活動データ
タイム
12:47
距離
17.0km
上り
2018m
下り
2012m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る✻✻✻ 釜沢ゲート~トンネル登山口 ✻✻✻ 何てこった。前回登れなかった小日影山に登ろうと言うのに、さっそく寝坊野郎だ。林道はズタズタだが「勝手知ったる」的な。早立ちして暗いうちに林道を通過したかったのに。 この時点で、早くも黄信号が点滅した。トンネル前の急崖の取りつきを、闇に巻かれて下山するのはリスクまみれ。 捨て試合のつもりで、やさぐれてスタート。おまけのつもりで、登山口にあるトンネル内をのぞいた。泥が堆積して、いきなり靴がはまり込む。時間が許せば、トンネル先の別尾根で登ってやろうと思っていたけど、尻尾巻いて退散。 ✻✻✻ トンネル登山口~2128標高点 ✻✻✻ 前回のトライから4か月。季節も移ろい、紅葉と冠雪の季節。きのこは晩秋のカレバタケくらい。でも、紅葉と落ち葉はゴージャスだ。ヤマモミジやハウチワカエデ、メグスリノキと、原色の洪水が目を奪う。 それに輪をかけ、木々の間に見え隠れする景色が誘いかける。林道歩きの友は大沢岳と赤石岳。背後に控えるのは奥茶臼と前茶臼。その稜線が丸山、赤石岳、荒川岳へとつながっていく。そこに木曽駒や空木など、中央アルプス勢が加わる。やがて前聖岳がひな壇に登壇。 雪が散り敷きはじめる。クマの足跡まであるじゃないか。進行方向右に岩峰がそびえる。小日影山の前衛だ!思わず襟を正した。 2128標高点に到達。時間読み必須の時間帯になった。山頂までの等高線の数は8本。斜度、水平距離から到着時間を予想する。そこにヤブと雪をこなす時間、ルート読みにかける時間が必要になる。到着予想を12:30~12:45、とはじき出した。 常識のある人なら、この時期のこの手の山では、リミット12:30では遅すぎる。とりわけ、帰りの2128南尾根末端部は、明るい時間帯に通過する必要があった。 ✻✻✻ 2128~小日影山 ✻✻✻ 打ち捨てられたワイヤロープの輪を越えると、シャクナゲのヤブが始まった。獣道を使って、腰を落としてくぐり抜ける。 なつかしき二児山~本谷山尾根が見えてきた。黒河山・笹山・入山・樺山・小黒山を連ねて、本谷山に伸びあがっていく。手前の鳥倉山や豊口山が、三伏峠に吸い込まれる。そこに乗鞍や、槍・穂の北アルプス勢が加わる。青田山の背後は、大川入山や恵那山だ。 小日影山は前衛峰が厄介だ。岩壁を避けながら、北西面にルートを伸ばしていく。2050m~2200mの標高帯が一番気を遣う。登りはまだいい。問題は帰りだろう。前衛峰をクリアすると、標高差200mのホームストレッチが迫った。 苦しい登りの末、山頂に立った!三角点に積もった雪をはらい、コケに覆われた標石を確かめた。 東に少し移動すると、冠雪した塩見岳が見える。その前景が小河内岳・烏帽子岳・本谷山だ。じわじわ喜びが広がっていく。 ✻✻✻ 小日影山~2128南尾根末端部 ✻✻✻ しかし、歓喜の時間は、あっけない。腕時計を見て、置かれた状況をただちに理解する。さあさあ下山だ!前衛峰からの下りは、最初の核心部。雪に刻まれた自分の足跡を丹念に拾って歩く。時に見失い、ルートを探し直す。ロストしてコースアウトしたり、あやまって崖上に立てば、ピンチだ。 ようやく2128標高点。たった一人の作戦会議。日没は16:45。薄暮の限度は17:00と見た。しかし、山の端が高くて、実際にはそれより早く陰るとみておかねばならない。 この尾根は傾斜がきつくて、下りであっても時間が稼げない。もとより、登りと違って下降は難関だ。この尾根は明るい時間帯でないとルートの見極めが難しい。 ✻✻✻ 2128南尾根末端部~釜沢ゲート ✻✻✻ 林道に降りる直前、あと一歩というところで闇が迫る。気づくと足元に現役のワイヤーロープが固定してあるじゃないか。こいつは、林道の落石防止工の網留めワイヤだ!しまった!下りすぎたぞ。 登ってきたルートにこだわり、来た道を登り返して立て直そうとする。しかし、暗闇のヘッデン行動は困難を極める。何で赤布つけなかったんだ。 誤って滝口に滑落したり、崖上からスリップする悲劇は避けたい。暗闇の中で見慣れた景色を探すよりは、独自に安全ルートを見つける方が良さそうだ。 沢筋にたぐり寄せながら、全身を耳にする。滝頭に降りるシナリオだけは避けよう。水の流れを身体で感じ取り、滝の位置を探った。 慎重に高度を落としていく。登ってきたルートより、上流寄りと知れた。滝の右岸のルンゼを慎重に降りる。これでフィニッシュだ!静かにガッツポーズを決める。 因縁の山は、最後までサービス満点だった。
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