十勝岳(撤退)からの教訓

2021.03.23(火) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
6 時間 2
休憩時間
1 時間 3
距離
9.0 km
のぼり / くだり
872 / 873 m

活動詳細

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今年も冬山の目標としていた十勝岳に今度は狙いを定める。 天候は山は風速10m前後、雪?予報の中出発。 家を出て15分程したところでハードシェルを忘れたことに気付き、また家に戻る... 再スタート。日の出後くらいに到着予定となってしまった。 思えばこれが不運の始まりだったのかもしれない。 6時頃に吹上温泉に到着。夜に軽く雪は降っていたようだ。 先行者のトレースあり。 途中から十勝岳避難小屋からズレていったので、自らの一歩を進めていくことにした。 しかし誰もいない。 こんなに人気ないものだろうか。 十勝岳は雲にかなりの部分を隠され、空も暗く感じた。 これが7時頃だと思えないくらいに。 軽く埋まる程度、思ったよりは歩きやすかった。 概ね予定通りに避難小屋着となるが、かなりガスってきていた。 避難小屋は人の手が入っていなく、入り口には雪が積もったままであった。 怪しい...と思いながらも、アイゼンとピッケルへの換装作業を行う。 トレッキングポールをザック横に取り付けている最中、ゴムバンドが切れてしまう。 力任せに負荷をかけてしまっていた。 ゴムは縛り、トレッキングポールは固定出来た。 さて...小屋の外は真っ白... いや、まだだ、一瞬の青空が見えた。 登れば、標高を上げていけば晴れているかもしれない。 夏道をひた登る。多少ハマるが、カリカリしているところもあり、アイゼンはしっかりと効いていた。 完全にガスの中に入った。確実に視界は狭まっていっていった。 風も強くなってくる。ゴーグル装着し視界を少しクリアーにした。 山も真っ白、付近も真っ白、これほどの状態は初めての経験だった。 一歩一歩歩く自分が生きているのか死んでいるのか分からなくなってくる。 ただ心臓は動いている気がした。 最初の急登区間をクリアーし、標高1700mぐらいからのラスト急登に向けて緩やかになるポイント。 全てが真っ白過ぎて緩かなのか、どうなのか感覚が薄れていった。 方向感覚も薄れていく。今まで何回か十勝岳を登ったことのある中での感覚を頼りに。 途中の大きな標識。遠くから見ると人に見えたが気のせいだった。 そこに辿り着いた時には雪も降り始めていた。相変わらずの強風が続く中での相変わらずのガス。 もう、相変わらずではなくなっていた。 この先の急登区間を登りきれば登頂か... 真っ白だった。視界は2〜3m。 もう感覚では無理だ。 運良く登頂出来たとしても下山のことを考えたら、同じ道を辿って戻れる自信はない。 撤退!! 引き返すことにした。 何となく残っているトレースを、下っていった。 標識が見え、下っていることを実感出来た。 また標識が見えた。「同じ標識。登る時に見落としただけの標識かもしれない、進もう。」 また標識が見えた。全てが同じ形だった。 おかしい、明らかにおかしい。 スマホのGPSを見て血の気が引いた。 下山していたつもりが、同じところをグルグルと回っていただけだった。 何故こんなトレースの付け方を...いや、そんな回りながら歩くはずもない。 動いている間は寒さはあまり感じないが、止まると途端に体温は下がっていく。 体感温度で−10度前後か。こうやって遭難していくんですね。 スマホを外気に晒し、GPSを頼りに動くことにした。 予備用のメイン手袋は持ってきていたが、作業用のセカンド手袋を忘れていたことに気付いた。 歩く速度を上げると転ぶ。焦っている。 落ち着いて歩け、転ぶのもフラつくのも全てがリスク。 トレースとはかなりズレたが、方向修正を徐々に行え、下山ルートにほぼ復帰することが出来た。 これ厳冬期の環境下ならスマホの電源落ちていたかも... ゾッとした。 反省しながら下りた。 下山途中にようやく登山者やBCスキーヤーと遭遇した。 今回のことは教訓である。 もしかしたら逆転で晴れるかもしれないと過信し、進み過ぎたこと。 もう遅かったんだ、撤退判断はもっと早くするべきだった。 細々した忘れ物や、ガサツな行動は、全てがロスに繋がりリスクを生む。 とにかく何事にも丁寧に、だ。 リベンジを誓う。 羊蹄山でもリベンジし、十勝岳でもまたリベンジ登山か...自分登山の停滞を招いている。 今年は何も学習していない。 同じミスを何度も繰り返すな。

活動の装備

  • エムエスアール(MSR)
    ライトニングアッセント
  • マムート(MAMMUT)
    雪山用ハードシェル
  • ペツル(PETZL)
    アイゼン
  • マムート(MAMMUT)
    Add-on bottle holder

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