活動データ
タイム
08:11
距離
15.9km
のぼり
1354m
くだり
1337m
活動詳細
すべて見る実はかなり広大な山地である朝日連峰。一般登山ルートは北の以東岳から南の祝瓶までですが、実際は鶴岡市街地のすぐそばから、飯豊連峰に繋がるまで、それはそれは広大なエリアになります。主稜線も凄まじいのですが、枝分かれした稜線も負けず劣らずと長大なスカイラインを描いています。その1つに、狐穴小屋から障子ヶ岳を経て、はては月山湯殿山に繋がってしまう一大支稜線が御座います。通常は紫ナデまでしか歩けませんが、積雪期になるとにわかに活気づく穴場となります。その山こそ、支稜線では障子ヶ岳に次いで高い赤見堂山、そしてそこから東に延びる尾根上の石見堂山。山とスキー編集部著『山スキールート212』や、松澤節夫著『東北の山スキー 特選ガイド』にも収録されている知る人ぞ知る名ルートなのです。山スキーをはじめるにあたりそれらのガイドブックを手に取って、存在こそは認知していたものの、その長さ・やせ尾根が織り交ざるルート下部・入山時期の難しさ(早すぎると厳冬期・遅いと融雪で藪漕ぎ)で自分にはまだ早いルートだと思っていたのが1年目。それからガイドブック収録のもっと登りやすくてもっとメジャーな山を巡っていたので、気になりつつもなかなか登れずじまいでした。5年目でようやく、ようやくチャレンジすることができました。赤見堂登頂を目指す皆さん、朗報です。今シーズンはもう登れますよ! 【ルート概要】 登りに石見堂を経由し、下りは赤見堂南の1327点東尾根にて下山する周遊ルートです。 ◇入山点~石見堂山◇ 正直この山は登り始め、下山直前の50mが一番しんどい気がします。1つはやせ尾根であること。加えて県道から直接登るため、除雪でできた雪の壁がネックであること。また、駐車スペースも乏しく、いかに地元住民の迷惑にならないかに気を付ける必要があります。 取り急ぎ駐車については、除雪でできていた1台分のスペースをお借りしました。ただここも降雪が激しい際は遠慮したほうが良さげな雰囲気です。山形自動車道をくぐってしばらくすると右手に数台分停められるポイントがあります。ここから登ると994点を経由して石見堂山に至ります。今回4名の団体さんがこちらを起点に入山されていました(石見堂、赤見堂と登り小桧原川源頭部を滑走後、石見堂山南尾根(1190点のある尾根の2つ右隣だったと思います)を登って帰ってくるルートのように思われました)。 取付は小桧原橋の北口が若干雪壁が低くなっていたのでそこより入山しました。ザック・スキーをすべて雪壁の上に置いた後、空身で跳び箱の要領で雪壁に飛びついて何とか上がれましたが、上記ガイドブックでは454点の1つ南の緩い尾根を案内していたので、そちらの方がいいかもしれません。というのも、小桧原川から取り付くと登り始めがかなり急で、それだけならいいんですが下手すると道路に雪崩を直撃させかねないロケーションだったのであまりお勧めできません。その後もガイドブック紹介ルート合流までに急な登りが1つあります。合流後はさほど苦労する箇所はありません。少なくとも現時点でブッシュは出ていません。ただ、スノーボールが散見されましたので、今後より春めいてくれば雪崩のリスクはより大きくなると思います。 1080m地点で前述の団体さんトレースと合流。今シーズンスキーの登りで誰かのトレースをお借りすることが初だったので、いたく感動しました。 雪質については、入山時降雪があったため登り始めは若干のモナカ雪に新雪がうっすら乗った状態、その後昇温でグズグズ沈む雪になりましたが、おおむね1000mより上は風が常時吹き付けるためよく締まった雪質で歩きやすかったです。 ◇石見堂山~赤見堂山~1125三角点◇ 稜線につき雪は締まり歩きやすいです。ただ赤見堂山の稜線についてはたまにストックで耐風姿勢を取るくらい強風だったこともあり、締まった雪を越えて凍結斜面になりかけています。先行パーティはクトーを使用されていましたが、傾斜はそこまで強くないのでシールでも登れました。1327点まではとにかく風が強かったです。 1327点からは緩く広い下りだったので非常に気持ちよく進めましたが、視界不良時は苦労しそうです(これは石見堂山から1125三角点までの区間で共通して言える点です)。細かい登り返しも多かったので、1125三角点でようやくシールを外しました。 ◇1125三角点~下山点◇ 滑り始め早々雪はストップ雪となり、滑走自体は手放しで軽快、というものではありませんでした。800m以下はシャーベット雪で、やせ尾根と組み合わさるとブレーキングがなかなか難しいです。785点は若干の登り返しですが、一端スキーを担ぎツボ足で突破。785点より先は連続して枝尾根の分岐があるので、間違えた尾根で降りないよう注意が必要です。 最後の50mダウンが一番苦労しました。尾根上を降りているように見えますが、登り返し&やせ尾根を嫌って若干南側斜面をトラバース気味に降りました。ただ季節が進むと雪崩の巣になりそうですし、そもそも雪がなくなるかもしれないので他の記録も参考にしてください。 そして再び車道に出るために除雪の壁を何とかしなくてはいけません。一気に県道に降りるのは壁の高さ的に絶望的だったので、生活道に遠慮気味に降りました。恐らく雪のブロックを多少道路にバラまくことになるので、道の脇に寄せる等地域住民の迷惑にならないような登山を心掛けたいです。 天気予報と裏腹になかなか晴れてくれなかったので、せっかくの有休なのに…と少しいじけていました。が、1327mくらいからぐんぐん天気が回復し、見たかった厳冬期の月山・朝日連峰を最終的に望むことができたので良かったです。それ以上に、前々から狙っていたルートをようやく物にできたので、気分爽快ですね。山スキーをはじめた頃は取っ付き辛いルートだと思っていましたが、5年の経験値で無事下山することができたのでそこも嬉しい点でございます。メジャーなマイナールートというだけあって、かなり楽しい山行になりました。
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