八ヶ岳キレット縦走、天国か地獄か

2021.08.27(金) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
12 時間 23
休憩時間
1 時間 23
距離
18.2 km
のぼり / くだり
2069 / 2068 m
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活動詳細

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あの階段の向こうには一体何があるのか。 ゲンジー梯子を降り、空を仰ぎ思う。屹立する梯子の先に輝く太陽と急峻な壁。このルートは岩場ばかり。天国のような稜線とは裏腹に、地獄のような登り返しが体力を削ぎ取ってゆく。 キレット縦走。この語感に憧憬を抱き、この山行を決意。日帰り縦走ではエスケープルートは無い。行くか戻るか。だからこそスタート時間が武器。暗いうちに駐車場に到着、ヘッデンを頼りに暗い山道を進む。暗がりはルートが見つけづらく、沢を超えるポイントで右往左往。 闇が去り、光が訪れる。西岳に向かう樹林帯で朝日に出逢う。少しだけ気分も明るくなる。が、このルートは長い。ゆっくりと上がっているのに、辛い。さらに弱点の膝が痛み出す。これはダメな日かもしれぬ。痛み止めを飲もう、撤退しよう、など悲観論が渦巻く。 悶々とするうちに、西岳に到着。甲斐駒、鳳凰三山、富士山、北アルプス。数々の山と空に残る月を見るうちに、もう少し行こうと気分が和む。空の広い青年小屋でさらに晴れ晴れと。そうそう良いことは続かず、西ギボシの岩場で手荒い歓迎に。 実は喜ぶべきことで、本日の長いメインディッシュの号砲でもあった。遂に稜線。打って変わって気分も高揚。急登も苦にならず、ギボシ、権現と歩みを進める。キレットから赤岳に通じる稜線に雲が湧く。ダイナミックな自然の営み。時折雲が抜け、その山容を現す。 不思議な登山用語は数あれど、キレットほど特別な印象を抱くものは無い。日本語にもかかわらずフランス語の様な語感。今日、少しばかり理解した、キレットは登り返しが辛い。 キレットから赤岳は、見上げる限りの岩場。だが大量の前菜を平らげた今、喜びより満腹感が勝る。赤岳スルーで阿弥陀岳に向かおうとするも、ついついピークハント。小休止後に、御小屋尾根を目指す。 中岳、阿弥陀岳とも、ピーク近辺は最高の岩場登り。振り返ると、そこに赤岳。これに勝る体験は無し。数々の稜線を一望しながら、阿弥陀岳が南八ヶ岳の中央に位置することを実感。 さらに西岳、権現、キレット、赤岳と今日のルートを眺めながら思う。早朝の地獄の樹林帯と、ここまで来た達成感を。 さて、ここからが、お支払いの時間。ヤマ高ければ、下山も長し。飽きずに、ケガ無く降りることとしよう。

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