倉岳山/ふたつの北尾根を巡る

2021.05.09(日) 日帰り

活動データ

タイム

04:37

距離

9.5km

のぼり

865m

くだり

864m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
4 時間 37
休憩時間
1 時間 2
距離
9.5 km
のぼり / くだり
865 / 864 m
2 20
2 8

活動詳細

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四都府県の緊急事態宣言延長が発表された直後の日曜であるが、中央線快速には、ハイカーの姿がたくさん居る。もちろん自分もそのひとりである。そして、電車が立川駅に到着すると、私が乗っている車輌からは、私以外の全員が下車していった。 青梅線に乗り換えるハイカーの大群がものすごい。県を跨がないということで、奥多摩に向かう人が多いのかな、などと思う。 とりあえず、がらがらに空いて快適な電車は発車した。今日は、早く起きることができたら、少しだけ山に登って帰ってこようと思っていた。お誂え向きの時刻に眼が醒めたお陰で、鳥沢駅に降り立ったのは、午前七時であった。 登るのは、毎度御馴染みの倉岳山なのであるが、今日は久しぶりに、下畑集落の八幡神社の裏手から取り付く、北尾根を登ろうと思う。最短距離で山頂に続くこの尾根は、相対的に急勾配の度が強い。急峻の尾根道を、黙々と登り続けてみようと思う。 そして、今日の主題は、北東尾根分岐を見送り、ふたたび下畑に延びていく、もうひとつの北尾根を探索することである。かつては分岐点の樹木に、下畑と記した木板があったのだが、今は外されている。いにしえの山道であるが、今はどうなっているのか、謎の尾根である…。

倉岳山・高畑山・九鬼山 甲州街道は、いつもよりトラックの往来が少なく、安堵しつつ歩く。線路の下をくぐり、農地に沿った道を歩くと、倉岳山が直ぐそこのように近い。

左端には、北尾根の途上に在る、標高458mピークが顕著に盛り上がっている。
甲州街道は、いつもよりトラックの往来が少なく、安堵しつつ歩く。線路の下をくぐり、農地に沿った道を歩くと、倉岳山が直ぐそこのように近い。 左端には、北尾根の途上に在る、標高458mピークが顕著に盛り上がっている。
倉岳山・高畑山・九鬼山 虹吹橋から、桂川を眺める。正面に見えるのは、今年の初めに登った、猿橋城山の山なみ。
虹吹橋から、桂川を眺める。正面に見えるのは、今年の初めに登った、猿橋城山の山なみ。
倉岳山・高畑山・九鬼山 一般登山道の道標を見送り、下畑集落方面に左折する。
一般登山道の道標を見送り、下畑集落方面に左折する。
倉岳山・高畑山・九鬼山 下畑集落を抜けて、蛇行する舗道が沢を渡り、右手に山麓への道が別れる。

寂れた遊具が佇む公園に、「下畑遊園地」の看板。その向かいに、八幡神社の石段が在る。
下畑集落を抜けて、蛇行する舗道が沢を渡り、右手に山麓への道が別れる。 寂れた遊具が佇む公園に、「下畑遊園地」の看板。その向かいに、八幡神社の石段が在る。
倉岳山・高畑山・九鬼山 八幡神社の境内。北面の山麓は、全く陽が射さない。

参拝して、右手の斜面から山に入る。鹿柵を開閉して、北尾根の北西側に在る踏路を登り始めた。
八幡神社の境内。北面の山麓は、全く陽が射さない。 参拝して、右手の斜面から山に入る。鹿柵を開閉して、北尾根の北西側に在る踏路を登り始めた。
倉岳山・高畑山・九鬼山 程無く踏路はトラバースして、北尾根の末端に移動していく。一対の石祠が、岩の台座に佇んでいた。

参拝して、注連縄をくぐり、岩の散逸する急斜面を登り始める。
程無く踏路はトラバースして、北尾根の末端に移動していく。一対の石祠が、岩の台座に佇んでいた。 参拝して、注連縄をくぐり、岩の散逸する急斜面を登り始める。
倉岳山・高畑山・九鬼山 倉岳山北尾根の道中で最初の難関が、標高458mピークに至る、この岩崖状の斜面。

