琴平山と剣ヶ峰/岩崖の参道を歩く

2021.05.22(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
3 時間 53
休憩時間
1 時間 11
距離
7.1 km
のぼり / くだり
398 / 401 m
1 3
5
40
1 2

活動詳細

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相変わらずの天候不順で週末はどうなるかと思われたが、今度は土曜日が怪しく日曜日が晴れ模様、という訳で、先週とは逆になってしまった。今週は、日曜に出掛けるのが不都合で、なんとも間が悪い。 尤も、怪しいと云いながらも、先週ほどではない。山梨県東部の土曜日は、朝から昼過ぎまでが、晴れの予報である。今日も午前中だけ山に登ってこようと思う。 先週訪れた、栃穴御前山と鶴島御前山。いにしえの烽火台の山ということで、三本槍のように屹立する岩峰を、麓から眺めることができた。三本のうち、ふたつに登ったので、当然のことながら、もうひとつの山が気になる。 四方津駅附近から明瞭に見える山々は、反対側の上野原駅から眺めると、さらに顕著で、気になる未踏の山は、鋭利に尖った山容である。鶴島御前山と、ムジナ沢を挟んで対峙する、標高380m圏峰は、山名もコースも、登山地図には記されていない。 調べてみると、麓の神社から登山ルートのある、琴平山であった。駅から見えるランドマーク的尖塔のその奥に、標高420m圏峰があり、眺望が素晴らしい、とのことである。 上野原駅から歩いて周遊し、何事も無ければ、短時間で帰ってこれそうだが、YAMAPは勿論、「登山詳細図」でも無印の山域である。どうなることやら、行って見ないことには判らない…。

名倉金剛山・鶴島金剛山 未明まで降り続いた雨が上がり、広いプラットホームが独特な上野原駅に到着した。

気温が上昇中で、山なみは朝靄に包まれている。
未明まで降り続いた雨が上がり、広いプラットホームが独特な上野原駅に到着した。 気温が上昇中で、山なみは朝靄に包まれている。
名倉金剛山・鶴島金剛山 駅構内で諸事を済ませて、南口に出る。蠢くように靄が移動して、琴平山の尖塔が姿を見せている。

展望の山頂に辿り着く頃には、晴れてくれる筈である。
駅構内で諸事を済ませて、南口に出る。蠢くように靄が移動して、琴平山の尖塔が姿を見せている。 展望の山頂に辿り着く頃には、晴れてくれる筈である。
名倉金剛山・鶴島金剛山 桂川を渡り、鶴島地区に入る。高柄山の道標に従い、坂道を登りかけると、「鶴島のムクノキ」の道標があり、左折する。山腹に建っている島田小学校を迂回するようにして、舗道が続いていた。

民家の点在する道を、目指す山に向かって歩いていく。舗道が突き当たり、登山口は右折だが、せっかくなので、ムクノキと法性(ほうしょう)寺に立ち寄っていくことにした。

県道35号にぶつかり、ふたたび集落の道に入る。畑地の向こうに、鶴島御前山が美しい。
桂川を渡り、鶴島地区に入る。高柄山の道標に従い、坂道を登りかけると、「鶴島のムクノキ」の道標があり、左折する。山腹に建っている島田小学校を迂回するようにして、舗道が続いていた。 民家の点在する道を、目指す山に向かって歩いていく。舗道が突き当たり、登山口は右折だが、せっかくなので、ムクノキと法性(ほうしょう)寺に立ち寄っていくことにした。 県道35号にぶつかり、ふたたび集落の道に入る。畑地の向こうに、鶴島御前山が美しい。
名倉金剛山・鶴島金剛山 集落の端に行き着くと、山腹に長い石段が続き、その先には諸行無常という感じで、鐘楼門が建っている。

