海沢三滝〜ついでに大岳山〜

2021.05.02(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
7 時間 27
休憩時間
1 時間 24
距離
13.1 km
上り / 下り
1787 / 1270 m
1 35
33
2 18
2
37
4
16

活動詳細

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 東京は今、緊急事態宣言下にある。この日、青梅発奥多摩行の車両は楽に座れる程度には空いていたが、不要不急にも関わらず山に行く格好をした乗客が多く見られた。俺は緊急事態宣言下のGW中の行動に「一都三県以外の山には登るまい」という自分ルールを課していた。いつも奥多摩の山ばっかり登っているくせに大そうなことだ。  電車は鳩ノ巣駅で停まり、降車した乗客たちが無人の改札をぬけてゆく。俺は人目を避け、最後尾から少し遅れて改札を通過した。ただ油断して乗り過ごしそうになっただけなのだった。  この日の目的は、鳩ノ巣駅からまず大樽峠に向かい、海沢園地を経由、三つ釜の滝、ねじれの滝、大滝の三滝を鑑賞することだった。ヤマレコの情報では、海沢園地から三滝、大岳山へ至る登山道は難路と記載されていた。しかし、滝見たさのあまり、深く考えなかったのである。  登山口に着くと大樽峠までの道が工事のため通行止めで、城山経由のう回路を進むよう示された看板があった。元々城山に興味を持ってなかった俺は、寧ろ通行止め区間と知ってそっちに興味を持ってしまった、どうかしている。欲求にかられ、駄目だったら戻ればいいさ、こんな甘い考えで何の保証もない道を進んでゆく。すると黄色と黒の縞模様のゲートが行く手を遮るように設置されている場所に辿り着いた。一般車両の進入を制限し、工事車両だけ通すための物だった。気にせずゲートを越えて進んでゆく(本当は駄目です。特に平日は工事の邪魔になるので遠慮しましょう)。連休中のため作業は行われていない、工事区間は無人だった。工事は山を削り、道を切り開いて車両が通れるようにするためのものだったが、突然工事区間の最先端に突き当たる。正面に削岩中の垂直な壁が現れたのである。これで終わりか……と思ったが、入念に辺りを見回すと左側に「登山客こちら→」の看板があった。メチャクチャ矛盾しているじゃないか?何でやねん!と誰もいない工事現場でツッコミを入れた。習性とは時にまぬけなものだ。そしてここからが本当の登山道になった。  さっきまでの吹き曝しの工事現場と違い、森林の登山道は日差しが遮られ冷たい風が漂う。それでも斜面がきつくなり、額にいつもの大汗が滝のようにしたたり落ち始めた。滝を見に行くからと言って、自分の顔まで滝にするとは大したものである。この登山道、通行止めの影響で少し荒れていた。そして、俺を苦しめたのは、またしても蜘蛛の巣だった。長い間人が通らなかったため、蜘蛛の巣張り放題だったのだ。それでも、まだましなのは昼間だったのでほとんどの蜘蛛の巣が見えることだった。蜘蛛の巣が見えると、少し申し訳ないと思いながら、手にした杉の枝で払った。しかし、日陰の巣は見落とすことがある。俺は手にした枝を振り回しながら進むことにした。おかげで今、このしょうもない活動日記をタイプしている手がだるく、左肩が筋肉痛になってしまった。  通行禁止区間を抜け、海沢園地に到着した。車が5、6台停車し、数人のグループが東屋でバーベキューをしている。そして、一人の御老体が、50cmぐらいの長さの白い望遠レンズが装着されたカメラを三脚に据え、谷の新緑の林を睨んでいた。俺は小声で切り出した。鳥ですか?……ええ、そう。いるんですか?うん、いるよ、このチッチッチッチッチ~は×××だよ(すみません、鳥の名前は忘れました)。見えますか?見えない。どうやって見つけるんですか?……目で。目で?………。この禅問答のようなやり取りで、俺はこの人は只者ではないと見抜いた。実際は単に俺の質問がうざかったのだろう。  川縁の登山道は気持ちいい。流れる水音が耳を癒し、涼しい風に顔の滝汗も蒸発してゆく。まずは三ッ釜の滝、これがいきなり期待を越えてきた。いいじゃん、いいじゃん、これいいじゃん!心がダンスし、アラーキーになった気分でシャッターを切り続けた。陽気なものである。だが、三ッ釜の滝の美麗さが、この先の滝に対する期待を高めた。  