下るのはちょっと危険かもしれない。
倉岳山北尾根の道中で最初の難関が、標高458mピークに至る、この岩崖状の斜面。 下るのはちょっと危険かもしれない。
倉岳山・高畑山・九鬼山 両手で岩や潅木を掴み、ひたすらに登り続けると、かなりの高度感で眺望が広がる。

急斜面を登り続けているので、あっという間に、高い処に居る。
両手で岩や潅木を掴み、ひたすらに登り続けると、かなりの高度感で眺望が広がる。 急斜面を登り続けているので、あっという間に、高い処に居る。
倉岳山・高畑山・九鬼山 標高458mピークに到着。樹林に囲まれ眺望は無い。それでも、麓から見上げた顕著なピークに登り詰めた実感で、ほっとする。

トレイルミックスを頬張り、小休止する。今朝は何も食べていないが、行動食で登り続ける方が、なんとなく体調が良いような気がする。
標高458mピークに到着。樹林に囲まれ眺望は無い。それでも、麓から見上げた顕著なピークに登り詰めた実感で、ほっとする。 トレイルミックスを頬張り、小休止する。今朝は何も食べていないが、行動食で登り続ける方が、なんとなく体調が良いような気がする。
倉岳山・高畑山・九鬼山 登り始めの労苦から開放されて、新緑の気持ちよい尾根道を歩き続ける。

標高500mを越えると、徐々に勾配が上がっていく。境界見出標が尾根上に点在し、尾根分岐の瘤には、恩賜林の標石が在った。
登り始めの労苦から開放されて、新緑の気持ちよい尾根道を歩き続ける。 標高500mを越えると、徐々に勾配が上がっていく。境界見出標が尾根上に点在し、尾根分岐の瘤には、恩賜林の標石が在った。
倉岳山・高畑山・九鬼山 尾根道をひたすら登り続ける。自然林に囲まれた道は心地好く、時折現われる山躑躅のアクセントが嬉しい。

標高600mで、遠くに権現山の山なみが遠望できる。麓の端整な里山は、斧窪御前山かと思われる。
尾根道をひたすら登り続ける。自然林に囲まれた道は心地好く、時折現われる山躑躅のアクセントが嬉しい。 標高600mで、遠くに権現山の山なみが遠望できる。麓の端整な里山は、斧窪御前山かと思われる。
倉岳山・高畑山・九鬼山 平穏だった踏路は、標高650m附近から変化する。岩で構成された急斜面を、左に回り込むようにして攀じ登っていく。

急峻が落ち着いて、新緑の眩しい箇所に出るが、直ぐに次の急勾配が現われる。
平穏だった踏路は、標高650m附近から変化する。岩で構成された急斜面を、左に回り込むようにして攀じ登っていく。 急峻が落ち着いて、新緑の眩しい箇所に出るが、直ぐに次の急勾配が現われる。
倉岳山・高畑山・九鬼山 判ってはいたのだが、北西尾根合流点までの急登は厳しかった。

久しぶりに巨木の立つ、尾根分岐の広場に到着。汗に濡れたシャツが、休憩している間に、ひんやりとしてくる。

倉岳山の山頂は近いが、最後の急峻は織り込み済みである。ゆっくりと休憩を取った。
判ってはいたのだが、北西尾根合流点までの急登は厳しかった。 久しぶりに巨木の立つ、尾根分岐の広場に到着。汗に濡れたシャツが、休憩している間に、ひんやりとしてくる。 倉岳山の山頂は近いが、最後の急峻は織り込み済みである。ゆっくりと休憩を取った。
倉岳山・高畑山・九鬼山 下畑の八幡神社から登り始めて二時間弱で、倉岳山に登頂した。山頂には単独ハイカーがひとり。目礼して、富士山の眺めを確認する。

