散策のつもりが…斧窪御前山

2021.09.06(月) 日帰り

活動データ

タイム

01:13

距離

3.4km

のぼり

299m

くだり

298m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
1 時間 13
休憩時間
6
距離
3.4 km
のぼり / くだり
299 / 298 m
33
22

活動詳細

すべて見る

満を持して連休を確保した、九月最初の週末が近づいてきた。一ヶ月前の目論見は、台風三連発の発生で頓挫している。それでも、親子三人で遠征し、テント泊を行なうために、週末トレーニングということで、低山を逍遥してきた。いよいよである。 信州方面でテント泊を行なうつもりで、八月最後の日に、青春18きっぷを購入した。五日前の時点で、大丈夫そうだと決断した挙げ句のことであった。 そう意気込んできたのだが、秋雨前線の停滞で、九月になった途端に雨が続いている。気温も下がり、都内で過ごしているぶんには快適なのだが、山はずいぶん冷え込んできているだろうな、と思う。 土曜日ではなく、日曜日に出発でも大丈夫なように、連休を設定している。あとは、天気予報が好天に転じてくれるのを待つばかりであった。 そうして、金曜日の夕方になった。判然としないまま荒天となっている天気予報サイトを眺める。私は悄然とした気持ちで、中止を決断した。 購入した最寄りの駅で、青春18きっぷの払い戻しを済ませると、なんとも空虚な気持ちになった。しかし、決めてしまったものはどうしようもない。 土曜も日曜も、空は鉛色で、時折雨が降っては止むというような曇天であった。今頃、上高地や白馬村はどんな天候だろうなと思う。そして、我ながら往生際の悪いこと甚だしいな、と思う。 日曜日の夜、明日は午前中は降らないようなので、少しだけ山に登ってみようかと、叡君と罫君に云ってみる。 少しは身体を動かした方がいいかもね、と叡君。昼までに帰ってくるなら行こうか、と罫君。 遠征が中止になって、悄然としているのは私だけで、ふたりは、単に拍子抜けのような気持ちで、日々を過ごしている。 月曜日の朝、早出することにして、何処に行こうかと考えるが、妙案は浮かんでこない。こんな時は、倉岳山辺りに出掛けるくらいかなと、ぼんやりと思っていた。 それで、当日の朝になった。私と罫君は予定通りに起床し、のんびりと支度を開始しているが、叡君の気配が伺えない。 罫君がドア越しに声を掛けても、反応が無い。部屋に入り生存確認してから、私のところに戻ってきた罫君。起きない、爆睡してるね、と云った。 体調不良ということでもなく、深酒と夜更しが祟っただけのことのようであった。窓外は相変わらずの曇天で、今にも泣きそうな空である。気勢の上がらないムードを象徴しているかのような、叡君のコンディションであった。 降水確率60%だし、やめとこうか、と罫君が云う。そうするか。私も力無く呟いた。 二度寝してから覚醒し、朝風呂に入ってから、ぼんやりとテレビを眺めるが、なんだか落ち着かない。折りたたみ傘をバックパックに入れて、散歩に出ることにした。 近所を当てもなく歩いているのも詰まらない。電車に乗って、井ノ頭公園辺りにでも行ってみようかな、と思った。吉祥寺で、お気に入りのコーヒー豆と、ワインとパンでも買ってくるかと、そんな感じで、中央線の電車に乗った。 中央特快は、あっという間に三鷹駅に到着したが、私はぼんやり座席に座った儘であった。イヤホンで、インターネットラジオを聴いていた。逝去したばかりの、チャーリー・ワッツ追悼特集の番組に聴き入っていて、なんだかそのまま電車に乗り続けてしまった。 人の少なくない吉祥寺を散策するくらいならば、このまま大月辺りまで行ってしまえ。そんな風に考えた。時刻は正午に近い。雨は確実に降ってくるだろうが、傘を差して、田舎道を散歩するだけでもいいではないか。 八王子駅で下車して、駅蕎麦をのんびりと食してから高尾駅に移動した。そして、乗客の疎らな、松本行き普通電車に乗り込んだ。 ラジオの番組はまだ続いていて、ストーンズの「ダイスを転がせ」が流れる。それが、行きあたりばったりの身にはぴったりのような感じがして、なんだか可笑しくなった。

倉岳山・高畑山・九鬼山 なんとなく、行くはずであった倉岳山の最寄駅である梁川に下車した。

プラットホームから遠望しても、上空の霧に包まれて、倉岳山は見えない。さもありなんの天候である。
なんとなく、行くはずであった倉岳山の最寄駅である梁川に下車した。 プラットホームから遠望しても、上空の霧に包まれて、倉岳山は見えない。さもありなんの天候である。
倉岳山・高畑山・九鬼山 月尾根沢を途中まで歩いてみようか、とも考えたが、同じプラットホームから一目瞭然の、端然と聳える低山、斧窪御前山があるではないか、と気がついた。

二時間も掛からずに駅まで戻ってこれそうな山である。線路沿いを歩き、跨線橋の上から、目的地となった山を眺めてみる。
月尾根沢を途中まで歩いてみようか、とも考えたが、同じプラットホームから一目瞭然の、端然と聳える低山、斧窪御前山があるではないか、と気がついた。 二時間も掛からずに駅まで戻ってこれそうな山である。線路沿いを歩き、跨線橋の上から、目的地となった山を眺めてみる。
倉岳山・高畑山・九鬼山 ふたたび歩き始めた途端、さらさらと雨が降ってきた。傘を開いて、中央本線の上下線が別れる線路沿いの道を、のんびりと歩き続ける。

