北穂・奥穂縦走 雨に煙る無人の山頂

2021.08.29(日) 3 DAYS

チェックポイント

DAY 1
合計時間
5 時間 53
休憩時間
1 時間 1
距離
15.6 km
のぼり / くだり
1033 / 236 m
DAY 2
合計時間
7 時間 18
休憩時間
1 時間 32
距離
6.1 km
のぼり / くだり
1290 / 1288 m
DAY 3
合計時間
4 時間 22
休憩時間
23
距離
15.7 km
のぼり / くだり
256 / 1046 m

活動詳細

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久しぶりの上高地はコロナで賑わいもまばら。それでも山に登りたい人はいて、自分もその一人。 2泊3日の山旅、初日は横尾を経由して涸沢まで行き、幕営して翌日に備える。 快晴。さすが国内有数の避暑地、風も爽やかで8月の青空が眩しい。 ザックは約15kg、重さとスピードはトレードオフ、これ以上重いと行動に制約が出そうで、自分にはこの辺りが一つの目安だろう。テント泊は1年ぶり。ツェルト泊とか避難小屋泊はあったものの、そんなにやってなかったか。 スニーカーの観光客に交じっての梓川沿いの遊歩道歩きは、最初はいいのだがだんだん飽きてくる。 横尾の吊橋を渡ると斜度が徐々に上がり、山っぽくなってくる。ヒュッテの大きな吹き流しが遠くに見え始めた。もう少し。着いたらビール飲んでのんびりしよう。 2日目。 まずまずの予報のはずが、山頂付近は霧で覆われている。 この日は北穂高南陵から北穂高と奥穂高を縦走し、時間次第でジャンダルム、行けなければザイテングラート経由でテント場へというプラン。 山頂は霧中だが、幸いにもテント場ではモルゲンロートが見られた。雲の隙間から帯状に差し込む陽光は燃えるようなオレンジ色。夕焼けみたいな色で感動的にきれい。見ながら朝食を済ませ、出発。 ところが、出鼻でルートロストという失態。間違って直登して危険なルートを選択してしまった。 滝を高巻いて何とか一般ルートに復帰できたからよかったが、こういうミスが事故に発展する。 後から考えると何でここで間違う?という感じで、ボーっとしていたのかも。 高度を上げるに従いガスの濃度も高まり、もう眺望は全く期待できなくなった。 この時点で目標は何とか奥穂高まで行って無事テントに戻ることに下方修正。 雨の中、北穂高に登頂するも真っ白けで無人。ここから涸沢岳までの岩稜帯は厳しいルートだった。 西側の断崖から吹き上がる暴風に恐怖を感じながら進む。雨量は多くはないものの、風を伴って纏わりつくいやな感じ。 濡れた悪相の岩場、滑落だけは絶対避ける、と念じて3点確保で一歩ずつ。 いやあ精神力試されるわ~。あまりの荒天に3千mの稜線で独り笑ってしまった。もう無事帰れればそれでいい感じになってきた(笑)。 途中逆回りの登山者と唯一のスライド。暴風を受けながら「奥穂高もこんな感じでしたよ」 「北穂高も何も見えません」という会話を交わす。 涸沢岳は地味目な標識以外何も見えず、30秒で撤収。 カメラを濡らさないよう、写真撮るのも一苦労。そもそも真っ白けで被写体もないか(笑)。 穂高岳山荘まで来ると孤独な闘いから解放された気分。軒を借りて軽食、そしてラスボス奥穂高へ。 なかなかの鎖やハシゴも登場したが、稜線の危険度に慣れて麻痺した感情には堪えない。 方位盤を見ながら晴れていれば見えたはずの山々を想像し、ホッとしながら無人の山頂を踏む。 あー、前回の塩見岳に続き眺望2連敗。 テントに着いてもまだ昼で十分時間があったが、この天候でジャンダルムは文字通り命懸けになるので無理と判断。一仕事終えた感を抱きながらザイテングラートを下る。徐々に天候は回復し始め、ザイテングラートの圧巻のカールの全容を拝むことができた。改めて雄大な山だ。過酷なルートだったが、まあまあの大団円。 テントに戻りビールで一服しながら孤独だった岩稜帯を思い返す。 3日目。 もう上高地へ下るだけ。この日のモルゲンロートは前日よりもやや薄い色だが、山全体を照らしていて美しかった。2日ともモルゲンロートが見られたのは幸運。 長い下山道を経て、さわんど温泉梓湖畔の湯に浸り帰路についた。 [メモ] ・装備:タイオガブーツ、アコンカグア70、ナンガ夏用シュラフ ・駐車場:¥700/日(3日分) ・バス:往復¥2400 ・幕営料:¥2000/日(予約不要) ・夜はソフトシェルと夏用シュラフ+シュラフカバーの耐寒で問題なし。ダウンジャケット、ダウンパンツは未着用。 ・2日目にアタックザックの防水対策とレイングローブをテントに置き忘れたことは反省点。もう少し気温が低ければ指先が辛かっただろう。 ・ヒュッテのトイレは紙もあり、割と清潔で快適。水場は沢から引いた水道。

