活動データ
タイム
09:32
距離
20.8km
のぼり
1637m
くだり
1747m
活動詳細
すべて見る◯主な工程 竈門神社→正面道→羅漢道→宝満山→キャンプ場(1泊)→三郡山→若杉山→篠栗駅 ◯装備概要 ・ザック総重量:15.0kg ・食糧:3食分(牛丼、うどん、カップ麺) ・水:500ml×3本(水場で補給) ・行動食:柿ピー、ガッツギア、アルフォート ・寝具:シュラフ NANGA UDD QUILT 350+ISUKA ゴアテックスシュラフカバー ◯活動詳細 →写真に記載。 --- 以下、日記。 『三郡山系ひとりクリスマス縦走・テント泊』 言葉の相乗効果に期待して魅力的な単語を並べてみたが、どうやら街中の連中は私を単なる寂しいやつと思っているらしい。 たがしかし、彼らは少し勘違いしているようだ。 山というものには出会いがある。 そして私はまた一つの素晴らしき出会いを果たした。運命的とも言えるかもしれない。 クリスマスという特別な日に、きっと出会うべくして出会ったのだろう。 変態に。 いや、変態というと失礼にあたるので尊敬の念を持って付け加えておく。変態紳士だ。 一見優しい山好きなおいちゃんであるが、 本性は石や土を深く観察し、その生成や隆起までの過程を考察することで、地球が生み出すこの世の美しい原理原則にロマンを追い求める変態紳士。 そして微小な物質に潜む内的必然から極大な世界を想像する、尊き山人である。 このような出会いが、山をさらに魅了づける。 さて、今回は竈門神社から篠栗駅まで縦走しながら、クリスマスの夜をひとり山で過ごそうという試みである。 これは街中を幸せそうなオーラで覆うクリスマスという、目には見えない集団的圧力に動揺しつつも、昨日より一段と寒い冷気の中で、気付けば仕事終わりに後ろめたさと寂しさを共にひとりで夜を過ごす同志達へ向けた、私なりの超ポジティブかつ前衛的な応援である。 街を彩るイルミネーションは、確かに人類の数百年に及ぶ叡智を集結した一種の象徴であり、芸術であることは認める。従って人々がその光を取り囲み親睦を深めあうのは素晴らしいことである。 しかし光の本物の美しさは、何億年も前に放たれた、通称「星」と呼ばれる宇宙からの信号にこそ秘められている。人々が我を忘れて無を悟るそれは、人類の想像をも超えた造化の設計であり、街中のイルミネーションとは時間的概念において雲泥の差とも言えよう。 山へ登るという行為は、そんな光のある宇宙へ少しでも近づきたいという、宇宙を夢見る山男の純粋な欲求の現れである。 従って私のこの行為は大いに貴いものであり、聖なる夜に相応しい時間を過ごしていると自負している。 というようなこじつけで登ってはみたものの、いざ今回の工程を振り返るとなると、なかなか手が進まない。 確かに竈門神社から篠栗駅まで歩くというのは一種の面白い活動のように見えるのだが、実際は繰り返しやってくる激しいアップダウンを前に頭がクラクラしながら、井上陽水の夢の中へがエンドレスで流れる途方極まりない活動である。 「探し物はなんですか?」「赤いテープです。」 「見つけにくいものですか?」「まぁまぁ」 「それより僕と踊りませんか?」「嫌です。」 「夢の中へ行ってみたいと思いませんか?」「是非!!」 今思えばなんとおぞましく寒々しい。 このようにして三郡山から砥石山までの長い道のりを、井上陽水との対話という現実逃避と共に歩き終えたが、その後にやってくるショウケ越えの向こうには、また山みたいな影がある。 …どうか雲であってくれ。しかしやはり山である。 若杉山だ。ショウケ越えを越えた途端から始まる斜面。もう嫌じゃ。斜面は嫌じゃ…。 「ハリーポッターと謎のプリンス」の作中で、死の秘宝を破壊するために、ハリーが飲ませようとする謎の液体を必死に拒むダンブルドアの気持ちがよく分かるようだ。 そんな時に目の前をツノの生えた四足動物3匹が通りすがった。 思わず多忙なクリスマスの仕事を終えたトナカイが晴々と遊んでいるのかと思ったが、よく見るとシカでした。(うれしー風) 結局、三郡山から背の高い樹林帯を進むこと3時間、いや、キャンプセンターから4時間、誰ともすれ違うことなく歩き続けたことで、まるで人間のいなくなった世界を歩いているような感覚を味わうことになる。 なぜ私はここを歩いているのですかと自然に問いかけるが、彼らは何も答えない。 黙々と足を動かし身を運ぶ。すると突然、木々の間から若杉ヶ鼻が現れた。 驚いて若杉ヶ鼻から顔を出すと、福岡の街と、これまで縦走した山々が居座っている。 ちょっぴり感動。 もしかしたら、自然は私の「なぜ歩いているのですか」という問いかけに、姿で答えたのかも知れない。 宝満山キャンプセンターから若杉ヶ鼻まではほとんど眺望が無い。そのため、若杉ヶ鼻で突如現れる、これまでの軌跡に対する感動がより強く感じられるのだ。 縦走の感動をドンと感じれることが、この宝満山から若杉山への縦走の良さかも知れない。 これだけの時間をたった一人で、誰にも会わずに歩くことなどこれまで無かったように感じる。ほとんどの時間は、果てしない自問自答が続いた(あるいは無か)。山を歩くということは同時に、自分自身と向き合うことなのかもしれない。 きっと誰もが、山の中で自分自身と向き合っている。キャンプセンターで出会った山人が、石を通して世界の理を想像するように。かたや自分の限界を知るために、数多くのピークハントを試みる山人がいるように、山人は常に自分の好きを追い求めている。 だから山人というのは実に尊い存在なのだ。 縦走路の最後、若杉山にて、ついに今日最初の山人に会った。ようやく無事に帰ってこれたのだと、この時の安堵感は計り知れない。 そして若杉山を後にし、一人1,700円する若杉の湯に怖気付き入浴を諦め、道を間違えながら無事に篠栗駅まで完歩したのであった。 最後に、汗を流しながら感動のゴールを果たした矢先の満員電車が待ち構えていたので、車内に山の中を歩いた人間のアロマの香りを匂わせておきました。 三郡縦走。テント泊。最高。 ※12/26現在、若杉の湯は大浴場を閉鎖し、家族湯のみ入浴可能だそうです。
活動の装備
- スノーピーク(snow peak)ファルPro.air2
- ホグロフス(HAGLOFS)Double Cloth Pants
- ホグロフス(HAGLOFS)Grym Evo Jacket Men
- ミレー(MILLET)マーカム 60+20
- その他(Other)スイスカードライトT0.7300.T【日本正規品】
- その他(Other)vargoチタニウム ディグディグツール T-471
- スノーピーク(snow peak)たねほおずき
- スノーピーク(snow peak)オゼンライト
- ナンガ(NANGA)UDD QUILT 350
- ブラックダイヤモンド(Black Diamond)スポット
- スノーピーク(snow peak)チタンダブルマグ300フォールディングハンドル
- サーマレスト(THERMAREST)Zライトソル
- スノーピーク(snow peak)ギガパワーストーブ地
- ブラックダイヤモンド(Black Diamond)トレイル
- スノーピーク(snow peak)トレック900
- ホグロフス(HAGLOFS)スクータ ミッド プルーフ エコ メンズ
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