活動データ
タイム
07:33
距離
13.6km
のぼり
1316m
くだり
1316m
活動詳細
すべて見るささやかな楽しみ 山に登ったその帰り、良く頑張った自分へのご褒美に土地ならではのお土産を買う。いつもは登山口近くの町を選んで徘徊し地酒や珍味を探すのだが、選ぶ基準も目にして心が動くかどうかで手に入れてはその場限りの満足をしていた。だが数を重ねて偶然手に入れ味を占め、行くたび探した物がある。「行者ニンニクの醤油漬け」である。町外れ、たまたま見かけた漬物屋に入り何かを探し目にして気になり手に入れたのだが、食すれば酒のつまみには申し分なくて、気が付けばついつい飲み過ぎるほどに旨かった。この行者ニンニクは、ニンニクよりも香りが強く幻の山菜とも言われていて、名の由来は山形県の出羽三山に籠った修験行者が活力源として食べていた事が発端となったそうだ。それからも、出掛けるたびに必ず立ち寄る漬物屋だったが、今は乱獲により手に入らず売られることも無くなって少し残念だが何処かで新たに出会う物、登山の帰りのご褒美にふらりと寄っては探し求めている。 ささやかな楽しみだけど山に行くたび探して手に入れ持ち帰り、口にして地酒を含めば蘇る記憶の中の過去の山。 そういえば、この時期に2度、チャレンジしてみて叶わぬ山がある。 その山は谷川連峰の端に聳える名峰だが、 1度目は強風吹き荒れホワイトアウトの稜線を、GPS頼りで登頂を果たすも何の達成感も得られぬことがあり、2度目は夜半に降った大雪に体力を削がれ、あと少しの山頂までが届かぬ結果となった無念の過去がある。この山にこだわる理由(わけ)など無いが、頂きから真白く連なる山並を一度は見たいと憧れ続け冬の時期この山頂から望む雪山をと訪ねて来たのです。 平標山・仙ノ倉山である。 計画は、ヤカイ沢より稜線を目指して平標山に登り、仙ノ倉山まで足を伸ばす予定であり、下山は今来たルートを戻るピストン山行を考えているが、過去に叶わぬ仙ノ倉山からの連なる雪の谷川連峰をひとめ見たいと願うのだ。 登山の始まりは、平標山有料駐車場から岩魚沢林道へ向かい登山口となるヤカイ沢出合まで進む。ヤカイ沢はこの時期限定のバリエーションルートだが踏み跡少なく消えかかり、緩んだ雪に油断してツボらぬ様にと先を見て足を進めていくのである。黙々と歩く目線の先に目指す山が見え出して、気持ちが昂ってくるのが分かる頃にはしっかり高度を上げていて、気が付けば松手山の頂きがすぐ左手に見えていた。足を止め振り返り見る今来たトレースの、真っ直ぐ伸びる向こうに苗場山が望めて遮るものない景色の断片をしばし見やっている。息を吐き足を進めて高度を上げれば更に増す急登を、アイゼンの爪をしっかりと食い込ませて登り続けていくのである。凍てつく稜線に出て改めて振り返る景色に感動するが目指す頂きはまだ少し先、休まず歩き続けて間も無くに見覚えのある道標が見えて来た。 平標山の山頂である。 感動の一座は過去のホワイトアウトを思い出すが、今日は快晴無風の登頂となる。この頂きから、緩やかに続く稜線を辿れば焦がれた山へと続いて行き、はやる気持ちを抑えつつ足を進めていくのです。 仙ノ倉山の山頂である。 何度と訪ねた頂きだが、雪の時期には初めての登頂を素直に喜んでいる。晴れ渡る空と折り重なる山並みに見惚れながらも見回せば、憧れて夢にまで見た谷川連峰の連なりが今、目の前に有る。気が付けば寒さに震える雪山でひと時の歓びに浸っていたが、暫しの感動を胸に下山に掛かるのだ。視界の中で広がる真白き山々を、ひとつずつ摘み取る様に尾根を越え。 ふりかえり このところ我々には少しハードな山行を続けていて、たまには楽しむ山もと出掛けて来た。今回のヤカイ沢コースは、開けて明るい環境により前日までのトレースが100%近く消えて地形を読みながらの登山となるが、子供の時の雪山遊びを思い出し予想通りに始めからワクワクしながら歩いていた。ひとときの休息は心に寄り添う山と共に。
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