富嶽三景/屏風岩/大岩/高川山

2022.04.02(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
4 時間 54
休憩時間
1 時間 10
距離
8.0 km
のぼり / くだり
822 / 823 m
16
40
4
38
2
12
48
19

活動詳細

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甲府行き中央本線普通電車の車内は、思った以上に夥しい数のハイカーで溢れていた。週末の晴天予報であり、さもありなんである。 河口湖方面に行く人が、多いのかもしれない。そう思っているうちに、大月駅に到着したのだが、降車したハイカーは、それ程でも無い。 みんな何処に行くのかと、訊き回る訳にもいかない。お前こそ何処に行くのだ、と訊かれても構わないが、突然訊かれた人の本意では無いだろう。 好天の土曜日に、富士山の眺めが秀逸な高川山に、どれほどの人が向かうのだろう。そう思うと、訳も無く不安になる。 初狩駅で下車する積もりの私は、ハイカーで賑わう場所に巻き込まれるのを好まない。高川山も人気だが、初狩駅を起点として登山道が続く滝子山は、恐らくこの周辺随一の、人気の山である。 みんな初狩駅で降りるのかな、と云う妄想が膨らんでくる。そんなことになれば、降車するのが嫌になってしまうかもしれない。夥しい数のハイカーに揉まれて、駅前から登山口に向かう。その雰囲気が嫌だ。全く以て、利己的な思惟であることは云う迄も無い。 電車が笹子川に沿って走る。大月を通り越しての山行は久しぶりである。前回は、寂寞として感傷的な儘、誰も居ない山に分け入った。それはそれで、充実した行程だったが、何時までも落ち込んではいられないな、とも思う。そんな気持ちに応えて貰ったかのような、好天の土曜日であった。 線路が幾重にも分岐して、貨物用側線の広がる初狩駅に到着した。懸念していたハイカーの降車客は四名ほどで、安堵してしまう。上日川峠行きのバスは、未だ運行していない筈なので、大菩薩嶺とは思えないのだが、みんな何処迄行くのだろう。 今となってはどうでもいいことを思いつつ、去っていく電車を眺める。そうして、独特な風情の駅構内を、歩き始めた。

高川山 ホームの階段を降りて、貨物用の線路を越えた先に、古色蒼然とした駅舎が建っている。

改札口に近づくと、ひなたぼっこをしていた黒猫が起き上がり、ゆっくりと近づいてきた。どうやら駅に住み着いている猫のようである。

以前は、高川山と云えばビッキーだったな。そんなことを思いつつ、黒猫にお布施をする食糧も無いので、その儘駅舎に入っていく。

なんだ詰まらない。そんな感じで、黒猫は定位置に引き返していった。
ホームの階段を降りて、貨物用の線路を越えた先に、古色蒼然とした駅舎が建っている。 改札口に近づくと、ひなたぼっこをしていた黒猫が起き上がり、ゆっくりと近づいてきた。どうやら駅に住み着いている猫のようである。 以前は、高川山と云えばビッキーだったな。そんなことを思いつつ、黒猫にお布施をする食糧も無いので、その儘駅舎に入っていく。 なんだ詰まらない。そんな感じで、黒猫は定位置に引き返していった。
高川山 初狩駅の東側を、舗道が線路の下を潜っている。高川山の道標は左だが、構わずに右折する。

今日の目的は、絶景の誉れ高い屏風岩と大岩に登ることである。昭文社地図では破線のルートになっており、今までも食指が動かなかった訳では無かったのだが、未訪の儘、今日に至っている。

屏風岩の在る三角点ピークから、梁川駅の附近にまで延びている尾根を目指すが、その前に、麓に在る八幡神社に参詣することにした。

宿坊の在る門前を見て、広い境内に入る。幾多の石碑が並立し、古びた社殿はきれいに磨き上げられていた。

深く信仰を集めている神社なんだなと思わせる、佇まいであった。
初狩駅の東側を、舗道が線路の下を潜っている。高川山の道標は左だが、構わずに右折する。 今日の目的は、絶景の誉れ高い屏風岩と大岩に登ることである。昭文社地図では破線のルートになっており、今までも食指が動かなかった訳では無かったのだが、未訪の儘、今日に至っている。 屏風岩の在る三角点ピークから、梁川駅の附近にまで延びている尾根を目指すが、その前に、麓に在る八幡神社に参詣することにした。 宿坊の在る門前を見て、広い境内に入る。幾多の石碑が並立し、古びた社殿はきれいに磨き上げられていた。 深く信仰を集めている神社なんだなと思わせる、佇まいであった。
高川山 神社の裏手に、細い踏み跡が辿っているので、様子を見に行くことにした。