法性寺は圧倒的な古刹の佇まいで、思わず寂滅のような気分に浸ってしまう。
集落の端に行き着くと、山腹に長い石段が続き、その先には諸行無常という感じで、鐘楼門が建っている。 法性寺は圧倒的な古刹の佇まいで、思わず寂滅のような気分に浸ってしまう。
名倉金剛山・鶴島金剛山 鐘楼門を潜り、本堂を見る。本尊は平安時代に作られた、木造の阿弥陀如来座像で、山梨県指定文化財となっている。

住職は常駐していない寺だが、大晦日には鐘楼門の鐘が突かれるとのことで、どんな情景なのか、見てみたいなと思う。
鐘楼門を潜り、本堂を見る。本尊は平安時代に作られた、木造の阿弥陀如来座像で、山梨県指定文化財となっている。 住職は常駐していない寺だが、大晦日には鐘楼門の鐘が突かれるとのことで、どんな情景なのか、見てみたいなと思う。
名倉金剛山・鶴島金剛山 法性寺の境内から眺める、上野原市街の風景。陣馬山方面の山なみも、徐々に靄が晴れていくのが判る。
法性寺の境内から眺める、上野原市街の風景。陣馬山方面の山なみも、徐々に靄が晴れていくのが判る。
名倉金剛山・鶴島金剛山 古刹を辞して、鶴島西区の集落に戻る。途上に、見事な植栽のお屋敷に眼を瞠る。長屋門を構えた邸宅に感心しつつ、琴平神社に向かう。

ところで、「鶴島のムクノキ」の場所が判らない。登山詳細図には、法性寺とムクノキが併記されているので、同じような場所にあるのかと見当をつけて、古刹見物も兼ねてやってきたのだが…。

そんな思いで歩いていると、琴平神社の赤い鳥居が見えてきた。このままでは、登山開始となってしまう。

立ち止まり黙考していると、ゴミ出しにやってきた夫人と眼が合ったので、挨拶してムクノキの所在を尋ねた。
古刹を辞して、鶴島西区の集落に戻る。途上に、見事な植栽のお屋敷に眼を瞠る。長屋門を構えた邸宅に感心しつつ、琴平神社に向かう。 ところで、「鶴島のムクノキ」の場所が判らない。登山詳細図には、法性寺とムクノキが併記されているので、同じような場所にあるのかと見当をつけて、古刹見物も兼ねてやってきたのだが…。 そんな思いで歩いていると、琴平神社の赤い鳥居が見えてきた。このままでは、登山開始となってしまう。 立ち止まり黙考していると、ゴミ出しにやってきた夫人と眼が合ったので、挨拶してムクノキの所在を尋ねた。
名倉金剛山・鶴島金剛山 結局、集落の坂道を逆戻りして下っていくことになった。そして、住宅に囲まれて窮屈そうに立っている、山梨県指定天然記念物、推定樹齢約700年という「鶴島のムクノキ」が見えてきた。

奇怪に屈曲した根が、這うように入り乱れている。それに囲まれて、道祖神の石像が鎮座していた。

ムクノキを見上げると、瘤状の突起が樹皮を形成して、落雷の影響だろうか、ぽっかりと空洞がある。その組み合わせで、なんだか生き物のようにも見える。

鑑賞にやってきた甲斐のある「鶴嶋のムクノキ」だが、周囲にはゴミ集積所の大きな容器が設置されていたりして、全体的には、お粗末と云わざるを得ない景観であった。
結局、集落の坂道を逆戻りして下っていくことになった。そして、住宅に囲まれて窮屈そうに立っている、山梨県指定天然記念物、推定樹齢約700年という「鶴島のムクノキ」が見えてきた。 奇怪に屈曲した根が、這うように入り乱れている。それに囲まれて、道祖神の石像が鎮座していた。 ムクノキを見上げると、瘤状の突起が樹皮を形成して、落雷の影響だろうか、ぽっかりと空洞がある。その組み合わせで、なんだか生き物のようにも見える。 鑑賞にやってきた甲斐のある「鶴嶋のムクノキ」だが、周囲にはゴミ集積所の大きな容器が設置されていたりして、全体的には、お粗末と云わざるを得ない景観であった。
名倉金剛山・鶴島金剛山 ふたたび集落の坂道を登り、琴平神社の赤い鳥居に戻ってきた。市町村製の道標に「琴平山」と記されている。

