まだ山歩きを初めて間もない2年前。細蔵山から見た東芦見尾根の山々を歩いてみようと稜線を辿ってみた。 次々と飛び込んでくる絶景に感動しながらアップダウンが激しい雪稜を辿ると、目の前には壁のような斜面が立ちはだかった。 スノーシューで何度もずり落ちながら苦労して登り上げるも、天候悪化により眺望はなく、疲労もピークに達し、そこで折り返した。 後にその僅か300m先に「鬼場倉ノ頭」という越中百山のピークがあったことを知り、非常に悔しい思いをする。 それ以来、近辺の山に登るたびに、鬼場倉ノ頭の姿を目に焼き付け、密かに情熱を燃やし続けてきた。 だが、自分の力量で積雪期に登るには、相当条件がそろっていないと危険を伴う。じっとチャンスを窺う日が続いていた。 そして、その日は唐突にやってきた。 大日尾根を歩いた翌日、天気を見ていると、木曜日は完璧な条件がそろっている。 天気→よし、気温→よし、風速→よし、奥さんの機嫌→たぶんよし? 前回はなかった道具も揃っている。必要なのは強い気持ちだけ。 まだ心の準備はできていなかった。寒さや体調面で不安な部分もある。 されど、年齢と体力の低下を考えると、今後、挑戦できる機会も残り少ないだろう。 よし、腹は決まった。行くしかない。急遽、休暇を取得した。 当日、気合十分で、これまで以上に早い時間のスタート。林道歩きを経て、まずは土倉山に取りつく。 前日の積雪は10cm程度だったようで、上に積もったパウダースノーが心地よい。 持参したスポーツドリンクも凍結するほどの強い冷え込みで、下層の締まった雪が歩きやすい。快調に標高を上げ、山頂手前の東芦見尾根に到達。 静寂に包まれた夜明け前の尾根上は幻想的な白銀の光景が広がる。少し歩いて土倉山山頂。朝焼けの剱岳が美しすぎる。これだけでも十分に来る価値はある。だが、今日の目的地はまだまだ遠い。ノンストップで先を急ぐ。 劔・大日や毛勝三山など、絶景を拝みながら一旦稜線を下り、いよいよ苅安山への急な登りが始まる。 ここからアイゼン・ピッケルに装備変更。 何カ所か踏み抜きもあったが、スノーシューで登った当時とは、安心感が格段に違う。一歩ずつ、慎重に歩みを進めて苅安山の山頂に到着。 山頂からは圧巻の眺めが広がる。空気が澄みきっており、白山方面の眺めも素晴らしい。目の前に続く尾根の先には鬼場倉ノ頭が相変わらず鬼のような表情を見せているが、心の余裕からか前回ほどの威圧感は感じない。 細蔵山への分岐点にスノーシューをデポし、核心部へ向けて進むが、途中の尾根上もナイフリッジやアップダウンが多くなかなか気が抜けない。 そしていよいよ鬼場倉ノ頭への試練の登り。前回は、踏み抜いた際に穴にはまり数分間脱出不能になったりもしたが、今日はたっぷり雪があり、安心して登れる。あれだけ恐怖に感じた急登も、アイゼン・ピッケルの敵ではなく、熱い想いとともに登り上げ、ついに鬼場倉ノ頭に到着。 ピークからは360度どこを見ても絶景が広がる。感無量。大きな達成感と強い感動を覚え、今にも泣きだしそうだ。 ここまで来たら、大猫山も目と鼻の先。時間もたっぷりあるので、東芦見尾根をつなげよう。 鬼場倉ノ頭より先は予想以上に積雪量が多く、終始膝上ラッセルを強いられるが、大きな肩の荷が下りた身には、苦労も殆ど感じない。 三角点を過ぎるとこれまで見えなかった五竜岳や鹿島槍も姿を現しさらにテンションは上がる。 藪の激しい夏道を思い出しながら、心地よい雪原歩きを楽しみ、山頂に到着。目の前の劔や北方稜線の迫力はもちろんのこと、遠くの鹿島槍の眺めも素晴らしい。 絶景を堪能し、あとは安全に戻るだけ。 いくつものアップダウンを超えてスノーシューをデポした地点まで引き返すが、徐々に雪質は悪化し往路以上に気を遣う。 