ネジレの滝。登山道から沢に下りただけではこの滝の姿は拝めない。ほんのちょっと遡行する必要があった。俺は滝に近付くルートを選んだ。右側の岩伝いでは途中から向こうが見えず危ういかもしれない。沢を転々とする岩の上を渡りながら近づく方が、川に落ちる危険もあるが、まだましに見えた。流石に立ち上がったままの姿勢で岩を飛び渡るのは怖すぎる。しゃがんだ姿勢で両手を使いながら慎重に進み始めた。二つの大きな岩といくつかの小さな岩を越えて、三つ目の大きな岩に取り掛かる。両手をついて自然と三点確保の体勢になり、右足を前の岩にかけようとしたその時、蹴り足の左足がグリップを失い岩からすべり落ちた。体勢が崩れ、一瞬身体が左下に向けて傾く。たが、左足が水没するのとほぼ同時に右足が前の岩にかかり、両手で岩を強く握り何とか岩の上に留まることに成功した。その際、咄嗟に左足をバランスを取るため伸ばしたまま前方に出したため、脛をつかまった岩に打ち付けてしまった。この時は痛かったと同時にやらかしたという思いが心を支配した。幸い出血はなく、内出血でたんこぶのように膨らんだが、触らなければ痛みはなく、そのあとも山行を続けることができた。痛みを得るだけの価値、というのは少し大袈裟だが、ネジレの滝も素晴らしかった。滝を後にするとき、チョイスしなかった沢縁の岩を見ると、簡単に通れることがすぐに理解できた。選択を誤ったのだった。  大滝に向かう登山道は、いよいよ難路と呼ばれている理由を見せつけてきた。登山者でない一般の人もいたが、かなり面食らったようだった。そんな中、持ち前の能天気さで、大滝と言えば大滝秀治、君の言っていることは良く分からない、などと怪我したくせにバカなことを考えながら目的地に着いた。大滝、川苔山の百尋の滝に匹敵する、これもまた名瀑だった。百尋の滝より行きにくい分、人が少なくてそれもいい点だ。このまま訪れる人が少なければいいんだが……。器の小ささが垣間見えるのであった。  一応の目的は達成したが、ここまで来たならついでに大岳山に登らないということはない。これがまた、仙元峠巻道から鳥屋戸尾根を下るときに味わった以来の難路であった。仙元峠巻道ほど凶悪ではないものの、寸断、一時消失が何度もあり、大岳山の尾根道に上がるまでは急斜面をほぼ直登するという、楽しむ余裕を奪う難路と呼ぶに相応しい道であった。途中、山葵田が続く場所がある。東京なのに水が綺麗なんだなと思わせられるのだが、昔は東京で山葵が栽培されているなんて考えもしなかったものだ。そして、この山葵田は今も拡張途中だった。谷底を平らに整地し、5m四方を石で囲む作業をしているおじさんがいて、挨拶すると話しかけてくれた。今日は天気が良くてよかったね~。そうですねぇ、天気がいいけど今日は少し風が冷たいですね。実際冷たい風が身体を冷やしてくれるおかげで気持ちよく登れていたのだが、おじさんは笑顔でこう返してくれた。う~ん、この辺はいつもこんな感じだよ。山葵の栽培には冷たい風も必要な要素なのかもしれない。  若干ヘロヘロ気味で大岳山山頂に到着。緊急事態から逃れてきた人々でにぎわっている。昼食のためにベンチに座りたかったがすべて先客がいた。その中の一つに、一人の男性がベンチの1/3を占めるだけで座っているのが見えた。ここいいですか?と尋ねると、親切そうな感じで勧めてくれたので隣に座ることにした。自然と会話することになったが、偶然にも都内の同じ区から来た人で同じ鉄道路線の二駅隣だった。現在は二駅だが、半年前に俺が住んでいたところの最寄り駅でもあった。これには驚いた。世の中は狭い、一度くらい駅ですれ違ったかもしれない。運命というものを感じざるを得なかった。まあ、またも大袈裟、且つ勝手な妄想で、相手はそうは思わなかったことだろう。  大岳山の下山後、数滴の雨粒が額に当たった。すぐに止んだが、急いで帰るべきと判断し、御岳のケーブルカーに乗れば雨はしのげると考え、御岳に向かった。ケーブルカー駅は雨の気配のせいもあって下山客の行列ができていた。それにしても、やっぱり今回は以前の緊急事態とは違う。多くの人が御岳山を訪れ、休んでいたリフトも動いている。そもそも酒場や客同士が密接する飲食店以外で感染するリスクは相当低いと思う。むやみに自粛するのではなく、各人が安全と思う範囲で、他人が嫌がる行為さえなければ、人生を楽しむことは悪いことではないと思う。