小高い丘に上がると、住宅街を見下ろす西側の景色が開ける。これから登る屏風岩の北尾根が、正面に見えている。

左側には、これも訪れてみたい岩峰である高巌が、ほど近い。そして、低山の狭間の彼方に、電波塔がチャームポイントである、三ツ峠のピークが覗く。

初狩駅から見上げた滝子山も積雪で白かったが、三ツ峠も、随分降ったようである。
神社の裏手に、細い踏み跡が辿っているので、様子を見に行くことにした。 小高い丘に上がると、住宅街を見下ろす西側の景色が開ける。これから登る屏風岩の北尾根が、正面に見えている。 左側には、これも訪れてみたい岩峰である高巌が、ほど近い。そして、低山の狭間の彼方に、電波塔がチャームポイントである、三ツ峠のピークが覗く。 初狩駅から見上げた滝子山も積雪で白かったが、三ツ峠も、随分降ったようである。
高川山 八幡神社を辞して舗道に戻ると、陽が高くなった所為か暖かい。

住宅が途切れようかと云う処で、庭先の高齢男性に挨拶すると、高川山に行くのは向こうだけど、と教えてくれる。

屏風岩に行くのです。恐縮しつつ答えると、ああ、あっちの山かと云って頷いた。気をつけてとお声を掛けて戴き、安堵してふたたび歩き始めた。

舗道が草混じりになり、枯木の尾根が近づいてくる。丸田地区から尾根を迂回してきた車道に合流すると、尾根に向かう踏路の入口。さて、どんな道であろうか。
八幡神社を辞して舗道に戻ると、陽が高くなった所為か暖かい。 住宅が途切れようかと云う処で、庭先の高齢男性に挨拶すると、高川山に行くのは向こうだけど、と教えてくれる。 屏風岩に行くのです。恐縮しつつ答えると、ああ、あっちの山かと云って頷いた。気をつけてとお声を掛けて戴き、安堵してふたたび歩き始めた。 舗道が草混じりになり、枯木の尾根が近づいてくる。丸田地区から尾根を迂回してきた車道に合流すると、尾根に向かう踏路の入口。さて、どんな道であろうか。
高川山 緩やかな勾配を歩き、間も無く右手からの道に合流した。地形図破線記載の通りである。

南方向にトラバースして続く道を選ぶと、やがて尾根に乗り上げるのだが、せっかくなので標高点582mに登ってみようと思う。

道のような、道ではないような踏路が分かれる地点が現われる。尾根に向かう作業道だろうか。

杣道を少しだけ辿り、途中からはピークに直登する尾根上に、無理矢理入っていった。
緩やかな勾配を歩き、間も無く右手からの道に合流した。地形図破線記載の通りである。 南方向にトラバースして続く道を選ぶと、やがて尾根に乗り上げるのだが、せっかくなので標高点582mに登ってみようと思う。 道のような、道ではないような踏路が分かれる地点が現われる。尾根に向かう作業道だろうか。 杣道を少しだけ辿り、途中からはピークに直登する尾根上に、無理矢理入っていった。
高川山 篠薮を掻き分けて、ほど無く尾根上に達するが、歩かれている様子は無い。倒木と笹薮の生茂る道を少しだけ登ると、標高582mのピークに到着。

潅木に囲まれた、なんでもない頂上であった。
篠薮を掻き分けて、ほど無く尾根上に達するが、歩かれている様子は無い。倒木と笹薮の生茂る道を少しだけ登ると、標高582mのピークに到着。 潅木に囲まれた、なんでもない頂上であった。
高川山 好事家の寄り道を終えて、尾根上を引き返し南下する。通行止めを示唆する人為的な倒木を越えると、黄色いテープのマーキングが枝に括り付けられていた。

地形図破線路が標高570mの鞍部で合流すると、いよいよ屏風岩の主稜に登り返していく。
好事家の寄り道を終えて、尾根上を引き返し南下する。通行止めを示唆する人為的な倒木を越えると、黄色いテープのマーキングが枝に括り付けられていた。 地形図破線路が標高570mの鞍部で合流すると、いよいよ屏風岩の主稜に登り返していく。
高川山 露岩の目立つ細い尾根を、ゆっくりと登って行く。屏風岩東尾根に合流する直前の、標高640m附近で踏路は西側に捲いていった。