上り線が貫く御前山トンネル入口の山は、別個にあるように見えるが、斧窪御前山東尾根の瘤山である。
ふたたび歩き始めた途端、さらさらと雨が降ってきた。傘を開いて、中央本線の上下線が別れる線路沿いの道を、のんびりと歩き続ける。 上り線が貫く御前山トンネル入口の山は、別個にあるように見えるが、斧窪御前山東尾根の瘤山である。
倉岳山・高畑山・九鬼山 上り線の橋を潜り、車一台が、かろうじて通過できる舗道に入る。左側には、中央本線の下り線が併行している。

甲州街道も寄り添ってくると、斧窪御前山の山裾に達したことになる。
上り線の橋を潜り、車一台が、かろうじて通過できる舗道に入る。左側には、中央本線の下り線が併行している。 甲州街道も寄り添ってくると、斧窪御前山の山裾に達したことになる。
倉岳山・高畑山・九鬼山 舗道が分岐して、山肌に沿う砂利道となり、表示が消えかかっている道標が現われた。斧窪御前山の登山口である。

入口は少しだけ藪状だが、傘を開いて突入する。急勾配のジグザグ道を何度も折り返して登り続けると…。
舗道が分岐して、山肌に沿う砂利道となり、表示が消えかかっている道標が現われた。斧窪御前山の登山口である。 入口は少しだけ藪状だが、傘を開いて突入する。急勾配のジグザグ道を何度も折り返して登り続けると…。
倉岳山・高畑山・九鬼山 山の神が鎮座する赤い鳥居に達する。樹林のおかげで雨に打たれることもない。参拝して小休止する。

靄に包まれた倉岳山の、下畑集落附近の尾根を樹林越しに眺めながら、紫煙を燻らせる。

雨に濡れて草生している、山の空気が心地よい。贅沢な散策だなと思う。
山の神が鎮座する赤い鳥居に達する。樹林のおかげで雨に打たれることもない。参拝して小休止する。 靄に包まれた倉岳山の、下畑集落附近の尾根を樹林越しに眺めながら、紫煙を燻らせる。 雨に濡れて草生している、山の空気が心地よい。贅沢な散策だなと思う。
倉岳山・高畑山・九鬼山 雨の影響も無く、傘を畳み上着を脱いで、実直に東南の尾根を登り続ける。巨岩を迂回して、標高450m圏に達すると、平坦な踏路となる。

雨続きの山道は薄暗い。自然林が光に映えると、緑がとても嬉しく感じる。
雨の影響も無く、傘を畳み上着を脱いで、実直に東南の尾根を登り続ける。巨岩を迂回して、標高450m圏に達すると、平坦な踏路となる。 雨続きの山道は薄暗い。自然林が光に映えると、緑がとても嬉しく感じる。
倉岳山・高畑山・九鬼山 最後の勾配を登り切ると、もう山頂が窺える。登山口からの所要時間は、およそ二十分であった。
最後の勾配を登り切ると、もう山頂が窺える。登山口からの所要時間は、およそ二十分であった。
倉岳山・高畑山・九鬼山 標高522mの、斧窪御前山に到着。累計で三度目の登頂。相変わらず、マスプロアンテナが林立して眺望を遮る山頂である。

雨は止んでいた。珈琲と煙草でのんびりとするが、徐々に黒雲が広がり始め、遠雷が鳴っているのが聞こえてくる。

散策のつもりが、いにしえの要害の山頂に居るのであった。このまま西の尾根を巡り、太田峠を経由して梁川駅に戻るということも、考えないでもないが、猛烈な笹薮が待っていることは解っている。

満足して、来た道を引き返すことにした。
標高522mの、斧窪御前山に到着。累計で三度目の登頂。相変わらず、マスプロアンテナが林立して眺望を遮る山頂である。 雨は止んでいた。珈琲と煙草でのんびりとするが、徐々に黒雲が広がり始め、遠雷が鳴っているのが聞こえてくる。 散策のつもりが、いにしえの要害の山頂に居るのであった。このまま西の尾根を巡り、太田峠を経由して梁川駅に戻るということも、考えないでもないが、猛烈な笹薮が待っていることは解っている。 満足して、来た道を引き返すことにした。
倉岳山・高畑山・九鬼山 尾根を駆け下りて、二十分の所要時間で線路沿いの道に達した。雷鳴が少し近づいてきて、雨滴もあるが、傘を差すほどでもない。
尾根を駆け下りて、二十分の所要時間で線路沿いの道に達した。雷鳴が少し近づいてきて、雨滴もあるが、傘を差すほどでもない。
倉岳山・高畑山・九鬼山 跨線橋を渡り、歩いたことのない経路で駅に戻る。民家の裏手に、線路に沿った道が続き、甲州街道に降りることなく、梁川駅に到達できた。小さな発見に満悦する。

程なくやってきた、高尾行きの電車に乗る。行きあたりばったりの散策は順調に終わるかと思いきや、豊田駅附近で落雷があり、中央線のダイヤが乱れ、帰路は予定よりもずいぶん遅延した。
跨線橋を渡り、歩いたことのない経路で駅に戻る。民家の裏手に、線路に沿った道が続き、甲州街道に降りることなく、梁川駅に到達できた。小さな発見に満悦する。 程なくやってきた、高尾行きの電車に乗る。行きあたりばったりの散策は順調に終わるかと思いきや、豊田駅附近で落雷があり、中央線のダイヤが乱れ、帰路は予定よりもずいぶん遅延した。

もしも不適切なコンテンツをお見かけした場合はお知らせください。