どんな道が待っているのかなと思いながら、急傾斜の古びた石段を登る。雨上がりで苔の濡れる石段を、慎重に登っていくと…。
ふたたび集落の坂道を登り、琴平神社の赤い鳥居に戻ってきた。市町村製の道標に「琴平山」と記されている。 どんな道が待っているのかなと思いながら、急傾斜の古びた石段を登る。雨上がりで苔の濡れる石段を、慎重に登っていくと…。
名倉金剛山・鶴島金剛山 立派な灯篭の先は、鬱蒼と草生しており、思わずたじろぐ。山頂に奥社が在るとして、ここに本殿が無い、というのも意外だった。

行く手の先には、植物が繁茂しているのも確認できる。これは難渋しそうな踏路だなと、独り言を呟きつつ、簡易スパッツを装着した。そして、蜘蛛の巣払いの小枝を拾って、歩き出した。
立派な灯篭の先は、鬱蒼と草生しており、思わずたじろぐ。山頂に奥社が在るとして、ここに本殿が無い、というのも意外だった。 行く手の先には、植物が繁茂しているのも確認できる。これは難渋しそうな踏路だなと、独り言を呟きつつ、簡易スパッツを装着した。そして、蜘蛛の巣払いの小枝を拾って、歩き出した。
名倉金剛山・鶴島金剛山 薮状の道を突破すると、少し蛇行して踏路は勾配を上げていく。朝露で濡れた頬を拭い、明るくなったなと思うと、送電道志川線13号鉄塔が現われた。

繁茂する草木の向こうに、少しだけ眺望が開ける。

参道なのか送電線巡視路なのか、よく判らないまま篠藪の道を登り続けていると、標高300m附近で勾配は落ち着いた。

ピークまで、あと80mの標高差である。麓から見上げた、鋭利な尖塔に登っているという感覚ではないな、などと思っていると…。
薮状の道を突破すると、少し蛇行して踏路は勾配を上げていく。朝露で濡れた頬を拭い、明るくなったなと思うと、送電道志川線13号鉄塔が現われた。 繁茂する草木の向こうに、少しだけ眺望が開ける。 参道なのか送電線巡視路なのか、よく判らないまま篠藪の道を登り続けていると、標高300m附近で勾配は落ち着いた。 ピークまで、あと80mの標高差である。麓から見上げた、鋭利な尖塔に登っているという感覚ではないな、などと思っていると…。
名倉金剛山・鶴島金剛山 尾根は唐突に、岩混じりの急勾配となった。根を岩塊に絡ませて立っている、樹木の幹を掴んで、喘ぎながら登っていくと、苔に覆われた巨岩に突き当たる。

尾根は岩稜となり、人為的に刻まれたステップを頼りに、慎重に足を掛ける。

巨岩をパスして、どうなっていくのかと思っていると、痩せ尾根はいよいよ険しくなっていった。そして、行く手を完全に阻む岩塊を見て唖然となった。

よく見ると、縦に割れた巨岩の左側に、鎖が渡してある。近づいてみると、「参道整美」と記された金属プレートが埋め込まれていた。

岩に打ち込まれた鉄輪は、見たところ丈夫そうである。

それで、程よく錆びた鎖を頼りに、岩をへつるようにして、登っていった。
尾根は唐突に、岩混じりの急勾配となった。根を岩塊に絡ませて立っている、樹木の幹を掴んで、喘ぎながら登っていくと、苔に覆われた巨岩に突き当たる。 尾根は岩稜となり、人為的に刻まれたステップを頼りに、慎重に足を掛ける。 巨岩をパスして、どうなっていくのかと思っていると、痩せ尾根はいよいよ険しくなっていった。そして、行く手を完全に阻む岩塊を見て唖然となった。 よく見ると、縦に割れた巨岩の左側に、鎖が渡してある。近づいてみると、「参道整美」と記された金属プレートが埋め込まれていた。 岩に打ち込まれた鉄輪は、見たところ丈夫そうである。 それで、程よく錆びた鎖を頼りに、岩をへつるようにして、登っていった。
名倉金剛山・鶴島金剛山 岩崖の細尾根を登り続ける。神社の参道、と云うのが信じられない急峻の踏路であり、鬱蒼と茂る樹林で眺望は皆無である。