労せずに主尾根に乗ると、広葉樹林の立ち並ぶ、明るい踏路となった。

枯木越しに、高川山北尾根末端の採石場を見る。削られた山腹の形状を見ると武甲山を想起して、ご無沙汰になっている秩父界隈に、ふたたび行きたくなってしまう。
露岩の目立つ細い尾根を、ゆっくりと登って行く。屏風岩東尾根に合流する直前の、標高640m附近で踏路は西側に捲いていった。 労せずに主尾根に乗ると、広葉樹林の立ち並ぶ、明るい踏路となった。 枯木越しに、高川山北尾根末端の採石場を見る。削られた山腹の形状を見ると武甲山を想起して、ご無沙汰になっている秩父界隈に、ふたたび行きたくなってしまう。
高川山 三角点設置の、標高736.4mピークに登頂した。「屏風岩ノ頭・736m」の手製山名標が小枝に括られているが、稚拙な造りを見ると、余り従う気にならない。

山頂域西端の屏風岩も標高は同じ736mなので、三角点峰に無理矢理屏風岩の名を冠しなくてもよいのでは、と思ってしまう。

YAMAPでのピークの名称が「下初狩三角点」となっているのも、なんとなく頷ける。

心地好い山頂だが、双耳峰の西峰に、早く行きたい。果たして、どんな景色が待っているのだろうか。
三角点設置の、標高736.4mピークに登頂した。「屏風岩ノ頭・736m」の手製山名標が小枝に括られているが、稚拙な造りを見ると、余り従う気にならない。 山頂域西端の屏風岩も標高は同じ736mなので、三角点峰に無理矢理屏風岩の名を冠しなくてもよいのでは、と思ってしまう。 YAMAPでのピークの名称が「下初狩三角点」となっているのも、なんとなく頷ける。 心地好い山頂だが、双耳峰の西峰に、早く行きたい。果たして、どんな景色が待っているのだろうか。
高川山 大岩分岐の小鞍部を経て、潅木が疎らになってきた。ピークが近づき、左手に岩崖の淵が見えてきたなと視線を上げて、思わず声が出た。

三ツ峠山の稜線が、裾に向かって高度を下げていく向こう側に、富士山がぽっかりと浮かんでいる。

前景の廃棄物処理施設「まるたの森クリーンセンター」が模型のように見えるので、風景のパースペクティヴが、造ったように整然としている。

「富嶽百景」の太宰が云うような、舞台背景の書割のような富士であった。
大岩分岐の小鞍部を経て、潅木が疎らになってきた。ピークが近づき、左手に岩崖の淵が見えてきたなと視線を上げて、思わず声が出た。 三ツ峠山の稜線が、裾に向かって高度を下げていく向こう側に、富士山がぽっかりと浮かんでいる。 前景の廃棄物処理施設「まるたの森クリーンセンター」が模型のように見えるので、風景のパースペクティヴが、造ったように整然としている。 「富嶽百景」の太宰が云うような、舞台背景の書割のような富士であった。
高川山 雪化粧の三ツ峠山と鶴ヶ鳥屋山が、圧倒的に大きい。両方とも、未だ登ったことが無い山である。

未だまだ、登ってない山が幾つも在る。そんな当たり前のことを、再認識させてくれる眺めであった。
雪化粧の三ツ峠山と鶴ヶ鳥屋山が、圧倒的に大きい。両方とも、未だ登ったことが無い山である。 未だまだ、登ってない山が幾つも在る。そんな当たり前のことを、再認識させてくれる眺めであった。
高川山 灌木が遮る北面方向の眺望だが、なんとか滝子山の全容を拝むことが出来る。

快晴の朝である。滝子山からの眺望も素晴らしいだろうが、この時刻に滝子山に登頂するのは、容易では無い。

初狩駅から一時間ほどで登頂出来る、屏風岩の真骨頂であるな、と思う。
灌木が遮る北面方向の眺望だが、なんとか滝子山の全容を拝むことが出来る。 快晴の朝である。滝子山からの眺望も素晴らしいだろうが、この時刻に滝子山に登頂するのは、容易では無い。 初狩駅から一時間ほどで登頂出来る、屏風岩の真骨頂であるな、と思う。
高川山 屏風岩を堪能して、もうこの儘下山してもよいのでは、と云うような気分になるが、億劫になりそうな気持ちを、なんとか鼓舞して大岩に向かうことにする。

