活動データ
タイム
01:13
距離
3.4km
のぼり
299m
くだり
298m
活動詳細
すべて見る満を持して連休を確保した、九月最初の週末が近づいてきた。一ヶ月前の目論見は、台風三連発の発生で頓挫している。それでも、親子三人で遠征し、テント泊を行なうために、週末トレーニングということで、低山を逍遥してきた。いよいよである。 信州方面でテント泊を行なうつもりで、八月最後の日に、青春18きっぷを購入した。五日前の時点で、大丈夫そうだと決断した挙げ句のことであった。 そう意気込んできたのだが、秋雨前線の停滞で、九月になった途端に雨が続いている。気温も下がり、都内で過ごしているぶんには快適なのだが、山はずいぶん冷え込んできているだろうな、と思う。 土曜日ではなく、日曜日に出発でも大丈夫なように、連休を設定している。あとは、天気予報が好天に転じてくれるのを待つばかりであった。 そうして、金曜日の夕方になった。判然としないまま荒天となっている天気予報サイトを眺める。私は悄然とした気持ちで、中止を決断した。 購入した最寄りの駅で、青春18きっぷの払い戻しを済ませると、なんとも空虚な気持ちになった。しかし、決めてしまったものはどうしようもない。 土曜も日曜も、空は鉛色で、時折雨が降っては止むというような曇天であった。今頃、上高地や白馬村はどんな天候だろうなと思う。そして、我ながら往生際の悪いこと甚だしいな、と思う。 日曜日の夜、明日は午前中は降らないようなので、少しだけ山に登ってみようかと、叡君と罫君に云ってみる。 少しは身体を動かした方がいいかもね、と叡君。昼までに帰ってくるなら行こうか、と罫君。 遠征が中止になって、悄然としているのは私だけで、ふたりは、単に拍子抜けのような気持ちで、日々を過ごしている。 月曜日の朝、早出することにして、何処に行こうかと考えるが、妙案は浮かんでこない。こんな時は、倉岳山辺りに出掛けるくらいかなと、ぼんやりと思っていた。 それで、当日の朝になった。私と罫君は予定通りに起床し、のんびりと支度を開始しているが、叡君の気配が伺えない。 罫君がドア越しに声を掛けても、反応が無い。部屋に入り生存確認してから、私のところに戻ってきた罫君。起きない、爆睡してるね、と云った。 体調不良ということでもなく、深酒と夜更しが祟っただけのことのようであった。窓外は相変わらずの曇天で、今にも泣きそうな空である。気勢の上がらないムードを象徴しているかのような、叡君のコンディションであった。 降水確率60%だし、やめとこうか、と罫君が云う。そうするか。私も力無く呟いた。 二度寝してから覚醒し、朝風呂に入ってから、ぼんやりとテレビを眺めるが、なんだか落ち着かない。折りたたみ傘をバックパックに入れて、散歩に出ることにした。 近所を当てもなく歩いているのも詰まらない。電車に乗って、井ノ頭公園辺りにでも行ってみようかな、と思った。吉祥寺で、お気に入りのコーヒー豆と、ワインとパンでも買ってくるかと、そんな感じで、中央線の電車に乗った。 中央特快は、あっという間に三鷹駅に到着したが、私はぼんやり座席に座った儘であった。イヤホンで、インターネットラジオを聴いていた。逝去したばかりの、チャーリー・ワッツ追悼特集の番組に聴き入っていて、なんだかそのまま電車に乗り続けてしまった。 人の少なくない吉祥寺を散策するくらいならば、このまま大月辺りまで行ってしまえ。そんな風に考えた。時刻は正午に近い。雨は確実に降ってくるだろうが、傘を差して、田舎道を散歩するだけでもいいではないか。 八王子駅で下車して、駅蕎麦をのんびりと食してから高尾駅に移動した。そして、乗客の疎らな、松本行き普通電車に乗り込んだ。 ラジオの番組はまだ続いていて、ストーンズの「ダイスを転がせ」が流れる。それが、行きあたりばったりの身にはぴったりのような感じがして、なんだか可笑しくなった。
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