忍従の心境で登攀していくと、ようやく勾配が落ち着き、赤い屋根の社が見えてきて、標高380m圏峰に登頂した。

社に記された、琴平神社奉納、の手書き文字が稚拙で、なんとも頼りない。

「標高380m、琴平山」という山名標も設置され、剣ヶ峰の道標も在る。登山は自己責任とは云え、こんな峻険なルートに道標を立てるなんて、と思ってしまった。

古くは駒倉山とも呼ばれていたという、琴平神社奥社のピークは、雑木に囲まれて眺望は無い。

周囲を見渡しても腑に落ちないが、上野原駅前から眺めた、あのピークの頂上に居るんだなと想像して、感慨に浸ることにした。
岩崖の細尾根を登り続ける。神社の参道、と云うのが信じられない急峻の踏路であり、鬱蒼と茂る樹林で眺望は皆無である。 忍従の心境で登攀していくと、ようやく勾配が落ち着き、赤い屋根の社が見えてきて、標高380m圏峰に登頂した。 社に記された、琴平神社奉納、の手書き文字が稚拙で、なんとも頼りない。 「標高380m、琴平山」という山名標も設置され、剣ヶ峰の道標も在る。登山は自己責任とは云え、こんな峻険なルートに道標を立てるなんて、と思ってしまった。 古くは駒倉山とも呼ばれていたという、琴平神社奥社のピークは、雑木に囲まれて眺望は無い。 周囲を見渡しても腑に落ちないが、上野原駅前から眺めた、あのピークの頂上に居るんだなと想像して、感慨に浸ることにした。
名倉金剛山・鶴島金剛山 琴平山は、麓から見るような三角錐の山ではなく、実際は南北に細長く山頂域が続いていた。

剣ヶ峰を目指して、若干の起伏はあるが、穏やかな踏路を歩いていく。

途上で右手に、鶴島御前山の秀峰ぶりを眺めることができる。しかし、剣ヶ峰に立てば充分に堪能できるので、立ち止まらずに通過した。

自然林に囲まれた、緩やかな踏路は心地好く、つい先ほどまで続いた、薮と岩崖の決死ルートの記憶が遠ざかっていく。

やがて勾配が上がり始めて、踏路を巨岩が阻んだ。左手から廻り込むと、真新しい鎖が設置されている。
琴平山は、麓から見るような三角錐の山ではなく、実際は南北に細長く山頂域が続いていた。 剣ヶ峰を目指して、若干の起伏はあるが、穏やかな踏路を歩いていく。 途上で右手に、鶴島御前山の秀峰ぶりを眺めることができる。しかし、剣ヶ峰に立てば充分に堪能できるので、立ち止まらずに通過した。 自然林に囲まれた、緩やかな踏路は心地好く、つい先ほどまで続いた、薮と岩崖の決死ルートの記憶が遠ざかっていく。 やがて勾配が上がり始めて、踏路を巨岩が阻んだ。左手から廻り込むと、真新しい鎖が設置されている。
名倉金剛山・鶴島金剛山 鎖を頼りに、最後の登攀。見上げると、剣ヶ峰の山名標と、石祠が見えてきて…。
鎖を頼りに、最後の登攀。見上げると、剣ヶ峰の山名標と、石祠が見えてきて…。
名倉金剛山・鶴島金剛山 低山ながらも全方位の眺望、標高420m圏峰の剣ヶ峰に登頂した。

