気がする。 そのなかでも、険しいとされる大峯奥駈道を歩かせてもらえる幸せ、そしていただいたすべての時間。 点が線となるように、学びの瞬間の連続は、経験となる気がして…。 紀伊半島の奥深さと、その自然に包まれる悦びを感じれた今日。 無事の帰宅に、おふたりと、大峰の神様に、心から感謝します。
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