乗鞍岳位ヶ原雪崩!地形図・気象データから安全ルートの見分け方❣ 雪崩の原因は大雪と強風(2021年3月14日)

2023.02.25(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
10
休憩時間
0
距離
96 m
のぼり / くだり
11 / 15 m

活動詳細

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◎2021年3月乗鞍高原スキー場からのルートで起きた雪崩事故についての注意喚起情報です。 乗鞍岳の古くから山スキーコースとして多くの登山者が利用している所での雪崩、 気象データ、地形図から危険を読みとる。 〇雪崩発生区はどこ? SNSの情報から雪崩は位ヶ原山荘分岐の注意の看板がある北側、 発生地点はエコーライン(車道冬期閉鎖)の標高2450m附近 発生区は地形図読み取りで傾斜43度(2450~2420m)斜面の向き南南東 県警へりより発生区の模様 https://news.yahoo.co.jp/articles/bf86c49adb533a3ec97cfa867b3d79e9ff54b4f4/images/000 〇雪崩発生区で何が起こった? ①気象データおよびヤマレコ、ヤマップの山行記録から見ると3月9日~11日は良く晴れて 発生区の南南東斜面は日射により雪面が融解凍結が繰り返されザラメ化していたと推測される。 更に10日北海道を通過した低気圧により南西の強風が吹き風成雪(風で転がされたザラメ雪、気温低下で表面が板状に凍り脆い層を作る・ウインドスラブ)可能性がある。(滑り台の形成) ②13日南岸を通過した低気圧により水分の多い雪が降った推定40~50cm(滑った雪) ③14日南岸低気圧の通過後、寒気流入による北西の強風により位ヶ原の平坦地の雪が 平坦地の風下側の縁辺崖である発生区に大量に吹き溜まり(雪崩発生の引き金) 頭でっかちになり重量バランスが崩れて、晴天でできたザラメ層(滑り台)から上が雪崩た。面発生表層雪崩である。 地形図・気象データから安全ルートの見分け方? 〇地形図から見る安全ルートはどこ? 上部に立木のない傾斜40度以上の急斜面があるところの下は危険 更にその斜面に雪が吹きだまるような強風が吹いる時は最も危険。 安全ルートはどこ?このツアーコースで言うならば 標高2330m附近から南の沢よりの小尾根に早く移って登るべきであるだろう。 さらに安全を求めるなら上部に急斜面のない一本南側の尾根をルートとすべき。だと思う。但し2260m附近の樹林帯の中の沢を渡る地点は注意が必要です。 〇気象データから 晴天が続いたあとの低気圧によるまとまった雪の後は要注意! 平坦地の縁辺の崖(傾斜40度以上の急斜面)の下を通るときは強風の風向きに注意! 〇他人のトレースを通ることはその人のリスク認識度を承継するだけで安全とは限らない。 雪山においては他人のトレース(ラッセル痕)は有難いもの。 しかし、その人たちの危険認識が甘ければ危険なルート取り、トレースを残していることになる。 今回の事例で多くの人が通っているから安全という神話は崩れさった。 登山者自身が危険認識を高め、酷いトレースはさっさと捨てて、自ら安全と思うルートをラッセルすべきだと思う。 ○NPO法人日本雪崩ネットワーク調査報告が19日に発表されたがガッカリだった。(3月21日追加) NPO法人日本雪崩ネットワーク調査報告 https://snow.nadare.jp/news/2021/000034.html 「数箇所でデータ採取などを行った。その結果、以前の降雨(3月13日以前)で形成した融解凍結クラストの上に載ったスラブ内には、十分に結合力を高めていない箇所があり、新雪及びこしまり雪が観察された。硬度の高いスラブに結合力の弱い雪が薄く挟まり、雪崩発生の原因となることがある」と発表。 3月2日に現場で雨が降ったことはアメダス奈川の気象データの降水、気温よりわかるが、その上の積雪強度が問題だろう。 自ら積雪強度の場所によるバラツキを「積雪の空間的多様性」といいます。と言っておきながらhttps://snow.nadare.jp/magazines/2020/000012.html SPIN積雪観察情報の発表は一ヵ所だけ、しかも破断面南東部脇(ピットNo1)http://spin.nadare.jp/profiles/3755/chart 数箇所でデータ採取したとのことであるから標高の一番高い部分もSPIN積雪観察情報があるはずであるが公開しなかった事に疑問がのこる。 「積雪の空間的多様性」は日射や風の影響で積雪の状況は著しく変化する。 発生地点と脇では雲泥の差じゃないだろうか。 NPO法人日本雪崩ネットワークは国民を雪崩事故から守るボランティア活動が目的だろう。 全ての情報を公開して登山者やバックカントリー愛好家を雪崩から守る情報は公開すべきだと思う。 しかし、個人のボランティア活動は全て自腹であるが。 NPO法人は関連の営利事業も認められている。 理事さんの給料も出さなきゃいけないので採算を度外視しては出来ないことはわかる。 それならば、有料でもいいから情報は提供するべきだと考えるがいかがでしょう。 〇那須雪崩事故との共通点! 平坦地縁辺崖! 南岸低気圧通過後の北西強風!日射で雪面がザラメ化しやすい南より斜面! 雪崩原因としてあまり言われていない強風と地形的平坦地(緩やかな傾斜があっても風を乱す要因が少ない地形) 乗鞍は位ヶ原の平坦地と南岸低気圧通過後の北西強風で雪が吹きだまる崖地形で発生。 那須は溶岩が冷え固まった末端の崖に溶岩台地を駆け下った北西強風で雪が吹きだまった。 (3月27日追加) 注)ログは手書き乗鞍岳の事例のため 2021年3月16日作成、21日、27日追加