倉岳山は「秀麗富嶽十二景」のひとつに数えられている。確かに明瞭に眺めることはできるが、なんだか遠くに感じるのは気の所為だろうか。

新緑が繁茂する季節に登頂したのは、久しぶりのような気がする。木々の前景の向こうに霞んでいる、今日の富士山は、ずいぶん小さく見える。

山頂の滞在時間は、約一分間。行き止まりの看板に立ち戻り、足早に下山に掛かる。

そしていよいよ、もうひとつの北尾根の探索に掛かることにした。
下畑の八幡神社から登り始めて二時間弱で、倉岳山に登頂した。山頂には単独ハイカーがひとり。目礼して、富士山の眺めを確認する。 倉岳山は「秀麗富嶽十二景」のひとつに数えられている。確かに明瞭に眺めることはできるが、なんだか遠くに感じるのは気の所為だろうか。 新緑が繁茂する季節に登頂したのは、久しぶりのような気がする。木々の前景の向こうに霞んでいる、今日の富士山は、ずいぶん小さく見える。 山頂の滞在時間は、約一分間。行き止まりの看板に立ち戻り、足早に下山に掛かる。 そしていよいよ、もうひとつの北尾根の探索に掛かることにした。
倉岳山・高畑山・九鬼山 勝手知ったる、という気分で、東に延びる尾根を下っていく。月尾根沢左岸の尾根を見送り、岩場の急坂を下り、細くなっていく尾根を下ると、標高747mピーク。

この山頂域から、北東尾根が派生して、梁川駅に下りることができる。手製の「梁川」道標が、妙な角度で木に打ち付けられている。

同じ様式の手製道標「下畑」もあったのだが、今は取り外されてしまったようである。
勝手知ったる、という気分で、東に延びる尾根を下っていく。月尾根沢左岸の尾根を見送り、岩場の急坂を下り、細くなっていく尾根を下ると、標高747mピーク。 この山頂域から、北東尾根が派生して、梁川駅に下りることができる。手製の「梁川」道標が、妙な角度で木に打ち付けられている。 同じ様式の手製道標「下畑」もあったのだが、今は取り外されてしまったようである。
倉岳山・高畑山・九鬼山 北東尾根分岐の先は、人為的に倒木が配置され、通行止めを示唆していた。それを越えて、尾根上を意識して下降していく。

殆ど歩かれていないと思われる尾根道は、心なしか荒涼とした雰囲気であった。

微妙に枝分かれする尾根を右に進み、標高670m附近で、等高線が表現する通りの、平坦な箇所に達した。

行動食にも飽きたので、ここでカップ麺を作り、食事休憩とした。

朽ちた倒木が散逸している所為か、周囲は虫が多かった。もう少し上の方で食事すればよかったなと、少し後悔した。

ふたたび歩き出して、右に、右にと延びていく尾根を下っていく。標高600m附近に、少しだけ視界は開けるが、殆どは変わり映えのしない、樹林の中を歩く行程だった。

さらに下降して、標高500mを切った。さあこれからどうなる、と内心で呟きつつ、下り続ける。

尾根は明瞭に進路を開いてくれているが、どこかで西側の沢に下り、地形図の破線路に辿り着く筈だという推測で、歩いている。
北東尾根分岐の先は、人為的に倒木が配置され、通行止めを示唆していた。それを越えて、尾根上を意識して下降していく。 殆ど歩かれていないと思われる尾根道は、心なしか荒涼とした雰囲気であった。 微妙に枝分かれする尾根を右に進み、標高670m附近で、等高線が表現する通りの、平坦な箇所に達した。 行動食にも飽きたので、ここでカップ麺を作り、食事休憩とした。 朽ちた倒木が散逸している所為か、周囲は虫が多かった。もう少し上の方で食事すればよかったなと、少し後悔した。 ふたたび歩き出して、右に、右にと延びていく尾根を下っていく。標高600m附近に、少しだけ視界は開けるが、殆どは変わり映えのしない、樹林の中を歩く行程だった。 さらに下降して、標高500mを切った。さあこれからどうなる、と内心で呟きつつ、下り続ける。 尾根は明瞭に進路を開いてくれているが、どこかで西側の沢に下り、地形図の破線路に辿り着く筈だという推測で、歩いている。
倉岳山・高畑山・九鬼山 果たして、標高470m圏で、明瞭な踏路が左に折り返すようにして、分岐していた。

