活動データ
タイム
14:52
距離
15.8km
のぼり
2598m
くだり
2579m
活動詳細
すべて見るこの尾根を歩く日が来るとは思っていませんでした。 初めて劔を訪れたのは10数年前。会社の仲間らと室堂出発、剣沢小屋テント泊でした。サイコロステーキを持ち上げたことを覚えています。何も知らぬまま、仲間の希望に付き添って遊びに行った、という感じ。その後、この岩と雪の殿堂の物語を知るに至り、もう行くことはないとひっそり思っていたからです。 ヤマッパー仲間のTakeakiさんから声をかけられたのは、彼と9/4~5中ア縦走計画断念を合意しあった直後でした。彼と一緒ならば、もしかしたら勇気がわくかもとの思いで、応諾したことを記憶します。やはり劔に、早月尾根に、憧れがあったということでしょう。 ■山行報告 【一日目】 当日4時に馬場島駐車場到着。同行のヤマッパーYukiさんをピックアップしたTakeakiさんらの到着を待ち、6時に合流。6時40分ごろ出発しました。(駐車場のことは後述のコース情報で少々記述します。) ヤマッパーの皆さんの報告で知っていた試練と憧れの碑の前で記念写真を撮り、いざ出発。 天気は小雨。事前の予報では土日ともにピッカピカの好天だったはずが、冒頭からはしごを外された感じです。きっとやむだろうと、ザックカバーだけして通常のいでたちで行きます。 Takeakiさんから「ずーっと上り調子の一本道だから」とアドバイスもらった通り。ずっと登り。私を先頭にしてもらい、私のペースにお付き合いいただきつつ、北アルプス三大急登の迫力を味わいます。馬場島から早月小屋まででも1600mを5キロで上げる点では、黒戸尾根をしのぐ急登と感じます。たまに現れる緩斜面をご褒美タイム(Yukiさんご友人命名とのこと)と称し、歩速を変えずに“歩き休憩”しつつ。 ともあれ、仲間とともに登るというのは本当に良いですね。話し相手がいればこそ、この苦しいのぼりを耐えられたと思います。Yukiさんの、山との出会いの話が印象的でした。 今晩宿泊の早月小屋につくと、私の強い希望で皆でビールで乾杯。うまかった。 各自昼食を取りつつ2時間の休憩を経て、Takeakiさんの提案で偵察に行くことに。翌朝は3時前後に出発の予定なので、夜明けごろに到着するあたりまでの道程を確かめておきましょう、ということです。賛成。さすがTakeaki隊長。 前回撤退された際の話をTakeakiさんから伺いつつ30分強くらい登ったところで、Yukiさんが頭痛を耐えていたことにやっと気づきました。先ほどビールを提案してしまったことがまさに裏目。大変申し訳ありませんでした。岩稜帯手前までは偵察しておきたい、とおっしゃってくださった隊長と隊を分け、二人で小屋に戻りました。 到着後Yukiさんは仮眠。ウィスキーをなめるつもりで私は、小屋の入口外すぐ横にある自炊場所へ。ここはブルーシートの屋根を張って雨をしのぎつつ、常連さんと思しき三名の登山者が歓談されていました。そこにお邪魔しました。 さて、ここでだらだら長く続けてきた登山歴で初めてのことが。まさかのガス缶を忘れました。従来隊を組んで登山する場合の、いわゆる共通装備扱いだったら打ち首獄門ものです。取り急ぎお湯割りを断念しウィスキーは水割りで。翌日朝のアルファ米用お湯はYukiさんのご厚情にすがりました。 しばらくひとりでクピクピやっていると、隊長からLineが。やっぱり上でも降り出し撤退するとのこと。 その後、復活したYukiさんとおしゃべりしたり、同席した他の登山者の方と明日の行程の話に花を咲かせつつ、消灯へ。 今日も一人で飲みすぎです。平常時60弱の心拍数がふと起きた23時、90を超えていました。 【二日目】 足をゆすられて3時に起床。隊長ありがとうございます。 