「人生は、やる気さえあればどんな不可能なことでも可能に出来る」 Mr.富士山 實川 欣伸さんより ネルギガンテが、あれだけ興味津々に聞き入れる姿を見るのは初めてだった。 “俺もたまには雲海を見てみたい”と言うクシャルダオラの要望があり、日本で季節問わず雲海を見る確率の極めて高い場所と言えば富士山しか考えられないと見て、ネルギガンテ、テオ・テスカトル、クシャルダオラの計3頭の古龍と共に挑んでみた。 今までは完全な山開き後若しくは七夕の前後のように概ね7月に登っていたが、今回は長梅雨の予定もあり、ちょうど夏至である6/21が晴れであった為、決行に至った。 駿河湾の街並みがまだあかりを灯している早朝に登り始める。 宝永山の爆裂火口を横目に、鱗雲の切れ間から薄明光線が差してくる。大昔の人々はこれを、死後の世界にあると言われる極楽浄土に繋がる唯一の道が富士山であると例えたのだろうか……。 宝永山が遥か眼下に見えた時、駿河湾の水平線は美しく湾曲している。地球が丸い星であることを実感できた。 9.5合目を過ぎた辺りから巨大な残雪が姿を現す。 このまま直登するのは危険と判断し、ブルドーザー専用管理道路を借りることにした。 三島岳を横切り、遂に富士山頂上へ着く。 ぽっかりと空いた大内院は大自然の恐ろしさをそのまま訴えかけてくるようだ…….。 そして、最後に待ち受ける難所「馬の背」。 日本で最も高い剣ヶ峯へ辿り着くためにはお鉢巡り縦走路のこの高低差80mはあろうかと言う坂を登らなければならない。 冷たく強い風が頬を撫でるように吹き付ける。 眼下には雲海を隔てて静岡県の街並みが輝き、万年雪を湛えた大内院が数百mにわたって鋭く切れ落ちていた。 笑う足に鞭を打ち、辿り着いた日本国最高地点。 これが本当に梅雨なのかと言うほどの限りない空と四方を埋め尽くす雲海と島のように聳え立つ日本アルプス。 古龍3頭は今までにみたことのないまさに日本一の絶景をしかと目に焼き付けた。 日が暮れないうちに下る。ある程度覚悟していたもののやはり高山病が出て来た。 頭が痛く、わずがなからに吐き気も出てきた。 早く酸素が濃くなってくる7合目辺りになんとしても辿り着きたいと思い駆け下りる。 永遠に続く砂礫の道が雲海に飲み込まれ、純白と静寂の世界に変わった時、ネルギガンテの目の前に……。 富士山に通算2000回以上登頂を果たしたMr.富士山こと實川 欣伸さん。 世界七大陸最高峰完全制覇を目指すべく機会があれば富士山に登るとの事。古龍達も自分もそれだけでなく、人生観や山岳遭難の体験談などを聞くことができた。 そうこうするうちに5合目へ辿り着く。 ネルギガンテにとって最高に充実した1日だった。
去年の富士山。 ネルギガンテがいつかは登ってみたいと願っていた。
夜明け前の5合目。 駿河湾と富士山麓の街並みが灯る。
頑張るぞー!
最初から容赦なく砂礫の道が続く。
やっぱり雲海は美しい。
最初は比較的なだらかな砂礫の坂。
こっちはブル道。後にお借り致します。
南アルプス南部の山々たち。 大無限山、光岳、聖岳、赤石岳。
御殿場方面。自衛隊が火力演習やってる。 雲海の向こうにあるのはバリエーションルートのデパート丹沢山と思われる。
駿河湾と富士宮市。
宝永山。
越前岳。
おおぉ〜雲海すげぇなぁw
7合目を超えると砂礫に石ころが混ざるようになる。
8合目。ここからが本番。
8合目。雲海が豪華になってきた。
なんか空気が薄くなってきたなぁ〜w
まるで天国の世界みたいw
宝永山の爆裂火口に降り注ぐ薄明光線。
富士山を背景に鉄橋を渡る東海道新幹線が撮れるのはあのあたりかなぁ?
富士山ブルーとネルギガンテ。
上も下も雲……なんか神秘的。
9合目直下。硬い溶岩が剥き出しの坂を登る。
9.5合目。 ここから先のルートはがりっがりに凍った雪渓が立ちはだかる。 ※軽アイゼンが有れば登れそうだけどそれでも不安だったり持ってないなら隣のブル道にお世話になります。
ブル道より日本国最高地点剣ヶ峯と旧富士山測候所(富士山レーダー)。
迫力満点の火山岩。
富士山頂上。テオ・テスカトルによるとお鉢は「大内院」と呼ばれ右側にある突起物は溶岩ドームの「虎岩」。お鉢そのものは「八神峰」と言われる岩稜が取り囲む。 ※正面白山岳直下の崖にあるルンゼは、春先のみ凍った滝(頂の滝)がみられるとの事。
富士山頂上から日本国最高地点へはこのえげつない坂を登らなくてはならない。
寒いし苦しいししんどいw これを登り切ると…….?
やったぞー!
日本国最高地点「富士山剣ヶ峯」。
日本国最高地点の碑。
※真の日本国最高地点は石碑からちょっと奥に行ったところにある小銭が奉納されてる真っ赤な岩の上に描かれた印である。
おおぉ〜っ!
大内院と雲海。
秩父、八ヶ岳方面。
さっき登ってきたところ。雲が湧いてきた。
頭が痛くなってきたので下りることにする。
万年雪。山開きをするとアイゼン抜きでも登れるようになる。
雲海に飲み込まれる。
ヴォォエェェェーッ! ※自分とテオ・テスカトルは空気の薄さに耐えきれず高山病になりました。
※雲海の中でMr.富士山こと實川 欣伸さんに会いました。
足が笑ってきた。単なる砂礫の道なのにきつい。
おっ、これは……..?
無事に下りてこれました〜!
楽しい一日でした。 ありがとうございました。