帰路は、もう1つの積み残し、「晴天下の細蔵山」を味わうため、細蔵山へと延びる尾根を下る。 登り返しもたいしたことなく、ほとんど下るだけなので楽勝と思っていたが、ここがまさかの核心部。雪は緩々で数歩進むたびに踏み抜きが発生。コケ、ハマリの連続で体力を削られる。尾根の向きで、ここまで雪質が変わるものかと驚いた。 予想以上に苦労しながら、細蔵山到着。目の前には剱尾根を中心とする大迫力の劔岳がお出迎え。 標高は低くても、劔岳の特設展望台と評されるのも納得の眺め。やっぱり来てよかった。 さぁ、帰ろう。細蔵から先はトレースがあり、安心して進める(再び着用したスノーシューでは緩んだ雪に滑りまくりだったが。)。以前は場所が分からなかった細蔵の大杉にもちゃっかり立ち寄り、予定通りの時間にゴール。 今思い出しても、夢だったのではないか…そんな気さえする、至福の時間を満喫。これで、しばらくは大人しくしていられそうです😌
暗闇に劔の稜線が浮かび上がる
富山の夜景も意外と美しい✨
尾根までもうすぐ
東芦見尾根 左を見ると大倉山
土倉山頂への稜線 絶妙な陰影が織りなす静寂の世界
山頂の雪原に出ると言葉を失う風景が広がる
こんな朝焼けに出会えるなんて😳 なんて幸先の良いスタート
感動を目に焼き付け先へ進む
刈安山との鞍部に向けて雪稜を進む
目の前には第一関門の急登
スノーシューでは歯が立たず、慌ててアイゼンを装着💦
急登を登りきるとマン○ムな日の出 パクリですね😝
振り返ると突き抜けるような青空
最近、大倉山のどっしりとした山容がお気に入り
次なる急登が待ち構える
土倉から濁谷山までの東芦見尾根も走破したいなぁ
大日岳と大熊山△ 大熊山もこんなピラミダルだったのね
刈安山山頂手前の急登 一歩一歩着実に
登り上げると絶景 自然と歓声が沸く
刈安山山頂到着 鬼場倉ノ頭の特徴的なシルエット
幾層もの稜線が延々と続く
毛勝三山と鬼場倉ノ頭
四六時中シャッターチャンス 前に進めない…
長大な大日尾根が大熊山の後ろへと続く
影があるから光も活きる
東芦見尾根からの眺めは、毛勝より釜谷の方が盟主的な存在
またしても急登
美しい雪の壁を登る⛏️
なんとか登りきる
鬼場倉ノ頭が全容を現す
ナイフリッジを越えて行く
最後の砦 見惚れるくらいの急登
右手の劔をしっかり確認し、
情熱を胸に🔥、いざ、スタート!
登り切った!
ついに鬼場倉ノ頭のピークを捉える
鬼場倉ノ頭到着😂
今日も痺れるカッコよさ🏔️
立山と室堂平
毛勝三山
東芦見尾根はさらに先の大猫山へ
最終目的地大猫山へ向かう 一部急登あり
大猫山三角点からの眺め
なだらかな雪原が山頂へと続く
山頂へのビクトリーロード
大猫山山頂🙌
猫又山まで行けてしまいそうな気もするが、まだ2kmも離れている🙀
猫岩も良く見える
凄まじい迫力
気品ある双耳峰鹿島槍
雪が豊富なコット谷
遥か彼方へと延びる東芦見尾根
さぁ、帰りましょ🎵
赤谷尾根も素晴らしい雰囲気
大好きな山の一つ、五竜岳
ずっと見ていたい眺め😍
ただただ美しい
鬼場倉ノ頭から大猫山を振り返る トレースもアートのよう
急坂の下りが心配だったが、意外と歩きやすい
山頂付近の鬼歯のような岩石が山名の由来とあるが、見た目も👹
細蔵山へと繋がる稜線
細蔵山へLet's go!
この辺りはまだ歩きやすかった。 雪庇を過ぎた辺りから踏み抜き多発地帯💀
一部痩尾根あり
細蔵山の上にうっすらと虹が🌈
登り返しはアニマルトレースを追う
細蔵山山頂からの劔さま
ド迫力の北西面
鍋増谷の眺めも好き
トレースを辿って下山
別れを告げる
細蔵山の大杉🌲 劔に負けじとド迫力
木ノ根山までおりてきた
藪の細尾根を突っ切り
最後は滑り台でショートカット
本日もありがとうございました🙇