大岳山・御岳山・御前山 雲仙橋からの景色
雲仙橋からの景色
大岳山・御岳山・御前山 今日の水が滴る白ツツジ
今日の水が滴る白ツツジ
大岳山・御岳山・御前山 空は青く雲は白い
空は青く雲は白い
大岳山・御岳山・御前山 紅葉なのだろうか
紅葉なのだろうか
大岳山・御岳山・御前山 う回路
う回路
大岳山・御岳山・御前山 シャガが沢山自生していました
シャガが沢山自生していました
大岳山・御岳山・御前山 ゲート
ゲート
大岳山・御岳山・御前山 今回は最新テクノロジーが生んだ最強の熊よけアイテム、チャカをぶっ放しました。これは鈴より効き目があると思います。
今回は最新テクノロジーが生んだ最強の熊よけアイテム、チャカをぶっ放しました。これは鈴より効き目があると思います。
大岳山・御岳山・御前山 適当に雲があると絵になります。
適当に雲があると絵になります。
大岳山・御岳山・御前山 壁に突き当たる
壁に突き当たる
大岳山・御岳山・御前山 天保六 未乙 歳
先祖代々諸聖霊為菩提也
奉納百番供養塔
開祖 澤小六衛(門)?
七月吉辰?
天保六 未乙 歳 先祖代々諸聖霊為菩提也 奉納百番供養塔 開祖 澤小六衛(門)? 七月吉辰?
大岳山・御岳山・御前山 人が住んでいた痕跡
人が住んでいた痕跡
大岳山・御岳山・御前山 葉が透けて黄緑の光が届いてくる
葉が透けて黄緑の光が届いてくる
大岳山・御岳山・御前山 暗い森の中と高い空
暗い森の中と高い空
大岳山・御岳山・御前山 雲の影が山に映る
雲の影が山に映る
大岳山・御岳山・御前山 沢近くの心地よい空気
沢近くの心地よい空気
大岳山・御岳山・御前山 三ツ釜の滝
三ツ釜の滝
大岳山・御岳山・御前山 瓶ビールを差し込みたい
瓶ビールを差し込みたい
大岳山・御岳山・御前山 途方もない月日をかけて水が岩をえぐる。
途方もない月日をかけて水が岩をえぐる。
大岳山・御岳山・御前山 真ん中の尖った岩の向こうから来て、足を滑らせました
真ん中の尖った岩の向こうから来て、足を滑らせました
大岳山・御岳山・御前山 ネジレの滝。開放時間を長くして糸こんにゃく効果(白瀧)
ネジレの滝。開放時間を長くして糸こんにゃく効果(白瀧)
大岳山・御岳山・御前山 滝のすぐ上少し左に人が写っているのがわかるかなぁ。結構大きな滝です。
滝のすぐ上少し左に人が写っているのがわかるかなぁ。結構大きな滝です。
大岳山・御岳山・御前山 この水に、缶ビールを沈めたい
この水に、缶ビールを沈めたい
大岳山・御岳山・御前山 沢登の人たちのお尻。どっちも男ですからね。そっちの方かって?
沢登の人たちのお尻。どっちも男ですからね。そっちの方かって?
大岳山・御岳山・御前山 大滝です
大滝です
大岳山・御岳山・御前山 これも大滝
これも大滝
大岳山・御岳山・御前山 これまた大滝
これまた大滝
大岳山・御岳山・御前山 こういうのがいいんだよ
こういうのがいいんだよ
大岳山・御岳山・御前山 苔岩ガーデンでした
苔岩ガーデンでした
大岳山・御岳山・御前山 若い葉が花のように見えます。
若い葉が花のように見えます。
大岳山・御岳山・御前山 晴天の雲が好き
晴天の雲が好き
大岳山・御岳山・御前山 会話に夢中で味忘れた
会話に夢中で味忘れた
大岳山・御岳山・御前山 タイムラプスも見てください
タイムラプスも見てください
大岳山・御岳山・御前山 新芽が赤いので花に見えます
新芽が赤いので花に見えます
大岳山・御岳山・御前山 抹茶カラー
抹茶カラー
大岳山・御岳山・御前山 ちいさな山吹
ちいさな山吹
大岳山・御岳山・御前山 例の茶屋風カフェ、大人気!ワインもいいけどやっぱコーヒーだよ。
例の茶屋風カフェ、大人気!ワインもいいけどやっぱコーヒーだよ。
大岳山・御岳山・御前山 趣のある宿坊。一度は泊まってみたいぜ
趣のある宿坊。一度は泊まってみたいぜ
大岳山・御岳山・御前山 ムササビ、だと思います。夜行性なので目が据わっています。
ムササビ、だと思います。夜行性なので目が据わっています。
大岳山・御岳山・御前山 スカイツリーは日陰で手前は日向
スカイツリーは日陰で手前は日向
大岳山・御岳山・御前山 新宿も日陰です
新宿も日陰です
大岳山・御岳山・御前山 これも雲の影が良く分かる
これも雲の影が良く分かる

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