音をたてぬよう準備。小屋の乾燥室を使わせてもらったおかげで、雨と汗でぬれた衣服も完全に乾きました。ありがたい。 今日の前半戦、劔往復は緊張しっぱなしのはず。今から緊張です。何しろ高いところ、いやらしいところ、全部怖いのですから。 しばらくはヘッデンを頼りに歩きます。周りが見えない分、目の前だけに集中できます。 向かい側の尾根に遠く揺れるヘッデンの明かりに、あっちでもやってるね、と軽口を交わしつつ歩みを進めてゆくと、5時前後、夜明けの前哨戦が始まります。山の端そして日本海側もうっすらと色を帯びてきます。最終的に今日は8時までの好天予報なので、まさにここから頂上までがゴールデンタイム。 ほどなくヘッデンを要しないほど明るくなり周りを見回すと、富山平野・富山湾に向かって三角にとがった影が。影劔ですねぇ。 ここから鎖場がしっかりしてきますが、この最も緊張した区間は実際には1時間もなかったようです。 時に尾根の窓から南方を覗くと、劔御前を真正面に、奥大日から大日、そして別山から立山が続き、そして遠くに見えた雄大な山容は薬師だったのでしょうか。室堂には確かに室堂ターミナルが見えました。 素晴らしい展望に感無量といいたいところですが、こころはずっと岩稜に緊張しっぱなしです。 そして登頂。 別山方面から続々と登頂者がきますので、早々に記念写真。今回のカバーです。 山頂で今日やっと太陽を拝めましたが、変幻自在に広がってゆく雲に遮られそれも一瞬。 しかし、高層雲ゆえに展望は最高でした。 後ろ髪をひかれつつ、他方また歩まねばならない岩稜にやや鬱々としつつも、さらに密度を増す山頂を後にします。 いつも思うのですが、これから向かう岩稜を前に「どうやって登るの?」と疑問を持ちつつ目の前に来ると何とかなってしまったり、登っているときに「登りはいいけど、これ下りヤバいんちゃう?」と恐怖しつつも帰りには何とかなってしまったり、不思議なものです。 ともあれ隊長とYukiさんに見守られながら無事早月小屋に戻れました。 ところで、怖い怖い書きましたが、私自身がその恐怖を抑えることはできないものの(そういう風にもう20数年やってますので)、登山道は適切にガッチリ整備されていること付記します。 小屋からは、いつもの伝で快適に飛ばせました。 金太郎温泉で汗を流し、昼食もとり、Takeakiさん・Yukiさんとお別れしました。 Takeakiさん、素晴らしい山行に誘ってくださり感謝します。 Yukiさん、おっさんのわけわからん話に丁寧に対応くださりありがとうございました。 次は八縦走じゃ。 ■周辺情報 馬場島の駐車場: 馬場島荘前駐車場・その下流に馬場島駐車場数か所が利用可能です。 私が4時に到着した時点では週末好天の予報を受けてか、家族の森中央管理センター向かいの駐車場はすでに八割埋まっていました。 ただ、下山時に見た状況は、馬場島荘上流にある剱岳青年旅行村キャンプ場沿いの県道333号の路肩、キャンプ場内を貫く車道など、あらゆるところに車は止まっていました。 早月小屋: 完全予約制。従来定員の半分を受け入れ。 一泊二食付き12000円。 一泊夕食のみ11000円。今回はこちらを利用。 予約はメールか電話でとのこと。http://www.net3-tv.net/~hayatsuki/eigyouannai.htm マスク・シュラフ必須。シュラフなき場合、毛布一枚貸出500円。 夕飯とってもおいしかった。豚汁一杯おかわり。ごはんは大盛一回、普通盛一回おかわりしてしまった。 二階の大部屋・小部屋で宿泊。布団は50センチほどの間隔をもって敷かれ、カーテンで仕切られていました。 ゆったり眠ることができました。
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