初めて通る道
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唐沢山・熊笹山・北高尾富士見台・杉沢の頭(峰ドッケ)・高ドッケ・板当山・杉ノ丸・黒ドッケ・大嵐...の写真

2021.11.25(木) 11:16

初めて通る道 けっこう好きな感じ

この写真を含む活動日記

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07:54

27.9 km

1988 m

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高尾山・陣馬山・景信山 (東京)

2021.11.25(木) 日帰り

高尾山 登山を始めてからとてもお世話になっている山。 登山を始める以前、年に1度は必ず高尾山に訪れていた。 帰りは決まってリフトに乗り、足をぶらぶらさせながら街の景色を楽むのが恒例の楽しみ方だった。 リフトの途中、記念撮影をしてくれる。 面白半分で買い始めた写真は、毎年1枚ずつ増えていった。 1年ごとに見ていけば特に変わらない自分も、5年も経てば変化しているのに気づく。 歳を重ねる事は好きだ。 外見では、皺が増えたり、瑞々しさが無くなり頬がこけたりもするだろう。 その人が歩んできたもの、喜怒哀楽が染み込んだもので、愛おしくも感じる。 内面では、少しずつ丸みを帯びた性格になり、相手を思えるようにもなる。 相手を思う心遣いが垣間見えた時、愛おしさを感じる。 どちらも見ていて、自分を喜ばせてくれるものだ。 ここ数年はリフトで写真を撮る事も無くなった。 いま、自分の顔を見てどう変わったのか。 相手を思える自分がそこにいるのか。 何気なく撮った写真。 客観的に見ても、今の自分に愛おしさを感じる事はまだ無さそうだ。 最寄りの山は高尾山。 散歩をするような感覚で登っている。 最寄りの山というだけでも愛着がわいてきている。夏から始めた登山では、あらゆるルートで高尾山を楽しんだ。 それぞれのルートで見せてくれる顔が違い、いつでも楽しませてくれた。 雨が降る時では、濡れて悪路を歩く楽しさや、モヤがかった真っ白い景色を楽しめた。 真っ暗な夜では、本当に何も見えない深い闇と、そこから見下ろす光る街並みを楽しませてくた。 どんな状況でも、知れば知るほど愛着がわいている。 高尾付近の山々の縦走を繰り返し行い、最近では、北も南も奥高尾もとても好きな場所になった。 関心を持ち、知ろうとする気持ちが自分に好意を持たせてくれる。 高校の時、初老の先生が生徒に向けてこう言っていた。 『本当の悪は無関心になる事』 そんなような言葉だったように思うが、その言葉がとても印象的で、今でも覚えている。 カフスボタンを付け、ワイシャツの襟が少し高め、話し方にも品のある、素敵な先生だった。 卒業してから暫くして、無関心な自分がいる事に徐々に気付き始めていた。 そんな事は無いだろうと、何か始めてみても直ぐに関心が無くなり、辞めてしまう事が何年も続いた。 長く続いたヨガは4年くらいやっていたが、ここ数年やっていない。 カメラを買ったけど、たまに使うくらいで熱心に撮りには行けていない。 コーヒーが好きで、挽く機械やネルを買ったけど、手間をかける事に時間が取れず、ごくたまにの出番になっていった。 山に関心を持ち始め、活動的に過ごしているいま、関心を持ち、情熱を注げるものに出会ったと感じた。 そして、山でネルドリップのコーヒーを飲むようになった。 身体を鍛えるためにヨガにも行きたいなと思い、山登り写真をとりたくてカメラの出番も近いだろうと、全てがつながり出しているのを感じている。 長い時間が掛かったが、歯車が動き出している。 点と点を結んでいく作業が始まった。 今日の山歩きは、北高尾山稜、景信山から城山、南高尾山稜を結び、MAPに大きな環状ルートを作る事となった。 5:30に目覚ましが鳴る。 久しぶりのしっかりした山登りが楽しみで3:00に目覚めていたのはご愛嬌。 