乗鞍岳 雪崩発生地点
雪崩発生域(緑線内)は県警ヘリ画像より推定
赤線は地形図読み取り傾斜計算線
雪崩発生地点 雪崩発生域(緑線内)は県警ヘリ画像より推定 赤線は地形図読み取り傾斜計算線
乗鞍岳 雪崩発生地点
2014年5月、南側の小尾根の標高2430m附近より撮影。
雪崩発生地点 2014年5月、南側の小尾根の標高2430m附近より撮影。
乗鞍岳 3月9日12時の天気図
9日は高気圧に覆われ晴れた。
(滑り台の形成)
3月9日12時の天気図 9日は高気圧に覆われ晴れた。 (滑り台の形成)
乗鞍岳 3月10日9時の天気図
10日朝、寒冷前線通過後、南西の強風(赤矢印)が吹き荒れたが晴れる。(滑り台の形成)
3月10日9時の天気図 10日朝、寒冷前線通過後、南西の強風(赤矢印)が吹き荒れたが晴れる。(滑り台の形成)
乗鞍岳 3月11日12時の天気図
11日高気圧に覆われ晴れる。
(滑り台の形成)
3月11日12時の天気図 11日高気圧に覆われ晴れる。 (滑り台の形成)
乗鞍岳 3月13日9時の天気図
南岸低気圧により13~14日にかけてまとまった雪が降る。
(滑った雪)
3月13日9時の天気図 南岸低気圧により13~14日にかけてまとまった雪が降る。 (滑った雪)
乗鞍岳 3月14日9時の天気図
低気圧通過後、冬型気圧配置による寒気流入、北西強風(赤矢印)により位ヶ原の平坦地の雪が風下側の縁辺崖地(雪崩発生区)に大量に吹き溜まり、頭でっかちになり重量バランスが崩れ面発生表層雪崩を誘発したと推定。(雪崩発生の引き金)
3月14日9時の天気図 低気圧通過後、冬型気圧配置による寒気流入、北西強風(赤矢印)により位ヶ原の平坦地の雪が風下側の縁辺崖地(雪崩発生区)に大量に吹き溜まり、頭でっかちになり重量バランスが崩れ面発生表層雪崩を誘発したと推定。(雪崩発生の引き金)
乗鞍岳 アメダスポイント松本、高山の過去の気象データを見ると3月9日から11日にかけて長時間の日照が記録され晴れていたことが分かる。
アメダスポイント松本、高山の過去の気象データを見ると3月9日から11日にかけて長時間の日照が記録され晴れていたことが分かる。
乗鞍岳 南岸低気圧が13~14日に通過しまとまった降水がアメダスポイント奈川で38.5mm上高地で27.5mm降った。湿った雪の場合1mmの降水は約1cmの積雪とみると約40cm降ったことになる。
奈川の標高は1168mで雪崩発生区とは約1400mの標高差があり100m上昇による気温低下を0.6度とすると奈川が8度でも雪崩発生区は氷点下で雪が降ったことは間違いないだろう。
南岸低気圧が13~14日に通過しまとまった降水がアメダスポイント奈川で38.5mm上高地で27.5mm降った。湿った雪の場合1mmの降水は約1cmの積雪とみると約40cm降ったことになる。 奈川の標高は1168mで雪崩発生区とは約1400mの標高差があり100m上昇による気温低下を0.6度とすると奈川が8度でも雪崩発生区は氷点下で雪が降ったことは間違いないだろう。
乗鞍岳 Medium Range Forecasts for East Asiaの850ヘクトパスカル面(約1500mの高度)の気温を見ると14日21時でも氷点下4度であり、低気圧通過後の冬型気圧配置により14日朝は北西の強風が吹いていたことがわかる。
Medium Range Forecasts for East Asiaの850ヘクトパスカル面(約1500mの高度)の気温を見ると14日21時でも氷点下4度であり、低気圧通過後の冬型気圧配置により14日朝は北西の強風が吹いていたことがわかる。
乗鞍岳 安全トレースの切り方(例)
1、(オレンジライン)標高2330m附近から南の沢よりの小尾根に早く移って登るべきであるだろう。
2、(黄緑ライン)さらに安全を求めるなら上部に急斜面のない一本南側の尾根をルートとすべき。だと思う。但し2260m附近の樹林帯の中の沢を渡る地点は注意が必要です。
安全トレースの切り方(例) 1、(オレンジライン)標高2330m附近から南の沢よりの小尾根に早く移って登るべきであるだろう。 2、(黄緑ライン)さらに安全を求めるなら上部に急斜面のない一本南側の尾根をルートとすべき。だと思う。但し2260m附近の樹林帯の中の沢を渡る地点は注意が必要です。
乗鞍岳 那須雪崩事故との共通点! 平坦地縁辺崖! 
南岸低気圧通過後の北西強風!

雪崩原因としてあまり言われていない強風と地形的平坦地(緩やかな傾斜があっても風を乱す要因が少ない地形)

乗鞍は位ヶ原の平坦地と南岸低気圧通過後の北西強風で雪が吹きだまる崖地形で発生。

那須は溶岩が冷え固まった末端の崖に溶岩台地を駆け下った北西強風で雪が吹きだまった。
(3月27日追加)
那須雪崩事故との共通点! 平坦地縁辺崖!  南岸低気圧通過後の北西強風! 雪崩原因としてあまり言われていない強風と地形的平坦地(緩やかな傾斜があっても風を乱す要因が少ない地形) 乗鞍は位ヶ原の平坦地と南岸低気圧通過後の北西強風で雪が吹きだまる崖地形で発生。 那須は溶岩が冷え固まった末端の崖に溶岩台地を駆け下った北西強風で雪が吹きだまった。 (3月27日追加)

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