唐松岳〜八方池で長居〜

2021.09.20(月) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
11 時間 32
休憩時間
4 時間 32
距離
11.5 km
のぼり / くだり
1210 / 883 m
48
25
15
51
20
2 11
8
1 33
12
16

活動詳細

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 4時間超のミッドナイトドライブで黒菱駐車場に着いたのは午前1時10分だった。既に真っ暗闇の駐車場は三分の二が埋まっていた。俺はバームクーヘンを一つほおばってから身支度を整え八方池に向かった。この日は敬老の日の祝日。朝5時まで待てば数本のリフトで標高を稼ぐことができるのだが、日の出の2時間前に八方池にいる必要があったため待つことができない。白馬三山が映りこむ八方池で夜明けのタイムラプスを撮りたかったのだ。  午前3時半頃八方池に到着すると、意外というべきか、やはりと言うべきか、絶景撮影ポイントのデッキにはカメラを載せた三脚が4~5台据えられていた。暗闇で息をひそめて蠢く顔が見えない男たち。俺は「こんばんは」と言いつつ一番奥の空いている場所に陣取り、カメラの設定を始めた。  カメラを操作しているときは予想していた通りそんなに寒くなかった。しかし、設定を終え、デッキに敷いた座布団に座ったまま手持ち無沙汰に水面を見つめていると、徐々に寒気を感じ始める。ザックに忍ばせておいたダウンを着込み、立ち上がって正面の山影に目を凝らしたり、南の空に浮かび上がるオリオン座を見上げたりして寒さをしのいだ。  山頂近くは終始雲がスパイラルになっていたが、幸いほとんど隠れずに日の出を迎えることができた。そして、周囲が明るくなって撮影を終えるとカメラのレンズフードに水滴が付いていることに気付く。やれやれレンズが曇ったかな、とレンズを覗くとやはり水滴が付いていた。レンズヒーターを用意していたが、億劫なので使用しなかったことが災いしたのだ。恐る恐るカメラのモニターで再生してみたら、特に問題がなさそうだったので安心した。  湖畔で朝のコーヒーを飲んでから唐松岳山頂を目指して出発した。雲海や朝日に輝く河川、全貌を現した白馬三山の山容、遠くに見える山並み、路傍に咲く花たち、そのすべてが美しい。例によって、そそられる被写体があると欲望のままレンズを向けるのだが、道端に咲く小さな花を下からのアングルで撮影し立ち上がった時、いつもと違って強烈な立ちくらみに襲われた。この時の標高は2400mくらいで所謂高山病の症状である。薄々今日は身体が重いなと思っていたが、酸素濃度が低い上に長時間運転で徹夜明けだ。疲労感が強いのも頷ける。さしあたりゆっくりと休み休み登ることとしたが、今後の夜間タイムラプスとの両立の仕方を考えなくてはならない事案であった。  今回の山行では雷鳥との遭遇を期待していたのだが、たった一度きりハイマツの陰から飛び立ったのを見ただけ。普通に佇んだ姿は撮影はおろか見つけることもできない。その代わりに、頂上で待っていたのがイワヒバリであった。  唐松岳頂上の本当のピークは切り立った崖の上にある。その崖の先端から5mくらいの位置に立ち入り禁止のロープが張られていて本来のピークに立つことができない。よく見れば崖の側面には緑色のネットが張り巡らされている。進入禁止はピークごと崩落する恐れがあるからなのか。その立つことが許されないピークの岩に、イワヒバリが2~3羽留まり、こちらの注意を引くように囀っていた。人が入ってこれないことを知っているのだろう。コケにされているような気もするが、キュートな鳴き声と可愛らしさが大差で勝った。  この日、夜明け近くほど天気が良かったのだが、山頂に着くころにはガスで覆われてしまった。この時点で頂上からは西側や南側は全く見えない。スローペースが裏目に出たのかもしれない。雲が切れるのを期待して20~30分待ったが、改善する見込みがないため諦めて下山した。  下山時は時間帯のせいか沢山の人とすれ違う。陣馬山ー高尾山ラインのような混雑ぶり。この山の人気の高さがうかがえる。こんなにすれ違ったり追い越されたりするのはいつ以来だろうか。塔ノ岳のバカ尾根以来かもしれない。北アルプスの一座であるのに、ゴンドラとリフトを使えば1800mを稼げるので体力に自信のない人でも登りやすい、だから人気があるのだろう。よく見かけた家族連れには小学生の低学年の子供たちも沢山いた。その中にはぐずっている男の子が2~3人いたが、女の子は元気に登山している娘ばかり。やっぱり女の方が強いんだな。 *タイムラプスは、次の活動日記でリンクをあげますのでよろしければご覧ください。

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