足元を見ると、眼が眩みそうな岩峰であった。眼下には、メイプルポイントゴルフクラブが、直ぐそこに見える。

高柄山の山なみの向こうに、丹沢山塊の大室山が大きい。
低山ながらも全方位の眺望、標高420m圏峰の剣ヶ峰に登頂した。 足元を見ると、眼が眩みそうな岩峰であった。眼下には、メイプルポイントゴルフクラブが、直ぐそこに見える。 高柄山の山なみの向こうに、丹沢山塊の大室山が大きい。
名倉金剛山・鶴島金剛山 東側を眺めると、かつて登ったことのある鶴島金剛山が、端整な姿で鎮座している。
東側を眺めると、かつて登ったことのある鶴島金剛山が、端整な姿で鎮座している。
名倉金剛山・鶴島金剛山 そして、先週歩いた、カニのハサミ岩が在る、尾根分岐の瘤から鶴島御前山に至る山塊を眺める。

桂川の対岸は、未だ霞のたゆたう水墨画のような情景であった。

文句なしの絶景で、目論見どおりの低山巡りの成功に嬉しくなる。今日も朝から何も食していない。ここでカップ麺の大休憩だな、と思うが、狭い岩のピークに居場所が見当たらない。そして、羽虫がたくさん飛び回っていて、正直なところ、居心地はよくない。

冬になったら再訪して、ここでのんびりしよう。そう思うことにして、食事休憩は順延し、後半の尾根巡りを開始する。

居心地の良い場所があれば、大休憩とすることにしよう。
そして、先週歩いた、カニのハサミ岩が在る、尾根分岐の瘤から鶴島御前山に至る山塊を眺める。 桂川の対岸は、未だ霞のたゆたう水墨画のような情景であった。 文句なしの絶景で、目論見どおりの低山巡りの成功に嬉しくなる。今日も朝から何も食していない。ここでカップ麺の大休憩だな、と思うが、狭い岩のピークに居場所が見当たらない。そして、羽虫がたくさん飛び回っていて、正直なところ、居心地はよくない。 冬になったら再訪して、ここでのんびりしよう。そう思うことにして、食事休憩は順延し、後半の尾根巡りを開始する。 居心地の良い場所があれば、大休憩とすることにしよう。
名倉金剛山・鶴島金剛山 狭い山頂域から、南東に尾根が延びている。細尾根が、突然急勾配を下るようになると、左手のエッジにロープが渡されていた。

北面がすっぱり切れ落ちていて、滑落防止的な用途のロープであった。

そして、露岩の急下降となり、今度は設置されているロープに縋る。ロープが無ければ、昇降は不可能な岩崖である。
狭い山頂域から、南東に尾根が延びている。細尾根が、突然急勾配を下るようになると、左手のエッジにロープが渡されていた。 北面がすっぱり切れ落ちていて、滑落防止的な用途のロープであった。 そして、露岩の急下降となり、今度は設置されているロープに縋る。ロープが無ければ、昇降は不可能な岩崖である。
名倉金剛山・鶴島金剛山 右手の樹林の向こうから、間の抜けた金属音と、軽薄な嬌声が聞こえてくる。

険しい岩尾根の下降で、息の詰まるような心境なのだが、呑気なゴルフ場の雑音で、神経が乱れていく。

鎖とロープが設置された岩崖を、やっとの思いで下降する。振り返ると、尋常ではない険阻な岩場が、尾根道を阻んでいた。
右手の樹林の向こうから、間の抜けた金属音と、軽薄な嬌声が聞こえてくる。 険しい岩尾根の下降で、息の詰まるような心境なのだが、呑気なゴルフ場の雑音で、神経が乱れていく。 鎖とロープが設置された岩崖を、やっとの思いで下降する。振り返ると、尋常ではない険阻な岩場が、尾根道を阻んでいた。
名倉金剛山・鶴島金剛山 標高380m圏の、ちょうど琴平山と同じ高さまで下り、勾配が落ち着いた。鞍部に達してはいないのだが、安堵した途端に、空腹を覚えた。