まだ薄暗い中、駅に向かって歩く。 空は薄い青にオレンジ色が覆い被さろうとしている。 きつい赤ときつい青がチカチカと点滅を繰り返している。 人が動き、車が動く。 駅に着く。 高尾駅から歩き始めると、朝日が山を照らしている。 山は秋を感じさせる赤、オレンジ、黄、緑で出来ていた。 色を意識して物を見るのも面白い。 北高尾山稜。 先日登ったばかりの場所である。 ここをスタート地点に選んだのは、単純にキツいルートだからである。 先日の登りでは少なかったが2名に会うことが出来た。 また誰かに会ったら少し話してみようかな。 と、思いながら歩いた。 落ち葉の量がだいぶ増えて、パリパリと音を立てて歩いていく。 滑りやすくもあるが、わざと落ち葉の上を歩いたりもしたくなった。 そしてちゃんと滑った。 葉の量にも変化があるが、日の入り方もまた変わってきている気がした。 暫く歩いているが、日の光を横から受けているような感じだった。 人の気配が全く無い。 誰かに出逢いそうな感じも無かった。 昨日寝る前に聴いていた曲について考えていた。 暗闇の中で、一筋の光を表現したような曲。 音でそれを表現出来るのは、作り手の創造力と聞き手の想像力が合致しているからかなーと思った。 ミュージックビデオでは、森の中を歩いたり、木々が映っているものだったので、いまの状況とリンクさせていた。 堂所山に着くまで人に会わなかったが、ここを過ぎた頃には陣馬山に向かう人や、高尾山に向かう人が多数いた。 3時間程1人で歩く山道も初めてだったが、いろいろ考えたり出来たので楽しめた。 キツいアップダウンも終え、景信山に向けて歩く。 道もなだらかで、歩きやすかったが、足の痛みを感じ始めていた。 インソールを新しい物に変え、数ミリの厚みが靴をキツく、足を圧迫していった。 環状ルート出来るか、やや不安になり始めていた。 おにぎりと、コンビニで買った小さい袋のリンゴ飴でエネルギー補給を済ませ、城山へ向かう。 知っている道に入ると疲労度もあまり感じなかった。 城山に到着。 今回ここで目当ての猫を探そうと、うろうろをしてみたが見つからなかった。 どこに隠れてるのー。 天狗の横顔を眺め、大垂水峠に向かう。 この道は初めて達道だったが、木々が整列している場所もあり、歩いていて気持ちよかった。 ごちゃついたところを闇雲に歩くのも好きだけど、整った所を通る時の襟を正す感じもまた好きだ。 大垂水峠から南高尾山稜へと入っていく。 足の痛みから、まきみちまきみちまきみち、、、。 片足を庇うせいで反対の足も変な痛みが、、、。 南高尾山稜は北に比べてだいぶ歩きやすくて良かった。 こんにちはの挨拶で少し元気を分けてもらい、進んでゆく。 こんにちはと同時に、ご年配の女性から『どちらからいらしたの?』と尋ねられ、高尾駅からです。と返答。 高尾駅から来ているのになんでそっちから来るの?的な間があったので、少し説明をした。 『あらまぁ、そこからー、すごいわねー』 これが情熱の成せるわざです。と心で囁く。 少しの会話に元気を分けてもらった。 草戸山に到着。 久しぶりにここに来た気がした。 夏の暑い頃、耳元にぶんぶん纏わりつく虫たちと共に良く来ていたのを思い出す。 秋は歩きやすいのを実感した。 高尾山口に向い歩く。 足の疲労と痛みもピークになり、足が上がらなくなっていた。 そして、下り坂で転んだ。 前を歩いていた老夫婦が驚いた表情でこちらを見ていた。 『何か動物でも降りてきたのかと思って』と、こちらを見ていた。 『何があるかわからないからね、でも私はなんかある時にお父さんと来ているから安心ね』 微笑む2人を見て、素敵なものを見られたな。 と、愛おしくなった。 帰りはいつものように自分へのご褒美に、団子を買って駅に向かった。 山を歩くのもご褒美みたいなものだし、褒美が多すぎる気もするが、まぁいいか。 点と点を結ぶ環状ルートも出来たし、満足満足。 『環状線で家路を、たどる車の中で、、』 帰りも同じ音楽に揺られて。 夜の闇から、朝昇る光を感じて、また山を登ろう。