活動データ
タイム
11:00
距離
15.3km
のぼり
1818m
くだり
1812m
活動詳細
すべて見る3月10日 15:35:自宅出発 中央高速 17:30:駒ヶ根SAで休憩、夕食 20:03:道の駅 風穴の里(車中泊) 3月11日 4:30:道の駅 風穴の里出発 4:55:坂巻温泉に駐車(¥1000) 坂巻温泉5:36ー中の湯バス停5:58ー6:38太兵衛平ー霞沢岳西尾根11:05ー11:46霞沢岳12:03ー12:33霞沢岳西尾根12:43ー太兵衛平15:03ー大正池ー太兵衛平15:37ー釜トンネル15:58ー中の湯バス停16:09ー坂巻温泉16:34 霞沢岳西尾根は積雪期初級バリエーションと言われている。2週間前にソロで挑んだものの、前日の降雪による新雪、ノートレースで2000mまで3時間もかけてしまい、好天にも関わらず早々に断念した https://yamap.com/activities/15920643 断念した時点では悔しさはなかったが、下山し始めると悔しさが増してきた。 昨年にも挑戦したが、わずかに時期が遅く、雪融け水が凍りついた硬い氷に阻まれて断念したhttps://yamap.com/activities/10365933 ので、この山にはご縁がないのかと思ったりしたが、残念レポにも関わらず、何人もの方からコメント頂いたり、メッセージを頂き、本当に嬉しく、有り難かった。 今年中に再々挑戦するなら、早めにしないと笹が顔を出してくる。少々焦りながら、お天気と仕事と所用を考えて、再び会社の休みをいただくことにして金曜日に決行することとした。前回の挑戦から11日しか経っていないが、下界は随分暖かくなり、春の陽気だとニュースで伝えているのだが山の雪融けはもう少し待っててほしい。ここ数日、多くはないが登頂されたレポも見られる。しかし、残念ながら滑落して亡くなられた方もおられた。十分気をつけないと・・・気を引き締めて準備し、前回より少しだが軽量化を図った。 今回は1週間前に納車されたハスラー4WDで初遠征。使う予定はないがスノーシューなど雪山道具一式を入れて、会社を早退して出発。5時間かけて道の駅 風穴の里にやって来た。車中泊は全く寒くなく、随分暖かくなった。前回には凍りついていた地面も、もう凍っていない。これはありがたいが、ルートはどんな状態だろうか。雪解け水が凍り付いてないだろうか。空を見上げるとお月さまとオリオン座。その他のたくさんの星。明日の好天を約束してくれているようだ。 翌朝、4時前に起きて準備をして、25分かけて坂巻温泉に到着。5時少し前だったが、1台の車がゲート前に停車していた。やはり5時にならないとゲートは開けてくれないようだ。先にフロントに行って1000円を払うと、ゲートを開けてくれた。 登山口までの道路の氷結は解消されているだろうか。前回は前日までの雪でチェーンスパイクを装着して歩いたが、今回は一応して状況によっては装着することにして持参した。 準備をしていると、先着の方たちは明神まで行かれるとのこと。スノーシューを持参されていた。それも良さそうだなあ。弱気の虫が顔を出し始める。イカンイカン。何を考えているんだ。上高地散策はまたにしよう。 坂巻温泉から路面の雪や氷はわずかで、チェーンアイゼンは不要だった。30分で中の湯バス停。ここから釜トンネル。トンネル出口の路面には雪解け水が全面に広がって凍りついており、テカテカだ。両側の歩道に上がって歩くのが無難だ。釜トンネルを抜けると定番の焼岳。11日前と違い、すでに朝焼けは終わっている。登山口の太兵衛平まで、ほとんど雪の上を歩かなかった。季節の変わりつつあることをここでも感じる。 除雪された雪の壁の右側を登る。雪は締まっており、沈まない。トレースもしっかりあった。何もかも11日前とは違う。今日登れなければ自分には登れないルートなんだろう。今日は一日かけてここを登ろう。ケーブルのある登り口で、アイゼンをつけ、ハーネス装着。チェーンアイゼンはデポした。気温は-10℃。坂巻温泉で-4℃だったので、まあ、こんなものか。出だしの急斜面は、少しサクサクしているがステップもあり、快調に登る。 尾根に上がると木々の間から田代池方面、奥穂高が見える。今日も良いお天気だ。風もわずかで、あまり寒くない。ミッドシェルも脱いで登っているが、それで問題ない。トレースがあるので、それを踏みしめて登る。これはありがたい。前回に苦戦したところを難なく登れるのは本当にありがたい。先に行かれた方々に感謝しつつ、嫌でも前回の自分の姿を思い出してしまう。一歩一歩と3度踏み、5度踏みして登れば、そりゃ時間がかかるよなあ。よく頑張ったなあ。前回があるから、今回のご褒美がある。今日は山頂に立つぞ。 上の方から鳴き声が聞こえる。人の踏み跡の上に動物の足跡が見える。大きくないので🐻さんではないようだ。暫く行くとお猿さんが、朝食中だった。下の登り口で出会った方がやって来たので先を譲る。ゆっくりだが、着実に一歩一歩登られる姿を見て、同じペースでと思って登り始めるが、呼吸が乱れる。やっぱり、自分のペースでいいや。 それでも結構、息が苦しい。大きく深呼吸して鼓動を抑えようとするが、なかなか収まらない。どこか痛いわけではなく、ただ息が上がる。急登だけどそのためか。 ルートは一部、笹が出始めているし、木の根も見えている。随分、雪が減ったようだ。ただ、雪融け水が凍っていることはなく、その点では問題なさそうだ。 1800m付近では、先の滑落事故で亡くなられた方を思い、暫く手を合わせた。