西峰を下り掛けて間もなく、手製道標が大岩方面を示している。砂礫状の急勾配を経て、程なく鞍部に降り立った。

沢に下る踏路が分岐している筈だが、明確には判別出来ない。
屏風岩を堪能して、もうこの儘下山してもよいのでは、と云うような気分になるが、億劫になりそうな気持ちを、なんとか鼓舞して大岩に向かうことにする。 西峰を下り掛けて間もなく、手製道標が大岩方面を示している。砂礫状の急勾配を経て、程なく鞍部に降り立った。 沢に下る踏路が分岐している筈だが、明確には判別出来ない。
高川山 登り返して呆気無く、標高点753mの大岩に乗り上げた。落葉常緑樹の立ち並ぶ山頂は、屏風岩のような眺望では無く、ちょっと拍子抜けである。
登り返して呆気無く、標高点753mの大岩に乗り上げた。落葉常緑樹の立ち並ぶ山頂は、屏風岩のような眺望では無く、ちょっと拍子抜けである。
高川山 北西方面の斜面を少し下り、灌木の薄い箇所を掻い潜り、岩崖の淵に出た。

麓の廃棄物処理場とサッカーグラウンド、そして地形図表記の高齢者福祉施設を眼下にする風景が広がった。

屏風岩からの眺めと全く同じ方位だが、なんだか趣きを異にした光景のようにも感じられる。
北西方面の斜面を少し下り、灌木の薄い箇所を掻い潜り、岩崖の淵に出た。 麓の廃棄物処理場とサッカーグラウンド、そして地形図表記の高齢者福祉施設を眼下にする風景が広がった。 屏風岩からの眺めと全く同じ方位だが、なんだか趣きを異にした光景のようにも感じられる。
高川山 そうは云っても、やはり屏風岩の佇まいと、その眺望には敵わない。小休止で山頂を辞することにした。

標高点753mから、南面の岩尾根を下っていく。YAMAPのルート表示は、随分下降してから東側に進路を取っているが、実際は標高を二十メートルほど下った箇所で、踏路が分岐していた。

植林帯を辿る細尾根が鞍部に至ると向峠で、鍵掛峠の名称が併記されている。生活道としては重要な峠だと推察出来るが、余り長居したくなるような雰囲気では無い。

登り返すと、高川山から派生する山並みを辿る、気持ちの好い尾根歩きとなった。
そうは云っても、やはり屏風岩の佇まいと、その眺望には敵わない。小休止で山頂を辞することにした。 標高点753mから、南面の岩尾根を下っていく。YAMAPのルート表示は、随分下降してから東側に進路を取っているが、実際は標高を二十メートルほど下った箇所で、踏路が分岐していた。 植林帯を辿る細尾根が鞍部に至ると向峠で、鍵掛峠の名称が併記されている。生活道としては重要な峠だと推察出来るが、余り長居したくなるような雰囲気では無い。 登り返すと、高川山から派生する山並みを辿る、気持ちの好い尾根歩きとなった。
高川山 尾根伝いに歩いていると、時折富士山を眺めるポイントが現われる。それで、思い出したように立ち止まり、休憩する。

久しぶりに勾配が続き、尾根分岐の顕著なピーク、標高890m圏峰に到着した。

カンバ沢ノ頭と云う名称が付され、稚拙な手書きの山名標が、木に打ち付けてあった。

カンバ沢は、山梨県製の砂防指定地看板には、寒場沢と記されていたので、個人的には「寒場沢ノ頭」と記したいところである。しかし、位置的に見ると、沢の源頭は次の896mピークなのではないかと思われるが、定かでは無い。

寒場沢ノ頭に乗った処から、高川山の全容が樹間の向こうに、垣間見えるようになってきた。
尾根伝いに歩いていると、時折富士山を眺めるポイントが現われる。それで、思い出したように立ち止まり、休憩する。 久しぶりに勾配が続き、尾根分岐の顕著なピーク、標高890m圏峰に到着した。 カンバ沢ノ頭と云う名称が付され、稚拙な手書きの山名標が、木に打ち付けてあった。 カンバ沢は、山梨県製の砂防指定地看板には、寒場沢と記されていたので、個人的には「寒場沢ノ頭」と記したいところである。しかし、位置的に見ると、沢の源頭は次の896mピークなのではないかと思われるが、定かでは無い。 寒場沢ノ頭に乗った処から、高川山の全容が樹間の向こうに、垣間見えるようになってきた。
高川山 小鞍部を越えて、岩稜の細尾根を辿っていく。その途上に在る896mピークが羽根子山で、高川山の南西に位置している。

