活動データ
タイム
03:33
距離
5.2km
のぼり
478m
くだり
481m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る「先入観」 初めに知ったことによって作り上げられた固定的な観念や見解。 それが自由な思考を妨げる場合にいう。 辞書には、そう書かれている。 元日、夜明け前。 妙義の大の字で初日の出を待っていると、茜色した東の空に見えるのが筑波山だった。 これまで仕事やプライベートで何度も茨城県に行った事はあったものの、登山の対象として茨城県の山に足を運んだことはなかった。 だからきっと、茨城県の山で最初に登るのは、筑波山なんだろうと勝手に思い込んでいた。 こんなことを言うと、茨城県民に叱られてしまうかもしれないが、正直、茨城県には筑波山くらいしか登るべき山が無いのだろうとさえ思っていた。 1ヶ月以上前、湯沢源流と篭岩山山行のお誘いを受けた時も、「ちょっと滝でも見て、鍋パーティーをしよう。」といった軽い乗りであり、何鍋にするかがメインテーマだったため、山は二の次だと考えていた。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - ハイビームがマジックアワーの北関東道を照らす。 車の外気温の表示はマイナス4℃。 金曜日から土曜日にかけての寒気の影響が気になったが、どうやら太平洋側の凍結は大丈夫そうだ。 高速道を降りると、西の空に真ん丸い有明の月が浮かんでいる。 助手席からは、「あんな大きな満月なんて見たことがない。」と歓声が上がる。 今夜はコールドムーンと言われる、今年最後の満月のようだ。 集合場所の駐車場に車を滑り込ませると、正面に凛々しいい岩山が姿を表す。 奥久慈男体山という山らしく、あの先には日本三大名瀑の一つ、袋田の滝があるらしい。 取り付き口までアス道を歩き、民家の庭先から登山道に入る。 路面には霜柱が立っており、踏みしめる度にソールから感じるサクサクという感触が心地よい。 歩き始めて直ぐに不動の滝が現れる。 落差は10メートルほどだろうか。 水は流れ落ちているものの、日陰となっているためか、やや凍っている。 よく見ると、滝の左横から落ち口にかけて、トラバースするように登山道が続いている。 岩から染み出した水が凍っているため、1度に全体重を掛けないよう、落ち葉が溜まった場所も1歩ずつ慎重に進む。 不動の滝を登りきると、ちょっとした沢登りのように、沢沿いの道を所々ヘツりながら進んでいく。 岩と沢の境界線には、薄氷が張っている。 流石に、この時期のドボンは泣きたくなるだろう。 やがて、巨岩が林立する湯沢源流、そして篭岩山へと歩を進めていく。 先導を任されていたものの、ちょっとした沢登りやバリエーションルートのような感覚で、登れそうな岩のルートが目に入ると、つい、童心に戻って登ってしまう。 そう言えば、実家にある柿の木が幼い私の秘密基地だった。 そこからは夕日に染まる妙義山や荒船山、鹿岳なんかが綺麗に見えていたなぁ。 茨城の山、日本百名山の筑波山以外にも、登ってみると面白い山がここにあった。 何度も通いなれた山を歩くのも良いが、少しずつレベルを上げ、この先にどんな景色が待っているのかとワクワクしながら未踏の地を進むが好きだ。 人間、先入観や固定概念だけで歩んでいたのでは成長しない生き物なんだろう。 常識と思っていることや既存の知識、自分の中での線引きに捕われず、素直に物事を受け入れてみると、思いもかけなかった発想が生まれてくる。 これも、山と出会い、人と出会ったことによって感じることが出来た感情なのかもしれない。 年末まで、まだ何度か山を登りたいと思っているが、年の瀬を振り返り、恵みの多い1年だったと感じられる良い納会であった。
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