昨年の到達点を越え、その先の深雪の急斜面のトラバース部分でのトレースもバッチリ残っていた。 多少、貧血気味であるが少し座って休憩する。もうひとりのソロの男性にも先を譲り、更に急斜面を上り詰め、11日前の到達点も越えた。時刻は8時40分。息が切れて調子が良くないけど、前回より1時間半ほど早いので、前回にどれくらい苦戦していたかよく分かる。 これからの計画を立て直す。結構苦しいので、12時までの到着を目指し、最悪13時には下り始める。それから下りに3時間かければ16時。坂巻温泉までは17時過ぎに到着できる。これでも良い。天気も味方してくれている。今日は時間いっぱい使って良いので山頂を目指そう。 岩場を回り込んで尾根に出ると2000mのテン場付近。―4℃。やや風が吹いているが寒いほどではない。地形的には尾根に乗っているはずだが樹林帯の急登が続く。足の疲労はないが呼吸が荒れる。こればかりは仕方なく、立ち休み。もう、先行しておられた方がリズムよく降りてきた。速いなあ。スカイラインは見えているので、もうすぐ、景色が良くなるはずなのだが、後ろから来られた男女2名の方にも先を譲る。男性には落としてしまっていたサングラスを拾って持ってきてもらった。良いお天気なので、見失ったサングラスを拾っていただいて助かった。続く女性は両手にストックで、休むことなく着実に登られる。 私は、自分の呼吸に合わせてゆっくり登る。もうすぐ稜線だ。やがて、乗鞍岳の展望が良くなってきた。いよいよ絶景の稜線の始まりだ。まだ、灌木もあるが、難関の岩峰も見えだしナイフリッジになってきた。写真で何度もみていた憧れのナイフリッジに立っている。先行した男女のうち、男性が快調に登って岩峰の上に立った。女性も岩峰の半ば。雪面から上半分の岩の露出した部分の上りにかかる。私は、少し離れて様子を見る。男性は先に進んでいたが、立ち止まって女性に声をかけている。女性も応え、やがて岩峰を突破した。二人で山頂へと進められたので、私も岩峰に取り付く。下半分は雪面の快適な登り。残置の補助ロープは雪の下だが、登りは問題ない。上半分は雪が殆ど残っておらず、ガレ場の登り。3本くらいの補助ロープを全部掴んで、登り、途中でロープを離して左にトラバースして登る。再びロープを掴んで上りきると岩峰の上に立てた。他の方のレポの写真で見ると絶壁の岩峰でよく立てるなあと思っていたが、私でも立つことができた。風はほとんど無く、気持ちよく立っていられた。 ここからもナイフリッジ、その先にいつくもピークが見えるが山頂はその先。先行の男女はすでに見えない。 乗鞍、奥に御嶽。焼岳、奥に白山。右に笠ヶ岳、西穂から奥穂。360度の絶景を満喫しながら、ハイマツが露出しかけた雪面を登る。シュカブラもあり、強風の跡が伺えるが今は穏やかだ。先行の男女が降りてこられた。ピークは一番左を教えてもらった。距離感がつかめなくて、まだかかるかと思ったが思いの外、山頂の山名板が見えてきた。約30年振りの山頂。前回は、徳本峠から夏季の登頂だった。ここからの吊尾根の雄姿が見たくて、憧れてきた霞沢西尾根。登山を再開してから、行きたいけど行けないか・・・と何度も思案してきた甲斐駒―鋸岳縦走、栂海新道、そしてこの西尾根。ようやくここに立てた。今日、お会いした4名はすでに下山されており、しんがりの私一人で山頂を満喫した。 山頂から子どもたちにlineして、さあ下山にかかろう。最初は穏やかな山稜の下りだが、その次は例の岩峰の下り。ここが核心部。以前に事故もあったところ。ナイフリッジを通り、再び岩峰の上に立つ。素晴らしい高度感だ。補助ロープはあるし、斜度から考えて、クライムダウンできそうだ。懸垂下降してもよいのだが、登りの様子から不要と判断した。上半分の下降は問題なし。下半分の雪面は日光が当たって相当緩んできた。ピックを差し込んで支店にして下降する。もう1本、ピッケルを出したほうが良かったのだが、もう下降しているので、なんとか1本で慎重に下降した。 難関の下降を済ませて、ほっとして昼ごはんのパンを食べる。アイゼンが片方だけゆるいので締め直し、集中力を高めて下降開始。ナイフリッジの下にもクライムダウンしないと行けない箇所が出てくる。雪面に陽があたり、緩んでいるので要注意。これから登り人もいないので行動不能になる事故は絶対許されない。時間をかけて良いので着実に下る。2000mのテン場の下にも、1900mのテン場の下でも、クライムダウンした。ロープをだして下降しても良いが、何度も使うと時間がかかるので、結局、ピッケル1本で下降した。樹木があれば片手で掴むほうが確実だが、手がかりがない場合はピッケル2本のほうが良かった。トレースを外れると股まで踏み抜いた。高度感のあるトラバースでは2度、谷足の雪面が崩れたが、ピッケルを深く差し込んでいたし、両足荷重でバランスを保っていたので問題はなかった。 集中力が落ちてくると事故を起こすかもしれないので、気づいたら早めに立ち止まり、集中力を高めた。何も急ぐ必要はない。1800m付近では、先の滑落事故を思い出して、心新たに慎重に下降した。結局、3時間をかけて登山口に到着した。まだ、余力は十分なので、ザックをデポして大正池方面に歩いて再び吊尾根を見に行った。下から見上げるあの山々。今日は同じくらいの目線から見ることもできた。登山を終えた安心感からか、疲労も出てきたので下に戻り、ザックを背負って帰路を歩いた。今回は登頂を果たしたためか、いくらか荷が軽い気がした。
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