露岩の在る、樹林越しにゴルフコースが垣間見える場所があり、虫も居ない。ここでカップ麺を作り、大休憩とした。
標高380m圏の、ちょうど琴平山と同じ高さまで下り、勾配が落ち着いた。鞍部に達してはいないのだが、安堵した途端に、空腹を覚えた。 露岩の在る、樹林越しにゴルフコースが垣間見える場所があり、虫も居ない。ここでカップ麺を作り、大休憩とした。
名倉金剛山・鶴島金剛山 鞍部に達して、等高線は延々と同じ高さで閉じられている。程なく北に尾根の分岐する瘤に上がると、手製道標に、奥越峠と記してあった。

下調べでは、同じ筆跡で「オッ越」と記されたものが立っていた筈だが、作成者が、敢えて取り替えたようである。

根拠のある地名だと信じたいが、なんだか怪しいなと感じる。以前の道標で、松義山とされる、標高390m圏峰が「松葉山」となっているのは、どういうことだろう。

細かいことを云うと、剣ヶ峰、松義山への指示に、「現在」とあるのも気に入らない。それを云うなら「現在地」だろう、とも思う。

ちなみに、北尾根の踏路には
「でんがく←下山」
と記された手製道標が、木に打ち付けられていた。

表記も筆跡も杜撰で、残念な気持ちになってしまう。
鞍部に達して、等高線は延々と同じ高さで閉じられている。程なく北に尾根の分岐する瘤に上がると、手製道標に、奥越峠と記してあった。 下調べでは、同じ筆跡で「オッ越」と記されたものが立っていた筈だが、作成者が、敢えて取り替えたようである。 根拠のある地名だと信じたいが、なんだか怪しいなと感じる。以前の道標で、松義山とされる、標高390m圏峰が「松葉山」となっているのは、どういうことだろう。 細かいことを云うと、剣ヶ峰、松義山への指示に、「現在」とあるのも気に入らない。それを云うなら「現在地」だろう、とも思う。 ちなみに、北尾根の踏路には 「でんがく←下山」 と記された手製道標が、木に打ち付けられていた。 表記も筆跡も杜撰で、残念な気持ちになってしまう。
名倉金剛山・鶴島金剛山 気を取り直して、若干の起伏がある、標高360m圏の尾根道を歩く。

右手には時折、ゴルフ場の景色。とてつもなく近い場所に、舗道が併行している。
気を取り直して、若干の起伏がある、標高360m圏の尾根道を歩く。 右手には時折、ゴルフ場の景色。とてつもなく近い場所に、舗道が併行している。
名倉金剛山・鶴島金剛山 奥越峠とされる分岐点から歩くこと17分が経過して、標高380m圏の、尾根分岐点に到着した。

ここにも手製道標で、松葉山と記されている。繰り返すようだが、少なくとも昨年末までは、松義山と記した手製道標が立っていた筈である。

恣意的に山名を設定し、突然違う山名に変更しているようで、個人的には、全く受け入れられない手製道標である。

等高線の閉じた、390m圏峰の手前にある尾根分岐点を山頂と記して、標高も387mと細かい。

根拠を示して貰いたいものである。
奥越峠とされる分岐点から歩くこと17分が経過して、標高380m圏の、尾根分岐点に到着した。 ここにも手製道標で、松葉山と記されている。繰り返すようだが、少なくとも昨年末までは、松義山と記した手製道標が立っていた筈である。 恣意的に山名を設定し、突然違う山名に変更しているようで、個人的には、全く受け入れられない手製道標である。 等高線の閉じた、390m圏峰の手前にある尾根分岐点を山頂と記して、標高も387mと細かい。 根拠を示して貰いたいものである。
名倉金剛山・鶴島金剛山 なんだか、詰まらないことで苛立ってしまった。ふたたび気を取り直して、390m圏峰を踏む。