時刻は正午に近づいている。高川山の喧騒は、想像に難くない。南に派生している尾根を見ると、心地好さそうな雰囲気である。

登山道を外れて、昼食休憩とすることにした。
小鞍部を越えて、岩稜の細尾根を辿っていく。その途上に在る896mピークが羽根子山で、高川山の南西に位置している。 時刻は正午に近づいている。高川山の喧騒は、想像に難くない。南に派生している尾根を見ると、心地好さそうな雰囲気である。 登山道を外れて、昼食休憩とすることにした。
高川山 カップ麺とお握りの昼食を終えた頃、羽根子山から、単独行の男性が降りてきたのは意外であった。

この尾根を、都留市に下山する猛者が現われたかと思いつつ、挨拶を交わすと、高川山はこの先ですかと訊かれ、意表を突かれる。どうやら、間違って南尾根を下ってしまったようである。

もしかして、尾根の途上で、のんびり食事休憩している私を見て、誘引されてしまったのかなとも思われた。恐縮しつつ、高川山に向かう方角を説明すると、その向こうに聳える端整な山容を見て、ああ、あれが高川山かと、単独氏が呟いた。

あなたに逢わなかったら、この儘下ってしまうところでした。そう云われて、私は漸く安堵するのだった。

単独氏を見送り、少し時間を置いてから出発することにした。羽根子山に戻った処で、YAMAPのフィールドメモを書き込む。普段は滅多に行わないことだが、実際に道迷いの人に出会ってしまったので、止むを得ない。

羽根子山から、北東に延びていく尾根を辿る。山頂直下は、ロープも設置されている急傾斜であった。
カップ麺とお握りの昼食を終えた頃、羽根子山から、単独行の男性が降りてきたのは意外であった。 この尾根を、都留市に下山する猛者が現われたかと思いつつ、挨拶を交わすと、高川山はこの先ですかと訊かれ、意表を突かれる。どうやら、間違って南尾根を下ってしまったようである。 もしかして、尾根の途上で、のんびり食事休憩している私を見て、誘引されてしまったのかなとも思われた。恐縮しつつ、高川山に向かう方角を説明すると、その向こうに聳える端整な山容を見て、ああ、あれが高川山かと、単独氏が呟いた。 あなたに逢わなかったら、この儘下ってしまうところでした。そう云われて、私は漸く安堵するのだった。 単独氏を見送り、少し時間を置いてから出発することにした。羽根子山に戻った処で、YAMAPのフィールドメモを書き込む。普段は滅多に行わないことだが、実際に道迷いの人に出会ってしまったので、止むを得ない。 羽根子山から、北東に延びていく尾根を辿る。山頂直下は、ロープも設置されている急傾斜であった。
高川山 鞍部を通過すると、尾根の西側をトラバースして踏路が続いている。初狩駅からの登山道に合流すると、ひと登りで高川山に登頂した。

予想通りの人混みで、狭い山頂には二十人近いハイカーが犇めき合っている。

紛うこと無き富嶽眺望の山なのであるが、長居は無用である。羽根子山の単独行氏と視線が合ったので、挨拶を交わす。そして、下山に掛かることにした。
鞍部を通過すると、尾根の西側をトラバースして踏路が続いている。初狩駅からの登山道に合流すると、ひと登りで高川山に登頂した。 予想通りの人混みで、狭い山頂には二十人近いハイカーが犇めき合っている。 紛うこと無き富嶽眺望の山なのであるが、長居は無用である。羽根子山の単独行氏と視線が合ったので、挨拶を交わす。そして、下山に掛かることにした。
高川山 続々と登ってくるハイカーと擦れ違うようになったが、分岐点から男坂に入ると、誰も居なくなった。歩いてきた寒場沢ノ頭と羽根子山も、見納めである。
続々と登ってくるハイカーと擦れ違うようになったが、分岐点から男坂に入ると、誰も居なくなった。歩いてきた寒場沢ノ頭と羽根子山も、見納めである。
高川山 本数の少ない初狩駅の電車時刻に合わせて、ゆっくりと下山していった。休憩時間が終わったようで、高川山北尾根末端の採石場から、重機の騒音が響いてくる。

高尾行き電車の三十分前に、初狩駅に到着。昼下がりの無人駅には、ハイカーが数人佇んでいた。

貨物用の側線から、往年のスイッチバック駅を眺める。黒猫は、もう姿を現わさなかった。
本数の少ない初狩駅の電車時刻に合わせて、ゆっくりと下山していった。休憩時間が終わったようで、高川山北尾根末端の採石場から、重機の騒音が響いてくる。 高尾行き電車の三十分前に、初狩駅に到着。昼下がりの無人駅には、ハイカーが数人佇んでいた。 貨物用の側線から、往年のスイッチバック駅を眺める。黒猫は、もう姿を現わさなかった。

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