槍ヶ岳・穂高岳・上高地 久しぶりの上高地、カッパ橋。
久しぶりの上高地、カッパ橋。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 水藻が揺らぐ清流。光が反射してきれいだ。
水藻が揺らぐ清流。光が反射してきれいだ。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 川の河原。小梨平から先に進むとひと気はまばら。梓
川の河原。小梨平から先に進むとひと気はまばら。梓
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 徳沢ロッジ。木立の奥のひっそりとした佇まいが上品。こんなところで避暑したいけど、俺は山に登るのだ。
徳沢ロッジ。木立の奥のひっそりとした佇まいが上品。こんなところで避暑したいけど、俺は山に登るのだ。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 横尾に到着。横尾大橋の向こうに穂高。雲がエクトプラズムみたいになってる!なにこれ?
横尾に到着。横尾大橋の向こうに穂高。雲がエクトプラズムみたいになってる!なにこれ?
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 横尾を過ぎると、ようやく山に入ったって感じ。
横尾を過ぎると、ようやく山に入ったって感じ。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 聳え立つ屏風岩。横尾のアイコン。
聳え立つ屏風岩。横尾のアイコン。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 本屋橋に到着。多くの登山者がここで清流に足を浸して一休み。
本屋橋に到着。多くの登山者がここで清流に足を浸して一休み。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 途中のガレ場から涸沢方向を望む。いい天気。
途中のガレ場から涸沢方向を望む。いい天気。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 振り返って見えた景色。
振り返って見えた景色。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 落石が多いので、ここでの休憩は危険、との注意看板あり。
落石が多いので、ここでの休憩は危険、との注意看板あり。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 Sガレ。S字にクランクしたガレ場だが、名前つけるほどのものか?
Sガレ。S字にクランクしたガレ場だが、名前つけるほどのものか?
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 涸沢への最後の上り。早く着きたい。
涸沢への最後の上り。早く着きたい。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 テント場が見えた。奥に北穂南鐐ルート。テントは少なさそうでよかった。
テント場が見えた。奥に北穂南鐐ルート。テントは少なさそうでよかった。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 涸沢ヒュッテの吹き流し。遠目にも見えていた。カラーがチベタン風。
涸沢ヒュッテの吹き流し。遠目にも見えていた。カラーがチベタン風。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 この日の幕営地はここに決定。
この日の幕営地はここに決定。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 コロナでヒュッテの人出もそこそこといった感じ。
コロナでヒュッテの人出もそこそこといった感じ。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 この日の幕営はこんな感じ。静かなテントライフが過ごせそう。
この日の幕営はこんな感じ。静かなテントライフが過ごせそう。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 今日から2泊する「グランドカーサ上高地涸沢」設営完了。
今日から2泊する「グランドカーサ上高地涸沢」設営完了。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 娘ちゃんの軽井沢旅行土産のビールを担いできた。いただきます。上高地と軽井沢、同じ長野県ってことで、乾杯!
娘ちゃんの軽井沢旅行土産のビールを担いできた。いただきます。上高地と軽井沢、同じ長野県ってことで、乾杯!
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 今夜の夕餉はカレー味のペンネとラーメン。軽量化優先。
今夜の夕餉はカレー味のペンネとラーメン。軽量化優先。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 2日目の早朝。東の空が色づき始めた午前5時。
