韓国岳(霧島山)~ほぼNH~

2021.08.28(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
6 時間 39
休憩時間
1 時間 45
距離
11.0 km
のぼり / くだり
802 / 806 m

活動詳細

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 K君が宿泊しているホテルで午前2時半の待ち合わせ、なのに1時に起きてしまう。老眼の目はときに時計の針を見間違う。特に暗所では著しい。しかし、起きてしまったのは仕方ない。仕方ないので一仕事やってからK君が待つホテルへ向かった。真夜中にもかかわらず、彼は割とすっきりした顔で現れ、助手席に深々と座る。私は静かに車を発進させた。車は目的地に到着するまで1台たりともすれ違わなかった。  えびの高原の駐車場には3時45分頃に到着、既に20台ほどの車が停車していた。ほとんどの車の内部は人の気配がなかったから、既に山頂に向け出発していたのだろう。月明りで韓国岳の山影が浮かび上がり、その上には星が瞬いている。標高が高いため冷え込んでいるが、雲もなく霧もなく微風が吹く程度、文字通り最高のコンディションであった。午前4時7分、私たちはヘッデンを装着し山頂に向け出発した。  今回の山行の目的の一つ、というよりも最大のミッションが山頂で日の出の時間を楽しむことであった。韓国岳山頂の日の出は5時49分、90分程で登頂するのが理想である。やや急ぎ気味に登る必要があったが、八合目まではシャッターを封印したおかげで休憩のロスくらいで山頂に到達できた。もっとも、真っ暗な中では三脚なしに風景写真を撮るのは難しいから当然の成り行きである。  確か五合目あたりで会ったはずだが、10人くらいのご年配のパーティーがいた。男性、女性比率が半々で男性の方がご高齢に見えた。このグループは女性が先導し、隊列は若干間延びしているが男性も負けじと食い下がっていた。登るスピードも決して遅くはなく、皆マスクをしたままで登っている。恐るべき胆力であった。  山頂に着くころは既に闇ではなく、日の出前の茜色に染まった空のおかげでヘッデンが不要なくらい明るくなっていた。私たちは天と地の境目の赤くなった空を見下ろし、口々に感嘆を示す言葉を吐いた。日の出の10分前くらいには、30人以上の人が山頂にいたのではないか。赤い光を受け止めるいくつもの横顔は皆同じ方向を凝視し、約束された結末を無言で待ち続けていた。  日の出が一段落したあと、K君に山頂標識と一緒に撮影してあげるから標識横に行くように促した。折しも五合目あたりでお会いしたご年配10人組がこれから記念撮影をしようとしていた。K君は遠慮して行きにくそうだったが、順番待ちになるから近くにいた方がいいと言い聞かせ近くに行かせる。するとご年配の方々が、自分たちの撮影が時間がかかるから御先にどうぞと譲ってくれた。ここはご厚意に甘えるべきだと思い、丁寧に感謝の弁を述べ先に撮影させていただくことにした。そして、K君が標識の右横に立ったが、”突っ立っている”感じでかなり硬かったので、私が「手を標識に掛けてみて、載せてみて……」と言うと、標識から離れて待機しているはずのおじいさんがひょいひょい出て来て、標識の左にすくっと立ち、腕を標識に載せてこっちを見た。みんな一瞬「えっ?」となってから大爆笑。お爺さんはハッとした後、恥ずかし気に左に下がる。仲間の女性の一人が、「XXXさん可愛い~」と追い打ちをかけた。しかし、あれが計算だとしたら相当の手練れということになるのだが、恐らく天然であろう。  この後も山行は続き、幾人もの人とすれ違い、追い越させてもらい、そして、先を譲った。そして、何度も”おはようございます”、”こんにちは”と声掛けした。その際、破顔して挨拶を返してくれる人が本当に多いこと、こんな山は今までなかった。これはとても気持ちが良かったし、この山の思い出として生涯忘れることは無いだろう。

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