赤松 戻る 次へ

えびの高原池巡り→長崎鼻灯台(鹿児島県長島町)お試しTLの写真

2021.05.22(土) 11:43

赤松

この写真を含む活動日記

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02:55

8.2 km

386 m

えびの高原池巡り→長崎鼻灯台(鹿児島県長島町)お試しTL

霧島山・韓国岳・高千穂峰・夷守岳・烏帽子岳 (宮崎, 鹿児島)

2021.05.22(土) 日帰り

 午前11時半、えびの高原に到着したが、韓国岳(からくにだけ)の山頂は雲に覆われ全く見えない。韓国岳は以前一度だけ登ったことがある。その時の眺望は最高ランクだった。しかし、目の前の白く覆われた山頂から視界無き世界を想像して登る気が無くなった。一応こんなこともあろうかと白鳥山登山を含むえびの高原池巡りのバックアッププランを用意していたので、かなり楽な行程だったがこれにした。軽めにしたのは意図的なことで、韓国岳登山だったとしても軽めである。最近お世話になり始めたGPV気象予報の雨量・雲量のシミュレーションでは九州中・南部の西海岸では夕方から雲が切れることを示していたので、夕日を拝みに鹿児島県北西端の長島に足を運び、あわよくばタイムラプス撮影をするつもりだった。  予定ではえびの高原にある三つの池、白紫池・六観音御池・不動池を巡って元の場所に戻る周回コースだったのだが、行ってみると最後の不動池から戻る道は硫黄山の噴火の影響で通行禁止となっていた。2018年4月の噴火以来の禁止措置なのにYAMAPでルート設定できてしまうことに疑問を感じざるを得ない。結局、不動池まで行ってそこから元来た道を戻ることにした。  天気が芳しくなく、コロナの影響で近隣各県も緊急事態宣言に準じる対応を迫られており、当然ながら人出は少なく静かなものだった。そんな中、白紫池の周囲を回りつつ白鳥山を登り六観音御池へ続く道を下りた時、巻道を通って来たおじさんと出会う。後で聞いたが御年70。彼は超望遠レンズを取り付けたカメラを両肩にぶら下げていた。三脚は持ってないが野鳥撮影しか考えられない。合流地点でバッタリという感じで、おじさんから話しかけてきた。最初は何処から来たのかといった話だったが、折しも野鳥撮影に興味を持ち始めた今日この頃、俺はYAMAPで暗躍する謎の野鳥撮影師「たか爺」が実在することを突き止めたばかりで、野鳥を補足するカメラに興味が向かうのをどうしても抑えられなかった。簡潔に野鳥ですかと尋ねると、待ってましたとばかりカメラ・レンズ・野鳥全般の話になった。右肩に掛けているのは7桁のレンズと一眼レフとのことで驚いたが、最近サードパーティーから廉価な望遠レンズが売り出されているらしく、左肩の最新ミラーレス一眼に装着されているものは10万円台とのことだった。  なんとなく歩調を合わせて歩くことになったが、カメラのせいかおじさんの歩く速度が極端に遅い。そして、なで肩らしくカメラのストラップがずり落ちるため時々立ち止まる。俺はだんだん焦ってきた。周回ではなくUターンしないといけないのに、このままでは夕日に間に合わないかもしれない……。少し悪いと思ったが、姑息にも軽く相槌を打ちながら加速した。すぐに差は開き、声が聞こえなくなったところでダメ押しに小走りで逃走したのだった。  折り返し地点の不動池で少し時間を使ってしまう。美しい火山湖、煙を噴き上げる硫黄山とそこに群生するミヤマキリシマ、時間が止まったようなバス停、これらのコントラストが面白かったためだった。一頻り観察したあと戻りにかかったが、不動池からそんなに遠ざかっていないうちにおじさんと再会した。少しバツが悪い。ここは適当に挨拶して先を急ごうなんて都合よく考えていたが、悪い癖でついつい社交辞令に尾ひれがついてしまう。気が付けばおじさんの本当の得意分野である昆虫の話になっていた。ついに終わりが見えなくなった。鶯が虚無感をホーホケキョと高らかに歌い上げる。そして追い打ちをかけるようにパトロールのヘリコプターが頭上を旋回し始めた。何を話しているのかすら分からなくなった。哀れな俺は斜に構えながらもおじさんの目を見て頷き続けるしかない。ここに助けはやってこない。そういえば昼飯も食っていない。現状を打開する策はもうなかったのである。  しかし、この時奇跡が起きた。おじさんは不動池をかすめる道路の安全側に車を停めていて、戻ろうとしていた俺に疑問を持ち、車をどこに停めたか尋ねたのだ。えびの高原駐車場に車を停めています、時間がないのでもう戻らないと。この一言で事態は急展開する。おじさんの表情が曇る。申し訳なさそうに別れを切り出してくれた。俺は不動明王に感謝したのだった。  その後、長島の長崎鼻灯台で無事夕日を拝み、お試しのタイムラプスも撮影できた。長島はいいところだった。時間がとてもゆっくり流れている。タイムラプスの撮影時間は2.5時間だったが、最初の1時間は刻々と変わる海と空の表情を見ているだけで全く飽きない。暗くなると自動的に灯台に火が灯った。灯台下暗し、とはいうが星の撮影にはかなり影響があった。また、月が出ていたため星景写真の撮影環境はではなかったが、結果は予想よりましで、肉眼で見えないものが写真には撮れていたのが意外であった。 *タイムラプス動画はHD画質で再生してください。