2日目の早朝。東の空が色づき始めた午前5時。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 モルゲンロートは雲の隙間を通過して帯状に山を燃やす。
モルゲンロートは雲の隙間を通過して帯状に山を燃やす。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 山頂は雲の中。回復を期待してスタート。涸沢小屋脇を通過。
山頂は雲の中。回復を期待してスタート。涸沢小屋脇を通過。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 ヒュッテのテントがだいぶ小さくなってきた。しかし、この辺りでルートを間違える。
ヒュッテのテントがだいぶ小さくなってきた。しかし、この辺りでルートを間違える。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 結構な強度の急斜面。ここを直登するのではなく、左に迂回するのが正規ルート。
結構な強度の急斜面。ここを直登するのではなく、左に迂回するのが正規ルート。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 途中でおかしいことに気付いて一旦下るも、正規ルートへの分岐がわからず、結局直登する羽目に。他にだれもおらずやや不安。
途中でおかしいことに気付いて一旦下るも、正規ルートへの分岐がわからず、結局直登する羽目に。他にだれもおらずやや不安。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 小滝が現れる。水線を進めそうにないので、右から巻くが、手掛かり足がかりが乏しく難儀する。落ちたらやばかった。
小滝が現れる。水線を進めそうにないので、右から巻くが、手掛かり足がかりが乏しく難儀する。落ちたらやばかった。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 滝を登り切った先は霧で見通しが悪い、もう少しで正規ルートに合流するはずとGPSを見ながら進む。
しっとりと濡れ始めたので、上だけレインを着用。
滝を登り切った先は霧で見通しが悪い、もう少しで正規ルートに合流するはずとGPSを見ながら進む。 しっとりと濡れ始めたので、上だけレインを着用。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 ようやく合流できた後の鎖場。さっきまでのルートロスト中の不安さに比べたらこんなの全然平気、むしろ嬉しい。
ようやく合流できた後の鎖場。さっきまでのルートロスト中の不安さに比べたらこんなの全然平気、むしろ嬉しい。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 北穂高をハント、誰もおらず。滞在1分、次行くぞ!
北穂高をハント、誰もおらず。滞在1分、次行くぞ!
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 北穂から涸沢岳、更に奥穂高に向かう稜線。見通し悪く、緊張を切らせられない。西側の谷から常に猛烈な風が吹きあがる。体感で風速13m程度か。東側の谷は風も穏やかなのでそちらに入り込みたいのだが、道はそう都合よくなっていない。
北穂から涸沢岳、更に奥穂高に向かう稜線。見通し悪く、緊張を切らせられない。西側の谷から常に猛烈な風が吹きあがる。体感で風速13m程度か。東側の谷は風も穏やかなのでそちらに入り込みたいのだが、道はそう都合よくなっていない。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 見るからに凶悪な岩場。晴れていれば眺望を楽しむ岩稜歩きだったが、過酷な登山になってしまった。
見るからに凶悪な岩場。晴れていれば眺望を楽しむ岩稜歩きだったが、過酷な登山になってしまった。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 たった一人だけすれ違った人が。やはり涸沢でテントで逆回りでザイテングラートから奥穂経由で来たとのこと。暴風の中、互いの健闘を祈って別れた。
たった一人だけすれ違った人が。やはり涸沢でテントで逆回りでザイテングラートから奥穂経由で来たとのこと。暴風の中、互いの健闘を祈って別れた。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 涸沢岳に到着、誰もおらず。滞在30秒。次!
涸沢岳に到着、誰もおらず。滞在30秒。次!
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 穂高岳山荘に到着してまずは一安心。別館の軒先を借りてエネチャージ。テント場にはテントは一つもなかった。さてと、奥穂高行くか!
穂高岳山荘に到着してまずは一安心。別館の軒先を借りてエネチャージ。テント場にはテントは一つもなかった。さてと、奥穂高行くか!