雑木に囲まれた、何でもないピークで、「三井金属鉱業」と刻印されたコンクリートの杭が立っていた。

踵を返して、尾根分岐点に戻る。下降できる尾根は、少なくとも五つの方角に分かれているが、北の尾根を下ることにした。

上野原方面に進路を取り、靍島神明社を目指して下山の途に掛かる。
なんだか、詰まらないことで苛立ってしまった。ふたたび気を取り直して、390m圏峰を踏む。 雑木に囲まれた、何でもないピークで、「三井金属鉱業」と刻印されたコンクリートの杭が立っていた。 踵を返して、尾根分岐点に戻る。下降できる尾根は、少なくとも五つの方角に分かれているが、北の尾根を下ることにした。 上野原方面に進路を取り、靍島神明社を目指して下山の途に掛かる。
名倉金剛山・鶴島金剛山 尾根は次第に北北西へ延びていく。小規模な尾根分岐の瘤に乗ると、赤テープが東側の谷に向かって、マーキングされていた。

麓は近いが、踏路は不明瞭の度を強めていく。手製道標に悪罵を浴びせていたが、ここは素直に、マーキングに准じることにする。
尾根は次第に北北西へ延びていく。小規模な尾根分岐の瘤に乗ると、赤テープが東側の谷に向かって、マーキングされていた。 麓は近いが、踏路は不明瞭の度を強めていく。手製道標に悪罵を浴びせていたが、ここは素直に、マーキングに准じることにする。
名倉金剛山・鶴島金剛山 足元が不如意になりがちのまま、鬱蒼とした広い谷を下り、呆気なく舗道に出た。精密機器工場の前で休憩して、簡易スパッツを解く。

上野原の街を見渡す気持ちのよい道を下り、送電道志川線10号鉄塔の傍らには、標高266.4mの三角点が在る筈だが、確認は諦めて下山の途に掛かる。
足元が不如意になりがちのまま、鬱蒼とした広い谷を下り、呆気なく舗道に出た。精密機器工場の前で休憩して、簡易スパッツを解く。 上野原の街を見渡す気持ちのよい道を下り、送電道志川線10号鉄塔の傍らには、標高266.4mの三角点が在る筈だが、確認は諦めて下山の途に掛かる。
名倉金剛山・鶴島金剛山 県道に下りて、少し歩いたところに靍島神明社。イチョウの立派な古木が対になっているが、推定樹齢は300年程度で、ムクノキの威厳には遠く及ばない。

無事下山の御礼参拝を済ませ、低山巡りもエピローグを迎える。
県道に下りて、少し歩いたところに靍島神明社。イチョウの立派な古木が対になっているが、推定樹齢は300年程度で、ムクノキの威厳には遠く及ばない。 無事下山の御礼参拝を済ませ、低山巡りもエピローグを迎える。
名倉金剛山・鶴島金剛山 車幅の狭い県道を歩き続けるのは苦痛なので、集落の道に入り、ショートカットしていく。

ふたたび県道に合流すると、島田小学校の校門前に出た。程なく、今朝歩き始めた、高柄山の道標地点に合流した。そして、桂川橋の途上で振り返り、歩いてきた山なみを見上げる。

冬の季節に、もういちど再訪したい。そう思わざるを得ない、好展望の山々であった。

それにしても、五月も後半。藪道がだんだん辛くなってきた。次回からの山行は、平穏なコースを設定しなければなあと思いつつ、上野原駅に戻ることにした。
車幅の狭い県道を歩き続けるのは苦痛なので、集落の道に入り、ショートカットしていく。 ふたたび県道に合流すると、島田小学校の校門前に出た。程なく、今朝歩き始めた、高柄山の道標地点に合流した。そして、桂川橋の途上で振り返り、歩いてきた山なみを見上げる。 冬の季節に、もういちど再訪したい。そう思わざるを得ない、好展望の山々であった。 それにしても、五月も後半。藪道がだんだん辛くなってきた。次回からの山行は、平穏なコースを設定しなければなあと思いつつ、上野原駅に戻ることにした。

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