内心で快哉を叫び、尾根の中腹を、逆戻りの方角に下降していく。
果たして、標高470m圏で、明瞭な踏路が左に折り返すようにして、分岐していた。 内心で快哉を叫び、尾根の中腹を、逆戻りの方角に下降していく。
倉岳山・高畑山・九鬼山 踏路は徐々に、沢の方角へと斜面を下り続けた。

次の懸念は、沢に下りてからの、道の荒廃状況であるが…。
踏路は徐々に、沢の方角へと斜面を下り続けた。 次の懸念は、沢に下りてからの、道の荒廃状況であるが…。
倉岳山・高畑山・九鬼山 想定の通りで、岩礫の散逸する沢沿いに降り立った。

涸れた沢の、右岸を歩くと、次第に尾根の斜面がせり出してくる。それに合わせるようにして、渡渉する道筋が現われる。

左岸に移ると、道幅が広くなり、踏路は明快になった。
想定の通りで、岩礫の散逸する沢沿いに降り立った。 涸れた沢の、右岸を歩くと、次第に尾根の斜面がせり出してくる。それに合わせるようにして、渡渉する道筋が現われる。 左岸に移ると、道幅が広くなり、踏路は明快になった。
倉岳山・高畑山・九鬼山 このまま林道となって、下畑集落の車道に合流していくのかな、と想像しつつ歩いていた。しかし、踏路はふたたび細くなり、山肌を忠実に平行トラバースしていく。

今朝登った、標高458mピークの山腹である。
このまま林道となって、下畑集落の車道に合流していくのかな、と想像しつつ歩いていた。しかし、踏路はふたたび細くなり、山肌を忠実に平行トラバースしていく。 今朝登った、標高458mピークの山腹である。
倉岳山・高畑山・九鬼山 右手には、下畑の集落がすぐそこに見える。どうなることかと山麓の細道を歩き続けると、鹿柵ゲートに行き当たった。

扉を開閉して、そのままフェンス沿いに歩き続けると、ようやく前方に、何処かで見たような光景が近づいてきて…。
右手には、下畑の集落がすぐそこに見える。どうなることかと山麓の細道を歩き続けると、鹿柵ゲートに行き当たった。 扉を開閉して、そのままフェンス沿いに歩き続けると、ようやく前方に、何処かで見たような光景が近づいてきて…。
倉岳山・高畑山・九鬼山 八幡神社の境内に至る車道が現われ、その向こうを見ると、出発点の下畑遊園地であった。

文字通りの周回となった訳で、謎の尾根道の探索は、想定外の帰結となって終了した。

倉岳山の北面は顕著な尾根が多く、これまで北東、北、北西の主なルートを歩いたが、殆ど歩かれていない、今回の下山ルートが気になっていた。無事歩き通せたというのは、有意義なことであった。

感想としては、登りに使う場合は、下畑から延々と山腹トラバースの上、尾根上は倒木の朽ちた茶褐色の踏路で、余り気持ちのよい雰囲気では無かったので、食指は動きづらいかな、というのが、正直なところである。
八幡神社の境内に至る車道が現われ、その向こうを見ると、出発点の下畑遊園地であった。 文字通りの周回となった訳で、謎の尾根道の探索は、想定外の帰結となって終了した。 倉岳山の北面は顕著な尾根が多く、これまで北東、北、北西の主なルートを歩いたが、殆ど歩かれていない、今回の下山ルートが気になっていた。無事歩き通せたというのは、有意義なことであった。 感想としては、登りに使う場合は、下畑から延々と山腹トラバースの上、尾根上は倒木の朽ちた茶褐色の踏路で、余り気持ちのよい雰囲気では無かったので、食指は動きづらいかな、というのが、正直なところである。

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