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 手前の岩が辛うじて見える程度。奥にうっすらと輪郭が見えるが、何が待ち構えているのかわからない状況。
手前の岩が辛うじて見える程度。奥にうっすらと輪郭が見えるが、何が待ち構えているのかわからない状況。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 山頂手前の斜面。一番ヤバかった岩稜ルート超えで免疫できたから、この辺りの梯子や鎖はもう何でもない。
山頂手前の斜面。一番ヤバかった岩稜ルート超えで免疫できたから、この辺りの梯子や鎖はもう何でもない。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 奥穂高到着、誰もいない。スーパーメジャーな山だが、さすがにこの天気では来ないか。登山の無事を祈願。
奥穂高到着、誰もいない。スーパーメジャーな山だが、さすがにこの天気では来ないか。登山の無事を祈願。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 ホワイトアウトした空では方位板が虚しい。この後山荘で待機していた二人組が登ってきて、短い会話を交わした。
ホワイトアウトした空では方位板が虚しい。この後山荘で待機していた二人組が登ってきて、短い会話を交わした。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 ザイテングラートへ向かう分岐。しんどいところは無事通過したので、あとはのんびり行こう。
ザイテングラートへ向かう分岐。しんどいところは無事通過したので、あとはのんびり行こう。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 しばらく岩場を下るうちに少しだけ雲が切れた。カールの美しいことよ。
しばらく岩場を下るうちに少しだけ雲が切れた。カールの美しいことよ。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 晴れていればもちろん絶景だったが、この濁った空と静寂感もまた一興。
晴れていればもちろん絶景だったが、この濁った空と静寂感もまた一興。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 ジャンダルム方向は依然として雲の中。晴れていれば行こうと思っていたが、このコンディションでは危険なので断念。
ジャンダルム方向は依然として雲の中。晴れていれば行こうと思っていたが、このコンディションでは危険なので断念。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 スケールの大きさが山の美しさと直結した景観。
スケールの大きさが山の美しさと直結した景観。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 東の空には青空が。またしても予報に裏切られ雨男と化した。
東の空には青空が。またしても予報に裏切られ雨男と化した。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 まあ、無事戻って来られたからいいんじゃないの。テントに戻って珈琲飲んでまったり。何の文句があろうか。山は悪くない。
まあ、無事戻って来られたからいいんじゃないの。テントに戻って珈琲飲んでまったり。何の文句があろうか。山は悪くない。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 テント場は全然雨降ってないのに山頂は大荒れ。濡れた衣服やギアを乾かそう。
テント場は全然雨降ってないのに山頂は大荒れ。濡れた衣服やギアを乾かそう。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 3日目のモルゲンロート。昨日よりも色は薄目。何が影響するのだろうか。
3日目のモルゲンロート。昨日よりも色は薄目。何が影響するのだろうか。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 燃える穂高。時間にしてわずか数分。これが見られただけでも良かった。
燃える穂高。時間にしてわずか数分。これが見られただけでも良かった。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 今日はひたすら下るだけ。さよなら、涸沢。上高地へ向かって出発。
今日はひたすら下るだけ。さよなら、涸沢。上高地へ向かって出発。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 屏風岩まで降りてきた。横尾まで着いてしまえばもう安心。
屏風岩まで降りてきた。横尾まで着いてしまえばもう安心。
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 バスターミナルに向かう梓川添い。
バスターミナルに向かう梓川添い。

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