下心⁈ いや、運命の再会を夢見て…(再起のハードボイルドな妄想山旅)

2018.01.20(土) 日帰り

活動データ

タイム

04:30

距離

7.2km

のぼり

807m

くだり

807m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
4 時間 30
休憩時間
41
距離
7.2 km
のぼり / くだり
807 / 807 m
10
1 55
2
22
1

活動詳細

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「展望が開けたいい山よ。ウフフ…」 その女は微笑んでそう言った。 今日オレが登ろうとする入道ケ岳のことだ。 入道ケ岳は、鈴鹿セブンマウンテンの一つに数えられ、近畿百名山にも名を連ねる山である。 だが、その女から入道ケ岳を教えられた時、オレはその存在すら知なかった。 また、その後もそんな山があるのかー そんな程度の認識だったのだが、心の奥底に何か引っかかるものがあったのだろう。 今日、オレは無性に入道ケ岳に登りたくなった。 その女と出会ったときのエピソードについて聞きたくないか? あぁ、聞きたくなくても言うけどな。 (結局、言うんか〜い) その日、オレは鈴鹿最高峰の御池岳に登っていた。鞍掛トンネルの手前にクルマを停め、コグルミ谷ルートで山頂に登頂し、その後、ボタンブチまで足を伸ばした。 そして、山頂へ引き返そうとしていたとき、行き交うその女から声をかけられたのだ。 だいたい、丸顔のクセしていつも眉間にシワを寄せているハードボイルドなオレに話しかけてくる物好きな女などまずいない。まぁ、皆無と言っていいだろう。 (怒ってるワケじゃないですよ。シンドくて余裕がないだけです🤢) なのに、その女は奇特にも「あら、おひとり?」と声をかけて来た。 その女は少し大きめのサングラス🕶をかけていたため、年齢は不詳だが、ちょっとお水っぽい雰囲気を醸し出していた。そして、その女は、上から目線でオレに接してきた。 「鞍掛トンネルであなたのクルマの前に、私らのクルマを停めたでしょ。気づかなかった?」 「いつもお一人? 」 「ご結婚なさってるの?」 まるで場末のスナックに初めて入ったような錯覚に陥った。 基本的にオレに近づいてくる女は、山だけでなく私生活においても殆どいないのだが、本当に稀に現れると、共通してこのタイプの女だ。 丸顔のクセして格好をつけてはいるが、実はシャイなハートの持ち主であることを瞬時に見抜き、からかい半分で近寄ってくるのだ。 (と、思っているんですが、女心はまったくわかりましぇ〜ん🤔) 話しているうちに、その女の素性でわかったことは、名古屋から来ていて山岳会に所属していること。今日のパートナーも夫ではなく、山岳会のメンバーとのことだった。 そのパートナーをほったらかしにして、オレと話していていいのか? オレはちょっと心配になったが、その女は気にかける様子もなく会話を続け、どのような流れだったか忘れたが、展望の良い山として入道ケ岳に登ることをオレに勧めてきたのである。 さて、話は飛躍するが、この一週間、オレの頭にこびりつき離れなかった言葉がある。 それは「背水の陣」だ。 先週、オレは出来もしない山ガールに扮するレポをアップし見事にスベり、日本全国、いや世界各国に存在する何千、何万ものフォロワーの期待を裏切ってしまったのだ。 (自分のいいねの回数をちゃんと確認しろよ。サーセン🙇‍♂️) やらかした失敗を挽回するには、やはり感動を生む山レポをアップするしかない。 だから、今日ヤマップに上げるこのレポは、オレの再起戦である。 アイツはもう終わった…。そう言わせないためにも、今回は正念場だ。 (終わる前に始まっていないし、そもそも感動なんかあったっけ? それにしてもハードル上げちゃったよ。さぁ、どうするどうする😨) 再起戦の舞台とする山は、どこにすべきか? まずは、登る山が今回の山レポのカギとなる。 そうオレは見込んでいたのだが、この時、脳裏に浮かんだのが、この入道ケ岳だったのだ。 いつも通り、前置きが長くなった。すまねぇ。 オレは再起の山を入道ケ岳に見据え、早朝から鈴鹿にクルマを走らせた。 登山口は一ノ宮神社として知られる椿大神社にあるらしい。 オレの自宅から登山口までは、2時間あまりのドライブだが、まだ見ぬ景色に夢を馳せ、気がつけば椿大神社に到着していた。 この神社、「つばきだいじんじゃ」ではなく「つばきおおかみやしろ」と読むらしい。 椿大神社の御祭神・猿田彦大神は、「みちびきの祖神さま」として広く崇敬されているとのことだ。 オレは広大な駐車場にクルマを停め、まずは椿大神社にお詣りすることにした。 駐車場の整理をするガードマンに「おはようございます」と挨拶の言葉を投げかけると、そのガードマンがオレに話しかけてきた。 「沢山の人が山に登りにお出でになるが、頂上までどれくらい時間がかかるんやろか?」 そんなこと、初めて登るオレが知るわけない。だいたい、それはオレの台詞だろ。心の中でそう呟いたが、もちろんオレも大人だ。 「さぁ、どうでしょう。私も初めて登るのでわからないですが、そんなにかからないと思うんですが。」 向かう方向が一緒だったため、しばらくオレはそのガードマンと並んで歩き、少し会話を続けた。 それで知ったのだが、この椿大神社は正月には多くの参拝者が訪れ、駐車場にクルマを停めるのに2、3時間待ちもザラとのこと。 さすが伊勢国一ノ宮神社だ。 さぞ御利益もあることだろう。オレはあの女との再会に導いていただきたく、導き鉾守を買った。 さぁ、お詣りも済ませ御守りも手に入れた。いざ入山だ。 十分な下調べをして来なかったが、オレは北尾根を登ることにし、愛宕社の鳥居をくぐった。 北尾根ルートはいきなり急階段で始まり、段差の大きい階段がオレの大腿筋を痛みつける。オレはすぐに息が上がった。 だが、頂上であの女と運命の再会が待っているかもしれない。そう思うとオレは辛くなかった。 あと少し、あと少し…。山頂でオレは言う。 「また、お会いしましたね」 雑木林に覆われるトレイルをひたすら歩き続けると、やがて展望が開けてきた。 北の方角にピラミダルな鎌ケ岳がそびえ立つ。 あぁ、今日オレはこの山に登ってよかった。 心からそう思えた。 もちろん山頂にその女の姿は見えなかったが…。 ちなみに、今日オレが会話を交わしたのは、ガードマンのオッちゃんだけだった。 追伸 男ってバカですよね〜。 ちょっと声をかけられただけで勘違いして。 でも多かれ少なかれ男は、こんな下心⁈ いや運命的な再会💏を夢見ていると思いますよ。 だから、子羊さんよ、男に近づくときは心してかかってこないと傷つくぜ。 エッ、女狐さんでしたか⁈ これはまた失礼しました。(直立不動で敬礼) 追伸の追伸 最後までご覧いただき、ありがとうございます😊 また、ハードボイルドに戻りました。 インフルエンザが流行ってきていますので、皆さん感染しないよう注意ください。恋の病なら感染したいですが。 何言うとんねん、オトン。丸顔の長女にそう言われそうです…。

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